『ロッキー』と並ぶシルヴェスター・スタローンの代表作といえば『ランボー』です。
我らがシルヴェスター・スタローンが主人公のジョン・ランボーを演じ、主要キャラクターとして、ランボーが心から信頼する元上官のトラウトマン大佐役をリチャード・クレンナが演じています。
ロッキーに続く当たり役であり、スタローンは今シリーズでアクションスターとして不動の地位を獲得。
マルコヤマモト
目次
【ネタバレ】『ランボー』シリーズをまとめて解説!
『ランボー』とは?
赤いハチマキをした上半身裸のランボーが戦場で弓矢をぶっ放したり、とにかく人がたくさん死ぬというイメージが強い『ランボー』シリーズ。
もちろん間違っていませんが、もとはデヴィッド・マレルの処女出版小説「一人だけの軍隊」の映画化であり、ジョン・ランボーという1人のベトナム戦争帰還兵を通して1970年代のアメリカが抱える闇や社会問題を描いた作品でした。
しかしながら、2作目以降はシルヴェスター・スタローンの筋肉を前面に押し出した80年代テイストあふれる戦争アクションに変貌。
それから戦う相手や場所を変えつつ、2020年公開の『ランボー ラスト・ブラッド』まで5作品が製作されました。
マルコヤマモト
【ネタバレ】『ランボー』(1982年公開)あらすじ・感想
- アクション映画の仮面を被った立派な社会派ドラマ
- ベトナム戦争帰還兵のランボーがアメリカの警官を相手に山中でゲリラ戦を展開
- PTSDに苦しむ兵士の悲しみや苦しさがラストシーンに込められている
シリーズ第1作目として公開されたのが、1982年公開の『ランボー』。
先述したとおりデヴィッド・マレルの処女出版作「一人だけの軍隊」の映画化で、ベトナム戦争帰還兵のランボーがアメリカの警察を相手に繰り広げる孤独な戦争を描きます。
ベトナム戦争の帰還兵である元グリーン・ベレー隊員ジョン・ランボーは、戦争の後遺症で亡くなったかつての戦友を訪ねた後、昼食のために立ち寄った街で地元保安官のティーズル(ブライアン・デネヒー)に目をつけられて留置所送りに。
「よそ者」「流れ者」という理不尽な理由で逮捕され、警察官たちに嫌がらせや暴行を受けたランボーは、ついにキレて留置所を脱走し山奥へ逃走。
そのまま立て篭もり戦闘を続けたランボーに対して、地元警察だけでなく州兵まで出動する大騒動に発展してしまいます。
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当時のベトナム戦争帰還兵たちは戦場で散々地獄を見てきた挙句、敗けて帰ってきたアメリカでは罵倒を浴びせられ職も無く、ひどい差別を受けていました。
ゲリラ戦の知識を活かして、逃走しつつ次々と地元警官や州兵たちを手にかけていくランボー。
手のつけようがなくなったランボーを落ち着かせることができる唯一の存在が、元上官のトラウトマン大佐です。
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1作目は台詞も少なく、ほぼ野生児と化したランボーがトラウトマン大佐からの呼びかけだけに素直に応える様に切なくなってしまいました。
体に受けた傷よりも心に受けた傷の方がとても深かったという、当時の社会や帰還兵たちの心の闇をうまく描いた社会派な物語です。
世間的には2作目以降の印象が強いため、1作目『ランボー』を鑑賞すると意外な反応を示す方が多いかもしれません。
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【ネタバレ】『ランボー/怒りの脱出』(1985年公開)あらすじ・感想
- ベトナム戦争帰還兵の悲哀を描いた1作目から一変し、本格戦争アクションへ
- 上官の指令を受けランボーがベトナムに囚われたアメリカ軍捕虜兵の救出に挑む
- ジャングルを舞台にしたランボーの、無双のゲリラ戦がたまらなく面白い!
1作目『ランボー』の大ヒットを受けて製作されたのが、1985年の『ランボー/怒りの脱出』。
ここからは皆さんがよく知っている『ランボー』で、ベトナム戦争帰還兵の悲哀を描いた1作目からは一変、上官の指令を受けたランボーが未だベトナムに囚われているアメリカ軍捕虜兵の救出を試みる、ド派手な戦争アクションに変貌!
