映画『ロック・マイ・ハート』あらすじ・ネタバレ感想!孤高の馬との絆に、鞍上で生きる実感に心躍らせる少女ヤナ

ロックマイハート

出典:IMDB

誰も寄せつけず、簡単に手を出すことも扱うことができない黒い馬「ロックマイハート」が、唯一心を許したのは少女のヤナ。

先天性の心臓疾患で、無理ができない身体を気遣う両親に反発するヤナに、「ロック」との絆が、新しい扉を開くヒューマン・ストーリーの『ロック・マイ・ハート』。

孤高の馬ロックとヤナ、先の見えない運命をもつ似た者同士、ヤナは大きな賞金のかかったレースへの出場をめざします。

『ロック・マイ・ハート』は、生きる実感を、自らの命の火をともすことで取り戻そうとする少女とその周囲の葛藤を描いており、ハリウッド映画とは、ひとあじ違う雰囲気を醸し出すドイツ映画で心温まる良作です。

ポイント
・思い通りに行かないヤナの人生
・心をゆさぶる運命の馬
・君にしか乗れない
・自らの意思で選んだ道

それでは『ロック・マイ・ハート』をレビューします。

【ネタバレ】『ロック・マイ・ハート』あらすじ・感想

手術を拒み続ける少女

ロックマイハート

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17歳のヤナ(レナ・クレンク)が、盗んだバイクで病院を抜けだし、行きついた先は暗い森の中。先天性の心臓疾患をもつヤナは、両親や医師の心配もよそに無謀なことばかり。

心臓が弱く、激しい運動を避けるべきなのに、ヤナはそんなことお構いなしです。

思うようにならない自分の心臓と治療が嫌で、逃げこんだ森で心臓発作を起こし、朦朧とするヤナが目にしたのは黒い馬。幻想的な光景の中、ヤナは夢見心地に意識を失うのでした。

病院に連れ戻され、コーテン医師(ヨハン・フォン・ビューロー)に心臓の手術をすすめられるヤナでしたが、両親にも先生にも反発して頑として首を縦に振りません。

ヤナは、先の見えない自分の人生に苛立ちを覚えていたのでした。

奇跡の馬「ロックマイハート」

ロックマイハート

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競走馬を調教するポール(ディーター・ハラフォンデン)の厩舎は火の車です。かつては、数々の名馬を輩出して、競馬では負けなしだった調教師のポール。

今ではすっかり運に見放され調教師とは名ばかりでレースに出す馬に恵まれずにいます。借金がかさんで、このままでは厩舎を手放すしかありません。

そんなポールの手元にいる馬「ロックマイハート」は、足も速く才能があると見込んだのに、繊細すぎる気性ゆえにポールの手におえず、調教もままならず頭を抱えていたのでした。

そんな時、森の中で出会った馬を探してポールの厩舎に迷い込んだヤナ。手を焼いていた馬ロックマイハートに、たやすく近づいてさわるヤナに、好奇心をもったポールは、大きな賞金のかかったレースのラインラント杯に暴れ馬ロックで出場するようヤナを誘うのでした。

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人を寄せつけない暴れ馬ロックが選んだのは、心臓に病をもつヤナ…これだけで物語の期待はあがります。

ところがこの物語の語り部はあくまで人間。ヤナの心情を描くのがメインで、馬との交流はそこそこなのは残念でもあり、うまい設定です。

自分の命の手綱

ロックマイハート

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ラインラント杯に出るのに、アマチュア騎手との資格をとることになったヤナ。

ポールには心臓が弱いことを隠し、両親には、厩舎でのアルバイトだと偽り、厩舎に入り浸るようになります。集中力がなくなるからと、密かに心臓の薬を飲むのもやめてレース参加の準備を続けるのでした。

馬に乗ったことすらなかったのに、騎乗の腕をめきめきあげ、生きている実感がもてるとヤナは喜びます。

ヤナは、自分の病の存在を知らないポールの厳しい指導と、胸の痛みに耐え毎日充実した時間を過ごすのでした。

同じ先天性心疾患をもつサミー(エミリオ・ザクラヤ)にだけは、ポールに誘われ、ロックに跨りレースへの参加の挑戦を伝えたヤナ。

心配するサミーに、「いつ止まってしまうかもしれない自分の心臓を心配するぐらいなら自殺した方がまし」と、自分の命の手綱が持てない苦しい胸の内を語るのでした。

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調教師ポールがヤナに語る馬との対話についてのセリフが印象的です。

