ジェーン・オースティンの世界的に有名な同名小説を実写化した映画『プライドと偏見』。
18世紀末のイギリスの田舎町を舞台とし、当時の女性たちの結婚事情、現代風に言うならば“婚活”を中心に、誤解と偏見から起こる男女のすれ違いや複雑な人間関係を軽妙に描いた恋愛映画です。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのキーラ・ナイトレイが主演を務め、第78回アカデミー賞や第63回ゴールデングローブ賞では主演女優賞にノミネートされるなど高く評価されました。
そして、キーラ・ナイトレイの好演と美貌はもちろんですが、ロマンチックで美しい衣裳、建造物、風景にも魅了されること間違いなしの作品です。
- 18世紀のイギリスを見事に表現した美しい映像が見られる
- 当時の階級社会を忠実に再現!
- 登場人物の心情に寄り添ったストーリー展開に涙すること間違いなし!
今回はそんな映画『プライドと偏見』をネタバレありでご紹介します。
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目次
『プライドと偏見』作品情報
作品名 | プライドと偏見 |
公開日 | 2006年1月14日 |
上映時間 | 127分 |
監督 | ジョー・ライト |
脚本 | デボラ・モガー |
原作 | ジェーン・オースティン |
出演者 | キーラ・ナイトレイ マシュー・マクファディン ドナルド・サザーランド ブレンダ・ブレシン ロザムンド・パイク ジュディ・デンチ サイモン・ウッズ ルパート・フレンド トム・ホランダー ジェナ・マローン キャリー・マリガン タルラ・ライリー |
音楽 | ダリオ・マリアネッリ |
【ネタバレ】『プライドと偏見』あらすじ
ベネット家の5人姉妹
18世紀末、イギリスの田舎町。
ベネット家の5人姉妹は舞踏会に足を運んでいました。
なぜなら、町にやって来た大富豪のビングリー(サイモン・ウッズ)と、その妹のキャロライン(ケリー・ライリー)、友人のダーシー(マシュー・マクファディン)が顔を出すからです。
ベネット家は裕福ではないため、母であるベネット夫人(ブレンダ・ブレシン)は5人の娘たちをお金持ちの家に嫁がせようと必死になっていました。
美しく奥ゆかしい長女・ジェーン(ロザムンド・パイク)は自然にビングリーと仲良くなり、お互いに恋愛感情を持ち始めます。
一方、器量は良いもののハッキリした性格の次女・エリザベス(キーラ・ナイトレイ)は、気むずかしくお堅い雰囲気のダーシーに苦手意識を持つのでした。
舞踏会が終わり、屋敷に戻ったビングリーはジェーンに手紙を送ります。
それは屋敷への招待状でした。
家族が屋敷まで馬車を出してあげようと言いますが、唯一ベネット夫人だけは馬で行くように指示します。
ベネット夫人の言う通り、馬に乗って雨に降られながら屋敷へ向かったジェーンは、風邪を引いてしまいました。
そのため、具合が良くなるまで屋敷で面倒を見てもらうことになります。
実は、これがベネット夫人の思惑通りで、わざとジェーンに風邪を引かせて屋敷に宿泊させビングリーとの仲を深めようという作戦でした。
母の作戦だったとはいえ、ジェーンの身体が心配なエリザベスはジェーンの様子を見に屋敷へ向かいます。
エリザベスはジェーンに気があるビングリーだけでなく、田舎者に厳しいキャロラインともなんとか上手く交流していましたが、後から押しかけてきたベネット夫人と妹たちは品がなく配慮に欠けており、キャロラインから無作法だと思われてしまいます。
やがて風邪が治ったジェーンが家に戻った頃、ベネット姉妹がよく思っていない従兄弟のコリンズ(トム・ホランダー)が、遺産を相続したという知らせが届きました。
そして、ベネット家を訪れたコリンズは、懇意にしてもらっているキャサリン夫人(ジュディ・デンチ)に、ベネット姉妹の中から妻となる女性を探してくるように言われていました。
キャサリン夫人のお気に入りは長女のジェーンでしたが、ベネット夫人からしてみればジェーンはビングリーとの婚約が決まりそうな大事な身。
ジェーンは婚約間近だと素直に伝え、次女のエリザベスはどうかと提案するのでした。
偏見と失恋
エリザベスたち姉妹は、軍の将校であるウィッカム(ルパート・フレンド)と知り合います。
ウィッカムに好意を抱いたエリザベスは、ビングリーの屋敷で行われる舞踏会に彼を誘いました。
ビングリーは了承してくれましたが、一緒にいたダーシーはウィッカムのことをよく思っていない様子です。
ウィッカムによると、ウィッカムとダーシーは幼少からの知り合いで、ダーシーの父は実の息子のようにウィッカムを気に入っていたそうです。
ダーシーの父は聖職者の道を志していたウィッカムに土地を譲ったそうですが、嫉妬したダーシーが他の人に渡してしまったため、現在は歩兵をしているとのことです。
この話を聞いたエリザベスは、今まで以上にダーシーに嫌悪感を示すようになります。
結局、ウィッカムは舞踏会に姿を現さず、エリザベスはコリンズにプロポーズされました。
