芸能界の光と闇、人間の表と裏、嘘と真実。
人気絶頂にあった俳優が突然、自殺を選んだ理由は何なのか。
幼いころから側にいた親友が紐解いた先にある“真実”とは?
- 現役アイドル、NEWSの加藤シゲアキ原作小説を2015年に映画化した作品
- 開始から62分後に世界がひっくり返ります
- どんでん返し系ではないけど、そっち方面の作品が好きな人にはグッとくるかも…?
それではさっそく映画『ピンクとグレー』をネタバレありでレビューしたいと思います。
目次
『ピンクとグレー』作品情報
作品名 | ピンクとグレー |
公開日 | 2016年1月9日 |
上映時間 | 119分 |
監督 | 行定勲 |
脚本 | 行定勲 蓬莱竜太 |
原作 | 加藤シゲアキ |
出演者 | 中島裕翔 菅田将暉 夏帆 岸井ゆきの 千葉哲也 マキタスポーツ 入江甚儀 橋本じゅん 矢柴俊博 宮崎美子 柳楽優弥 篠原ゆき子 |
音楽 | 半野喜弘 |
【ネタバレ】『ピンクとグレー』あらすじ
大貴(菅田将暉)とごっち(中島裕翔)の出会い
14年前、関西出身の河田大貴(菅田将暉)は小学校5年生の頃、埼玉へ引っ越しました。
その日のことで印象に残っているのは、やたら寒い日だったということくらい。
両親とともに挨拶しに行ったご近所さんのところには大貴と同い年の鈴木真吾(中島裕翔)が住んでいました。
馴染みのない土地で面白くない日々を過ごしていた大貴は壁に向かってボールを投げ「しょーもな!」と言いながら一人でキャッチボールのようなことをしていると、そこへ真吾と真吾の幼馴染のサリー(夏帆)がやってきます。
「しょーもな!」と言い合いながらキャッチボールをして、いつしか仲良くなり、大貴と真吾とサリーは何をするにも一緒の仲になりました。
大貴は名字の“河”からとって“りばちゃん”、真吾は“ごっち”というあだ名で呼び合うようになります。
時を経て高校時代、バンドを組んでいた二人。
大貴はポールに、ごっちはジョンに憧れていました。
バンドではフジファブリックやくるりをカバーしたり、あとはごっちがオリジナルで曲を作ったりもしています。
あるバレンタインの日。
大貴いわく「ジョンはモテモテで、ポールはイマイチだった」の言葉通りに可愛い女子たちからチョコをもらうごっちと、学年で有名な個性的な女子からチョコを“もらってしまう”大貴。
小学生の頃から一緒に過ごしてきたサリーが初めて作ったチョコも、ごっちにあてたものでした。
ほろ苦い思い出のバレンタインデーからほどなくしてサリーは引っ越してしまいます。
悲しい事故と、二人の転機
ごっちがオリジナル曲を作ったり、それを大貴に弾き語りで聞かせたりしていた日常のなか、ごっちの姉がバレエの舞台の公演中に高いところから落ちて事故死しました。
ごっちは「やるしかない。やらないなんてない」が信条だった姉を慕っていました。
ある時、二人は渋谷でファッション誌の編集から声をかけられます。
何枚かスナップを撮った後日、有望株として二人は芸能プロダクションの社長に紹介され、エキストラや読者モデルの仕事をすることになりました。
そして事務所からの帰り、芸名をどうするかなんて話をしながら信号待ちをしていたところで偶然サリーと再会します。
サリーは美大に通う大学生になっていました。
二人も東京に出て生活を始めます。
ごっちはエキストラとして参加したドラマで監督から演技を褒められ、連ドラのレギュラーも決まり“白木蓮吾”という芸名で活動が広がっていきます。
ごっちの20歳の誕生日、そのころには三本の映画を抱え次のクールのドラマで“良い役”も決まっていました。
自分の力では何もなせずにいる大貴とは、少しずつ差が生まれ始めていました。
そんな二人が、初めてドラマの現場で絡む機会がやってきます。
しかし、場馴れしていない大貴はNG連発、ごっちには無視され自信を無くし、事務所にも「白木蓮吾とのバーターは嫌だ」と共演を断るようになっていきます。
ある日、大貴が家に帰るとテーブルにごっちから置手紙がしてありました。
