『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』は、36歳の誕生日に車にはねられ死んでしまったナディアが、体験する不思議なタイムループの物語。
面白いのが、同じ場所には戻るのだけれど、毎回、同じ毎日にはならないこと。どんなに注意して行動を変えても死んでしまうことに頭を抱えるナディアと、毎回、同じように同じ行動を続けて死んで戻るアランとふたり、タイムループからの脱却にもがく、なかなかシュールな作品です。
・毎回違うパターンの死でも同じ日曜日に戻る
・ナディアとアランの探すループから逃れる道しるべ
・いくつも存在する時間軸
それでは『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』をレビューします。
目次
【ネタバレ】『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』あらすじ・感想
始まったタイムループ
お誕生日おめでとう! 36歳を迎えたナディア(ナターシャ・リオン)の誕生日パーティ。
とんがった毒舌のナディアは、友人のマキシーン(グレタ・リー)宅で開いてくれたパーティーでも、クスリをやったり、会ったばかりのマイク(ジェレミー・ボブ)とヤッたり、自由奔放な様子。
そんなナディアが、誕生日の夜にタクシーにはねられ死んだはずが、タイムループに囚われることになったのです。
気づくと誕生パーティーのトイレに戻っていたナディア。
死ぬ前のパーティーで全く同じことをいうマキシーン、自分だけが時間が戻りやり直しになったことに混乱するナディアでしたが、前回と同じことはしない用心をしてもあえなく失敗、橋から落ちて溺死してしまうのでした。
3度目のタイムループにして、やっと誕生日の夜を越えて生き延びたナディアは、タイムループの原因がクスリや呪いにあると考え、あてもなく行動を開始します。
でも、原因にたどり着くことなく、階段から落ちては死に、穴に落ちては死に、交通事故に遭っては死にと、何度も死んで最初のパーティーのトイレに必ず戻るパターンに陥ったのでした。
蔵商店
そこがミソ。友達に不審がられるのもかまわず、毒舌を吐きながら、何度もさまざまな死因で死んでしまうナディアの視点と視聴者は同じで、タイムループの理由や意味が皆目わかりません!
実は、タイムループに陥る前のナディアが目撃する風景はラストにつながるシーン。
でも、そのシーンはお約束のように視聴者もナディアもすっかり忘れています。
タイムループがテーマの場合、作品を見るときは用心と注意が必要、伏線の回収は視聴者も記録力が必要です。
アランの場合
ループの11回目のエレベーターの落下事故死する直前に、「どうせ毎回、死んでやり直しをするんだ」と力なくつぶやいたアランに出会ったナディア。
アランもまたナディアと同様、時間の無限ループに囚われたひとりなのでした。
ナディアと違い几帳面で生真面目なアランは、やり直しで目覚める洗面所でハエをたたき、彼女にプロポーズをしては断られフラれて死ぬという、悪夢のようなをルーティン繰り返していました。
でも、ナディアに出会ったことで、いじけたルーティンから離脱、彼女のベアトリス(ダッシャ ポランコ)の浮気を知ることになり、変化の兆しを見せ始めたアランの生活。
どちらかが死ぬとタイムループのやり直しが始まると気づいたナディアとアラン、ふたりしてループの起こる原因を探るのに奔走するのでした。
蔵商店
ほんの一瞬しか映さないシーンですが、花が萎れていたり、果物が腐っていたり・・、あれっ?
と思う前にシーンが移ってしまうので、憎い演出です。
映画ファンなら、脳裏に残すかもしれませんが、うっかりするとみすごすので要注意です!
繰り返される昨日からの脱出の道しるべ
ナディアとアラン、ガス爆発や交通事故に遭っては死んで、また元に戻るといやり直しサイクルをあいかわらず続けるふたり。
ループの始まった最初の死の日に、ナディアとアランの共通の友達フェラン(リテシュ・ラジャン)の雑貨店でお互いがすれ違っていたと気づきます。
ベアトリスにフラれ、傷つきボロボロだったアランが最初に死んだのは、自殺によるもの。
アランが死ぬ前に立ち寄ったフェランの店で、ナディアがアランに声をかけていたら、アランが死ぬこともなかったし自分も事故に遭い、死ぬことがなかったと仮説をたてたふたり。
ナディアとアランのいる世界には、空間だけが存在する三次元ではなく、時間が加わった四次元の世界で、すれ違いをしたあの時間に戻ればループはとまるとにらみます。
でもそのころから、ナディアの周りの異変が急激に進み、子供のころの自分の姿の幻覚が見えるようになり、大勢いたはずの誕生パーティーからは人が消えていくようになります。
どうやらアランとナディアは「時間の倫理の相関関係」の時間軸に迷っていて、ナディアとアランの出会った、あの時間にお互いがお互いを助け合う「正しい」ことをしなかったことで、ループが起こっていると気づいたのでした。
蔵商店
花が萎れていたり、果物が腐っていたりしたのは、ナディアとアランが複数の経験をしている時間は、流れているからという四次元の概念を説明するものですが、これがなかなかピンと来ないのです!
アランのがんじがらめだった世界をナディアの介入でほどいていった対し、ナディアの世界はからまったまま。
ナディアのトラウマが、ループの時間軸に異常を起こしているくだりは、ちょっとばかり分かりにくかったです。
それぞれの時間軸に戻ったナディアとアラン
ナディアとアラン、それぞれ自分のもつトラウマや悩みと向き合ったことで、少し気持ちが軽くなったのちにリスタートしたループ。
人で溢れかえる誕生パーティー会場に戻り一安心したのも束の間、なんとナダィアは、アランとは違う時間軸に戻っていたのです。
ナディアを知らないアラン。そしてアランの戻った時間軸でも、アランを知らないナディア。
それぞれが死に至る時間は刻々と迫るのに、お互いがお互いを助け合う「正しい」ことをしようと、お互いの時間軸でナディアはアランを、アランはナディアを死から遠ざけようと、必死にこれまでのタイムループで築き上げた信頼をもとに奮闘するのでした。
『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』をレビューしてきました。
『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』は、無間地獄が続く毎日のやり直しから脱却のヒントを探す、ちょっとはすっぱナディアと几帳面で融通の利かないアランの体験する不思議なタイムループの物語。
何度やり直しても、一度として同じことをしないナディアと、同じやり直しを続けるアラン。
小さなヒントを探しては、自分たちのいる時間軸に挑むのですが、物語が進むにつれ視覚的にヒントが増え、謎かけのような展開が待っています。
シンプルにサクッと理解するには、ちょっとばかり難解なメビウスの輪のようなタイムループだった『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』。
ただ、タイムループと言っても、毎回毎回、ナディアのとる行動によって展開が変わっていくので、そこが面白かったです。
・ナディアとアランの相関関係
・四次元の概念
・最後のやっと重なる時間軸
8話構成、30分番組で楽にみられると思いきや、終盤は難解、四次元の稲念も紹介されます。
最終話の題名に、「アリアドネ」とあるように、ギリシャ神話の「アリアドネの糸」を意味する、タイムループから逃れる「道しるべ」が、どこにあったのか?を示唆するようなストーリー展開。
最終話に来て、最初に戻ってそのヒントを探すようなしくみになっていて、視聴者さえもタイムループに巻き込む作品構成で、ちょっと面白い内容になっております。
近くシーズン2の配信も予定されている『ロシアン・ドール: 謎のタイムループ』。実際のところ、シーズン1は、誰にとっても明確なスッキリしたエンディングではないため、来るシーズンがどういったアプローチになるのか興味をひきます。
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