『ライド・ライク・ア・ガール』あらすじ・ネタバレ感想!メルボルンカップを制した女性騎手の実話

『ライド・ライク・ア・ガール』あらすじ・ネタバレ感想!メルボルンカップを制した女性騎手の実話

出典:『ライド・ライク・ア・ガール』公式Facebook

オーストラリア競馬最高の栄誉であるメルボルンカップ。

2015年、女性騎手ミシェル・ペイン(当時30歳)はプリンスオブペンザンスに騎乗して、女性騎手初の優勝を果たしました。

まさに前人未到の栄冠を手にしたミシェル・ペインの半生を描いたのが、本作『ライド・ライク・ア・ガール』です。

栄光を掴むまでにはいくつもの挫折、血の滲むような努力、父親との確執や家族を襲った悲劇など、様々な辛苦がミシェルの前に立ち塞がります。

ミシェル・ペインという一人の騎手の半生を描いた監督はアカデミー助演女優賞ノミネートされたこともある女優のレイチェル・グリフィス。

本作が映画監督デビュー作ですが、映画のクライマックス、メルボルンカップのレースはまさにエキサイティング。

オーストリア国内で大ヒットを記録した疾走感あふれるスポーツ&人間ドラマです。

ポイント
  • 実話を基にした何があっても諦めない女性騎手の半生を描いたさわやかな人間ドラマです。
  • 競馬好き、スポーツ好きにはたまらない、熱い展開が待っています。
  • クライマックスのレースシーンは結果がわかっていても鳥肌モノ!

それでは『ライド・ライク・ア・ガール』をネタバレありでレビューしていきます。

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『ライド・ライク・ア・ガール』作品情報

『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

作品名 ライド・ライク・ア・ガール
公開日 2020年7月17日
上映時間 98分
監督 レイチェル・グリフィス
脚本 アンドリュー・ナイト
エリス・マクレディ
出演者 テリーサ・パーマー
サム・ニール
サリヴァン・ステイプルトン
アーロン・グレネイン
ブルック・サッチュウェル
マグダ・ズバンスキー
ソフィア・フォレスト
音楽 デビッド・ハーシュフェルダー

『ライド・ライク・ア・ガール』あらすじ【ネタバレなし】


10人兄弟の末娘として生まれたミシェル・ペイン。

生後まもなく交通事故で母親を亡くしますが、父や9人兄弟に囲まれて元気に成長します。

ペイン家は調教師の父親、兄弟10人中8人が騎手という競馬一家。

ミシェルも生まれた時から馬のいる生活が当然で、騎手になることをごく自然に目指します。

しかしデビュー戦は散々の結果になり、続くレースでも結果を出せません。

またミシェルの姉たちも通った道ですが、当時の競馬界はまだまだ男性社会で、ミシェルは女性であることで悔しい思いをすることも。

それでも父親との二人三脚のトレーニングの末、ミシェルはついに初勝利を手にします。

『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

しかし喜ぶミシェルを待っていたのは長女のブリジッドがレースで落馬したという報せでした…。

ブリジットを亡くして2年、ミシェルはなかなか自分に、大きなレースの予定を入れてくれない父親と衝突し、喧嘩別れの形で家を出ます。

そして粘り強くトレーニングセンターに通い続けて、何とかチャンスを掴んだミシェルですが、同時期、姉の一人が同じ騎手と結婚し、引退すると聞かされます。

姉の結婚式に出席したミシェルは親友でもある一つ上でダウン症の兄、スティービーが調教師ダレン・ウィアーの元に就職を決めたことを知り祝福しますが、父との関係はぎくしゃくしたまま。

