心理描写を漫画で描く天才・西原理恵子のコミックを、演出で魅せる奇才・吉田大八監督がメガホンを取って実写映画化!
高知の小さな港町でまさ子(夏木マリ)がひっそりと営む「パーマネント野ばら」。
パーマネント野ばらに集う人々は、みんなお揃いのビッチビチのパンチパーマをあてて、下品な話ばっかりするけども、とびきり優しくて…。
パーマネント野ばらの1人娘・なおこ(菅野美穂)の抱える闇の大きさと、切なさに胸がえぐられます。
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- リピート必至!振り返れば伏線だらけ…予想だにしない展開に心奪われるラスト10分!
- 儚げなエロさ炸裂、土佐弁が似合う菅野美穂の妖艶さが半端ない
- 描かれる4つの恋物語が全て切なく愛おしい…土佐の女たちの気概と人間味を感じる
- 考察すればするほど、底知れず怖くなった…人間の心の奥底をえぐってくるストーリー!
それでは『パーマネント野ばら』をネタバレなしでご紹介します。
映画『パーマネント野ばら』作品情報
作品名 | パーマネント野ばら |
公開日 | 2010年5月22日 |
上映時間 | 100分 |
監督 | 吉田大八 |
脚本 | 奥寺佐渡子 |
原作 | 西原理恵子 |
出演者 | 菅野美穂 江口洋介 小池栄子 池脇千鶴 宇崎竜童 夏木マリ |
音楽 | 福原まり |
映画『パーマネント野ばら』あらすじ・感想・考察【ネタバレなし】
意外に深い…パーマネント野ばらで繰り広げられる恋バナと下品トーク
優しく穏やかに時が流れる海辺の小さな町。
海沿いにまさ子(夏木マリ)が営む「パーマネント野ばら」があります。
3ヵ月はへたることないビッチビチのパンチパーマが売りのこのパーマ屋。
地元の奥様たちが、こぞってまさ子のパーマをあてにきます。
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野ばらの1人娘・なおこ(菅野美穂)は、最近離婚して娘のもも(畠山紬)と一緒に出戻ってきたばかり。
なおこは時折、母であるまさ子のお店を手伝っています。
「男の替えもないゆうて。どんくさい娘で…ホンマ」
「誰かチンコ、出前しちゃれ!」
「お母さんはモテるにね…すぐ捨てられるき!」
店では、笑いながらいつもチンコという下品なワードが飛び交う野ばら。
近所のおばちゃんたちがなおこをからかうのです。
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地域の主婦の憩いの場、「パーマネント野ばら」を中心にストーリーが展開。
胸詰まるような痛みを覚える“5つの恋”の結末…。
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まさ子(夏木マリ)とカズオ(宇崎竜童)、長引いた夫婦の恋
絶賛男に逃げられ中のまさ子。
まさ子の夫・カズオ(宇崎竜童)は、一緒に住んでいたのに、いつからか近くに住む女性の家から帰ってこなくなりました。
実父ではないけれど、なおこはカズオを慕っています。
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「ダンナ、よそで餌付けされちゅーがよ」
お客に夫の不在を話題にされたまさ子は、冗談まじりに強がります。
「うちの人、そら辺ふらーっと出てるだけや。晩御飯までには帰ってきます」
まだこの会話に慣れないももは目を丸くしながら聞いていますが、なおこは軽く受け流します。
ささいなことは気にしない…こんな度量の大きいおおらかな環境の中でなおこは幼少期から過ごしてきました。
カズオの暮らす家を訪ねて「戻って来てほしい」と懇願するなおこに、カズオは言います。
「男の人生は真夜中のスナックや。例えば2時に他のスナックにはしごする男の気持ちがわかるかい?次行く店は、絶対ここよりおもろいわけでもないき…けんど、やっぱりワシという男を絶対ここで終わりにする訳にいかんがよ。なおちゃん…幸せになり!赤の他人やけんど、おまんのこと娘みたいに思っちょるき」
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夫の帰りを辛抱強く待つ妻と、1つの場所に留まることを嫌う夫。
まさ子とカズオ、この夫婦が長年わずらった夫婦の恋の結末は!?
恋の病にかかった常連客・きみちゃん(町野あかり)の儚く散った恋ものがたり
「あれから不眠症で耳鳴りやろ…食欲のうて、ドキドキする」
野ばらの常連さん・きみちゃん(町野あかり)が急にパンチパーマをやめたいと言いだし、恋の病にかかります。
今までのきみちゃんの恋は、押し倒して一発やるのが目的の肉食系…。
しかし、今回は違いました。
きみちゃんは髪型をストレートに一新し、初めて“体目当てじゃない恋”に走り出します。
なおこの手作り弁当を持っての公園デート、相手の男性と楽しそうにはしゃぐきみちゃん。
こっそりデートを覗きに来た野ばらのパンチ仲間となおこは、きみちゃんの見違えた姿に「ホンマもんで、体目的じゃないみたいや」と予想外の清い交際に驚きを隠せません。
ほどなくして、自転車の2人乗りをして公園を出たきみちゃんと彼氏。
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きみちゃんがまっしぐらに向かったのはラブホテル…。
嫌がる彼を、ホテルの中へ強引に引っ張っていきます。
「やっぱりそれかい…やったもん勝ちやね」と呆れるパンチ仲間となおこ。
ほどなく、きみちゃんは彼にフラれてしまいます。
落ち込んだきみちゃんは、海に身を投じて投身自殺しようとします。
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シングルマザーのなおこ(菅野美穂)と教師・鹿島(江口洋介)、2人の禁断の恋!
