『ロマンスドール』あらすじ・ネタバレ感想!ある秘密を抱えた夫婦の儚く美しい愛の物語

『ロマンスドール』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『ロマンスドール』公式ページ

映画『ロマンスドール』は高橋一生蒼井優の18年ぶりの共演作品です。

アダルトグッズのラブドールが物語の要になるということで話題になりましたが、実際はお互いのことを愛するが故に秘密を抱えた夫婦の物語になっています。

ポイント
  • 蒼井優の透けるような美しさはさすがの一言!
  • 繊細すぎるベッドシーンは女性も惹きつけられること間違いなし
  • 演出しすぎてないようで丁寧に作られたシーンの数々

出会って結婚し、家庭を築く中ですれ違うことありながらも、愛を確かめ合う1組の夫婦の姿を丁寧に描かれた作品です。

恋人と一緒に観るのもおすすめですよ。

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『ロマンスドール』作品情報

『ロマンスドール』作品情報

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

作品名 ロマンスドール
公開日 2020年1月24日
上映時間 123分
監督 タナダユキ
脚本 タナダユキ
原作 タナダユキ
出演者 高橋一生
蒼井優
浜野謙太
三浦透子
大倉孝二
ピエール瀧
渡辺えり
きたろう
音楽 世武裕子

【ネタバレ】『ロマンスドール』あらすじ・感想


主演二人のナチュラルな魅力と静かな演出に心奪われること間違いなし

ロマンスドール』の魅力は、なんといっても主演の高橋一生蒼井優の溢れるばかりの透明感。

園子を演じる蒼井優に至っては、登場のシーンからして儚げな美しさで観ている人間の心を掴みます。

乳房を形どられるシーンで度々映し出される彼女の背中は、文字通り透けるような白さで、その美しさが少し物悲しさをも感じさせます。

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と言っても、園子は決して儚いだけの女性ではありません。

無邪気に哲雄に微笑みながらもリードするときはしっかりリードし、喧嘩の場面でもしっかりと自分の意見も言うことができる上に、寂しさのあまりに他の男と浮気もしてしまう女性です。

そして自身が癌であることを受け入れ、愛する人の元から何も言わずに一人で去ろうとする強さも持ち合わせています。

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儚げで可憐ながらも、凛とした強さと自分らしさを持っている園子に心奪われる観客も多いのではないでしょうか。
『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

高橋一生も、不器用な青年・哲雄を飾ることなく自然に演じています。

冒頭、迂闊の上がらないフリーターで仕事にも生きていることさえも情熱がなさそうな哲雄ですが、仕事や上司である相川との出会い、そして園子と出会って家庭を持つことで変わっていきます。

ストーリーが進むにつれて精悍な表情すら見せる哲雄ですが、その振る舞いは始終淡々としたものです。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

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無駄な熱さなどは一切ありません。この映画は間違いなく夫婦の物語。

しかし、哲雄という青年が仕事や尊敬する人、そして愛する人に出会って成長する物語とも言えます。

そして『ロマンスドール」には派手な演出も音楽もありません。

ただ、淡々と二人の男女が出会って結婚し、時にはすれ違い、分かり合って死別するまでを切り取ったかのようなストーリです。

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ラブドールというエキセントリックな存在が物語の要ではありますが、主演二人の持つ空気感があまりにもナチュラルで、異質なものであるはずのラブドールの存在さえも自然なものに感じさせます。

蒼井優と高橋一生の息があった演技は、観ている方に安心感を抱かせるぐらいです。

2度目の共演ということも大きいのかもしれません。

二人の芝居がナチュラルで、映画は夫婦生活を覗き見しているのような感覚をも抱かせます。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

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新婚時代のイチャつきから喧嘩、最後の濡れ場のシーンまで、夫婦の生活が淡々と流れていくのに目が離せません。

そんなナチュラルな空気感を柔らかく優しい光が包みます。

この映画の多くのシーンは光が控えめです。

明るすぎない、その控えめで優しい光が、二人のナチュラルさをより際立たせます。

また、前述の通り音響も控えめです。

しかしながら、しっかりと音が物語を演出して、いい味を出しています。

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映画の冒頭で響き渡る蝉の鳴き声は、まるで園子の命に残された短さを象徴しているかのようです。

そして、物語の中盤にあるお互いに浮気を告白するシーンでは意外なほど明るいサウンドが使われています。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

二人の演技もさることながら、この音楽のお陰で「浮気」という話題の割には暗くなりすぎていません。

むしろコメディささえも感じさせますし、この後のシーンでの園子の癌の告白が際立たせています。

劇中曲も素敵ですが、エンディングに流れる主題歌のnever young beach「やさしままで」は、まさに哲雄の心情そのもの。

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ラスト、浜辺に立って海を眺める哲雄の心境は、まさにこの主題歌の歌詞そのものなのではないかと思うぐらいです。

