以前より情報を公開がされている京都出町座にて特集上映「PLAYBACK2020: 若手作家特集」が開催され、公開作品が決定しました。
またプログラム1月15日(金)上映作品の梅村和史監督『静謐と夕暮』の新しい予告編が解禁。
新たに著名の方々から本作品にコメントも寄せられましたので、お知らせします。
目次
「PLAYBACK2020」開催概要
【特集上映タイトル】:PLAYBACK2020【若手作家特集】
【上映作品】:『静謐と夕暮』梅村和史監督作品、『オーファンズ・ブルース』(工藤梨穂監督)、『人間シャララ宣言』(柘植勇人監督)『ロストベイベーロスト』ほか計9作品
【日時】:2021年1月15日(金)〜1月21日(木)@出町座
※1月15日(金)上映後ゲストを招聘、およびトークショーを開催。
登壇者:監督 梅村和史/映画批評家 北小路隆志
【場所】:出町座(京都市上京区今出川通出町西入上ル三芳町133出町桝形商店街内)
【企画・主宰】:松澤俊朗
【協力】:京都芸術大学 映画学科/京都みなみ会館/出町座
電話予約について
出町座では現在新型コロナウィルス蔓延拡大状況を受け、全上映回の電話による事前予約を行なっています。
各作品、希望上映回の1週間前から予約可能で『静謐と夕暮』は1月8日(金)より予約開始。
予約方法については公式HPを:https://demachiza.com/news/6491を参照。
「PLAYBACK2020」公開作品『静謐と夕暮』作品概要
梅村和史(京都造形芸術大学映画学科2019年度卒)による卒業制作作品。
メインキャストには同期生の山本真莉を起用。
作中のキーパーソンを演じるのは俳優の入江崇史。
松本動監督作品『公衆電話』にて「SSFF&ASIA2018/ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2018」(東京都開催)ジャパン部門ベストアクター賞、「第11回オイド映画祭東京」短編コンペティション演技部門・特別賞を受賞した実力派俳優です。
監督の梅村和史は、2018年に初監督短編作品「つたにこいする」を制作。
当作は2019年度海道力也映画祭にて上映されました。
プロデューサーは『ムチノセカイ』(2018年)を監督した唯野浩平。
こちらは2020年10月池袋シネマロサ「新人監督特集 vol.6『灰色の街特集 俺たちに明日はナイト』」にて上映。
本作は監督梅村が経験した恩師の自殺をベースにしています。
制作前にはスタッフ3人でリサーチやヒアリングを重ね、遺族をはじめ残された人々の声に耳を傾けました。
死をとおして透かしみる、その人が「生きていた」という事実に丁寧に向き合い、他者にいかに伝えることが可能かを試みた作品です。
『静謐と夕暮』作品情報
監督:梅村和史
出演:山本真莉、入江崇史、長谷川千紗、石田武久、梶原一真
監督・脚本・撮影:梅村和史
主演・制作・美術:山本真莉
プロデューサー・録音:唯野浩平
136分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/日本
あらすじ
写真家の男が川辺を歩いていると、川のほとりでたたずむ老人に、何やら紙の束を渡す人間がいました。
翌日、再び男がその場所に行ってみると、それを読む人々が…。
その紙には、渡した人間のものとも思しき日常が、文章としてしたためられていました。
舞台はこの川辺付近の町。
影のようなその人間は、(自分の思い出と向き合い離別を図りながら)隣に越してきた黄色い自転車の男の後を追い始めます。
『静謐と夕暮』著名人からのコメント
映画監督:白石和彌(『孤狼の血』/『凶悪』)
