『パージ:エクスペリメント』あらすじ・ネタバレ感想!全ての犯罪が合法化されるパージ法の始まりを描く

映画『パージ:エクスペリメント』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『パージ:エクスペリメント』公式ページ

2013年に第1作目となる『パージ』が公開されて、“12時間殺人を含む犯罪が合法となる”というショッキングな設定から話題になった『パージ』シリーズ。

第4作目となる今作は、この無茶苦茶な法律がなぜ制定されることになったのかを描いた第1作目の前日譚となる作品です。

ポイント
  • 前日譚なのでシリーズ初見でも十分に楽しめる
  • 息つく間もない極度の緊張感がやがて興奮に変わるストーリーの流れに注目
  • スリルやホラーだけでなくドラマ要素も強い、多面性を持った作品

それではさっそく『パージ:エクスペリメント』をレビューしたいと思います。

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『パージ:エクスペリメント』作品情報

映画『パージ:エクスペリメント』作品情報

(C)2018 UNIVERSAL STUDIOS

作品名 パージ:エクスペリメント
公開日 2019年6月14日
上映時間 98分
監督 ジェラード・マクマリー
脚本 ジェームズ・デモナコ
出演者 イラン・ノエル
レックス・スコット・デイビス
ジョイバン・ウェイド
クリステン・ソリス
スティーブ・ハリス
マリサ・トメイ
音楽 ケビン・ラックス

【ネタバレ】『パージ:エクスペリメント』あらすじ・感想


人の怒りを解放するために生み出されたパージ法

アメリカは経済が破綻し、株価が暴落するなど政府の手に負えない状態にまで陥っていました。

そんな中で、これまでの共和党や民主党と変わって、政権を手に入れたのが「新しいアメリカ建国の父たち(NFFA)」という名の政党でした。

彼らの背後には全米ライフル協会がついており、政治に対する思想が一般とは異なることが冒頭でも匂わされています。

そして、NFFAが経済破綻によって巻き起こる犯罪を減らす手段として考案したのが、12時間だけ殺人を含むどんな犯罪も合法とするパージ法でした。

当然この法案に対して世間は賛否が完全に分かれる形になります。

しかしNFFAは、この法案を適用するために着々と準備を進めていきます。

法案適用のために必要な大きな準備として、ついに政府はニューヨーク州にあるスタテン島で“実験”を行うことを発表しました。

この島の住人が被験者とされ、実験への参加希望者には行動を記録するコンタクトレンズが配布され、追跡装置が埋め込まれます。こうして政府の監視下に置かれる代わりに、12時間生き延びた場合は報酬として5,000ドルが支払われます。

さらに、犯罪の合法化が目的のため、犯罪行為をする度に報酬が上がるという常軌を逸した条件が提示されました。

スタテン島には貧困民である黒人も多く住んでいたため、報酬目当てに参加者が殺到する結果になりました。

ついに実験開始。シーンごとに立場の異なる人々の目線に変わる

この作品には、最初から最後まで一貫した主人公がいるわけではありません。

そのため、序盤は政府の人間やパージ法によって命の危険に晒される人、そして逆に犯罪の合法化によって暴力への願望を解放する人とシーンが二転三転します。

冒頭はパージ法という認識を観客に固めさせるためにも、政府の動きが多く描かれています。

パージ法を立案したアップデール博士(マリサ・トメイ)とNFFAの人間は、実験がスタートしてからずっと監視カメラで参加者の動向をチェックしています。

また、島ではパージ参加者から怯える市民が教会に集まって夜を明かそうとしていました。

その中には、後半で物語の主軸となる女性・ナヤ(レックス・スコット・デイヴィス)がいました。

彼女には弟のイザヤ(ジェイヴァン・ウェイド)がいて、彼は生活のために薬物の売人をしています。

その客の一人に殺人への願望が極限まで高く、イザヤに対しても危害を加えようとする人物・スケルター(ローティミ・ポール)がいました。

イザヤは実験開始前に島を離れている予定だったのですが報酬のため、そして薬の売買中に襲ってきたスケルターに復讐するために、姉に嘘をついてパージに参加していたのです。

