高麗後期。世の中は、激動の時代を迎えていた。
隣国との幾たびの争いや王の存在に翻弄されながら、「新たな国を」築くために若き6人が動き出す。
「理想の国」とは何か?「強い国」とは?「民の幸せ」とは何か?を、苦悩し喜びを分かち合い、朝鮮建国に向かって突き進んでいく、超ドラマチックエンターテイメント時代劇です。
実在の人物で、のちに朝鮮の王となる太宗(イ・バンウォン)や、建国の革命家チョン・ドジョンなど、他でもドラマ化されている人物たちが、このドラマではどう表現されるのか?
そんな話題の超大作時代劇『六龍が飛ぶ』のレビューしていきたいと思います。
『六龍が飛ぶ』主要キャスト・相関図
ユ・アイン / 役:イ・バンウォン
- のちに朝鮮の初代王となるイ・ソンゲの5男
- 革命家チョン・ドジョンの志に感銘を受け、師を仰ぎ行動を共にする
- ”最強の男”だと思っていた父が違っていたことがわかり、奮起する
キム・ミョンミン / 役:チョン・ドジョン
- 民のための国家確立を目指す野心家
- 別名(号)は三峰
- 武将イ・ソンゲを立て建国へ尽力する
ピョン・ヨハン / 役:タンセ / イ・バンジ
- 幼い頃、妹のプニと母を探しに都へと出る
- 東人の高官
- 数々の陰謀に翻弄されながらも、祖国のために力を尽くす
- 幼い頃にそばにいたヨニを忘れられない
ユン・ギュンサン / 役:ムヒョル
- 9人兄弟の長男
- 一家を支えるために武芸で生計を立てようと修行する
- 偶然出会ったバンウォンを助けることになり、そのまま支えていく
シン・セギョン / 役:プニ
- 兄タンセと母を探しに都に出る
- 都に出た際に偶然会うバンウォンのことが気になる
- チョン・ドジョンの活動に感銘を受け、手伝いをする
【ネタバレ】『六龍が飛ぶ』あらすじ・感想
イ・バンウォンが軸で描かれる、別の視点からの時代劇
高麗から朝鮮へ…。
この激動の時代は、多数のドラマでも描かれています。
今回は、朝鮮初代王イ・ソンゲではなく、あるいは革命家チョン・ドジョンでもなく、5男のバンウォンにスポットが当てられている点も見物です。
朝鮮史上では、間違いなく王にもなっているため有名な実在の人物ですが、ご存知でない方の方が多いのでは?
かとリーニョ
個性的なバンウォンと息を合わせて共演するのが、チョン・ドジョン役のベテラン”仮面俳優”で有名なキム・ミョンミン。
10年振りの時代劇となるキム・ミョンミンですが、ユ・アイン演じるバンウォンと息の合う演技で、ドラマ内では共に新たな国への一歩を歩んでいきます。
また、バンウォンに関しては、激しい闘いの内容と並行して、シン・セギョン演じるプニとのラブストーリーを繰り広げるという、今までにない「別視点」でも描かれています。
若手からベテランまで超豪華は俳優陣!
韓国時代劇は、スケールの大きい大作が多いのですが、要因のひとつとして俳優陣の時代劇に賭ける想いの強さにあると思います。
まさに本作『六龍が飛ぶ』も超大作のひとつ。
個性的な熱演俳優が勢揃いしました。
主役のキム・ミョンミンはもちろん、政治動向にかかわる重鎮たちは、時代劇には欠かせない大物ベテラン俳優ばかり!
かとリーニョ
クールで凄腕の剣士タンセ役のピョン・ヨハンや、体は大きくとも、ドラマ内では唯一の癒しキャラで心優しい青年ミュヒョル役のユン・ギュンサンなど、本作で間違いなく“主役級”になったに違いありません。
また、超個性的な役柄で人気を博したベテラン俳優パク・ヒョックォンが演じる、高麗一の双子の剣士キル・テミ。
かとリーニョ
とにかく凄まじい剣士の技のすごさ!