今作ではシルヴェスター・スタローンが主演のほかに脚本を担当、さらに脚本には若き日のジェームズ・キャメロンも参加しています。
1作目で大騒ぎを起こして服役中のランボーは、訪れた元上官・トラウトマン大佐から、ベトナムの奥地に未だ囚われているアメリカ軍の捕虜兵の調査任務を依頼されます。
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大佐からの依頼を受けてベトナムのジャングルへ向かったランボーは、現地の女性情報員コー・バオ(ジュリア・ニクソン)の協力を得て早速捕虜たちの存在を確認しますが、捕虜たちがひどい仕打ちを受けていることに激怒。
禁止されていた戦闘行為を展開したうえに、現地ゲリラ軍に捕らえられてしまいます。
ヒルだらけの肥溜めに肩までつけられる拷問を受けても表情ひとつ変えないランボーですが、ゲリラ軍の裏には当時アメリカと敵対していたソ連軍の姿が…!
戦いが終わったらアメリカで暮らすことを夢見ていたヒロインのコー・バオの死を受けて、ますます煮えたぎるランボーの怒りが大爆発!
ジャングルを舞台にゲリラ軍&ソ連軍相手にほぼ1人で戦闘を繰り広げます。
岩陰からランボー、泥の中に隠れるランボー、ゲリラ軍と謎の一騎打ちを展開したり、トラウトマン大佐が「ジャングルは彼の故郷」というとおり、ジャングルでの戦闘に持ち込んでからのランボーの無双っぷりがたまりません!
しかし事件はランボーが戦うジャングル(現場)だけでなく、トラウトマン大佐が待つ司令部(会議室)でも起きていたのです。
今回の作戦指揮を取るマードック司令官(チャールズ・ネイピア)は、捕虜の調査はするものの彼らの存在を隠蔽しようとしていたことが発覚し、爆破に次ぐ爆破でゲリラ軍&ソ連軍を一網打尽したランボーの怒りの矛先はマードック司令官へ!
事実を知ったランボーがマードック司令官に対して「お前の命をもらいにいくぜ!」と無線通信してからラストまでがとにかく怒涛で面白いです。
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【ネタバレ】『ランボー/怒りのアフガン』(1988年公開)あらすじ・感想
- 2作目よりアクションと火薬の量がパワーアップ!
- ソ連軍に捕らえられた元上官を救出するため、ランボーがアフガニスタンに潜入
- キルカウント108人!ギネス登録済みの「最も残酷な映画」
続いて公開された作品が、1988年の『ランボー/怒りのアフガン』です。
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今作ではソ連軍に捕らえられたトラウトマン大佐を救うために、アフガニスタンに潜入したランボーが再び死闘を繰り広げます。
前回の作戦後、タイで穏やかな生活を送っていたランボーの元にトラウトマン大佐が訪ね、アフガニスタンへの極秘潜入任務を依頼されるランボー。
「俺の戦争は終わった」と言って一度は断るものの、後日大佐がアフガニスタンに駐留するソ連軍によって拉致されたことを知ると、たまらずアフガニスタンへ向かいます。
現地のゲリラ軍の協力を得てソ連軍の要塞に潜入したランボーは、トラウトマン大佐と共闘して脱出しますが、多数のソ連兵の攻撃に遭い重傷を負ってしまいます。
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今作はソ連軍がアフガニスタンから撤退した1988年に公開されたのがポイント。
アフガニスタンの騎馬隊の助けもあってソ連軍を撤退に追い込むランボーでしたが、今作が公開された1988年以降にアメリカとアフガニスタンが敵対関係になることを考えると、複雑な気持ちになります。
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また今作は101分で108人の死を描くという過激な内容で、1990年度のギネスブックに「最も残酷な映画」として掲載されています。
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【ネタバレ】『ランボー 最後の戦場』(2008年公開)あらすじ・感想
- 3作目から20年ぶりの新作でスタローン自身が監督・脚本・主演を務めた
- ミャンマー軍事政権に対するランボーの怒りが爆発!
