「リボンで感情を表現するって、どういうこと?」
あまり難しいことは、考えないほうがいいかもしれません。ひらひら舞うリボンを眺めながら、“創作あーちすと” の世界観を楽しみましょう。
・物語の舞台はコロナ禍の2020年
・主題歌を担当したのはサンボマスター
それでは『Ribbon』をネタバレなし・ありでレビューします。
目次
『Ribbon』あらすじ【ネタバレなし】
コロナ禍の2020年。浅川いつか(のん)が通う美術大学では卒業制作展が中止となり、翌日からキャンパスに入ることもできません。1年かけて制作した作品を持ち帰り、自粛生活がスタート。何も手につかない毎日を過ごすなか、心配してくれる母親(春木みさよ)や親友・平井(山下リオ)と衝突してしまいます。
『Ribbon』を楽しむ【ネタバレなし】
「映画と生きる 映画に生きる」
日本映画専門チャンネルが制作した「応援スペシャル映像」には、8人の映画監督がスタッフ役として出演しています。
演出は、『Ribbon』で特撮を担当した樋口真嗣監督。
映画『Ribbon』応援スペシャル映像
「映画と生きる 映画に生きる」
(風篇/炎篇/雨篇)各45秒
出演:のん、緒方明、尾上克郎、犬童一心、片渕須直、白石和彌、市井昌秀、沖田修一、枝優花
この豪華メンバーのなかに、岩井俊二と行定勲と是枝裕和が加わったら…私は嬉しくて泣いてしまいます。
激しく雨を降らせて撮影している “雨篇” を観たら、『その夜の侍』(赤堀雅秋監督)のメイキング映像を思い出しました。
妻を失った中村(堺雅人)と、ひき逃げ犯の木島(山田孝之)が対峙する重要なシーン。出演者はもちろん、監督・制作スタッフ全員が最高にかっこいいメイキング映像です。
のん Ribbon展
渋谷PARCOのGALLERY Xでは、個展「のん Ribbon展 不気味で、可愛いもの。」がホワイトデーの日まで開催されていました。
新作リボンアートのほかに、“いつか” と平井が制作した作品・手作りのイメージボードも展示してあったと…実際に行った人が教えてくれました。
私は『Ribbon』を渋谷の映画館で観たにもかかわらず、個展をやっていることを知らずに帰宅してしまった大バカ者です。
会場で販売していた “いつか” 愛用のグッズは、現在オンラインストア「NON GOODS SHOP」から購入することができます。
のんが描いた金魚のマグカップは、すでに売り切れていました。再入荷するのでしょうか。1,600円と少しお高めではありますが、本当に可愛いですね。
焼きそばパン
毎回気になってチェックしてしまう、劇場オリジナルドリンク。
映画『Ribbon』をイメージして作られたのは、“ひらひら舞う レモンサクラスカッシュ” です。私が観たときは男性がとても多かったのですが、みんな手には可愛らしいドリンクを持っていました。
たまには劇中に出てくる食べ物を再現してほしいと思うのですが、あまりないのでしょうか。
SNS限定ショートムービー第5弾として、「食べる」をテーマにした映像が公開されています。
●妹と一緒に作った豚の生姜焼き
●瓶に入ったフルーツゼリー
●朝食のピザトースト
●母親が作ったハンバーグ
●公園で食べた焼きそばパン
焼きそばパンだったら、映画を観ながらでも静かに食べられそうですね。レモンサクラスカッシュとセットで販売したら、最高だと思います。
『Ribbon』感想【ネタバレあり】
主人公は美大生
卒業制作展が中止となり、作品を自らの手で壊す学生たち。このシーンを現役の美大生が観たら、どれだけ辛いことかと想像していました。
「持って帰ればいいのに」と簡単に考えてしまったのですが、自宅に入らないサイズの作品もあるんですね。
私のなかで、“美大生が主人公の映画” といえば『ハチミツとクローバー』(高田雅博監督)しかでてきません。
はぐみ(蒼井優)と森田(伊勢谷友介)が制作する作品を眺めながら、「すごーい」という薄い感想を抱いた記憶があります。
ちなみに美術系の大学では、ふたつの専攻に大きく分かれるそうです。即戦力として企業に就職することを目指すデザイン系と、とにかく自分の世界を表現したいファインアート系。
“いつか” は、ほかの学生のことを「デザイン科の子が…」と言っていました。デザイン事務所から内定をもらっていたようですが、専攻はファインアート系ということでしょうか。
内定取り消しの電話連絡は、コロナ禍のリアルを描いていて切なかったです。
絶対に謝らない母親
娘のことを心配して、部屋を掃除しにきた母親。
“いつか” が制作した大切な作品を、勝手にゴミ置き場に運んでしまいました。「あんなの作品じゃないでしょ⁉」と言い、自分は悪くないと主張し続けます。
私は観ていて、もうイライライライラ…イライラが止まりませんでした。最後の最後まで、謝罪の言葉はありませんでしたね。
こういうタイプの人に近づくのは、やめておきましょう。
小野花梨
だらしない性格の姉を反面教師にして生きていそうな、しっかり者の妹・まい(小野花梨)。
私は『南極料理人』(沖田修一監督)が大好きなのに、今まで気づきませんでした。西村(堺雅人)の娘・友花役を演じた女の子だったんですね。“おならした堺雅人のお尻に蹴りを入れる子役” という、雑なイメージが頭から離れません。
小野花梨が演じる、『Ribbon』の浅川まい役と『南極料理人』の西村友花役。作品が違うだけで、同じ役かと思うくらい雰囲気が似ていると思いました。この2作品しか知らないのですが、もっと健気な役も演じているのでしょうか。
まずは、長編映画初主演作である『プリテンダーズ』(熊坂出監督)から観てみようと思います。
いつも公園にいる田中くん
“いつか” が公園で出会った男の正体は、中学の同級生・田中(渡辺大知)でした。
『Ribbon』公式サイトには、田中について「絵を描くことに夢中になったきっかけをくれた友人」と書いてあります。自分の大切な作品を見て「かっこいい」と言ってくれる存在って、とても貴重ですよね。
それにしても、田中くんの情報が少なすぎて怖いです。
同じアパートに住んでいるというのは、ただの偶然なんでしょうか。“いつか” に声をかけるために、散歩コースを把握して先回りした可能性はないですか⁉
ゴミ置き場にあった絵を勝手に持ち帰るなんて、そして公園に持ってくるなんて…気持ち悪いです。“いつか” がどういう気持ちで捨てたのかも知らずに、「もう捨てちゃだめだよ」と言えてしまう無神経さに腹が立ちます。
“いつか” の部屋のベランダを見上げて微笑むシーンが、何よりもホラーだと思いました。
『Ribbon』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
・岩井俊二がどこかに電話している
・ソーシャルディスタンスを守ろう
以上、ここまで『Ribbon』をレビューしてきました。
しましろ