韓国では有名な朝鮮王朝時代の古典「興夫伝」を元に制作された歴史エンターテイメント作品。
時は朝鮮王朝時代、第24代国王憲宗の時代。
官能小説家として有名だった作家フンブはとある小説を依頼され王朝を揺るがすことになります。
- 朝鮮王朝時代の古典「興夫伝」を元に制作された
- 日本では上映館・上映期間共に貴重な映画
- 官能小説作家フンブが王朝を揺るがせた小説とは?
それではさっそくネタバレありで『王の預言書』をレビューしていきたいと思います。
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目次
『王の預言書』作品情報
作品名 | 王の預言書 |
公開日 | 2019年7月22日 |
上映時間 | 105分 |
監督 | チョ・グニョン |
脚本 | バク・ミギョン |
出演者 | チョン・ウ キム・ジュヒョク チョン・ジニョン チョン・ヘイン キム・ウォネ クァク・ドンヨン チョン・ウヒ チン・グ |
音楽 | イム・ハンナ |
【ネタバレ】『王の預言書』あらすじ・感想
映画の題材となった「興夫伝」とそれに関係する「洪景来の乱」とは!?
韓国の方でしたら誰でも知っている古典で日本で言うと「舌きり雀」に似た内容なのですが、明らかに当時の身分の格差や国政への不満を赤裸々に描いたものであり、朝鮮王朝後期の状況を浮き彫りにしてくれています。
物語の中の登場人物ノルブとフンブは映画でもしっかり登場しており、またノルブとフンブが離れ離れになってしまった理由もしっかり描かれています。
その兄弟が離れ離れになってしまった事件が「洪景来の乱」です。
かとリーニョ
主導者は洪景来という没落してしまった両班(朝鮮時代の身分階級の最上位)の末裔で、彼が農民と共に反乱を起こしたのが始まりです。
この映画をご覧になるにあたり、このあたりの歴史に関わる内容を少し頭に入れてからご覧になると、映画の内容も分かりやすいかと思います。
かとリーニョ
豪華俳優陣による感動のヒューマンドラマ時代劇
俳優陣がかなり豪華な『王の預言書』。
演技歴18年ながら初の時代劇に主演し、凶暴かつ強引な勢力に自慢の筆で戦いを挑む主人公フンブ役にはドラマでも大人気の俳優チョン・ウ。
『応答せよ1994』では、「百想芸術大賞新人男優賞」を獲得した実力派です。
そして、主人公フンブが尊敬の念を抱き、兄のような存在ともなった両班出身のチョ・ヒョク役を名優キム・ジュヒョクが演じます。
2017年10月に突然帰らぬ人となってしまった彼の遺作であり、『王の預言書』の前には3役連続で「悪役」を演じていましたが、久々の彼らしい温かく包容力があり多くの人に慕われる役柄で、演技人生の最後を飾りました。
他にもヒョクの兄で悪役のハンニ役にベテラン俳優チョン・ジニョン、男に扮してまで小説家になりたかった女性ソンチョル役に女優チョン・ウヒ、フンブの生き別れた兄ノルブ役には強烈なオーラを放ち劇中では登場回数が少ない割にインパクトを残した俳優チン・グ、そしてに朝鮮24代国王憲宗役に次世代スターとして日本でも世界でも大人気俳優となったチョン・ヘインと豪華な顔ぶれが揃っています。
かとリーニョ
韓国では「脇役の名品」と言われるほど、主役ではなくあくまでも”脇役”なのですが、主役以上にインパクトを残す時があります。
今回の彼は今までに見たこともない悪役にしてヒョクの兄ハンニ役で出演し、強烈なインパクトを与えました。
かとリーニョ
ヒョクとの出会いが、フンブの人生を変える
戦乱の中、兄ノルブと生き別れ天涯孤独の身となったフンブは、小説家とは言いつつも「官能小説」を得意とし、人気を博していました。
そのころ、王朝の権力争いも激化している中、とある人物がフンブの元へやってきて「王の預言書の外伝」を書いてほしいと依頼します。