- 今までのシリーズとは比べ物にならない残酷描写に目を覆いたくなるほど
しばらく音沙汰がなかったランボーですが、2008年には4作目となる『ランボー/最後の戦場』が公開され、今作ではシルヴェスター・スタローン自ら監督・脚本・主演を務めました。
『ランボー3/怒りのアフガン』から20年ぶりとなる新作では、ランボーがミャンマーの軍事政権に怒りの鉄槌を下すという、再び社会派な内容を含んだ作品へ変化。
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アフガニスタンでの戦いを終えてから、タイ北部でひっそりと暮らしていたランボーの元に、アメリカからNGOのボランティアたちが来訪。
ランボーが案内役を務め、軍事政権が支配するミャンマーで虐殺されている少数民族・カレン族を尋ねる一同でしたが、ランボーと離れた後に軍に見つかって捕らえられてしまいます。
報せを聞いたランボーは、アメリカからやってきた傭兵部隊とともにボランティア団隊の救出へ向かいます。
繰り返されるミャンマーの軍事政権対等に対するスタローン自らの想いが反映された物語になっている今作。
冒頭に流れるニュース映像から超リアルで、正直今までの『ランボー』シリーズの比にならないくらいに耐え難いシーンが連続。
地雷が埋め込まれた田んぼを走らせたり村ごと丸焼きにしたり、女性も子供も関係なく殺害したり少年は兵士にするために誘拐したりと、きっと現実に起こっていることだと思いますが、あまりの酷さとリアルな描写に、目を覆いたくなるほど。
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もう単なるアクション映画では片付けられないくらいに、社会に対する痛烈なメッセージがこれでもかというくらいに盛り込まれています。
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【ネタバレ】『ランボー ラスト・ブラッド』(2020年公開)あらすじ・感想
- 『ランボー』シリーズ5作目にして完結編
- 愛する家族のために、ランボーがメキシコの犯罪組織相手に死闘を展開
- 年老いたランボーの頭脳&経験を活かした新たな戦い方に注目
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前作『ランボー 最後の戦場』のラストシーンで故郷であるアリゾナ州の農場に帰ったランボーが、新たに得た「家族」を守るために死闘を繰り広げます。
今作では『キック・オーバー』のエイドリアン・グランバーグが監督を務め、スタローンは原案・脚本・主演を担当しました。
故郷であるアリゾナの農場で、友人のマリアとその孫娘・ガブリエラと家族のように暮らしていたランボー。
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しかしある日、ガブリエラがメキシコに住む父親を訪ねたきり失踪。
ガブリエラの友人を介して彼女がメキシコの犯罪組織に囚われていることがわかると、ランボーは自らメキシコに出向いて犯罪組織相手に立ち向かいますが、多勢に無勢でボコボコにされてしまいます。
以前から犯罪組織を追っていた現地女性ジャーナリストの助けを得たランボーは、再び組織に立ち向かいガブリエラを奪還するものの、すでに大量の薬漬けになっていた彼女は自宅へ向かう車中で死亡。
怒りを爆発させたランボーは犯罪組織を故郷の農場へ誘い込み、得意のゲリラ戦を展開します!
今までさまざまな戦場で戦ってきたランボーですが、今作は家族や身近な愛する人をテーマにした、『ランボー』シリーズ史上最もパーソナルな戦いが描かれます。
さらに年老いたことで体力だけでは相手に敵わないと悟ったのか、頭脳と経験を生かした戦い方が新鮮で、家中に張り巡らされたベトコン仕込みの罠には敵でなくともハラハラしてしまうほど。
見応えはある作品ですが、長年のファンたちの間では「これがシリーズ最後と思うと」ということで賛否両論別れました。
スタローンも75歳近いことを考えると今以上のストーリーはないのかな?と考えます。
マルコヤマモト
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映画『ランボー』シリーズまとめ
マルコヤマモト
元々はベトナム戦争から帰還した孤独な兵士の悲哀を描いた作品ですが、時を経てさまざまな形に変化しつつも、長年にわたって愛されるシルヴェスター・スタローンの代表作であることには、変わりありません。
『ランボー』以前のベトナム戦争から『ランボー ラスト・ブラッド』に至るまで、おそらく人生のほとんどを戦うことに費やしたジョン・ランボーですが、彼の戦いが終わったかどうかは彼のみぞ知る…といったところでしょう。
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