エリザベスがコリンズのことを拒絶したので、ベネット夫人は夫であり5人姉妹の父であるベネット氏(ドナルド・サザーランド)にエリザベスを説得するよう頼みます。
しかし、ベネット氏がエリザベスの味方をしてくれたことにより、エリザベスはコリンズのプロポーズを断ることができました。
その後、ビングリーからジェーン宛てに手紙が届きます。
それは突然の別れを告げるものでした。
エリザベスはロンドンまでビングリーを追いかけるよう、ジェーンに伝えます。
ジェーンがロンドンに発ってからしばらくすると、エリザベスの友人・シャーロット(クローディ・ブレイクリー)が家を訪ねてきます。
シャーロットは自分が婚期を逃してしまったこと、両親のお荷物になるのが嫌なことを理由にコリンズとの結婚を決めたのでした。
最初は動揺していたエリザベスですが、シャーロットからコリンズと暮らす家に招待されすぐに会いに行きます。
するとキャサリン夫人の屋敷に呼ばれ、コリンズ夫妻とともに出向くことになりました。
そこには他にも招待客がいて、その中にはダーシーもいました。
実は、ダーシーはキャサリン夫人の甥だったのです。
ハッキリとした物言いのエリザベスはキャサリン夫人に好かれず、エリザベスが謙遜などではなく弾けないと言ったピアノを弾かせるなど意地悪をしてきました。
そんな中、もう一人の招待客であるダーシーの友人から、ダーシーがビングリーの危機を救ったという話を聞きかされます。
それはベネット家を無作法だと思ったダーシーが、ジェーンとビングリーとの恋愛にストップをかけたという内容でした。
ぶつけ合う想い
エリザベスがコリンズ夫妻の家で留守番をしていると、ダーシーがやって来ます。
ぎこちなく言葉を交わしますが、シャーロットが帰ってくるなり逃げ帰ってしまいました。
その後、エリザベスが一人でいると再びやって来て、エリザベスはダーシーからプロポーズされます。
しかし、ジェーンとビングリーを引き離し、嫉妬からウィッカムを裏切ったような人のプロポーズを受けるはずもなくエリザベスは絶対に結婚しないと伝えます。
後日、ダーシーはその2つの疑いを晴らすと言ってエリザベスのもとを訪れ、手紙を置いていきました。
手紙には、ウィッカムがダーシーの父の遺産を目当てにしていたことや、財産を得るためにダーシーの妹と駆け落ちしようとしたこと、財産を手に入れることができないとわかると、妹を捨てていったことが書かれていました。
そして、ジェーンとビングリーのことについては、キャロラインがベネット夫人と妹たちの無作法を気に入らず反対していたこと、ジェーンがウィッカムのように財産目当ての可能性もあることを加味したうえで純粋に友人であるビングリーのために助言したようでした。
エリザベスはジェーンが本気でビングリーのことを想っているとダーシーに伝えますが、そもそもダーシーの話がどこまで信用できるものなのか思い悩んでいました。
やがて家に帰ったエリザベスは、叔父と叔母に誘われて旅行に行くことにします。
しばらくすると、旅先がダーシーの屋敷の近くだと気づき激しく動揺します。
しかし、ダーシーはほとんど不在で屋敷にはめったにいないと聞いたので、叔父と叔母に連れられて屋敷の中を見学することになりました。
エリザベスが屋敷を見学していると、美しいピアノの音色が聞こえてきます。
部屋を覗いてみると、そこにはピアノを弾いていた少女と抱き合うダーシーの姿がありました。
ダーシーは予定を一日早く切り上げて、屋敷に戻ってきていたのです。
ダーシーと遭遇し、気まずくなったエリザベスは逃げるように去っていくのでした。
解けていく誤解
その夜、エリザベスが食事中に席を外すと、ダーシーが叔父と叔母のもとを訪ね夕食に招待していました。
ピアノを弾いていた少女、もといダーシーの妹をエリザベスに紹介したいという申し出だったため、エリザベスも招待を受けることにします。
夕食へ向かうと、なごやかな空気が流れ、エリザベスとダーシーも良い雰囲気で会話をします。
そんな時間も束の間、ジェーンから緊急の手紙が届きます。
手紙の内容は、末妹のリディア(ジェナ・マローン)がウィッカムと駆け落ちし、行方不明になっているというものでした。
ダーシーはウィッカムの素性を隠していたことに責任を感じてエリザベスに謝りますが、エリザベスもまた妹たちに話さなかったことを悔いていました。
とにかくエリザベスたちは急いで帰ることにします。
家に戻ると、ベネット夫人はリディアのことが心配なあまり寝込んでいました。
その頃、捜索の協力をしてくれていた叔父から、リディアとウィッカムを見つけたという知らせが入ります。
そして、少額のお金を渡すだけで家に戻ってくると記されていました。
ベネット氏やエリザベスは、本当は叔父がウィッカムに大金を払ってくれたのではないかと考えます。
しかし、その予想は外れていました。
エリザベスは家に帰ってきたリディアから、ダーシーが資金を援助してくれたことを聞かされます。
