広大な敷地にポツンとある地方遊園地で出会った上司は“魔法使い”と呼ばれるカリスマだった?!
仕事って本気になったら面白いかも…なんて超ポジティブな魔法をかけてくれる作品です。
- 『海猿』の小森陽一が初めて女性を主人公にして書いた物語「オズの世界」が原作
- 監督は『SP 警視庁警備部警護課第四係』『蔭りゆく夏』などの波多野貴文
- 不満ばかりの新人社員と、“魔法使い”と呼ばれるカリスマ上司のテンポの良いお仕事映画
それでは『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』をネタバレありでレビューします。
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目次
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』作品情報
作品名 | オズランド 笑顔の魔法おしえます。 |
公開日 | 2018年10月26日 |
上映時間 | 106分 |
監督 | 波多野貴文 |
脚本 | 吉田恵里香 |
原作 | 小森陽一 |
出演者 | 波瑠 西島秀俊 岡山天音 深水元基 戸田昌宏 朝倉えりか 久保酎吉 コング桑田 中村倫也 濱田マリ 橋本愛 柄本明 |
音楽 | 白石めぐみ |
【ネタバレ】『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』あらすじ
恋人と同じ一流企業に就職が決まった…はずなのに
子どものころにお遊戯会で演じたオズの魔法使いのドロシーのように、生まれ育った家も、街も、親がつけてくれた名前も、大好きで大切な波平久瑠美(波瑠)。
そして同じように大好きな恋人・トシくんこと小西俊郎(中村倫也)と同じ会社に就職が決まった久瑠美は、一年目から希望していた企画事業部で働けることになります。
しかし“グリーンランド遊園地企画事業部に出向を命ずる”とされた異動は大好きな街や家族やトシくんと離れて熊本で働くということでした。
久瑠美がグリーンランドについた頃、トイレに怪しい男の影がありました。
もう1人、一緒に配属になった新人の吉村豪太郎(岡山天音)と一緒に制服を渡され、久瑠美の“なみひら”という名字を“なみへい”だと勘違いされながらも他のスタッフたちに挨拶をしているところに“虹のかなたへゴールドナイン”という館内放送が流れました。
虹のかなたはトイレのこと、ゴールドナインはキンとキュウでキンキュウということ、つまりトイレにて緊急事態発生という隠語でした。
久瑠美たちはトイレで紙袋を見つけ、落ちているものはすべて落し物と思えというグリーンランドの信条のもと安全な場所へと運ぶように促されます。
しかし他のスタッフたちに導かれてたどり着いたのはヒーローショーのステージでした。
スタッフ総出でお客さんたちに新人社員をお披露目するというサプライズだったのです。
久瑠美は歓迎会を前にしてすでにトシくんに「もうやだ。帰りたい」と弱音を吐きました。
園長直々に抜擢されたという理由もわからないし、想像していた遊園地と違うし、一刻も早く帰りたいけれど仕事だからどうにもならない。
そんな久瑠美に、トシくんは「MVPとっちゃいなよ」と言います。
毎年各店舗から1名選出されるMVPになれば、配属から一年で東京に帰ってこられるよ、と。
グリーンランドの魔法使い
久瑠美はトシくんから教えてもらったグリーンランドの魔法使いと仲良くなるために、歓迎会でその人を探します。
魔法使いと呼ばれるその人は、考えた企画は何でも実現させて一年で集客率を170%もアップさせたという逸話のある男です。
結局歓迎会に魔法使いは現れず、翌朝。
久瑠美のマンションのインターホンをしつこく鳴らす男がやってきました。
車のない久瑠美を迎えに来たというその男こそが魔法使いこと小塚慶彦(西島秀俊)でした。
小塚は新人2人の教育係でもあり、あのサプライズ付きのヒーローショーの台本を書いた本人でもありました。
最初の研修として久瑠美たちが渡されたのはゴミ袋100枚。
それをいっぱいにして使い切るのが最初の仕事です。
今年50周年を迎えるグリーンランドはこれからイベント目白押し。
そんな時にゴミを拾うために大学を出たわけではない、企画の仕事がしたいと言う久瑠美でしたが、小塚はゴミ拾いの余った時間になら考えて良いと言います。
ゴミ拾いの合間に企画書を作り、小塚に渡してもデスクに平積みにされ、豚の世話や犬の世話を命じられてしまう久瑠美には、小塚のどこが魔法使いなのかまったくわかりませんでした。
味方になって励ましてほしくて電話したトシくんには冷たくあしらわれ、自分を抜擢してくれた園長(柄本明)に直談判したところで自分は名字のインパクトで採用されただけの面白枠だと知らされてしまう久瑠美。
学歴枠は吉村だということも知らされました。
東大出身の吉村は粘菌の研究をしていましたが、卒業間近に研究室に残れないということを知り、暖かい仕事がしたくなってグリーンランドに来たのです。