時代劇にはおなじみの決闘シーン。
本作でも、幾度となく剣を交える場面が出てきますが、どの俳優も「すさまじい剣の技」を披露します。
高麗最高の師匠の下で剣の技を身につけたバンジやムヒョル、そしてキル・テミ、また凄腕の女性剣士も登場します。
その女性剣士は、高麗最後の王定昌君の側室であったユルランことチョク・サグァン。
彼女の役を演じたハン・イェリは、もともと韓国舞踊を専攻していたのもあり、劇中で見せたしなやかな剣さばきは、その影響なのかもしれません。
かとリーニョ
立ち上がった6人、そしてすれ違う6人
「民のために」と立ち上がった、チョン・ドジョンやイ・バンウォン率いる6人。
合言葉は同じですが、全員それぞれに想いや夢がありました。
そのために、6人で結託していくはずだったのですが…やはり、この時代にも仲違いや嫉妬、不満など多かれ少なかれあったはずです。
ですが結局、最後にはチョン・ドジョンとイ・バンウォンが決別したため、プニやタンセ、ムヒョルまで決別することになります。
かとリーニョ
旧知の仲、師匠、そして兄弟をも手にかけ「王座」勝ち取ったバンウォン
結局、「民のために」と掲げ、共に闘い、共に喜び、共に苦悩してきた6人も決別状態に。
さらに、バンウォンに関しては、チョン・ドジョンの旧知の仲の命を奪い、そして…師匠であったチョン・ドジョンの命をも奪い、さらに!兄弟の命をも奪い、最後には「王座」を手に入れ、また「独裁者」としての名前を残していきます。
ここまでしてまで「王座」が必要だったか?
ここまでして王になりたかったのか?
かとリーニョ
それは、「王は自ら国を動かせない」のような言葉だったと記憶しています。
チョン・ドジョンは「王の独裁的な政治を望んでいなかった」のです。
かとリーニョ
ですが、やはりその前から同じ道を目指しながらも、人は欲も出てきたり、はたまた考え方のすれ違いもあります。
バンウォンは王になった後に「独裁者」と言われるようになっていたようなので、やはり「自分自身で政治を動かしたい」と、強く願っていたように思われます。
かとリーニョ
これが、バンウォンの「王座」にこだわった理由だったのかもしれません。
『六龍が飛ぶ』キャスト相関図・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
全50話ほどある長編時代劇ですが、何せ半ばくらいから、本当に重く悲痛になってしまいます。
それでも「民のために」をキーワードに、途中で二手に分かれてしまい、同じ「民のため」でも路線が違ってしまいますが、両者とも懸命に夢と実現に向けていく姿はとても感銘を受けました。
自らの「祖国」を寄り良いものにしていきたい、と願う人たちがこれほど多くいるのは、今の時代にも見習うことが多くあるような気がします。
かなり辛く、重く、ハラハラ感が半端ないのですが、この状況がハマってしまう要因のひとつ。
『六龍が飛ぶ』という題名でお分かりの通り、6人の夢や希望に満ちた者たちが、それぞれ最後には“龍のように”強く、立派に成長していく…ようなイメージで、このドラマの題名が作られたのでしょうか?
最後に王になったバンウォンは、このような言葉を話しています。
「ある時代に痕跡を残したかった。そのために、側にいた者は反抗もせずいてくれたが、心を開くこともなく、手に入れることもできなかった。民のように…。」
ずっと支えてくれていた、ムヒョルもバンウォンから去ろうとする時に話した言葉がとても印象的でした。
かとリーニョ
とにかく、朝鮮王朝が築かれた歴史や背景を、臨場感に溢れた男たちの熱き戦いが描かれており、見どころ満載です。
感動の『六龍が飛ぶ』を、まだご覧になっていない方はぜひ!おすすめの作品です。