ナチスとゾンビが見事にマッチ!
ノルマンディー上陸作戦の背後で、ナチスドイツが進めていた恐るべき超人ゾンビ兵士計画を阻止しようと戦う米兵たちを描いたアクションです。
- 潤沢な予算で作られたリアルな戦争描写とモンスターホラーの要素が見事に融合
- 新兵ボイスが鍛え上げられるまでの物語でもある
- 露悪的かつ楽しく見れる残酷描写
それではさっそく『オーヴァーロード』をネタバレありでレビューしたいと思います。
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目次
『オーヴァーロード』作品情報
作品名 | オーヴァーロード |
公開日 | 2019年5月10日 |
上映時間 | 110分 |
監督 | ジュリアス・エイヴァリー |
脚本 | ビリー・レイ マーク・L・スミス |
出演者 | ジョバン・アデポ ワイアット・ラッセル マティルド・オリヴィエ ジョン・マガロ |
音楽 | ジェド・カーゼル |
【ネタバレ】『オーヴァーロード』あらすじ・感想
ナチスドイツというやりたい放題できる素材とゾンビ映画
ナチスの映画って未だに大量に作られていますよね。
人類史上最大の悪事を働いた組織なので話題には事欠きません。
秘密主義的で高い科学力を誇りつつ、中二病的な超人思想やオカルト思想にかぶれていた連中も多かったと言われています。
実際にヨーゼフ・メンゲレという医師が収容所で極悪非道な人体実験をユダヤ人に行っていた記録もあります。
なのでSFやホラーの作り手たちは、ナチスなら何をやってたことにしてもOK!と勝手に解釈し、色んな荒唐無稽な作品を作ってきました。
『アイアン・スカイ』という作品では、月面の裏に宇宙船で70年前に逃げたナチスたちが基地を作っていた!というトンデモ設定まで描かれました。
真面目な史実の映画もある一方、B級映画の世界ではもはやナチスというお題でどれだけ変な映画を作るかの勝負になってきています。
レンタルビデオ店に行くと戦争やドラマの棚だけでなく、ホラーやSF、コメディの棚にもナチスがネタになっている作品があるという状況です。
そしてナチスとゾンビという最高の組み合わせの映画も『処刑山 -デッド・スノウ-』(2007年)をはじめ多数あります。
不死で自我を持たず、ひたすら人間を食い殺してみんな同じような動きをするゾンビって、ナチスが理想としていた全体主義的な世界の兵士にはうってつけですよね。
そしてそんな悪趣味ジャンルに殴り込みをかけてきたのが『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『スタートレック(2009)』『ミッション:インポッシブル3』など、映画ファンにとっての大ネタを新時代にアップデートしてきた稀代のヒットメーカーJ.J.エイブラムス。
42億円の巨大予算を使って作られた本作は、堂々たる戦争アクションホラーになっていました。
今までならビデオスルーしかあり得なかったような映画が、TOHO系で公開されるくらいのクオリティになっているのが喜ばしい限りです。
ド直球の戦争エンタメゾンビホラーをスムーズに融合させた脚本
ナチス×ゾンビというキャッチーな部分ばかり取り上げられている本作ですが、戦争映画としてもかなりの迫力になっています。
そして昨今に多く見られる戦争の悲惨さを訴える映画ではなく、かつてのアメリカ映画がよく作っていた「アメリカ軍が悪いナチスたちをぶっ殺す痛快娯楽戦争アクション」として、あくまでもエンタメとして楽しめるように作っているのも特徴。
もちろん戦争を娯楽的に見るなんてとんでもないという意見も分からなくはないのですが、ナチスがゾンビ兵士を作っていたなんて荒唐無稽すぎる内容なんですから、アメリカ軍側もそれくらい雑に正義側として大雑把にくくっておいた方がバランスは良いんではないでしょうか。
この映画を見て「やはり戦争は良くない」と他の真面目な作品と同じようなメッセージをもらいたい人も少ないでしょうしね(笑)