丁寧に積み重ねた映像と丹念に拾い集めた音が静かに人の呼吸を際立たせ、一輪挿しの花のように孤独な人々を梅村監督は優しいショットで包み込んでゆきます。
スクリーンと対峙しながら、いろんな問答を自分と繰り返しました。
長期熟成されたウイスキーを味わうように、深く記憶の余韻が広がる映画です。
映画監督:鈴木卓爾(『ジョギング渡り鳥』/『嵐電』)一部抜粋
たった三人のスタッフ、そのうちの一人が主演俳優も兼任した『静謐と夕暮』にはざわめきを発見する冒険が満ち溢れています。
タイトルにある「静謐」というキーワードには一切の情報や予定調和とは無縁な造りなのだという暗号が込められています。
人が何かに向かっている背中をじっと見る活劇に高揚する映画が好きな人なら、とても新しい映画が生まれたと鼻腔から深く吐息をつかれるのではないでしょうか。
静かに見えてひとときもひっそりとしていない、この映画を観る時のあなたの五感がそう感じてくださるといいなと思っています。
映画監督:古厩智之(『ホームレス中学生』/『のぼる小寺さん』)一部抜粋
『静謐と夕暮』のスクリーンでは、風はざわざわといって、扇風機は回る、電気が消える、キレイ、夜走る自転車、電車の窓の反射が橋脚に映ります…。
「他人に見られる」という自意識がないぶっきらぼうな主人公の少女、過去を旅し、辺境の川原に、何もしない。ただただ、目が開かれて行きました。
主演の山本真莉の自意識のない瞳は、世界に名前のつく前の豊かな時間を垣間見せてくれます。
詩のような時間を生きることができていた時間を…。
映画監督・女優:唯野未歩子(『三年身籠もる』/『9souls』)一部抜粋
詩と映画、昼と夜、生と死、思い出と現在、少女のような少年と男のような女、穏やかでやさしげな父と孤独なホームレスの老人…。
境界線は混じりあい、ぼやけて、ボーダーレスな世界を淡くはかなく映しだします。
世界はとても水色です。
女優:窪瀬環(『嵐電』)
無作為に、ただただ歩かないと再会できない物事があるのでしょう。
限りなくこの世に近く、この身にも近いどこかの世界の夏に引き込まれました。
この映画の光は、映画館で観てほしいと強く思います。
女優:辻凪子(『ぱん』)
2時間越えの長編映画をもっと知りたくなって続けて2回見ました。
ガタンゴトンガタンゴトンと、静かにゆっくりと映画の世界に吸い込まれていきます。
何故こんなにずっと眺めていられるのでしょう。
彼女が過ごしている日常は興味深くて美しく生きているだけでいいやと思いました。
類を見ない卒業制作。
梅村組の4年間が世界に放たれた作品です。
梅村和史監督プロフィール
1996年生まれ、岐阜県出身。
高校時代、『博士の異常な愛情』(スタンリー・キューブリック監督)に出会い、いつかこれを超えるかっこいいものを作りたいと思い、映画の道に進みます。
初監督作品は『つたにこいする』(2018)。
監督の他、音楽制作にも力を注いでおり、1月22日より京都みなみ会館にて上映される『ROLL』『忘れてくけど』をはじめ村瀬大智監督全作品の音楽を手がけています。
本作『静謐と夕暮』は初の長編監督作品です。
「PLAYBACK2020」上映作品情報
『静謐と夕暮』1月15日(金)
監督:梅村和史
出演:山本真莉、入江崇史、長谷川千紗、石田武久、梶原一真
監督・脚本・撮影:梅村和史
主演・制作・美術:山本真莉
プロデューサー・録音:唯野浩平
136分/アメリカンビスタ/5.1ch/カラー/日本
第44回サンパウロ国際映画祭 新人監督コンペティションノミネート作品。
列車のノイズで満たされた橋の下、死にゆく老人に、ある原稿を渡して去りゆく、一人の女を見ました。
人が『生きた』こととは。その抽象性に感覚的にアプローチすべく、スタッフ三人で制作。
