人気K-POPグループEXOーKEXOーKのD.O.とシン・ハギュンが主演を務めた、ブラックコメディ『7号室』。
とある個室DVD店の【7号室】にあるものを隠し、“絶対に開けられたくない”社長と“絶対に開けなければならない”バイトのハラハラだけどちょっと笑える攻防戦!
- タトゥーを入れて煙草をふかす、チョイ悪ディオが珍しい
- 移民労働者の格差問題にも切り込んだ内容
- ワケあり男たちが秘密を隠す【7号室】の秘密とは?
YUKI
目次
『7号室』作品情報
作品名 | 7号室 |
公開日 | 2018年8月4日 |
上映時間 | 100分 |
監督 | イ・ヨンスン |
脚本 | スティーブ・M・チョー |
出演者 | シン・ハギュン D.O. |
音楽 | イ・ジス |
『7号室』キャスト
シン・ハギュン / 役:ドゥシク
- 個室DVD店『ハリウッド』社長だが、経営不振で運転代行のバイトを掛け持ちしている。
- 店の1号室で寝泊まりしている。
- 赤字続きの店を売りに出し、心機一転新しい事業を始めたいばかりだが…。
D.O. / 役:テジュン
- 『ハリウッド』のバイトで夜番担当。
- 2カ月間バイト代が出ておらず、金策に切羽詰まっている。
- 知り合いに頼まれ報酬目当てで麻薬を10日間預かることになるが…。
キム・ドンヨン / 役:ハヌク
- 中国から来た移民労働者の若者。
- 『ハリウッド』の昼番として採用される。
- 真面目で誠実な性格で、ドゥシクも次第にハヌクを気に入りはじめるが…。
【ネタバレ】『7号室』あらすじ・感想
個室DVD店『ハリウッド』の7号室
物語のタイトルの“7号室”とは、主人公・ドゥシクが経営するDVD店『ハリウッド』の中の1室のことです。
7という数字は「ラッキーセブン」と言われ、好きな数字ランキングでも堂々1位の幸運の数字。
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物語の主人公、個室DVD店『ハリウッド』の社長・ドゥシク(シン・ハギュン)。
赤字続きで家賃は10ヶ月滞納。運転代行のバイトまでしており、家を借りるお金もないため店の1号室を根城としています。
夜は店をバイトのテジュン(D.O.)に任せ出稼ぎをするドゥシクですが、新たに昼番のバイトを雇うことに。
新しいバイトは勤勉で誠実な性格の中国人のハヌク(キム・ドンヨン)という青年。
ドゥシクがこの中国人青年ハヌクに対し「違法移民だろ?」と言い、ハヌクが否定するというシーンが何度か登場します。
ハヌクが実際に違法移民だったかはストーリー上、明らかにはなりませんが、本人が否定したにも関わらずドゥシクはハヌクを「違法移民だから」という理由で軽んじていました。
赤字続きであることも相まって、ハヌクは最低賃金の6千ウォンよりはるかに安い4千ウォンで雇われていたこともその一つ。
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一方、バイト代が滞っているテジュンは、知り合いの売人から「麻薬を10日間預かって欲しい」と頼まれます。
報酬を前払いすると言われ、お金に困っていたテジュンは麻薬を預かることを承諾します。
テジュンが預かった麻薬の隠し場所に選んだのが、『ハリウッド』の7号室でした。
それぞれの秘密を隠し、密室になった7号室
ある日、出勤してきたハヌクは、店の天井が漏水し床がビショビショになっているのを発見します。
ドゥシクはハヌクに床の掃除を命じ、その掃除中…。
ハヌクは感電し、死んでしまいます!