まず冒頭、「ノルマンディー上陸作戦を成功させるためにナチスがフランスのとある村に設置した電波塔を破壊し、通信が妨害されるのを防ぐ」という任務のために戦闘機に乗り込んでいると、ある空挺部隊の面々が映されます。
彼らが重要な任務を前に軽口をたたいて緊張を紛らわせていると、いきなり地上からの機銃掃射で数人が一気に即死。
戦闘機も墜落しそうになって、みんなが決死の覚悟でパラシュートで降下していく強烈なオープニングから掴みばっちりです。
ここだけでもう戦争映画としてもかなりのクオリティです。
そして映画はノンストップで突っ走り、米兵たちは次々と殺され、開始早々たった4人だけになってしまいます。
このスピード感と登場人物たちの生理の手際も見事です。
本作を引っ張るのは主人公の隊で唯一の黒人にして虫も殺せない気弱な新米兵士ボイスと、ヨーロッパ戦線で敵を殺しまくった英雄で、仲間が死んでも気にせず任務遂行のためだけに突っ走るサイコパス気味な伍長フォード。
とにかく作戦を成功させようと他の面々を焚きつけるフォードが物語の推進力になり、そんな彼に振り回されながら駆け回るボイスがどんどん成長していく様がドラマを生んでいきます。
途中から彼らの仲間になるナチスに親を殺され復讐に燃えるフランス美女・クロエの存在も清涼剤的役割を果たしてくれます。
ボイスと彼女のロマンスも自然に挟み込まれます。
クロエの住んでいる村にお目当ての電波塔があり、それを壊そうと色々算段を立てている中で、ナチスが電波塔のある教会の地下の施設で村人を実験台にして不死の超人兵士を作ろうとしていることが分かる、という流れもスムーズです。
いざ決戦という時も、当初の任務の電波塔の破壊と恐ろしい実験を止めるという目的が重なるので、話の焦点がブレず一気にクライマックスに雪崩れ込んでいきます。
ちなみにどうやってナチスがゾンビ兵士を作れるのかという説明ですが「その村の地下にある特殊なタールを血清に混ぜて、人体に注入すると凶暴で怪力のゾンビになる」という大雑把な設定で片づけているのもB級映画であることを堂々と提示しているようで好感が持てるところです(笑)
ホラーファン垂涎の楽しいゴア描写の数々
本作はR15指定で、この手の映画には欠かせない残酷描写もしっかり描かれています。
景気よく血しぶきがあがり、おぞましい姿をしたゾンビ兵士が暴れまわるような楽しいゴア描写が続きます。
ちょっと観客が引いてしまうようなえげつない描写もいくつかあるのですが、それも事態の恐ろしさや切迫感を補強するための演出としてちゃんと機能しており、ずっとハラハラドキドキ見ていられます。
そしてラストでは怪物vs怪物の残虐バトルまで見られるというサービスまでついており終始大満足。
どのような結末を迎えるかは劇場で確認してほしいですが、エンドロールでは『Nas-Bridging The Gap』という軽快なヒップホップが流れて「あ~楽しかった」と爽やかな気分で劇場を後にできます。
黒人兵士が主人公で差別主義者のナチスたちをぶっ潰すという構図も痛快です。
疲れてて小難しい映画は見たくないという時に、フラッと立ち寄って鑑賞するには最適で極上のエンタメホラーです。
グロいのが苦手という方以外は、万人におすすめできます。
『オーヴァーロード』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
皆様からのたくさんの「面白かった」の声、ありがとうございます!
作中で主人公たちが着ていた #軍服 にもご注目ください!
3度の米アカデミー賞ノミネート経験を持つ #アンナBシェパード が #オーヴァーロード の衣装を手掛けました! pic.twitter.com/pcsZhCJcft— 映画『オーヴァーロード』公式 (@overlord0510) 2019年5月18日
以上、ここまで『オーヴァーロード』について紹介させていただきました。
- 今どき珍しいお気楽戦争アクションとゾンビ映画の見事な融合
- 容赦のないゴア
- 整理された分かりやすいストーリー
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