シングルマザーとして出戻ったなおこには、秘密の恋人がいます。
それは、高校で教師をしている鹿島(江口洋介)。
2人の始まりは、なおこが高校生時代。
化学の教師である鹿島に、女子高生だったなおこが恋をしました。
ほどなく、鹿島は教え子のなおこと禁断の恋に落ちます。
その後、一旦なおこが結婚して途切れたかに思えた恋の糸。
しかし、なおこが出戻った今。
2人は再び恋人関係に!
逢瀬は学校の中で、なおこは人目をはばかりながら高校へ忍び入っては、鹿島のいる化学室へ向かいます。
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なおこの娘・ももは、母の言動に異変を感じて不安がります。
まるで高校生のような言動をするなおこに、鹿島は何度も「あんた、そんな歳やないやろ?」と言います。
なおこは鹿島にだけは「まともな人間はみんなよそへ出て行って、残りかすばっかり住んでる…この町が嫌い」と正直な気持ちを打ち明けました。
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ある日、温泉へ行く約束をするも、旅館で鹿島に置いてけぼりにされてしまったなおこ。
帰ってしまった鹿島に電話すると、なおこは泣きながら訴えます。
「あんたのこと、もうようわからん…いっつも黙って話聞いてくれるやろ?何でこんなにうち寂しいが?何で寂しゅうて寂しゅうてたまらんが?何で…」
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愛が激しいみっちゃん(小池栄子)とヒモ夫・ヒサシ(加藤虎ノ介)、殺したいほど惚れ込んだ恋
「ヒサシ、出てったき…」
野ばらにやってきたなおこの幼馴染・みっちゃん(小池栄子)が落ち込んでいます。
おばちゃんたちは、打ちひしがれるみっちゃんに追い打ちをかけるように告げました。
「また?あんたが知らんだけで、店の女の子を片っ端から食いよったき」
みっちゃんの夫・ヒサシ(加藤虎ノ介)は、無類の女好き。
みっちゃんの経営するフィリピンパブ「OKLANG」で働く子たちと浮気しまくりです。
火遊び程度のことじゃ全く動じないみっちゃんでしたが、今回はちょっと様子が違いました…。
みっちゃんが見ている前で、堂々と口説いたらしいのです。
「借金取り誤魔化すために籍入れとるだけだから、気にすんな」
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「うちの旦那や!」とみっちゃんは大粒の涙を流します。
野ばらでクルックルの縦巻きパーマをかけて気合いを入れたみっちゃんは、「話をつけてくる!」と意気込んで店を出て行きました。
その夜、みっちゃんは2人の浮気現場に遭遇!
2人がラブホを出てきたところを見て、正気を失ったみっちゃんはヒサシを車で轢いてしまいます。
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みっちゃんの情熱的な部分は、父譲りのようで…みっちゃんの父(本田博太郎)もかなり人騒がせな人物!
老いて伴侶を亡くし正気を失った父は、夜な夜なチェンソーで電柱をぶった切って町中を停電させています。
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「どんな恋でもないよりましやき。好きな男がおらんなるいうて、うちは我慢できんのよ」
ボロボロになったみっちゃんは、なおこに言います。
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殺人まで犯しそうになったみっちゃんと、女&借金癖の悪すぎる夫・ヒサシ。
ネジれまくってしまった夫婦関係はいかに!?
男運がなさすぎるともちゃん(池脇千鶴)とギャンブル狂の夫・ユウジ(山本浩司)の恋
飲んで暴れてうんこを漏らす父に育てられて、貧乏に苦しんだ幼少期を送ってきたなおこの幼馴染・ともちゃん(池脇千鶴)。
2人子供を亡くした経験がある彼女も、小さな町でたくましく生きる女性です。
辛いことがあると“山に思い出を埋めに行く”のが、ともちゃんとなおこの2人の習わし。
愛猫ポン太が亡くなった日も2人で亡骸を埋めにいきました。
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歴代の彼氏に殴られまくって、うんざりしていたともちゃんが出会った唯一殴らん男が、今の夫・ユウジ(山本浩司)でした。
「やっと殴らん男と会えたと思ったのに…闇レートの麻雀覚えてから、家に戻ってこんし、どこにおるかわからん…なおちゃんは幸せ?どこにもおらんようにならん?」
ともちゃんはすがるような目で、なおこに問います。
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最後に山に思い出を埋めに行った時、ともちゃんとなおこはこんな会話をします。
穴を掘りながら「これで忘れられるがやね」ポツリと言ったともちゃんに、なおこは「忘れんでもええやん」と明るく答えます。
すると、ともちゃんは言います。
「忘れてホンマに死ぬがよ。人は2度死ぬがやと…1回目は生きるのが止まってしまう時。2回目は人に忘れられてしまう時…人の心の中におらんくなったらいよいよ最後、今度こそ本当に死んで2度と生き返らん」
「今まで誰にも言わんかったんだけど…鹿島と付き合ってる」
なおこの突然の告白。
でも、ともちゃんは優しく微笑みながら言います。
「何べんも聞いたよ。忘れん坊やな、なおちゃんは…」
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映画『パーマネント野ばら』あらすじ・感想まとめ
ここまで、『パーマネント野ばら』をご紹介しました。
- 町中の人々がみんなで見守っていたのは、なおこだった…
- ラスト10分に全ての答えが詰まっている!答え合わせのためにもう1度見た時、1回目とは違う涙が溢れた
- 正気を失うのが“本当の恋”なのかもしれないと、心が締め付けられた