ぜひエンディングロールも飛ばさずに見てくださいね。

物語の大きな要・ラブドール

この物語ではラブドールが大きな要になっていることは言わずもがな。

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著者はラブドールというものは実際には見たことありません。女性の多くはそうではないでしょうか。

存在は知っていたものの、本作『ロマンスドール』で初めて見ました。

そして、正直なところ決してポジティブなイメージはありません。

だからこそ、哲雄が長年、自分の仕事を園子にひた隠しする気持ちも理解できます。

劇中では、ラブドールの制作過程も描かれています。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

きたろう演じる相川の素材へのこだわりは職人としてのプライドも伺えます。

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ラブドールというアダルトグッズの開発に、ここまでの苦労やこだわりがあるのかと思うとネガティブなイメージを持った自分を申し訳なく思うぐらいです。

それぐらい相川やピエール瀧演じる久保田社長、そして哲雄が真摯に仕事、そしてラブドールと向き合っています。

そんな彼らを観ていると、作中に出てくるラブドールすらどこか尊くも見えるし、シーンに映り込む物憂げな彼女たちを一瞬本物の女性と見間違えることもあるぐらいでした。

そんな感覚を一度覚えると、終盤に出てくる「そのこ1号」を哲雄でなくとも本物の園子に見間違えるのは無理がないのかもしれません。

物語のラストに出てくる旧式のラブドールが、また非常にいい味を出しています。

中学生たちが「すげぇブス」と囃し立てるように、空気が抜けてクタクタになった姿やケバケバしく描かれた顔は無残そのもの。

しかし、そのラブドールも以前は誰かに大切に使われていた、愛されていたものに違いありません。

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その姿に、思わず「そのこ1号」を重ねてしまいました。

限定100体で華々しく販売され、そして完売した彼女も、時が経てばこの旧式のラブドールのように打ち捨てられてしまうのでしょう。

「永遠に続くものはない」という哲雄の言葉の通りに。

しかし、中学生たちに「いいぞ、大人は。楽しいぞ。」という哲雄は、晴れやかな笑顔を浮かべています。

大人になればこんなブサイクなラブドールじゃなく、綺麗で本物の女のようなラブドールが買うことだってできる。

大人になれば愛する人と出会い、精神的にも肉体的にも愛し愛されることの素晴らしさに気付くことができる。

でも、その愛する人を失う辛さ、永遠というものがないという残酷さも知ることになる。

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その事実を園子に出会い、身をもって知った哲雄の「いいぞ、大人は。楽しいぞ。」の一言には、彼の成長と、そして二人の愛の結論に近いものが伺えます。

哲雄の人生がまだまだ続いていくことが感じられるナレーションとセリフで物語は終わります。

間違いなく哲雄はこれからも園子の思い出とともに生きていく。

もしかすると、いつか別の女性と一緒になる日もくるのかもしれない。

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そんな風に思いながら『ロマンスドール』という映画を振り返ると、まるでこの映画は彼の人生の何年かを切り取ったような映画だったなと感じさせられました。

美しく、そして哀しさも含んだ濡れ場

ロマンスドール』が濡れ場の多い映画か否かと問われると、どちらかというと多い映画と言えるでしょう。

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むしろ、後半からは濡れ場なくしてはこの映画は成立しません。

と言っても、露出は控えめなので過激なラブシーンが苦手な女性でも抵抗なく観れます。

濡れ場と言っても決してエロティックなものではなく、濡れ場のシーンは穏やかに進んでいきます。

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そこには性欲や興奮といったものは存在しません。

セックスというよりも、愛を確かめ合うかのような儀式のようにも見えます。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

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無邪気にじゃれ合い、そして行為の最中に園子の浮気が話題に上がっても穏やかに楽しそうに語り合う2人の姿は微笑ましいぐらいです。

しかし、そんな穏やかさの中にも残された時間の短さ故、2人からは切ないぐらいの必死さすらも感じられます。

「私の身体を作って欲しいの」と哲雄に自分自身をラブドールのモデルにすることを提案する園子は、哲雄の手で人形としてもう一度生まれ変わり、命亡き後も彼のそばにいることを望んでいるようにも見えます。

しかし、その反面「覚えているばっかりじゃ、哀しいこともあるもの」という矛盾したかのような言葉を呟くのです。

その矛盾こそが、彼女の愛の深さと複雑さを表しているように感じられました。

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最後の濡れ場で哲雄の胸に倒れこむ園子の美しさは、人間離れしていて女神のようです。
『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

