『少女椿』あらすじ・ネタバレ感想!エロくてグロいのに、どこか不思議な美しさ。好きな人は好きな作品。

映画『少女椿』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『少女椿』公式ページ

ガロ系・鬼畜系ジャンルで有名な丸尾末広の漫画が原作。

映像化不可能と言われた世界観がついに実写化を遂げた問題作!

ポイント
  • 主人公みどりを演じるのは初演技でありながら映画デビューで初主演の中村里砂。
  • エログロ耐性ない人は見ない方が良いですよ
  • 不思議な話、独特の世界観が繰り広げられる話が好きな人におすすめ!

それではさっそく映画『少女椿』をレビューしたいと思います。

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『少女椿』作品情報

作品名 少女椿
公開日 2016年5月21日
上映時間 90分
監督 TORICO
脚本 TORICO
原作 丸尾末広『少女椿』
出演者 中村里砂
風間俊介
森野美咲
武瑠(SuG)
佐伯大地
深水元基
中谷彰宏
鳥居みゆき
音楽 黒石ひとみ

【ネタバレ】『少女椿』あらすじ・感想


かわいそうな少女、みどり(中村里砂)

少女、みどり(中村里砂)は月を見上げて憂います。ハァ…お月様が見てる。

貧しい家に生まれ、病床に伏せる母(鳥居みゆき)と二人で暮らしていたみどりは、花売りに出かけて生計を立てる日々。

ある日、親切なおじさんに出会い「困ったときはいつでも私を訪ねておいで」と言われます。

看病も虚しく、母親は何匹ものネズミに内臓を食い破られて死んでしまい、孤児になってしまったみどりは親切なおじさんを頼りました。

おじさんは赤猫座という見世物小屋の親方・嵐鯉治郎(中谷彰宏)で、みどりは下働きとして使われることになります。

赤猫座の芸人たちは、怪力自慢の乱暴者・赤座(深水元基)や、両腕を欠損し顔を包帯で覆った徳利児鞭棄(佐伯大地)、紫の頭巾を被った怪しげな女・蛇女紅悦(森野美咲)、“ふたなり”という触れ込みの美少女カナブン(武瑠)など見るからに常人ではない面々。