監督は梅村和史、他作品には『つたにこいする』(2018)があります。
『もとめたせい』1月16日(土)
出演:掛橋七海、前田隆成、田井由美子、中山創太、池島菊乃、原彩花、鈴木卓爾
撮影・照明:西岡徹
録音:池田紗月、菊本悠貴
美術:原彩花
衣裳・メイク:松岡実花、大谷葉月
助監督:塩塚迪香
音楽:松原直樹
脚本:上田美穂
プロデューサー:安井希歩乃
監督・編集:矢部凜
2020/30分/日本/2019年度卒業制作
PFFアワード2020入選
「変態」から始まる屈折したガール・ミーツ・ボーイ。
同級生の男子から突然「ブラジャー貸して欲しい」と相談された主人公。
誰にも言えない秘密の中で、ふたりは仲を深めていきますが…。
監督は矢部凜、他作品には『リビングファミリー』(MOOSIC LAB 2018短編部門)など。
『お姉ちゃんは鯨』1月16日(土)
出演:田中志朋、石倉直実、野島健矢、金子友萌、藤井久志、熊田修、新谷惇泰、橋本剛幸
撮影:西井千裕
録音:藤井久志
美術:中川結
衣装:池下すみれ
制作:金子友萌
助監督·編集:杉林睦
監督・脚本:村上由季
協力:島根県隠岐郡海士町
2015年/56分/日本/2015年度卒業制作
青山フィルメイト2016審査員特別賞受賞、第28回東京学生映画祭グランプリ・最優秀役者賞受賞
小さな島の静かな港町。
年の離れた姉の依澄が島に帰ってきました。
いつでも大きすぎる存在感の姉に、那津にはある疑念が…。
交錯する姉妹の心と思春期の感情を丁寧に描き出すヒューマンドラマ。
監督の村上由季は本作が初長編作。
『人間シャララ宣言』1月17日(日)
出演:望月卓哉、米川幸リオン、杉本瑞季、鈴木卓爾、岡本勇市朗、仙臺和也、水上竜士、青山真治、森川稔
撮影:山内俊介
照明:畑地櫻
録音:齋藤愛子
美術:加藤瞭
衣装・メイク:大原彩香
編集:笠原みどり
助監督:馬渕修
プロデューサー:笠原みどり
監督・脚本・音楽:柘植勇人
2016/75分/日本/2015年度卒業制作
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2017出品、第17回TAMA NEW WAVEある視点出品
社会のなかで上手く生きていけない中学教師・五十嵐優と、半端なヤクザ・島袋仁、エロチャットに没頭する熊沢佳代。
恩人である中野勝の葬式に出席するその時、3人の運命を変える“青い稲妻”が落ちる?
旅先で彼らが見つけたものとは…。
監督は柘植勇人。
代表作には『ロストベイベーロスト』(2020)。
『アンシャン = レジスタンス』1月18日(月)
出演:廣兼世那、谷口恵太、藤井愛希、高尾悠希、村井崇記、中山紗矢香、藤原大介、原健、西村トシコ、見並文美、浜田俊輔、川口果恋、渡邊真帆、中谷天斗、松尾渉平、古川真穂、鈴木卓爾
撮影:西平瑞穂
照明:嶋津季輝
錄音:篠原茉莉
美術:小川明香
衣装:森田夏海
メイク:黒木理香、福本莉帆
制作:松田亘
編集:田村聖馬
助監督:仲智哉
監督・脚本:金山豊大
2016年/97分/日本/2016年度卒業制作
在学時よりゾンビ映画『正気の沙汰Day Night』(2014)『郭公の変』(2015)を制作し、本作が金山豊大ゾンビ3部作最後にして代表作。
世界で唯一生き残ったゾンビを通して、現代社会の不条理や差別の解消を訴えるホラーコメディー。
『オーファンズ・ブルース』1月19日(火)
出演:村上由規乃、上川拓郎、辻凪子、佐々木詩音、窪瀬環、吉井優
助監督:遠藤海里、小森ちひろ
撮影:谷村咲貴
録音:佐古瑞季
照明:大﨑和
美術:柳芽似、プロムムアン・ソムチャイ
衣装:西田伸子
メイク:岡本まりの
制作:池田有宇真、谷澤亮