久瑠美が“変わる”きっかけ
どうにかしてMVPに選ばれてグリーンランドから抜け出そうとヤケになる久瑠美でしたが、園内のゴミ箱からゴミを回収して時間を作り企画書を作っていたためお客さんからアトラクションの場所を聞かれてもろくに答えられませんでした。
逆に園内を隅々まで回ってゴミ拾いをしていた吉村は、何がどこにあるか把握してたためおろおろしている久瑠美に駆け寄りお客さんを誘導することができました。
小塚がゴミ拾いを最初の仕事とした意図に少し気付いたあたりで、小塚は久瑠美に「なんか良いよお前、いつも予想外で」と笑いました。
その時、迷子発生の連絡がスタッフ全員の無線に入ります。
小塚は子供の特徴といなくなった場所、いなくなった理由を聞いて瞬時に対応の周知をします。
特徴として知らされていた青いスニーカーが池に落ちているのを見つけた久瑠美が無線で共有しながら池に飛び込んだ時、小塚からの無線で「迷子発見!」の声。
池に浸かったせいでザリガニ臭くなってしまった久瑠美でしたが、スニーカーは迷子が落としたもので間違いなく、見つかった子どもは久瑠美に「ありがとう」と風船を渡しました。
このことがきっかけで久瑠美の仕事に対する姿勢が少しずつ変わっていきます。
それから時が経ち7月。
目玉イベントであるフライングモンチーというアイドルのイベントを翌日に控えた日、他愛ない会話がきっかけで久瑠美は小塚からイベントの現場スタッフに任命されます。
渋滞のせいでアイドルたちが到着したのは夜11時過ぎだというのに、マネージャーは乗り物を動かせと言います。
もう従業員も帰ってしまっているから動かせないと伝えると「来る前に電話で担当者が良いって言っていた」と言い張るマネージャー。
久瑠美は閉演後30分くらいなら、という気持ちで大丈夫だとは言ったけれど到着が深夜になるとは思っていなかったので窮地に立たされます。
小塚はアイドルたちには一旦ホテルにチェックインしてもらって30分後に集合、アテンドは久瑠美に任せるとだけ言って姿を消しました。
30分後、不安げな久瑠美を先頭に真っ暗な中進んで行くと園内の電飾がついて小塚が現れます。
そして何事もないかのように動き出すアトラクション。
小塚の一声で従業員たちが集まり、営業時間と同様に園内を動かせるようにしたのです。
“変わった”?“変わってしまった”?
そんな頃、グリーンランドの花火大会前日、トシくんが久瑠美に会いにやってきます。
久瑠美は園内を案内しながら自分たちが手掛けたイルミネーションを紹介したりしますが、トシくんは田舎の遊園地をどこか見下したようなことばかり言いました。
そして久瑠美が帰りたいと弱音を吐いた時に突っぱねたのはトシくんなのに、遠距離がきついからもう帰ってこいと言い出します。
弱音を吐くのも駄目、仕事を頑張っても駄目でどうして欲しいのかと聞くと「前の久瑠美が好きだったから、また前みたいに東京で楽しくやろう」と言うのです。
トシくんにとっては田舎の寂れたつまらない遊園地にしか映らなかったそこは、久瑠美にとってはもう誇らしくて大切な楽しい場所になっていました。
気持ちが重ならなくなってしまった2人はここで別れました。
さて花火大会当日、もう間もなくというところで突然園内のイルミネーションの明かりが消えてしまいます。
本来なら花火の最中も点灯しているはずのイルミネーション、それから園内の照明。
久瑠美は機転を利かせて提案します。
園内の照明をすべて落として、花火の間の30分で原因を究明し何とかしようと考えたのです。
いよいよ花火が始まり、30分という時間の間に何とかしようとスタッフ総出で園内の電源という電源を点検します。
各所から異状なしの報告が無線で共有されるなか、園長がヘビが入り込んで黒焦げになっているのを見つけました。
そして一緒に焦げた配線を交換すれば問題は解決、というところに着地します。
花火が終わって真っ暗になった園内の照明を灯した時、イルミネーションの光も無事に灯りました。
笑顔の魔法
9月。50周年のイベントを目前に控えた飲み会の帰り、酔いつぶれた小塚をタクシーに乗せようとして久瑠美と吉村は小塚の荷物の中から滑り落ちた物の中に退職届を見つけてしまいます。
退職届のことは2人だけの内緒にしながら、小塚がやり残していることがあるとしたら何があるか上司の玉地弥生(橋本愛)に聞いてみると、小塚ノートの存在を教えてくれました。
小塚がこれまでに企画したことのメモや写真、その中に赤ペンで書いてあった“世界一”のワードが気になった久瑠美は本人に直接聞いてみます。
小塚から返ってきた言葉は、グリーンランドのお客さんに恩返しがしたいということでした。
それと世界一とが結びつかなかった久瑠美は首をひねりました。
それから試行錯誤して久瑠美は50周年のメインにマジカル・バルーン・シャワーという企画を提案しました。
気球から1万個の風船を降らせて“お客様を笑顔にすること”が目的です。1万個の風船を降らせることは世界一の記録にもなる。
それだけ多くのお客さんに協力してもらうことにもなる。