下っ端のみどりは、事あるごとにいじめられてしまいます。

みどりは不遇な毎日のなか女優になる日を夢見て暮らしているのですが、雑用ばかりの毎日で辛くて死んでしまうかと思うほどでした。

学校にも行っていません。将来が不安で仕方ありません。

どのように生きていけばいいのか、わからない日々。

そんなみどりの辛い暮らしのなかに、唯一の癒しがありました。

神社の裏で誰にも内緒で飼っている子犬です。

誰にも内緒、のつもりでしたがカナブンは犬の存在を知っていました。

みどりが可愛がるその犬たちが憎くて、足で踏みつぶして殺してしまいます。

その日の赤猫座の晩御飯は鍋でした。

カナブンはみどりに、おいしいよと勧めます。

貧乏一座なのに、よく肉を買うお金があったと芸人の一人が言うと、カナブンは「買ってないよ」と言います。

犬の肉は売ってないからね、と。

可愛がっていた犬が目の前の鍋の材料になってしまった…と悲しんで涙を流すみどりでした。

手品使いのワンダー正光(風間俊介)という男

ある晩、みどりは「苦しめ、苦しめ、誰も助けてくれないよ。人間のままで幸せになろうなんて虫がよすぎるんだよ」と嘲笑われる悪夢を見て飛び起きました。

風邪を引いてうなされていたのです。

親方が少し休めと言ってくれたので、芸人たちの居住スペースで布団に潜っていると、「そういえば今度新しい奴が入ってくるって親方が言ってた」とカナブンが言いました。

赤猫座のもとへ小包が届きます。

親方が開けると、ビンの中に座る男が煙草を吸っていました。

芸人たちが何事かと見ていると、男は煙とともにビンから出てきました。

彼は新しく加わる芸人、手品使いと称するワンダー正光(風間俊介)でした。

ある時、みどりが母親の形見である鏡を覗いていると、ワンダー正光が話しかけてきました。

「辛い思いをしたんだね、これからは私が守ってあげる」と言い、次の瞬間には手鏡の中から手招きしました。

みどりが鏡の中へ吸い込まれると、一面の花畑。

正光はみどりを気に入り、手品と称して不思議な幻想を見せてくれたり何かと世話を焼いてくれました。

みどりも、芸人のなかでたった一人、自分に優しくしてくれる正光に好意を抱いていきます。

ワンダー正光のおかげで、見世物小屋は見る間に満員御礼。

多忙を極める正光は助手が必要だと言い出しました。

親方はカナブンにやらせようとしますが、正光自身がみどりを指名し、二人でステージに立つこととなります。

満員の客の前でビンの中に入って見せる正光。

一人で歓声をかっさらう正光の存在は、芸人たちにとって疎ましいものでした。

突然現れて稼ぎ頭となった正光が威張り腐るのも、みどりが助手として立場が上がっていくのも、芸人たちは面白くありませんでした。

みどりに対して赤座と鞭棄が突っかかり、度を越した暴力にまで及んだ少しあとのこと。

鞭棄は一人で神社の階段に座っているみどりに謝ります。

仲直りしよう、と後ろから足を使って抱きしめました。

その様子を見ていた正光は、みどりは自分のものだと激昂します。

鞭棄が一人になったところで正光は幻影により鞭棄を蟻地獄のような砂の中に落とし苦しめ罵倒して、殺してしまいます。

みどりは木の陰から、正光が口に泥を詰めて殺しているところを見ていました。そして正光が本当にいい人なのか疑問を抱き始めます。

ある日、赤猫座が新たな場所で見世物小屋を開こうとしたとき、届けを出していない異形の芸人が役所の人間に見つかってしまい、上演禁止を言い渡されてしまいました。

親方は正光に泣きつき、力を貸してほしいと言いました。

正光は「この町で力を持っている少年愛好家で有名な竜ヶ崎という男がいるだろう」と切り出します。

そして親方の色子でもあったカナブンを竜ヶ崎(鳥肌実)に宛てがうよう命じたのです。

みどりは、団長に連れられて竜ヶ崎の屋敷に売られていくカナブンを見てしまいました。

おかげで赤猫座はお咎めなしとなりましたが、みどりの不信感は増していくばかりでした。

町の権力者のご機嫌取りに使われ、悲しみに暮れるカナブンがみどりの大切な手鏡を壊しました。

お前が来てからすべてがおかしくなったと言い、鏡の破片でみどりを刺し殺そうとします。

その時、幕の隙間から煙が入ってきて、カナブンは動きを封じられました。

気が付くと神社の裏にいたカナブンは、大きな自分に摘み上げられます。

いつか自分が子犬にしたのと同じように、踏みつぶされて死んでしまう幻想を見せられるカナブン。

これも正光の仕業でした。

正光(風間俊介)の過去と、みどり(中村里砂)の夢

そんな時、みどりに会わせて欲しいと二人の男が訪ねてきました。

蒲田松竹の者がスカウトに来たのです。

芸人たちが口をそろえて「断ったらバカだ」と言うなか、正光は断固反対します。

ずっと女優に憧れていたみどりが正光に歯向かうと、「お前はもう私のものだ。おとなしく言うことを聞いていなさい」と暴力を振るわれてしまいます。

その日、正光は助手なしで舞台に立ちました。

調子が出ずにビンに入れずにいると、観客たちに茶々を入れられ、頭にきた正光は客を罵倒します。

怒りにまかせて不思議な能力が暴走し、客たちの体が膨れ上がり、人の形を保てなくなり阿鼻叫喚の地獄絵図。

