『パピヨン』あらすじ・ネタバレ感想!屈指の名作が約45年ぶりにリメイク!オリジナル版との比較を交えて解説

映画『パピヨン』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『パピヨン』公式ページ

未だにカルト的人気を誇る伝説の傑作刑務所映画『パピヨン』が約45年ぶりにリメイクされました。

過酷すぎる仏領ギアナの刑務所に無実の罪で投獄された男パピヨンの不屈の脱出劇をチャーリー・ハナム、ラミ・マレックのコンビで現代的によみがえらせた一本です。

ポイント
  • パピヨンの人間的背景を掘り下げた改変
  • ラミ・マレックの名演技とドガの物語の強化
  • 徹底再現されたギアナの刑務所とオリジナルオマージュの数々
  • 受け継がれた虐げられる者たちの不屈の魂

それではさっそくレビューしたいと思います。

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『パピヨン』作品情報

映画『パピヨン』作品情報

出典:(C)2017 Papillon Movie Finance LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

作品名 パピヨン
公開日 2019年6月21日
上映時間 133分
監督 マイケル・ノアー
脚本 アーロン・グジコウスキ
出演者 チャーリー・ハナム
ラミ・マレック
イブ・ヒューソン
ローラン・モラー
トミー・フラナガン
ヨリック・バン・バーヘニンゲン
音楽 デビッド・バックリー

【ネタバレ】『パピヨン』あらすじ・感想


より普通の人になったパピヨン

1973年のオリジナル版『パピヨン』は実在の人物の話にしたにも関わらず、主人公パピヨンが人智を超えた存在に見えるのが特徴でした。

彼が絶対に権力に屈せず諦めないのも、あまり理由は描かれません。

それでもパピヨンに感情移入できて応援したくなるのは、稀代のスターであるスティーブ・マックイーンが演じていたからです。

『大脱走』『ブリット』『ゲッタウェイ』などなど、絶望的な状況でも信念を曲げず己を貫く反逆児を演じてきたうえに、もともと実際に不良だった彼の存在感は、劣悪な環境であるギアナの刑務所で己を貫き通し自由を手にするパピヨンそのものでした。

対して、今作の主演チャーリー・ハナムは、みんな大好き『パシフィック・リム』の主演を務めた人気スターではありますが、マックイーンと比べられると分が悪い。

これは彼の責任ではありません。

今の時代、あそこまでのカリスマが生まれることもなかなか無いでしょうし。

ただ、今回はマックイーンよりは普通の人っぽいけど、しっかりタフガイ的魅力のあるハナムを起用したおかげで、物語のリアルさは増したと思います。

マックイーン版は彼がかっこよすぎて、ある種の神話的物語を見せられているようだったからこそ万人に響く普遍性はあったのですが、ハナム版は実際にいたであろう人の話として納得しやすくなっています。

オリジナルがギアナの刑務所に囚人たちが着くところから始まるのに対し、本作は冒頭でパリで裏家業をして暮らしていたパピヨンの姿が描かれます。

そこでボスの女と恋仲になっているのがバレて、殺人の濡れ衣を着せられ、ギアナ刑務所に送られてしまうパピヨン。

おまけに当時のフランス政府はかなり非情で、ギアナの刑務所を統括してるお偉いさんが演説で「フランスはお前たちを見捨てた」とか言い出す始末。

そんな見捨てた連中をギアナまで連れてきて何をしようとしているのかと言えば、彼らを労働力として酷使して植民地ギアナの資源を効率よく収奪しようとしているわけです。

冒頭で手際よくパピヨンが理不尽にどん底に落ちる様を描き、こんな状況でもなんとか前を向く彼に感情移入できるよう計算されています。

また、パピヨンの恋人ネネットを演じた女優のイヴ・ヒューソンがめちゃくちゃ美人。

イヴ・ヒューソン

出典:『パピヨン』公式ページ

そのうえ彼と暮らすことを一途に夢見ているようなキャラなので、こんな彼女いるなら命がけで脱獄するかもと納得できるようにもなってます(笑)