騎乗でうまくいかない時は、「(馬への人間の)質問の仕方が悪い」と言い、物言わぬ馬に、ムチをうたずに「相手の信頼を勝ち取るには、しぐさやクセを読み取ればいい」。

人間本位のコミュニケーションが全てではないというセリフは、人間同士にも当てはまるハッとするコミュニケーションの極意だと思いました。

自分の意思が尊重されないこと

アマチュア騎手の試験に合格をしたヤナ。ラインラント杯に出場するのに、登録料の3000ユーロは、サミーが自分の車を売って捻出してくれました。

ただひとつ問題は、競馬のスタートのゲートをロックは怖がって入ろうとしないこと。ポールとヤナ、レース出場までになんとかしなければなりません。

そんな中、両親と心臓の経過観察で訪れた病院で、母のベアテ(アネット・フリアー)がヤナの同意を得ずに、心臓手術の準備を進めていたことを知ります。

母に反発して病院を飛び出したヤナが向かった先は、ロックの元。練習用のゲートになかなか入ろうとしないロックに業を煮やしたヤナは、今まで決してうたなかったムチをロックのお尻に入れたのでした。

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娘の命を心配するあまりヤナの希望や意思を尊重しないで心臓手術の同意書にサインしていた母ベアテ。

怖がるロックの気持ちを無視して強引にゲートインさせようとするヤナ。ヤナとロック、ひとりと一頭、「本人の意思を尊重しない状況」がうまく対になっている展開でした。

どうしても走りたい

ロックのゲートインのトレーニング中にボールの目の前で発作を起こして倒れてしまったヤナ。

ラインラント杯への出場をしないことは、ポールの厩舎が銀行に差し押さえられ、扱いの難しいロックマイハートも買い手のつかない場合は、愛馬の死を意味すると肩を落とします。

ポールとロック、レースに出るために続けてきた努力が全て水の泡となるとなすすべなくヤナは涙を流すのでした。

そんな時、サミーが、心臓発作で病院に運び込まれてきます。生きることにあきらめかけていたヤナ。

どんな時に自分を励まし続けてくれたサミーを失ったことで、刹那的に生きるのではなく「後悔のない人生を送りたい」と心を決めます。

病をおして迷いのない言葉で「ロックに騎乗してラインラント杯に、出場する」と、ポールのもとを訪れたのでした。そして迎えたレース本番。ゲートを怖がるロックをひいて、レースのスタートラインにたったヤナ。愛馬を信じ走り出したレースは息もつかせぬ展開をみせるのでした。

『ロック・マイ・ハート』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『ロック・マイ・ハート』をレビューしてきました。

要点まとめ
・ヤナを選んだ黒い馬「ロックマイハート」
・無謀な挑戦
・飛ぶように走りたい
・馬と少女の運命を握るレース

心ゆさぶる出会い

自分ではどうすることもできない心臓の病をもち、生きている実感が持てず手術を拒み続けるヤナが出会ったのは、文字通り「心をゆさぶる」存在となった馬のロックマイハート。

ヤナを気遣うあまり娘とうまく向き合えない両親と、ヤナの病気を知らずにレースのトレーニングに励む調教師のポール、両者うまく絡み合って物語は進みます。

ヤナにとっては命がけの愛馬への騎乗は、爽快感はあるのにハラハラどきどき。観客はヤナに心臓に負担がかかると知りながら、同時に心は踊るのです。

走るのが速いのに人を寄せつけずにいた馬のロックも、乗り手のいない馬のままでは不幸な未来しかなかったはず。

ヤナとロック、ヤナの両親と調教師のポール、ヤナとサミーと、物語はそれぞれに対比が表現されており、暗すぎず、明るすぎない映画のかもしだす雰囲気も手伝って、ヤナの繊細な心模様がうまく伝わってきます。

そしてクライマックスの乗り手のヤナに応えるかのようなロックマイハートの疾走は、手に汗に握る展開で感動します。

ヤナに生きる目的と決心を与えたのは、一頭の黒い馬。悔いのない生き方を探すヤナとその周囲の想いに心ゆさぶられる作品です。

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たまには、ハリウッド映画から離れた違う雰囲気の映画もお勧めです。ラストのヤナの爽快な表情がとても印象的なドイツ映画の『ロック・マイ・ハート』。是非、ご覧ください。
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