正光は昔、不治の病の人々を助けていました。

歩けない人を歩けるようにしたり、目が見えない人を見えるようにしたり。

それがやがて人々から薄気味悪く思われるようになり、化け物と後ろ指を指されるようになっていったのです。

それからというもの「化け物」と言われると我を忘れるほど激昂し、不思議な能力は暴走、気に入らないものたちが人の形を保てなくなるほどに苦しめてしまうのでした。

力を出しすぎた正光は倒れてしまいました。

そして、もうやる気がしないと、赤猫座を去ることを決意します。

さらにみどりに一緒に来てほしいと言いますが、返事は「もうどこへも行きたくない。お家に帰りたい」という拒否でした。

可哀想なみどりに、正光は優しい幻影を見せてあげます。

みっつ数えて目を開けると、家には両親がいて、明日の遠足のおやつを買っておいたと差し出してくれます。

親子三人で眠る、もう叶わない優しい夢。

目が覚めたみどりは、女優になってみんなに大切にされたいと打ち明けます。

正光は、その代わり一緒にいてくれるならとその夢を受け入れます。

そんな折、親方は金を持って逃げ、赤猫座は解散同然になってしまいます。

正光は残された芸人たちに大金を渡し、国にでも帰るといいと言い残して、みどりとともに赤猫座を後にします。

二人が蒲田松竹へ向かうと、すでにみどりが主演の映画の話が進んでおり、正光はマネージャーとしてサポートをすることになります。

台本の読み合わせでうまくセリフが言えない時も、正光が指を鳴らせば上手にお芝居ができるようになる。

スターとして伸し上がっていくみどり。

同時に、みどりのために能力を使いすぎて消耗していく正光。

ようやく主演映画がクランクアップしたころ、みどりは「もう女優はつまらない」と言い出しました。

次は何になりたいのかと聞かれると、正光の魔法が欲しいと言います。

今度は自分が正光を助けてあげたい、と。

しかし、もう正光にはみどりと分けられるほどの魔法はありませんでした。

自分のすべてをみどりに捧げ、正光は笑顔で息絶えました。

魔法を手に入れたみどりはすべてを失い、真っ白な世界にひとりぼっち。

赤猫座のみんなも、誰もいない世界で発狂します。

そして正光が魔法をかけるときにしていたように、スリーカウントで幕切れです。

好きな人は好き。それ以上ふさわしい言葉が浮かばない作品。

率直に見る人を選ぶ作品だと思います。

私はいにしえのバンギャなので、具体的に言うとメリー・ムック・蜉蝣が御三家と呼ばれていた時代のヴィジュアル系が好きだったバンギャなので、好きな作品でした。

原作となった漫画の作者・丸尾末広は、メリーのジャケットアートを手掛けたこともあるので、そっち界隈の方は見たことあるんじゃないかなと思いつつ。

エログロ・ナンセンスが好き!

とか、原作者が好き!

とか、鳥肌実が好き!っていう人には刺さると思います。

あぁ、でも原作に心酔してたら物足りなさがあるかもしれない。

あとは、そういうのよくわかんないけど、チープでレトロな雰囲気だったり“見世物小屋”に興味がある人も楽しめるのかな…という気がします。

間違ってもカップルで見ない方が良い。

終始みどりの妄想なのか、この世界の現実なのか、夢なのか幻なのかよくわからない状態で、実写とアニメを交えて話が進んでいくので「こういうもの」と思って見ないと混乱するかもしれないなぁとも思うけど、そもそも何となくで目にするような作品じゃないですね。えへ☆

あらすじは物語に沿ってざくざく書いてみましたが、文字にすると割とあっさりした話にしか見えないなぁ…。

私の語彙力の問題かもしれませんけど。

怖いもの見たさで見てみるも良し、90分しかないからサラっと見られるし気軽に見てみたら良いですよ。

考えるな、感じろ!的な作品だと私は思います。

好きなシーン

どうしよう…好きなシーンがひとつしかない。

しかも、めちゃくちゃピンポイント過ぎて、共感を得られる気もしない…でも書きます。

みどりが神社の階段に座っているところに、鞭棄が「仲直りしよう」って言ってくるところが好きです。

鞭棄は両腕を欠損しているので、みどりを足で抱きしめるんですけど、そこがグッときます。

あとはもう全体的な雰囲気が好きなので、ここ!っていうのが浮かばない…。

Don’t think,feel!な作品なんですよ本当。

チャラン・ポ・ランタンが『少女椿』のために書き下ろした主題歌「あの子のジンタ」がかなりいい味出してると思います。


『少女椿』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで映画『少女椿』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • アングラ系が好きな人なら楽しめるかな、という作品
  • とりあえず鳥肌実が好きな人は見たらいいと思います。一瞬しか出てこないけど。
  • 怖いもの見たさで見てみたら新たな扉が開けるかも…?

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