その直後、店に客が訪れ、咄嗟のことに慌ててハヌクの死体を隠したドゥシク。
大家から「新しい買い手が契約書にサインをするまでは、トラブルを起こすな」とクギを刺されていたことがよぎったドゥシクは、気が動転し、ハヌクの死体をこのまま隠蔽することにしてしまいます。
そして死体を7号室へ…。
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『ハリウッド』には、普段から客に開放していない部屋がもともと2部屋ありました。
一部屋は、ドゥシクが寝泊まりをしている1号室。そしてもう一部屋は、商売繁盛を願ったドゥシクが神仏を飾り、「気の流れが良くなるから」と常に開けっ放しにしていた7号室です。
もともとこの二部屋は客が来ても通すことがなかったため、何かを隠すのには好都合だったと言えます。
そこでドゥシクもテジュンも7号室を選んだのではないでしょうか。
7号室にハヌクの遺体を隠した後、ドゥシクはボルトで扉を厳重に密閉します。
そんな大事件が起きていたことも知らず、いつも通り夜になり出勤してきたテジュン。
昼番のハヌクがいないこと、自分が麻薬を隠した7号室が開かなくなっていることに気付きます。
開けたり閉めたり…ドゥシクとテジュンの無言の攻防戦
麻薬を預かる約束の期間は10日間でしたが、早々に買い手がついたことで麻薬を返すよう頼まれたテジュン。
しかし、隠した7号室はもはや密室状態。
ドゥシクも四六時中見張っているので、テジュンが7号室に近づくだけでも警戒されてしまう状態に。
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ドゥシクのいない間に、テジュンが7号室を開けようとボルトを開けている最中に、ドゥシクがなんどもなんども戻ってくる、というイライラしつつも笑えるシーンがあります。
お腹が痛くなったとか、トイレットペーパーがないとか…とにかくおバカなコントのようなシーンなのですが…。
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警察の影がチラつき、焦ったドゥシクは夜中に店に戻り死体を運び出すことにした同じ日、テジュンも夜中に店に戻り、ドゥシクが何かを運び出しているのを目撃します。
結局、7号室には入れず麻薬を運び出すことに失敗したテジュンは、売人から痛めつけられてしまいます。
一方、姉夫婦に死体を入れたトランクを預かってもらうことにしたドゥシクでしたが、姉夫婦の経営する店の修理工事が始まったことで、トランクを開けられそうになってしまい、また行き場のない死体は7号室に戻ることになります。
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『7号室』の結末
身の危険を感じたテジュンは、ドゥシクのいない間に7号室についに入ることに成功。
肝心の麻薬は消えており、代わりにベッドの下のハヌクの死体を発見してしまいます!
そこに現れたのは、大量のコーヒー豆を買って帰ったドゥシク。
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麻薬をどこかに隠してしまっていたドゥシクは「死体の処理を手伝ってくれれば麻薬を返す」と持ち掛け、ふたりはここで初めて協力関係を結びます。
しかし、不動産屋に呼び出されたドゥシクが店を開けていた隙に、警察のガサ入れが入ります。
帰ったドゥシクは、必死に7号室を隠そうとしますが、7号室はこじ開け開けられてしまいます!
しかし、死体はすでにテジュンによってどこかへ移動された後でした。
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ふたりは店で疲れ果てて動けなくなるまで殴り合い、お互いが秘密を隠した駅のロッカーの鍵を渡します。
その後、ドゥシクは権利金を引き下げやっとのことで店を手放すことに成功します。
そして廃車場からもらったオンボロ車にハヌク死体を積み、旅立ちます。
この一連の騒動の間に脅されていた売人が逮捕され安全になったテジュンも、持っていた大量の麻薬を川に投げ捨て、再出発を決意するのでした。
ハヌクという青年について
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僅かな時間、車を止めて少し泣き、また車を発進させるドゥシク。
ドゥシクがしてしまったことに比べれば、「そんだけで終わりかよ!」と言いたくなってしまうような気もするのですが、ふたりには関係と呼べるものはほとんどなく、プライベートなこともほとんど知らない経営者とバイトという関係を数日持っただけでした。
目の前で人が死んだ恐怖や、その死体を隠してしまってあとに引けなくなってしまったこれまでのトラブルの収束が見えてきた時、ドゥシクはやっとはじめて、車の後ろにある腐った死体になってしまったハヌクの未来や家族を想い、泣いたのではないでしょうか。
ハヌクが死ぬ前日の夜、居酒屋でケンカになった時に味方をしてくれたハヌクに対し、ドゥシクが「タクシー代だ」と小遣いを渡す、というシーンがありました。
酔っ払っていたドゥシクは、なんども断ったハヌクにほぼ無理やり2千ウォンを握らせます。
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しかしハヌクは貰った小遣いを使ってタクシーには乗らず、翌日バイトの前にハンバーガー屋で2人分の昼食を買い、お釣りはレジにあった募金箱へ入れ、もらった2千ウォンをきっちり使い切るのです。
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ハヌクのことをまだ良く知らず、正しく弔ってあげることもできないまま腐った塊にしてしまったことが切なく、ここまでコメディ要素強めだっただけに、行き場のない呆れにも似た怒りがこみ上げるラストでした。
『7号室』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『7号室』について紹介させていただきました。
- ふたりの男の秘密をめぐる攻防戦が不謹慎だけど笑える
- 韓国の貧困層の闇を切り取ったストーリー
- ラストの一コマで死の重さがふいに出現
思わぬハプニングが発端だったものの、ひとりの青年の死をブラックジョークにしてしまう…という悪趣味な話にも思えますが、私はとても面白かったです。
そしてこの物語の根底にあるのは、「貧困」ではないでしょうか。
ドゥシクもテジュンもお金に困ってさえいなければこんなことにはならなかった、と思うとまた感じ方も少し変わるかな、と思います。