この企画を小塚へのはなむけにするためにと気合を入れて準備を進めていきます。
大きなイベントの日にはトラブルがつきものだなんて話をしているところに、ヒーローショーの敵役がケガをしたという無線が入ります。
そこに居合わせた吉村が代役をすることでトラブル解決…と思ったところに迷子発見の無線。
小塚に入った連絡を久瑠美が横取りして、発見の連絡をした弥生がスタッフたちを割り振っていきます。
そして無事に迷子の問題も解決。
グリーンランドは自分たちで回していける、自分たちが1人1人小塚となってお客さんを笑顔にしていく。
だから小塚にはもっと大きな世界で人々を笑顔にしてほしい。
久瑠美にはそんな思惑があったのです。
気球イベントの始まる15時直前、久瑠美たちが一息ついているところで事務所に謎の紙袋が置いてあるのを見つけます。
また入社した時のようにサプライズだと思って誰が犯人なのか聞いたところで誰も手を上げません。
つまりそれは誰かの仕掛けたドッキリではなくて不審者による本物の爆弾。
どうやって外に運ぶかという話し合いをしている暇もなくすでにイベント開始まであと7分。
気付けばその場に小塚の姿がありませんでした。
小塚は1人、紙袋を持って外に出て、気球に乗り込み海に爆弾を捨てようとします。
空へのぼっていく気球の中、ふと紙袋の底に何か書いてあるのを見つけた小塚が爆弾を持ち上げてみると“ひっかかりましたね”の文字。
すべては久瑠美が台本を書きスタッフぐるみで仕掛けた小塚へのドッキリだったのです。
小塚が転職を希望しているということはスタッフ全員が知っていました。
半年後、MVPの報告をする久瑠美の電話の相手は小塚でした。
小塚はMVPを逃した久瑠美に「もしMVPを取っていたらどうしていたか」聞きました。
久瑠美は「私にとっても、ここが我が家ですから」といつかの小塚の言葉を用いながらグリーンランドで頑張っていくことを告げ、笑いました。
【ネタバレ】『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』感想
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』を見たくなる時とは
傷ついたりヒリヒリしたりしたくない時。
そんな時に見るのは『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』に尽きます。
誰も傷つかない作品というわけではないかもしれないけど、少なくともグリーンランドで働く人たちはみんな優しくてあったかい。
なんだか自分もそこで働いているような気分で見られる作品です。
vito
物語のなかで久瑠美にとっての仕事に対する目的や姿勢が変わっていくところも見どころだと思います。
誰にでも経験があるようなことではないかもしれないけど、近いことを経験している人は多いんじゃないですかね。
いま社会人の人は、現在の仕事を頑張ろうと思えた時のことを思い出すかもしれないし。
ちょっと違うんだよなと思っている人には自分の目的とか夢を改めて考える機会になるかもしれないし。
vito
主に仕事で行き詰っている人に見て欲しい作品かな、って感じです。
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』の小ネタ的な話
この物語は『海猿』を手がけた小森陽一にとって初の女性が主人公の小説「オズの世界」が原作です。
実在するグリーンランドに勤務していた知人が話していた地方遊園地の裏側というか舞台裏の話から着想を得て執筆されたとのことで。
小説の時点で主人公のイメージは波瑠だったことから、主人公の名前も波平久瑠美、と“波”も“瑠”も入った名前になっています。
vito
以降は個人的主観しかない話ですけど項目を区切るのも何なので小ネタとして書きます。
脚本を手がけた吉田恵里香はドラマだと『花のち晴れ~花男Next Season~』とか映画だと『ヒロイン失格』とか『センセイ君主』とか恋愛モノのイメージが強いんですけど。
アニメだと『TIGER&BUNNY』(西田征史との共同脚本)とか『DOUBLE DECKER! ダグ&キリル』とかアクションモノを手がけていたりします。
vito
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』のテイスト的にはアニメの方の感じが強く出ているような感じがします。
vito
『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』まとめ
以上ここまで『オズランド 笑顔の魔法おしえます。』をレビューしてきました。
- 仕事で行き詰っている時、なんかうまくいかないよ~って時は迷わず見て欲しい!
- ちょっと元気が欲しいなぁとか心があったかくなる映画を探している時にもおすすめです
- 見た後にきっと笑顔になれる、そんな作品です
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