2010年代後半からスティーブン・キングの人気がじわりじわりと再来しています。
隔年ごとに立て続けに作品が作られてはいましたが、爆発的に製作されるようになったのはキングの代表作「IT」をリメイクした2017年公開の『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』以降ではないでしょうか?
スティーブン・キングへの世間からの関心度は年々高まっています。
そんなキング・ブーム真っ只中の2020年、本作『ペット・セメタリー』もまたリメイク作品として公開されました。
- リメイク版『ペット・セメタリー』は、キング・ブーム再来の証
- 死んだ者を蘇らせるという禁断の設定
- ラストに待ち受ける衝撃の展開に息を呑む
それでは『ペット・セメタリー』をネタバレなしでレビューします。
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目次
『ペット・セメタリー』作品情報
作品名 | ペット・セメタリ― |
公開日 | 2020年1月17日 |
上映時間 | 101分 |
監督 | ケビン・コルシュ デニス・ウィドマイヤー |
脚本 | ジェフ・ブーラー |
原作 | スティーブン・キング |
出演者 | ジェイソン・クラーク エイミー・サイメッツ ジョン・リスゴー ジェテ・ローレンス ヒューゴ・ラヴォイエ ルーカス・ラヴォイエ オブッサ・アフマド ヴィクター・パスコウ アリッサ・ブルック・レヴィン スージー・スティングル マリア・ヘレラ |
音楽 | クリストファー・ヤング |
『ペット・セメタリー』あらすじ【ネタバレなし】
田舎にある一軒家に引っ越してきたクリード一家。
新しい家、新しい生活に期待を膨らませ、これから楽しい日々が待っているものと誰も疑いませんでした。
喧騒に包まれた都会での暮らしを捨て、閑静な田舎暮らしにシフトした一家でしたが、家の前では昼夜問わず大型トラックがスピードを出して往来しています。
ここでは、いつも交通事故が多発し、近隣住民が飼う動物たちが犠牲になっていました。
そのため一家が住む家の裏には動物霊園があり、亡骸が埋められています。
しかし、その墓所の奥には、触れてはいけない禁断の墓地があったのです。
その土地に宿る不思議な力により、その墓地に埋められた生き物は蘇ってきてしまうのです。
そして、ある日クリード家の長女エリーがペットたちと同じようにトラックにはねられて死んでしまいます。
悲しみに暮れる父・ルイスは禁断の行動に出てしまい…。
鈴木友哉
『ペット・セメタリー』感想【ネタバレなし】
『ペット・セメタリー』は、ホラージャンルとして革新的な位置付けの作品
『ペット・セメタリー』はスティーブン・キング原作であると同時に1990年に公開された『ペット・セメタリー』のリメイク作です。
1990年の『ペット・セメタリー』は、多くのファンを獲得し、ホラー映画ジャンルの中では一定の評価を得ています。
リメイク版『ペット・セメタリー』のストーリーのベースはオリジナルにほぼ忠実で、転居先の近くにある意味深な墓地の存在を巡って繰り広げられる恐ろしくも悲しい物語が、作品全体における主要なテーマになっています。
鈴木友哉
類似の作品が生まれる一つのきっかけとなるであろうホラー映画
ホラー作品の中で死者を蘇らせると言う禁忌的な内容を扱う映画はそれほど多くありません。
例えば、一ジャンルとしてゾンビ映画もまた死体が蘇り、人々を襲うと言う設定が定着しています。
『ペット・セメタリー』の設定と似ている点がありますが、大きく違うのは死者が勝手に蘇るのか、生きている人が死人を蘇らせてしまうのかという点です。
物語の主人公の視点に立った時に、受け身でいるのか、または自発的な行動を取るのかで、死んだ者に対する感情が違ってきます。
ゾンビ映画のように、ある日突然、墓地から生き返る設定とは違い、本作では大切な家族をもう一度蘇らせるというタブーが観る側に恐怖と悲しみを与えています。
鈴木友哉
『ペット・セメタリー』と似たような設定のホラー映画は、過去にあったでしょうか?
時代の変換と共に姿を変えてきたホラー映画。
70年代には『エクソシスト』を初めとしたオカルト作品が台頭していました。
また80年代は殺人鬼やモンスターを扱ったスプラッター映画が人気を得た時代です。
オリジナル『ペットセ・メタリー』が公開されたのは90年代始め、死体を生き返らせようとする設定はホラー作品ではなかった新しい手法でした。
鈴木友哉
オリジナルを凌ぐ新しい『ペット・セメタリー』
今回、再映像化された『ペット・セメタリー』は、物語の大筋や終盤の展開を大きく改変し、新しい『ペット・セメタリー』の世界観を作り上げました。
鈴木友哉
両作品ともに、ホラー映画には欠かせない恐怖演出が丁寧に作られています。
リメイク版は登場人物の足首が半分に千切れるシーンや物語の肝の部分にあたるトラックが横転する場面など、オリジナルと比べ、細部までしっかりと作られています。
シナリオも肝心な部分はそのままに、新たに脚色された人物設定や伏線がオリジナルとは一線を画して、より一層ダークな作品に仕上がっています。
冒頭に病院に担ぎ込まれ、死んだ後にルイスの前に現れて予言めいたことを言うヴィクターはオリジナルでは白人男性でしたが、本作では黒人男性に変更されています。
それはリメイクされるまでの30年間のアメリカの有色人種への不当な扱いを表してしているかのようです。
主人公の娘も過去作に比べ年齢設定を上げ、ストーリーのキーパーソンに昇格させています。
またオリジナルの子どもを祖父母の家に預ける描写をすべてカットし、家族間だけで繰り広げられる物語になっています。
鈴木友哉
前作のストーリーとは違う家族だけの物語にすることで、本作は予想もしないラストへと進んでいきます。
子どもを亡くすと言う深い悲しみに心打たれる本作は、ホラー作品の中でも異色作です。
しかしその悲哀をも忘れさせられるほどの驚愕の展開が、ラストに用意されています。
鈴木友哉
『ペット・セメタリー』まとめ
✟* *✟
本作では、娘・エリーが物語の中心に。
他の登場人物とのコミュニケーションも含み、より深掘りされた二重のテーマ
『 家 族 』 と 『 死 』ぜひ哀しくも恐ろしい物語を
ご確認下さいーー。#ペットセメタリー#娘は生き返ってはいけなかった#レディースデー pic.twitter.com/U863JkofxR— 『ペット・セメタリー』公式 (@PetSematary_JP) January 29, 2020
以上、ここまで『ペット・セメタリー』をレビューしてきました。
- キング作品のブーム復活の先駆的な作品の一つになるかも
- リメイク版もオリジナル同様、ホラージャンルに派生作品が生む契機を作った作品となるでしょう
- 物語の大筋は変えずに、大胆に脚色した作品の設定に舌を巻く
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