監督・脚本・編集:工藤梨穂
2018/89分/日本/2017年度卒業制作
PFFアワード 2018グランプリ・ひかりTV賞、なら国際映画祭2018 NARA-wave ゴールデンKOJIKA賞・観客賞、TAMA NEW WAVE ベスト女優賞、横濱インディペンデント cinefil賞
日々、記憶を喪失していってしまう自分に恐れを抱いている女、エマ。
彼女はある日、行方不明になってしまった幼馴染のヤンを探す旅に出ます…。
終わらない夏の中で、誰かをひたむきに思い続ける彼らの孤独と絶望に光を映し出す希望のロードムービー。
本作でPFFアワード2018グランプリを受賞した監督の工藤梨穂は、現在PFFスカラシップ『裸足で鳴らしてみせろ』を制作中。
『たおやかに死んでいる』1月20日(水)
出演:伊藤キム、田中志朋、麿赤兒、中村瞳太
音楽:skmtsynt
照明:藤井光咲
録音:斎藤大貴
美術:村田有希
助監督:田端奏衛
監督・脚本・撮影・編集:米倉伸
2017年/76分/日本/2016年度卒業制作
イメージフォーラム・フェスティバル2018、関西エクスペリメンタル新作展出品
舞踏家の伊藤キム、麿赤兒が出演。
強烈な身体性から存在の輪郭を炙り出す作品。
監督の米倉伸は現在、撮影部として活躍。
主な撮影作品に、『青のハスより』(2018)『ロストベイベーロスト』(2020)があります。
『ロケーション・ハンティング』1月21日(木)
出演:松川隼人、日野悠、真砂豪、仁熊海紀子、居郷毅、小倉綾乃、井上忠彦、村上康子、三村晃庸
照明:沖森勇樹
録音:伊東悟志、大浦悠
美術・衣装:田中沙紀
車輌:近藤芳生
助監督:中嶋敦尚
制作主任:三浦聖弘
プロデューサー:松川隼人
監督・脚本・撮影:荻島健斗
2015年/56分/日本/2014年度卒業制作
ヤング・パースペクティヴ2015出品
映画の「ロケハン」を通して描かれる青春ロードムービー。
監督の荻島健斗は在学時より映画を制作し、本作が初長編作品。
代表作には『青のハスより』(MOOSIC LAB 2018長編部門)があります。
『夜のこと』1月21日(木)
出演:柳沢友里亜、浦島史生
撮影:若井宏樹
録音:川合洋輔
衣装:澤木まふゆ
制作:山中麻里絵
助監督:岩田拓也、柴田崇秀
監督・脚本:坂西未郁
2014/22分/日本/2013年度卒業制作
懐中電灯を片手に夜の街を彷徨う女性。
いつもと表情の違う町を照らす先には…。
監督は坂西未郁、他作品には『すこしのあいだ』(2013)『こないだ』(2014)“アートライン柏”『その日の朝は、』(2015)“MOVING 2015” 映像展示「朝の風景」『わずかな時間』(2016)“福井夢アート”などがあります。
特集上映『PLAYBACK2020』【村瀬大智特集】も開催決定!
19歳の時初めて監督した『忘れてくけど』が2019年カンヌ国際映画祭ショートフィルムコーナーにて上映。
監督3作目『赤い惑星』が池袋シネマ・ロサにてロードショー、初長編監督の『ROLL』で TAMANEW WAVE コンペティション入選、なら国際映画祭 Nara-waveにて観客賞を受賞する、今注目の若手監督村瀬大智の作品が上映します。
【詳細:https://kyoto-minamikaikan.jp/movie/9157/】
特集上映『PLAYBACK2020』【村瀬大智特集】イベント情報
日時:1月22日(金)ゲストトーク
場所:@京都みなみ会館
登壇者:井浦新氏(『朝が来る』)×鈴木卓爾氏(『嵐電』)×村瀬大智(『ROLL』監督)
※現在チケットは完売しております。
※新型コロナウイルスの感染拡大によりオンライン舞台挨拶に変更になる場合がございます。