事務所が変わること、新居も都心に移ること、そこでも一緒に住むつもりでいることが書いてありました。
事務所の移籍は引き抜きによるものでした。
今の事務所を裏切ってでも移籍したいのかと問い詰めたところ、ごっちは「俺は売られたんだよ」と言いました。
それに、大貴が自分と一緒の仕事が嫌で避けていることに気が付いていたため、同じ事務所にいない方がいいと決断したのでした。
ごっちは「りばちゃんこそが芸能界に必要な人間だ」と言いますが、二人は言い合いになり、大貴は「今のごっちとは住めない」と吐き捨てて部屋を飛び出してしまいます。
向かったのはサリーのところでした。
人気俳優・白木蓮吾(中島裕翔)と、フリーター・河田大貴(菅田将暉)
3年後、大貴はサリーと暮らしていました。
面接は受けているものの定職に就かずふらふらとフリーターをしている大貴と対照的に、テレビからは人気俳優・白木蓮吾の熱愛発覚を報じるワイドショーが流れていました。
そんなある日、高校のころの同窓会が開かれ、そこにごっちも現れました。
久し振りの再会に気まずくなった大貴は体調が悪くなったということにして会場を後にします。
一人とぼとぼと歩いているところにごっちから電話がかかってきて、二人で飲み直すことになりました。
語り合い飲み明かし、微妙な隔たりのあった関係が修復して昔のように笑い合う二人は、デュポンのライターとキャバクラのライターを“記念”に交換しました。
不意に冗談なのか本気なのかわからないトーンでごっちが「有名になりたい?」と大貴に聞きます。
いやいや、と笑ってかわす大貴でしたが、ごっちは「代わってあげるよ。明日からもう有名になれる」などと言いました。
翌朝、大貴が目を覚ましたのはごっちの家で、テーブルには書置きがありました。
仕事が夜までかかるから9時に部屋で待ち合わせしようということ、それから“昨日の話”をするために二人で飲もうということが書かれていました。
書かれていた通りに夜9時、シャンパンを片手にごっちの部屋を訪れた大貴が目にしたのは、天井から首を吊っているごっちでした。
テーブルの上には大貴にあてた遺書が置いてありました。
そこには大貴あてのものの他に、六通書いた遺書の中から白木蓮吾らしいものを一通選んでほしいと書いてありました。
一番側にいた大貴が最後の白木蓮吾を作って欲しい、ということでした。
62分後のトリック
遺書を読んで、天井からぶら下がるごっちの脚に縋るようにして号泣する大貴、画面がモノクロになっていき「カット!」の声がかかります。
そして「このシーンをもちまして白木蓮吾役、河鳥大さんオールアップです!」の声。
vito つまり、劇中の「ピンクとグレー」という映画の中で白木蓮吾を演じていたのは、河鳥大という芸名で俳優活動をしていた河田大貴だったのです。 画面はモノクロのまま、劇中の“現実”が進行していきます。 オールアップ後、送りの車の中で事務所の人が言った「凄いよな、1年も経ってるのに。」の言葉に大貴が見上げたのは“白木蓮吾(柳楽優弥)”のポスターでした。 ごっちの自殺後、6通の遺書の中から大貴が選んだのは“白木蓮吾の自伝を書き、白木蓮吾として生きる”というものでした。 「ピンクとグレー」が完成して出演者、監督、スタッフたちとの試写会に現実世界のサリー(岸井ゆきの)も招かれました。 劇中のサリーに対して“私こんなに可愛くない”と言いつつも、自伝の中にある蓮吾の言葉通りに一晩で有名人になり人気俳優にのし上がった大貴を健気に支えていましたが、大貴とサリー役の女優の熱愛記事をきっかけに関係に亀裂が生じました。 見ていられないほど自分を削ってまでスターとして生きていこうとする大貴に、ある時サリーは「もうやめちゃえばいい」と言いますが、それがきっかけで激怒した大貴はサリーがごっちの20歳の誕生日にプレゼントした油絵を踏みつけて切り裂きました。 心に抱えた爆弾はそれだけで収まらず、劇中で大貴を演じた河瀬という先輩俳優に悪態を吐かれたことをきっかけに殴りかかり鼻の骨を折り、全治一か月の怪我を負わせてしまいます。 