実在の人物として、また観客が自分と重ねて見られるようになっているのがリメイク版です。

パピヨンと協力者ドガの友情物語

もう一人の主人公ルイ・ドガ。

彼は偽札づくりで捕まったインテリ詐欺師で、刑務所内でも金を隠して持ち込む抜け目ない人間です。

しかし、ドガは腕っぷしは全く立たず、荒くれ者の中で殺され金を奪われるのを恐れ、脱獄のために資金が欲しいパピヨンと手を組み守ってもらうことになります。

最初は利害関係でしかない二人でしたが、苦難を乗り越えるうちに深い友情で結ばれていきます。

ちなみにパピヨンたちがいる刑務所は孤島にあって、周りはサメだらけの海が広がっているうえに、脱獄で捕まると2年間の独房行き、2回目に捕まると5年間の独房生活の後、デビルズ島という切り立った断崖に囲まれた何にもない島に送られてしまうという過酷すぎる環境とルールです。

何とか脱獄を図っていたパピヨン。

しかし、その計画が固まる前にドガをいびり倒して殺そうとした看守を殴ってしまい、そのままの勢いで脱走してまず2年間の独房送りになってしまいます。

そこでは粗悪なスープが出るだけで衛生面も最悪。

どんどん弱っていくパピヨンを助けるために、ドガが給仕係を買収して栄養たっぷりのココナッツを差し入れていたのですが、ある日それも見つかってしまいます。

ココナッツを送ったのは誰だと聞かれてもドガを売らなかったパピヨンは、部屋に入る日光すら遮断され、食事も減らされ、ボロボロになって戻ってきます。

そこで自分のために身を削ったパピヨンを見たドガは、それまでの打算的な詐欺師の生き方を捨て、義理に厚い男に変わっていくのです。

『ボヘミアン・ラプソディ』でオスカー俳優となったラミ・マレックの静かな名演が光ります。

と言っても『ボヘミアン・ラプソディ』より、こちらの作品の撮影が先ですが…。

チャーリー・ハナムも減量で自分を追い込んでボロボロのパピヨンを演じており、オリジナルと同じくらい泣かせてくれました。

ちなみにドガは、オリジナルでは一度も脱獄に同行できないのですが、今回は二度目の脱獄でパピヨンやその他の協力者と一緒にボートでギアナを脱出します。

そこでドガは、とある罪深い行いをしてしまい、無実であるパピヨンとは決定的に違う立場になってしまうのです。

この改変で、よりドガの物語の切なさが増します。

切なすぎる別れ

二度目の脱獄も失敗し捕まった2人。

パピヨンは5年間の独房暮らしでさらに衰弱し、デビルズ島に送られます。

そして看守たちへの協力を拒んだドガも、一度目の脱獄にも関わらず同じ島に来ていました。

それでもあきらめないパピヨン。

とある方法を見つけ脱獄を考えますが、それに誘われたドガは一緒には行けないと断るのです。

自分はパピヨンのように強くは生きられないし、上述した罪まで犯してしまっているドガ。

深い友情で結ばれた2人が、もう二度と会えないことを悟りつつ抱き合い、そしてそれぞれの道へ分かれていくラストは感動的です。

まあオリジナルとほぼ同じなんですが、ドガの物語が掘り下げられているので切なさでは勝っているかもしれません。

そして最後の最後に、パピヨンことアンリ・シャリエールが自伝を書くに至るまでの物語が足されています。

蛇足のような気もしますが、伝記映画としてはあってもいいシーンかもしれません。

それに彼がこの物語を公表したのは、ドガのため、そして虐げられてきた者たちのためだと分かるエンドロールは胸に迫りました。

今でも理不尽に無慈悲に踏みにじられる人間たちは世界中にいくらでもいます。

パピヨンの物語は時代を超えて今後も語り継がれ、人々に勇気を与えていくことでしょう。

オリジナルと比べて20分近く短縮されている本作。

特に独房の描写が短くなって、環境の過酷さやかばい合いのドラマが少し薄味になってもいますが、アンリ・シャリエール=パピヨンとドガの伝記映画としてはコチラの方が見やすいかもしれません。

何にせよオリジナル版『パピヨン』と、今作リメイク版『パピヨン』の両方をご覧になることを推奨します。

『パピヨン』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『パピヨン』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • パピヨンとドガの友情が泣かせます
  • 理不尽に立ち向かう男の物語としてオリジナルと同じく熱いです
  • 主演コンビの鬼気迫る演技に注目です

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