「この映画、ひと事じゃない」というコピー通り、ハラハラしながらも考えさせられる内容。
田舎で起きた誘拐事件を通して父親と刑事の人間模様を描き、恐ろしさと優しさを感じさせる面白い作品です。
- メリハリのあるストーリー
- 極限状態の父親の心理
- 執念の刑事
それでは『プリズナーズ』をネタバレありでレビューします。
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目次
『プリズナーズ』作品情報
作品名 | プリズナーズ |
公開日 | 2014年5月3日 |
上映時間 | 153分 |
監督 | ドゥニ・ヴィルヌーヴ |
脚本 | アーロン・グジコウスキ |
出演者 | ヒュー・ジャックマン ジェイク・ギレンホール ヴィオラ・デイヴィス マリア・ベロ テレンス・ハワード メリッサ・レオ ポール・ダノ ディラン・ミネット ゾーイ・ソウル エリン・ゲラシモヴィッチ |
音楽 | ヨハン・ヨハンソン |
【ネタバレ】『プリズナーズ』あらすじ
誘拐事件発生、暴走する父親
物語は、幸せな2組の家庭から始まります。
主人公のケラーは家族を連れて隣のバーチ家へ、感謝祭を祝うため遊びに行きました。
自宅にホイッスルを取りにいくと言って、2組の家族の幼い娘、アンナとジョイはバーチ家を飛び出すのですが、何者かにさらわれて行方不明になります。
近くで怪しい車を見たという息子の証言から容疑者が浮上し、警察は容疑者のアレックスを拘束しました。
しかしアレックスは知能が10歳ほどしかなく、証拠もないことから釈放されてしまいます。
警察の捜査に納得いかないケラーは、アレックスを連れ去り拷問を始めました。
一方、警察で事件を担当しているロキ刑事は何度も捜査に行き詰まり、ケラーからも叱責を受けます。
執念ともいえる捜査で新たな容疑者のボブを逮捕するものの、ボブは紙に迷路を描くばかりで証言どころか話もしようとしません。
結局ボブはロキの拳銃を奪い、自殺してしまうのでした。
アレックスから役立つ情報を聞き出すことができず、捜査もいよいよ行き詰まってしまった時にアンナと一緒に誘拐されたジョイが保護されます。
ケラーに、どこにいたか聞かれたジョイは、あなたを見たと言いました。
ケラーは自分の行動を振り返り、ジョイがアレックスの叔母であるホリーの家にいたことを確信します。
ケラーはホリーの家に行ってアンナの居場所を聞き出そうとしますが、そこでホリーが正体を現すのです。
ホリーは今は亡き夫と共謀して子どもを誘拐し、殺害していたのでした。
事件の鍵は『迷路』
今回の事件に関わっていたアレックスとボブもその被害者であり、ボブが迷路にこだわっていたのも、ホリーから「迷路がとけたら帰っていい」と言われていたのを強烈に覚えていたからだったのです。
ケラーはホリーから銃を向けられ、足を撃たれて庭に掘られた穴に放り込まれます。
穴の中で、ケラーはアンナが取りに行くと言っていたホイッスルを見つけたのでした。
ロキはというと、ケラーがアレックスの拷問に使っていた廃屋に向かい、アレックスを保護し、その後にホリーの家に向かいます。
そこでホリーがアンナに薬を注射しているところを目撃するのです。
お互いに銃を向けた結果ホリーは死に、ロキも頭を撃たれながらアンナを病院へと連れていきました。
アンナは一命をとりとめたものの、今度はケラーが行方不明。
ホリーの家の庭を掘って証拠を集めるロキの耳に、かすかなホイッスルの音が聞こえたのでした。
とーる
【ネタバレ】『プリズナーズ』感想・解説
極限状態の父親ケラー
幸せな日常から非日常の絶望へ転落するストーリーというのはサスペンスのお約束でもあります。
そこをどう演出するかというのがそれぞれの作品の特徴だと思うのですが、『プリズナーズ』はサスペンス特有のハラハラとした展開とメリハリのあるストーリーで見ている私たちを飽きさせることがありません。
とーる
恐怖といっても、ホラー的な恐怖ではありません。
もし身近にこんな人間がいたらどうしよう、もし自分がこんな状態になったらどうしようという、日常に潜む恐怖です。
娘を捜すため、ケラーは人道的とは言えない手段を取ります。
拷問されたアレックスの姿は目を背けたくなるほどのひどい状態です。
それを見ている私たちはケラーが暴走していると捉えることもできるでしょう。
しかし、もし自分の大切な人がさらわれて、その手掛かりを知る犯人が目の前にいたら、どんな行動をとるでしょうか。
ケラーと同じように、容疑者を拷問して手掛かりを吐かせようと思わないでしょうか。
とーる
ケラーのようになる可能性は誰にでもあります。
『プリズナーズ』は、それがいいことか悪いことかということではなく、誰もがケラーになり得るということを教えてくれているように感じました。
執念で捜査をする刑事ロキ
ジェイク・ギレンホール演じるロキ刑事には、少年院に6年間いたという珍しい過去があります。
首や指にタトゥーがあり、一見すれば刑事には見えません。
ただ実力は折り紙付きで、捜査した事件は全て解決したという輝かしい経歴も持っています。
そんなロキはアレックスを拘束したところから事件に関わっていくのですが、正直に言えば、ロキは名推理をする刑事ではありません。
暴力的であったり、迷路を描くばかりのボブにイラだって掴みかかったり、その挙句にボブはロキの拳銃を奪って自殺してしまうのですから、衝動的な人物とも言えるでしょう。
とーる
ケラーから怒りをぶつけられ、被害者の家族からは悲しみをぶつけられ、上からは事件の早期解決を急かされる…まさに板挟みです。
捜査に集中したいのに、次から次へと邪魔が入るのですから、ロキはずっとイライラしながら苦しい時間を過ごしていたに違いありません。
何度壁にぶち当たっても、どんな感情を向けられても、ロキは捜査を続けました。
とーる
ロキの過去は明かされていませんが、捜査に対して強迫観念めいたものを感じさせるロキの姿からは、過去に何かあったのではないかと思わずにはいられませんでした。
そして最後のシーン。
とーる
『プリズナーズ』まとめ
以上、ここまで『プリズナーズ』をレビューしてきました。
- まさに迷路のようなストーリー
- ケラーはもしかしたら自分かもしれない
- ロキが優秀な刑事である理由
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