自暴自棄になり、もう何をどうしたらいいかわからなくなってしまった大貴は蓮吾の実家を訪れました。 りばちゃんがこんなに立派になって、自分を演じてくれたんだから蓮吾は喜んでいると蓮吾の母(宮崎美子)は言い、一本のビデオテープを渡しました。 あの映画と少し違ったところがある、りばちゃんには知ってもらった方が良いというビデオに映っていたのは、蓮吾が姉に対してバレエの舞台への意気込みを聞いたりする他愛ない映像。 しかし蓮吾の、姉に対しての“愛”が見て取れる映像でした。 そしてビデオから、蓮吾の姉が舞台の高いところから転落したのは事故死ではなく、蘭のように華々しく散りたいという自殺願望による死だったことにも気付きます。 大貴はふらりと蓮吾のマンションへ向かい、天井からぶらさがったままの縄に首をかけて自殺を試みますが、縄が外れて地面に叩きつけられ失敗します。 顔を上げれば、ソファにはモノクロの世界でただ一人カラーの蓮吾が座っていました。 そして自殺の真相を「姉と同じ1月24日に死ぬと決めていた」と語りました。 だから誰も自分の死んだ理由なんかわかるわけがない、と。 大貴は「お前のこと全然わからへんかった、親友ちゃうわ」と泣き笑っても、蓮吾は「それでいい」と言うばかり。 「一人で先にいきやがって、アホ!」と泣く大貴を「ごめん」と蓮吾が抱きしめて、ようやく大貴に“色”が戻ってきました。 大貴は、いつか見た街の大きな蓮吾のポスターにデュポンのライターを投げ付け、しょーもな!と言いました。 vito 前情報として、かなり改変されているというのを目にしていたので“それはそれ、これはこれ”なんだろうなと思って。 例の62分後のトリック、私は面白いと思いましたけど何かちょっと混乱しちゃったんですよね。 vito 頭では理解しているけど視覚から入ってくる情報と一致しないというか。見ながら上手く頭を整理していけるタイプの人には、特に違和感もないようなことかもしれませんが。 そして混乱したせいであらすじの文章もわかりにくいこととなっているでしょうけどそのあたりは実際に映像で見て頂くとして。 何だろうなぁ…別にキャストが悪いとか言うつもりはないんですけど、そして中島裕翔と菅田将暉が逆だったら、とも思わないんですけど。 vito 本編だと思って見ていたのが劇中劇だったっていうのは割と好きな手法なので、そのあたりはお気に入りポイントだったりします。 この作品に関しては、場面を切り取って「ここが好き!」っていうよりは全体的な見せ方が好きです。 一番わかりやすいところで言うと色の使い方。 劇中劇が終わって“現実”の世界はずっとモノクロのまま物語が進んでいくんですけど、最後の方で蓮吾だけがカラーで現れたあたりからの見せ方が凄く好きです。 蓮吾が大貴を抱き締めてる時、蓮吾はカラーで大貴がモノクロなのどうやって撮影したんだろうとか無粋なことを考えちゃう程度には、くっきり色が違って“世界”が違うのを視覚で得ることができます。 vito あとは蘭とか蓮とか、花の名前が色んなことの理由になっているのも好きなところだったりします。 それに関して蓮吾のお姉さんが発端で、蓮吾が同じような発想をもつようになったんだろうなぁっていうところも。 vito 姉弟の様子が映ってるビデオの中身も心がじわっとして好きです。 ごっち視点での白木蓮吾としての人生がどんなものだったか、というもの見てみたい気がします。 “62分後の衝撃”遂に解禁!あなたの“イチオシ”シーンはどこ? — 映画『ピンクとグレー』 (@pinktograymovie) January 9, 2016 以上、ここまで映画『ピンクとグレー』についてネタバレありで紹介させていただきました。蓮吾の自殺の真相
【ネタバレ】『ピンクとグレー』感想
面白いけど混乱する物語
巧みな色の使い方
『ピンクとグレー』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
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