『サイコキネシス -念力-』あらすじ・ネタバレ感想!ヨン・サンホが送るSFアクションコメディ!

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

出典:Netflix

『新感染 ファイナル・エクスプレス』で知られるヨン・サンホが手掛けた韓国映画『サイコキネシス -念力-』。

ある日突然超能力を使えるようになった男が、愛する娘と自分たちの街を守るために奔走するSFアクションコメディです。

主人公の父役を『7番房の奇跡』のリュ・スンリョンが、娘役を『怪しい彼女』のシム・ウンギョンが好演しています。

ポイント
  • SFとコメディを掛け合わせた痛快アクション
  • 『新感染 ファイナル・エクスプレス』のヨン・サンホが監督と脚本を担当!
  • リュ・スンリョンとシム・ウンギョンが演じる確かな親子愛が魅力的!

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今回はそんな映画『サイコキネシス -念力-』をネタバレありでご紹介します。

『サイコキネシス -念力-』作品情報

サイコキネシス 念力

出典:IMDB

作品名 サイコキネシス -念力-
公開日 2018年1月31日
上映時間 101分
監督 ヨン・サンホ
脚本 ヨン・サンホ
出演者 リュ・スンリョン
シム・ウンギョン
パク・ジョンミン
チョン・ユミ
キム・ミンジェ
音楽 チャン・ヨンギュ

【ネタバレあり】『サイコキネシス -念力-』あらすじ


母の死、父との再会

シン・ルミ(シム・ウンギョン)は、チキン料理店の店長をしています。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

出典:IMDB

ルミの作るチキンは評判が良く、テレビでも紹介されるほどです。

そんなルミの父・ソッコン(リュ・スンリョン)は、彼女が10歳の時に家を出て行ってしまったので、ルミは母・クォン(キム・ヨンソン)とともに苦労の絶えない人生を送ってきました。

ある日の晩、ルミの店に大勢の男たちがやって来ます。

男たちは不動産会社・泰山建設のミン社長(キム・ミンジェ)の命令で、強制的に立ち退きをさせるため、押しかけてきたのでした。

クォンはルミを守るため、男たちに自動車ごと突っ込みますが、車から引きずり降ろされてしまいます。

その拍子にタイミング悪く頭を打ってしまい、そのままクォンは亡くなりました。

時を同じくして、空からは謎の隕石が落下。

山に落ちた隕石は湧水に混ざり、やがてソッコンの口に入りました。

警備員を生業としているソッコンは職場から食料など備品を盗み、生活の足しにしています。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

出典:IMDB

そんな日々の中で、湧水を飲んでからというもの、ソッコンは酷い腹痛に悩んでいました。

そして、煙草を吸おうとした時、ふとライターが手元へ引き寄せられたことに気がつきます。

実は、ソッコンはそれ以前から近くにあった椅子を吹き飛ばすなど超能力を発揮していたのですが、本人は気がついておらず、このライターの件から自覚するようになっていきます。

一方その頃、クォンのお葬式が執り行われました。

ルミはクォンの携帯に入っていたソッコンの番号に連絡し、ソッコンはルミの元へ駆けつけます。

ミン社長らもお焼香をあげにきましたが、クォンが自動車で突っ込んできたことを死の理由とし、自分たちに非はないという態度です。

ルミはそんなミン社長の態度に憤り、裁判で戦おうと追い返しました。

授かった超能力

弁護士のキム(パク・ジョンミン)と話をしたソッコンは、ルミが泰山建設から立ち退きを迫られていることを知ります。

それは泰山建設の新規事業のためでありながら、ミン社長は立ち退き料すら払おうとしません。

ソッコンは憤りを感じ、むしゃくしゃした気持ちで腕を振ります。

その途端、近くにあったものが吹き飛び、ソッコンは自身の超能力を自覚しました。

一方で、ルミの店はミン社長の指示のもと荒らしに遭い、裁判でも勝ち目がありません。

見かねたソッコンは、一度争うことをやめて他の方法を考えるべきだとルミに伝えますが、ルミは首を縦に振りませんでした。

ソッコンはルミの力になるべく、超能力を使ってナイトクラブでマジックを披露し、資金を稼ごうとします。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