さらに、この島には大勢のギャングも住んでいました。

そのギャングのボスであるディミトリ(イラン・ノエル)はナヤの元カレ。

犯罪が日常的な彼ですらも、パージ法に対しては反対の意思を強く持っていました。

ギャングの仲間たちもボスの意見に賛同し、パージ法には参加していませんでした。

しかし反対しているからと言って、ギャングたちは島を離れることもできません。

なぜなら彼らの元には莫大な金が現金のまま置いてあり、それを一気に動かすこと自体があまりに危険だったからです。

そこでディミトリは、ある建物に籠城し、その周りを傭兵に守らせて12時間を乗り越えることにしました。

人の怒りは合法でも犯罪衝動を起こせるほどのものなのか

実験開始を知らせるサイレンが島中に鳴り響いた後も、しばらく町の様子は静かでした。

大きな犯罪を犯す者が出てくるわけでもなく、所々でこの状況をお祭りと捉えてパーティーが開かれているほどでした。

しかし、そんな状況も当然長くは続きません。

ATMを破壊し、金を奪おうとする男が現れました。

しかし、どんな犯罪も合法とされた中で強盗…?と思うかもしれません。

これはあくまで客観的にこの状況を見ているからこそ思う思考なのでしょう。

実際に犯罪が合法になった状況に自分が立ったとして、何をするでしょうか。

おそらく何もできない人がほとんどなんじゃないかと思うのです。

実は、このことについては、実験が開始する前にディミトリらギャングのトップが集まった時の会話にも出ています。

パージ法への参加の手続きのために並ぶ一般市民を見つめながら「こいつらに人を殺せるのか」という問いに対して、「殺しには強い心が必要だからできるはずがない」と答えていました。

しかし事態はすぐに一変します。

先ほどのATM強奪の現場にスケルターがやってきたのです。

実験参加のための面接のような場面で、スケルターは世の中に対してパージ(=浄化)が必要だと言っていました。

目を見開いて笑顔でそうしたことを言い放つ彼は、明らかに常軌を逸した存在。

現場に現れたスケルターは、男の喉元に一切の躊躇もなくナイフを突き刺して殺害したのです。

その後、パーティーが開かれている道路に現れたスケルターは、またもパーティーに参加していた人たちを次から次へと殺していきます。

スケルターが着けていたコンタクトレンズに記録された映像はリアルタイムでNFFAに届き、そのままニュースとして流されます。

そしてこの映像が引き金となり、街の様子も一変し、一気に死と隣り合わせの状況に変わったのでした。

騒動の中から徐々に見えてくる政府の闇

実験が進むにつれて、町の中でどんどんと殺人行為が広まっていきます。

時間が進むにつれて、被験者の怒りが落ち着いていき、事態が収束すると予想していたアップデール博士にとっても、これは想定外の流れでした。

さらに博士の予想外のことが巻き起こります。

それは、犯罪を行う人間の大半が奇妙なマスクを被って表情を隠していること。

マスクは『パージ』シリーズの象徴とも言える物になっていますが、その発端がここにあったことが明らかになります。

突然、大勢現れて通り魔的に様々な場所で犯罪を行っていくマスク集団の存在にディミトリも襲われそうになりますが、逆に返り討ちにして倒します。

マスクの下の素顔を見たディミトリは、国籍などから島に住む人間ではないことに不信感を抱き、マスクの集団がどこから来たのかを部下たちと共に探りはじめます。

同じように、予測と全く違う行動を取るマスク集団の動きを、NFFAに気づかれないように隠れて監視カメラの映像を逆にたどっていたアップデール博士は、彼らがある場所から一気に現れて散り散りになっていて、それがNFFAの仕業であることを突き止めます。