そして、その人間離れした儚い美しさが、園子の命が本当にもう僅かであることを観客に知らしめているかのようでもあります。

「ドールが完成に近くのと引き換えみたいに、園子の身体が痩せ細っていくことに」と哲雄のナレーションの言葉通りラブドールの完成のため、園子が自らの命を捧げたのではないかと思うぐらい、濡れ場終盤の園子には美しさ以外にも尊さすら感じられました。

このように『ロマンスドール』の濡れ場は官能的なものとは程遠いです。

繊細で儚げな濡れ場が静かに続きます。

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ですので、エロティックなものを期待して観ると期待はずれと思う人もいるかもしれません。

しかしながら、この映画の最後に哲雄は海を見ながら呟きます。

「すけべで、いい奥さんだったなぁ」と。

哲雄の言う「すけべ」な園子の姿は、映画では描かれた濡れ場で観ることはできません。

だからこそ、ラストの「すけべ」という言葉が意外にすら思いました。

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「すけべ」な奥さんだった園子を知らないのは、観客の私たちだけではありません。

園子そっくりの「そのこ1号」を購入した人間も、園子のことを哲雄にはもったいないぐらいの良妻だったと言う2人の周りの人たちだって知る術がありません。

知っているのは、ただ哲雄のみ。

この「すけべで、いい奥さん」は哲雄のみしか知らない2人だけの秘密なのかもしれません。

そして、そのラストの言葉によって哲雄が前に進もうとしているのが感じられます。

死別という哀しい結末を迎えたのに、どこか前向きな空気を感じさせてエンドロールが流れ始めるのです。

脇を固める役者たちの魅力が絶妙

きたろう渡辺えり、そしてピエール瀧と、『ロマンスドール』には個性豊かな実力派の俳優達がしっかりと脇を固めています。

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そして、彼らが演じるキャラクターが個性的でとても魅力的です。

どのキャラクターたちも、何かいわく付きの過去がありそうで、思わず主役の二人よりも気になってしまうシーンもあります。

きたろう演じる相川の過去こそ、哲雄の回想シーンで出てきますが、他のキャラクター達の詳しい過去の描写は一切ありません。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

これは主人公である園子と哲雄も同様です。

  • 園子が、なぜ美術モデルをやっていたのか
  • 哲雄はなぜフリーターだったのか
  • 哲雄と浮気をするひろ子は一体何者なのか
  • そして、なぜゲーセンであんなに荒れていたのか
  • 元警官なのに、何度もしょっ引かれている久保田社長の過去は一体…

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と、気になる点を挙げたらきりがありません。

しかし、『ロマンスドール』はあくまでも哲雄と園子の夫婦の物語。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

ですので、2人に出会うまでの彼らのストーリーを深く見せる必要も語らせる必要もないのです。

だからこそ、この映画の流れはシンプルだけども洗礼されているのでしょう。

しかしながら、登場人物達がほんの少しそれぞれの気になる過去を匂わすことで、どの役もただの脇役でなく生き生きとした1人の人間として存在し、本作により深みを与えています。

劇中に出てくる小道具の変化にも注目!

ロマンスドール』では、ぜひとも小道具の変化にも注目して頂きたいです。

哲雄と園子の新婚時代から窓辺に飾られている花のカットは、劇中に何度も出てきます。

『ロマンスドール』

(C)2019「ロマンスドール」製作委員会

何気ないシーンとシーンの繋ぎ目のカットのようですが、最後の濡れ場のシーン後に映る花は枯れており、次のカットでは乱れた部屋が映し出されます。

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そこで部屋の主だった園子の不在、つまりは「死」を知ることができます。

実は園子の死はダイレクトに映画では描かれていません。

最初に登場した時と同じく、園子は静かに画面から、そして哲雄の人生から去っていきます。

そんな園子の死を小道具で描くことで語りすぎず、そして淡々と園子の死を観客に受け入れさせる演出は見事としか言いようがありません。

また、哲雄の勤務先である工場の社長室に飾られているラブドールたちにも注目です。

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特にクリスマスシーズンでは、ラブドールたちがサンタのコスチュームを着ているなど製作側の遊び心が伺えます。

重くなってしまいがちなテーマですが、主演の力が抜けた演技と脇を固める役者達の存在感、そしてこういった製作側の遊び心が悲劇的で重くなりすぎず、絶妙なバランスを取れた物語にしています。

『ロマンスドール』まとめ

以上、ここまで映画『ロマンスドール』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 1組の夫婦の出会いと別れを淡々と描いている
  • 濡れ場は多いものの、いやらしさはなく儚げで美しい
  • 脇を固める役者の存在と演出の巧さが光る

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