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ルミにも超能力を披露したうえで、マジシャンとして働いて資金を用意するから立ち退き要請に従うよう告げました。

すると、ルミはソッコンが不在だった10年間への想いと重ねて、また10年前のように逃げるのではないかと怒り、涙を見せます。

そこでソッコンは初めて家を出た理由を語りました。

ソッコンは友達の保証人として借金を肩代わりすることになってしまったため、クォンとルミに迷惑をかけまいと家を出たのでした。

その後、またしてもミン社長らが立ち退きを迫るため、ルミの店に押し入ってきます。

ソッコンはここぞとばかりに超能力を使って、部下の男たちを吹き飛ばしました。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

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通報を受けて駆けつけた警察に、ミン社長は証拠としてビデオ映像を提出します。

しかし、ソッコンが念力で操っていた一人の男は踊っているようにしか見えず、ソッコンは吹き飛ばした男たちにも触れていないため、警察はこの映像を証拠と認めませんでした。

ソッコンはルミの喜ぶ姿を見て、今は亡きクォンが想いを込めて超能力を授けてくれたのではないかと考えるようになります。

冷徹な女

立ち退き要請のために押しかけてくるミン社長の部下たちは、ソッコンの超能力によって次々と返り討ちに遭うため、仕事を辞めたがる者が増えてきました。

その頃、ミン社長は泰山建設のホン常務(チョン・ユミ )に呼び出されます。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

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ホン常務は、部下に指示してミン社長を弱らせた後、何故立ち退きが上手くいっていないのか問い詰めます。

ボロボロで血まみれになったミン社長は、ソッコンという超能力者が問題だと明かしました。

それを聞いたホン常務は、問題を排除しようと動き始めます。

一方、ソッコンがミン社長らを追い払った様子を捕らえた映像がニュースになり、専門家はソッコンが手に小さな武器を持っており、波動を放っているのだと解説しました。

そんな中、ホン常務の働きかけによって、ソッコンは職場で備品を盗んでいたことを理由に逮捕されてしまいます。

さらに、ホン常務はミン社長の部下に金をチラつかせ、市民の一人を殺したことを白状させます。

そして、ミン社長にすぐ新しい会社を作るよう指示しました。

ホン常務の狙いは、ソッコンが逮捕されて身動きが取れないうちに、ミン社長に警官隊を率いさせて、ルミに立ち退きをさせることでした。

作戦の最後に、ホン常務はソッコンのもとへ面会に向かいます。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

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そこで、超能力を悪用したと追い詰めることもできると脅し、自分のもとで働かないかと勧誘します。

違法デモや不法占拠によってルミが逮捕される可能性を示唆したり、今後もルミと苦しい生活を送るだけだと未来を予想したりと暗い話を並べ、働く気になったら連絡するように言い残し、ホン常務は名刺を置いて去っていきました。

父娘の絆

刑務所にいたソッコンは、街に警官隊が押し寄せ、強引に開発が進んでいく映像を見て、感じた怒りのまま超能力を発揮します。

刑務所から空高く飛び立って脱出したソッコンは、ホン常務のもとへ降り立ち、彼女の名刺と車を叩き潰しました。

その後、再び飛び立ったソッコンは建物などにぶつかりながらも、超スピードでルミを助けに向かいます。

ソッコンは大勢の警官隊を目の当たりにしても、迷わず一人で突き進んでいきました。

しかし、すでに捕まっていたルミは建物の屋上で檻に入れられており、ワイヤーが切れて落下寸前です。

そこに到着したソッコンは超能力で檻ごとルミを引き上げようとします。

ところが、ルミは落下してしまい、空を飛ぶことができるようになったソッコンは急いで追いかけました。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

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そして、無事にルミを救出すると、今までのことすべてを含めて心からの謝罪を伝えます。