博士の問い詰めから、犯罪率低下をパージ法の表向きの理由にしながら、実は裏では市民に殺し合いをさせて人口を減らすことで、経済を立て直すことを目論んでいたことが発覚します。

しかし、それを知った博士はNFFAによって暗殺されてしまうのでした。

マスク集団から奪った無線から、その真相を知ったディミトリは「善良な市民を俺たちが守る」と言い、ギャング仲間とともにマスク集団を次から次へと倒していきます。

孤軍奮闘するディミトリ

物語終盤は完全にディミトリが主役となった流れに変わります。

マスク集団が次に向かう場所として無線から聞こえてきた場所は、ナヤたちが住んでいるマンションでした。

それを知ったディミトリをはじめとしたギャングは、急いでマンションに向かいます。

しかし、目の前に着いて車から降りたところに現れたNFFAのドローンによる銃撃によって、ディミトリ以外のギャングたちはその場に倒れてしまいました。

大量の銃をバッグの中に詰め込み、ディミトリはマスク集団が着々と住人を一掃しているマンションの中に一人で潜入します。

敵から隠れながら、気づかれないように少しずつ敵の数を減らしていく隠密さが心強いシーンです。

敵より先にナヤたちが身を潜めている13階に到着して合流を果たしたディミトリ。

しかし敵もすぐに同じフロアにやってきました。

一室に追い込まれ、絶体絶命と思ったその時、なんとスケルターが敵たちを後ろから攻撃します。

彼は自分に復讐心を燃やしているイザヤがナヤと共に隠れていることを知り、イザヤを殺すために追ってきたのでした。

しかし、どれだけ狂っていると言っても相手は大勢の殺人集団です。

スケルターはあっという間に反撃を食らって、その場で息絶えてしまいます。

その隙を狙い、ディミトリは自分にも危険が及ぶことを承知で持っていたバッグから爆弾を投げ込み、敵を一気に倒したのでした。

実験終了のサイレンが鳴る

ディミトリが敵を倒したとほぼ同時に、島には実験終了を知らせるサイレンが鳴り響きます。

爆弾を爆発させる最後の瞬間、敵から一発の銃撃を受けたディミトリでしたが、弾は急所を外しており、みんなの肩を借りながらマンションを後にします。

外には生き残った人々が出てきており、ディミトリはヒーロー扱いされながら道を譲られます。

実験は終わったと言われたディミトリが放った「今はな」という一言によって、今回の一件があくまで実験であり、今後また続くことを示唆します。

それを証明するかのように、物語の最後では大統領が会見の場で実験成功を告げ、パージ法をアメリカ全土で取り入れることを検討していると衝撃の発表をして本編が終了するのです。

狂気でしかない法律も、どこかリアルに感じてしまう物語

12時間なら人を殺しても罪に問われない、そんな無茶苦茶な法律あるか!と設定そのものは思いっきりフィクションなのですが、その法律が発案された理由、そして政府が裏で目論んでいることなどは、とてもリアルで現実でも社会問題になっていることだったりします。

部分的にリアルが盛り込まれているから、完全なるフィクションじゃなく、どこか感情移入してしまうものになっています。

今までの『パージ』シリーズは、パージ法によって繰り広げられる殺人行為自体にフィーチャーしているため、脅かしと残虐描写のホラー要素が強かったのですが、今回は法律に翻弄される人々を中心に描いているため、ヒューマンドラマとまではいきませんが人間模様が主軸に描かれています。

また、パージ法が制定されるまでの話のため、今までの『パージ』シリーズを見ていない方でも十分に楽しめる内容になっています。

『パージ:エクスペリメント』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『パージ:エクスペリメント』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • ジワジワと感じる、幽霊ではなく人間起因の恐怖を感じたい人におすすめ
  • パージ法とそれぞれのキャラ設定が分かりやすく、モヤモヤせずに観ていられる
  • 登場人物はほとんどがまだ無名ながらも、抜群の緊張感を得られる演技を見せてくれる
  • 本作を観た後、間違いなくすぐにシリーズを追いたくなります

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