そんな中、無理な減量後のレースでミシェルは勝利しますが、ゴール後に落馬、命に関わる大怪我に見舞われます。

脳にも損傷を負い一時期は言葉も出なくなるミシェルですが、不屈の精神でリハビリをこなし騎手として復帰。

何度も何度も落馬し、何ヶ所骨折してもそれでも競走馬に乗り続けるミシェルはスティービーの職場でもある厩舎で運命の馬・プリンスオブペンザンスに出会います。

『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

ミシェルはプリンスオブペンザンスで、オーストラリア競馬界最高の栄誉と言われるメルボルンカップの前哨戦で勝利。

しかし喜びも束の間、プリンスオブペンザンスのオーナーたちは女性の騎手ではメルボルンカップは勝てないと、ミシェルを外そうと考えます。

ミシェルは彼らに、勝つのに必要なのは力だけではない、馬の個性を理解することやコースを読む技術、何より忍耐だと訴えます。

そのミシェルの言葉と、調教師ダレン・ウィアーの説得で、ミシェルのメルボルンカップの出場が決まったのでした。

迎えた2015年のメルボルンカップは出場者24人中、女性騎手はミシェルただ1人。

プリンスオブペンザンスは24頭中23番人気、単勝オッズは何と101倍。

亡き母と姉、見守ってくれる家族の想いを胸に、強豪が集う3,200メートルの難関に挑むミシェルは競馬界の聖杯を手にすることができるのでしょうか―。

【ネタバレ】『ライド・ライク・ア・ガール』感想

オーストラリア競馬界、奇跡の実話

本作『ライド・ライク・ア・ガール』のクライマックスであるメルボルンカップは毎年11月の第1火曜日にオーストラリアのメルボルンにあるフレミントン競馬場の芝3,200メートルで行われるレースです。

1861年に創設された歴史あるレースで、メルボルンでは開催日はメルボルンカップ・デーとして、祝日となるそうです。

「The Race that stops a Nation」、国の動きを止めるレースとも呼ばれ、国民的行事となっているほどの一大レース。

学校でも授業を中断して、レースを見るのだとか。

ミシェルが優勝した2015年の総賞金は440万米ドル、日本円にして当時約5億2,800万円だったようです。

くりす

ドレスアップして競馬場に集まるところも日本とはちょっと違いますね。日本だと女性の観客も増えたとはいえ、どうしても普段着のおじさんが多いイメージですから。

そんなメルボルンカップの長い歴史の中、2015年にミシェル・ペインが女性騎手として初の優勝を飾るまで出場した女性騎手はたった4人だけだったそうです。

『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

日本のクラシック三冠レースなどではまだ女性騎手が優勝したことはありません。

ミシェル・ペインの成し遂げた偉業がどれほどのものか、競馬を少しでも知っている人ならわかるはず。

くりす

日本競馬界と比較してみると、藤田菜七子選手が日本ダービーで優勝するようなインパクトかな、と。

完全なる男性社会だった競馬界も少しずつ変化してきているとはいえ、まだまだ差別意識が強いのは確かでしょう。

映画の中でも地方では女性騎手用のちゃんとした更衣室がなかったり、セクハラ発言をする調教師がいたり、同じ騎手からも冷たい言葉をかけられたりするシーンがあります。

メルボルンカップのレースで、ミシェルが身につけていた勝負服のカラーは緑・紫・白。

19世紀から20世紀にかけて男女平等を訴えていた女性活動家サフラジェットのシンボルカラーだそうです。

実際のレースの後、ミシェル・ペインはかなり辛辣な言葉で男性社会である競馬界に物申しています。

くりす

映画では描かれていないだけで、きっともっと女性というだけで理不尽な目に遭っていたのでしょう。
『ライド・ライク・ア・ガール』

出典:IMDB

偏見の目を向けられながらも大怪我などの逆境を自らのたゆまぬ努力で乗り越え、栄冠を手にしたミシェル。

競馬についてまったく知らなくても大丈夫、ミシェルの諦めない姿には胸が熱くなるはずです。

くりす

ところで、ミシェルのお姉さんたちの結婚相手はどちらも有名な騎手だそうです。ミシェルは2016年の落馬で負傷した後、引退しています。現在は調教師をしていると。いつまでも家族仲良くいて欲しいですね。

壮絶すぎる主人公、ミシェル・ペインの半生

10人兄弟の末っ子として生まれ、兄弟の内8人は騎手になり、父親は調教師という競馬一家。

母や姉を亡くす悲劇に見舞われながらも瀕死の重傷から復帰してついには女性初の栄冠を手にする。

くりす

ミシェル・ペインの人生は波乱万丈という言葉がぴったり、ご本人には大変失礼ながらドラマティック過ぎると思います。

そりゃあ優勝後すぐ映画化の話しも出るよね、という。

物心ついた時から馬と一緒に暮らし、兄姉の姿を見ているからか当たり前のように騎手を目指したミシェルが、どれほど夢のために努力し続けたか。

そんな弛まぬ努力の集大成となるメルボルンカップのレースシーンは結果がわかっていることすら忘れて、思わず心の中で「行け、行け!」と叫び、拳を握り締め前のめりになってしまうほど興奮してしまいました。