助け出したルミを屋上に降ろしたソッコンはミン社長のもとへ飛び立ち、彼を殴って自ら逮捕されるのでした。

4年の時が経ち、ソッコンが出所する日がやって来ました。

ソッコンを迎えに来てくれたのは、弁護士のキムでした。

キムは近く結婚するといい、相手がルミだということで、ソッコンは驚きを隠せません。

『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

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かつてルミの店があった場所は空地になっていて、泰山建設内部の不正によって手もつけられない状態のままでした。

ルミはというと、別の場所でチキン料理店を続けていました。

ソッコンと再会するなり、ルミは「忙しいから、見てないで手伝って」といいます。

その言葉を聞いたソッコンは、久しぶりに超能力を使ってビールを運びました。

それを見た客たちは喜び、歓声をあげます。

ルミの新しい店の名前は、“超能力チキン”なのでした。

【ネタバレ】『サイコキネシス -念力-』感想

超能力が可視化した親子愛

日本では劇場未公開でしたが、Netflixで独占配信されると瞬く間に話題をさらった『サイコキネシス -念力-』。

SFアクションコメディと謳われている通り、超能力満載、アクション満載、コメディ満載ですが何よりも主人公である父と娘の絆が色濃く描かれた作品になっていました。

監督のヨン・サンホは『新感染 ファイナル・エクスプレス』でも、(年齢など設定はかなり違うものの)“ダメな父としっかり者の娘”を描いており、こういったテーマに寄せる想いの強さが感じられます。

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父・ソッコン役のリュ・スンリョンは冴えない中年男性感がチャーミングで、顔芸といってもいいほどの表情の演技が素晴らしかったです。娘・ルミ役のシム・ウンギョンは日本の芸能事務所ともマネジメント契約している演技派女優で、娘役はお手の物といった雰囲気が本作でも漂っていました。
『サイコキネシス 念力』あらすじ・ネタバレ感想

出典:IMDB

超能力を得たことで過去の出来事を清算し、数年後には新しい道に進んで幸せを掴む主人公の姿は痛快で、そこに娘との和解や再出発が重なっていることもあり、目に見えない超能力が目に見えない親子の絆を可視化している点がさらに爽快感と感動を与えています。

そんな親子の絆をより強固にさせているのが悪役の存在。

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前半はキム・ミンジェ演じるミン社長が最大の敵かのように見えますが、実はそのバックにさらに大きな敵がいるという展開は胸熱です。

その本当の最大の敵であるホン常務は冷徹な女性で、にっこりと笑うその表情から繰り出されるえげつない発言、行動は鳥肌ものでした。

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そんなホン常務を演じたチョン・ユミの細やかな視線や仕草は美しく、その美しさがより一層ホン常務を恐ろしい女たらしめていました。

また、ホン常務やミン社長が勤める泰山建設が行っていたような地上げ行為は、実際に韓国で起きた都市の再開発を巡る事件・“龍山事件”をモデルにしたものだといわれています。

そして、ルミが経営しているのがチキン料理店だということにも意味があります。

韓国では受験戦争や就職難、就職できたとしても失業率が高いことなどから、生きづらい社会だと感じている若者が多いと言われています。

そんな若者たちや脱サラした人々が始めやすい事業としてチキン料理店があがり、ルミもそういった流れに乗った一人だと考えられます。

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こうした様々な韓国の社会事情を加味して作られた設定がストーリーを奥深くし、国内外に響く作品となった要因であるといえるでしょう。

映画『サイコキネシス -念力-』あらすじ・ネタバレまとめ

『サイコキネシス-念力-』

出典:IMDB

いかがだったでしょうか。

Netflixで独占配信されている映画『サイコキネシス -念力-』。

SF、アクション、コメディと様々な要素を詰め込みながら、父と娘が織り成す親子愛に引き込まれること間違いなしの作品です。

ぜひご覧ください!

要点まとめ
  • 韓国映画では珍しいCGを使ったSF作品が見れる。
  • チョン・ユミ演じる悪役は美しくて恐ろしい!
  • コメディだけではなく社会性も入れた深い作品。