さらに、ビングリーとダーシーがベネット家を訪れ、ビングリーがジェーンにプロポーズをするという出来事も起こります。
もちろんジェーンは結婚を決め、ベネット家は大きな喜びに包まれるのでした。
一方で、エリザベスはダーシーの人間性について大きく誤解していたことに気づき、自分の気持ちの変化に困惑していました。
その夜、ベネット家に突然キャサリン夫人が押し入ってきます。
ダーシーとエリザベスが婚約したという噂を聞いて、真偽を確かめに来たのです。
それだけではなく、身分や人間性のことまで侮辱されて傷ついたエリザベスは、婚約していないことを伝えて追い返しました。
眠れないまま朝を迎えたエリザベスは、外に出て風に当たります。
すると、キャサリン夫人がベネット家を訪れたと聞いて、同じく眠れない夜を過ごしていたダーシーがやって来ました。
そこでダーシーは、今も変わらない気持ちでエリザベスを愛していることを伝えます。
エリザベスもダーシーを愛していることに気づき、2人は朝焼けの中で手を取り合い見つめ合うのでした。
ダーシーはエリザベスとの結婚を認めてもらうため、あらためてベネット氏のもとを訪れます。
そして、エリザベスもベネット氏にダーシーへの愛を語るのでした。
家族みんながエリザベスはダーシーのことを嫌っていると思っていたのでベネット氏は混乱しますが、ダーシーがジェーンやリディアのために尽力してくれたことを知ると、深く納得します。
ダーシーへの誤解が解け、本当の愛を見つけたエリザベスを愛おしそうに見つめるベネット氏はもちろん2人の結婚を認めるのでした。
【ネタバレ】『プライドと偏見』感想
女性が選ぶ人生
『プライドと偏見』で描かれている18世紀末のイギリスでは、女性が相続権を持ちません。
そのため、ベネット家では5人の娘がいるにもかかわらず、誰もが家長であるベネット氏から遺産相続を受けられないのです。
そして、その遺産は一番近い親戚の男性である従兄弟のコリンズのもとへ渡ってしまいます。
このことは母であるベネット夫人が娘たちを玉の輿に乗らせようと奮闘する大きな理由になっており、姉妹たちが結婚という選択を迫られる理由にもなっていますした。
主人公のエリザベスは、そんな時代に生きていても自分が望んだ結婚を理想としており、愛することができる相手と結婚したいと考えています。
一方で、友人のシャーロットは自身を婚期を逃してしまった女性と自覚しており、両親に迷惑をかけたくないからと即結婚を決めました。
このことからもわかるように、女性の結婚は家族の将来にも大きく関わってきます。
特にエリザベスたち姉妹やシャーロットは田舎の社交界に属しているため、とりわけお金持ちが多いわけではありません。
大富豪のビングリーやダーシー、軍に所属しているウィッカムとの出会いは、貴重で大切な出会いだったのです。
そんな状況なので、愛した人との結婚のみを望むエリザベスが非難されるのは、極めて自然なことでした。
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例えば、ビングリーは大富豪ですが田舎者で貧乏なジェーンを真摯に愛する心を持っています。
ダーシーも悪いところは多々あるものの、くもりのない目でエリザベスを愛し生涯の伴侶に選びました。
ところが、ビングリーの妹であるキャロラインは、端から田舎の社交界を見下している様子がわかります。
そして、ダーシーの叔母にあたるキャサリン夫人は、財産も教養も権力も持っていますが、自己中心的で意地悪で、自分が他者を差別的に見ていることに気づいてすらいません。
そんな中、ベネット氏という人間は本作において重要で、教養があるとかないとか、富豪とか貧乏とか、そういったくくりから逸脱した存在です。
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時代が違えば、『ブリジット・ジョーンズの日記』のブリジットのように、『イン・ハー・シューズ』のフェラー姉妹のように、そして『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のジョーのようになっていたかもしれないエリザベス。
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『プライドと偏見』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
- 皮肉のこもった古典的ラブストーリー!
- キーラ・ナイトレイの名演に魅了される
- ロマンチックで美しい映像が印象的
古典的なラブストーリーに、美しい情景が広がる映画『プライドと偏見』。
ただ当時の結婚事情を描くだけでなく、そんな状況に一石を投じるようなスタイルが現代にも響く理由の一つとなった作品です。
キーラ・ナイトレイの出演作の中でも、一度は観てほしいとおすすめできる一作になっています。
ぜひ、ご覧ください!
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