女性だからというだけでなく、人一倍努力して逆境を乗り越えてきた騎手だからこそ、応援したくなるのです。

脳挫傷、頭蓋骨骨折、言葉が出なくなってもなお、馬に乗ることを諦めなかったミシェル。

長姉が落馬で亡くなり、本人も何度も落馬と怪我を繰り返しても恐怖心より「メルボルンカップで優勝する」という意欲が勝つ辺り、一流の勝負師でもあったのでしょう。

また幼い頃からの父親のアドバイス通りのメルボルンカップのレース運びも、いわゆる親子鷹モノのスポコンに弱い人間には胸アツな展開になっています。

『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

くりす

レースシーンは実際の映像も使用しているからか、今まで観た競馬映画の中でも最高の興奮を味わわせてくれました!ミシェルがいつ仕掛けるのか、ゴールに届くのか、まさにハラハラドキドキ、迫力も臨場感も半端ないです。

父親や兄弟たち、今までミシェルが関わった人たちが見守るメルボルンカップのレースだけでも充分に本作を観る価値があると断言できます。

幼い頃から親友だった兄と妹が、騎手と調教師として栄光を手にする姿も涙しか誘いません。

スティービーを演じたのが、ご本人だったのもエンドロールでの驚きの一つ。

くりす

演技上手すぎでしょう、本職・調教師なのに(笑)スティービーの存在は本作の癒しです。
『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

一番の親友で大切な兄で、調教師のスティービーが、メルボルンカップの枠抽選会で一番枠を引いたこともまさに運すら引き寄せての勝利だったと言えるのかも。

スポーツ伝記物としてだけでなく、人間ドラマとしても楽しめる傑作

ミシェル・ペインを演じたテリーサ・パーマーはやはり騎手体型ではないなあと、トレーニングシーンの時は思いましたが、それ以外では彼女しかいないと思えるほどの、まさにハマり役。

父親パディ役のサム・ニールもこれまた好演していて、映画の世界にぐっと引き込まれます。

妻と長女を亡くした父親が、ミシェルの夢を応援したいという気持ちと、騎手を続けさせることで末娘まで失うことは耐えられないと思う気持ち、どちらも理解できて胸が苦しくなります。

馬に乗るためなら、どんな無茶もする娘。

くりす

そんな向こう見ずな末娘がいたら、そりゃあお父さんもまた愛する娘を失うかもと、恐れて当然。
『ライド・ライク・ア・ガール』

(C)2019 100 to 1 Films Pty Ltd

それでもミシェルとスティービー、兄と妹の勝利を一番喜んだのも間違いなく父親のパディだっただろうと思うと、レース後のシーンは涙ぐまずにはいられません。

またミシェルを学校でよく叱っていた修道女の先生たちが、メルボルンカップにミシェルが出場するからと持っていた現金をすべてプリンスオブペンザンスに賭けてしまうのはよくある笑えるお約束シーンであっても、ほっこりできて二重丸。

人間ドラマとして観ても涙をこれでもかと誘う作りではなく、さわやかに描いた仕上がりなので、競馬についてまったく詳しくなくても楽しめること間違いなしの作品です。

くりす

牧場や砂浜を走る馬の姿はうっとりするほど美しく、蹄の音や馬の息遣いなどが感じられるのも馬好きにぜひ観てもらいたいポイントの一つです。

『ライド・ライク・ア・ガール』あらすじ・ネタバレ感想まとめ


以上、ここまで『ライド・ライク・ア・ガール』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • 結末がわかっていても最高に興奮するメルボルンカップのレースシーンは必見!
  • 父と娘、兄弟たちの絆の深さには感動しかありません。
  • 何があっても諦めない主人公の姿に、たくさんの勇気をもらえる作品です。

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