そして多額の金額をもらい必死に書き上げたフンブの「預言書の外伝」が、なんと王朝をさらに混乱にさせてしまうことになります。
そんな中、フンブは友人から「生き別れた兄の行方を知っている人物がいる」と聞き、慌ててその男に会い行きます。
その男の名は、チョ・ヒョク。
一見みすぼらしい格好をし、孤児を引き取り、民に慕われながら生活している人徳のあるお方でした。
かとリーニョ
両班の身分ですが、ヒョクは関係なくフンブに対等に接します。
そして、少しづつヒョクに近づいていきながら最後には彼に対して尊敬の念までも描くようになったフンブが、ヒョクから突然「悪政の世を揺るがすような私たち兄弟の書物を書いてほしい」と願われるのです。
それを書けば行方の分からない兄に合わせてやると言われ、フンブはヒョクとハンニの全く対照的な性格に着目し、小説「興夫伝」を書き上げていきます。
この小説は瞬く間に民の間へも広がり、また朝鮮の伝統芸能パンソリの題材にも取り上げられるなど流行っていくのですが、実はこれが”王朝・王家を揺るがす”大変な書物となってしまうのです。
凶暴な剣ではなく1本の筆で国を変える
「興夫伝」が世に出回り、さらに王様の元にも広がり始め焦りを隠せないヒョクの兄ハンニ。
フンブが、兄ノルブとの再会をして帰ってくると弟子ソンチョルがいません。
ソンチョルは、ハンニにつかまっていたのです。
とうとうフンブも捕まってしまい、王様の前で罰を受けることになりますが、そこへヒョクとソンチョルが!
フンブが書いた小説「興夫伝」ですが、その執筆を指示したのは俺だ!というヒョク。
ソンチョルもかたくなにフンブが書いたのではないと言い切る中、ハンニは怒りが最高潮し、ヒョクと弟子が殺害されてしまいます。
この状況を目の当たりにしたフンブは、ハンニに対して、さらに王である憲宗に対しても怒りがこみ上げます。
フンブは、新たに「フンブ伝」を編成しなおし、ハンニと手を組むと見せかけて王宮で「興夫伝」のパンソリを披露することになります。
フンブは亡き兄のように慕っていたヒョクの想いを継ぎ、民を集結させ王宮を襲撃する計画を実行します。
王宮では、パンソリによる「興夫伝」が順調に進む中、途中話の内容が変わって大勢の前でハンニの不正が明らかになりました。
そこへフンブが登場し、王宮は一瞬にして戦場になり、王宮の前には民衆が集まり兵士に立ち向かいます。
ハンニは王様の前で殺害され、その後フンブは王憲宗にこう伝えるのです。
「王様、これからは民の事を考える立派な聖君になってください」
そして、剣ではなく1本の筆で世の中を変えたフンブは新たな人生の旅に出ます。
フンブの変わりようと2組の真逆な兄弟に要注目!
映画序盤、少し情けない官能小説家だったフンブが最後には顔もいで立ちも凛々しくなり権力に立ち向かっていく様は本当に素晴らしい演技でした。
かとリーニョ
また、何度か出てきたパンソリですが、朝鮮時代の伝統芸能のようで、日本でいう狂言のようなものなのでしょうか?
劇中でのパンソリは、本当に素晴らしく目を見張るものがありました。
全体として2組の兄弟の姿が描かれている作品でしたが、富と権力は兄弟の仲ですら引き裂いてしまうという嫌な事実も描いていました。
かとリーニョ
『毒戦 BELIEVER』の時もそうでしたが、最後のテロップにヒョク役のキム・ジュヒョクへの「感謝の意」が述べられています。
『王の預言書』まとめ
- 1本の剣より1本の筆の方が強かった
- フンブ役のチョン・ウの最初と最後の変わりようは必見
- 2組の真逆な兄弟の行方に要注目
以上、ここまで『王の預言書』についてご紹介させて頂きました。
ぜひ、ご覧になってみてくださいね。
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