謎の疫病によって男女の役割が逆転した世、貧しい家を救うために大奥へと上がる決心をした主人公。
仕えた女将軍の元で劇的な運命が回り出します。
徹底して秘められていた世界を覗き見するような世界観の作品です。
- よしながふみによる漫画「大奥」が原作、2010年公開の映画
- 男女の役割が逆転した世でのお世継ぎ問題とは
- トンデモ設定に思えるけれどストーリーがしっかりしていて隙がないから入り込みやすいと思います
それでは『大奥』をネタバレありでレビューします。
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目次
『大奥』作品情報
作品名 | 大奥 |
公開日 | 2010年10月1日 |
上映時間 | 116分 |
監督 | 金子文紀 |
脚本 | 高橋ナツコ |
原作 | よしながふみ |
出演者 | 二宮和也 柴咲コウ 堀北真希 大倉忠義 中村蒼 玉木宏 倍賞美津子 竹脇無我 和久井映見 阿部サダヲ 佐々木蔵之介 |
音楽 | 村松崇継 |
【ネタバレ】『大奥』あらすじ
疫病がはびこり男が激減した世、男女の役割は逆転
時は正徳(1711-1716)、男だけがかかる10人に8人は死んでしまう疫病“赤面疱瘡”が大流行しているなかで、気付けば男の数は女の4分の1にまで減っていました。
飛脚も大工も籠屋も女、将軍様も女。
男は歌や踊りを習う世で吉原の太夫も男。
しかしそんななかでも剣術狂いの師範代、旗本家の長男である水野祐之進(二宮和也)は稽古場で木刀を振っていました。
貧しい家に生まれ、武術に優れ外見は麗しい祐之進は、夜は子宝という生きがいを女性にあげたいと頼み込んできた相手にただで子種を提供しています。
ある日、母が見合い話を持ってきました。
相手は両家の娘で、顔さえよければ他の欠点は目を瞑ると言っているといいます。
祐之進は婿に行くことよりももっと家のためになることを見つけてみせる、と上手いことかわしました。
幼馴染のお信(堀北真希)と両想いではあるものの身分の差があるせいで結ばれないこともわかっていた祐之進は、貧しい家のためにと大奥に上がることを決心します。
配属された御三の間は、上司の身の回りの世話をする地位でした。
御目見えとして将軍に会うことが許されている“御目見え以上”と、“御目見え以下”とに分かれているなか御三の間は御目見え以下の最上位。
働きが認められ将軍の目に留まることがあれば、御目見え以上に昇格する可能性もある身分でした。
新入りとしての洗礼、御三の間の古参たちに「田舎者」とからかわれるのも気にしない一本気な性格の祐之進は江戸っ子口調で逆にまくし立て、下の名を捨て水野としての大奥での生活が始まっていきます。
大奥での生活の始まり
教育係の杉下(阿部サダヲ)に仕事を教えてもらいながら過ごしていくなかで、生意気な新参者としてからかわれ、水野へのいわゆる新人いじめはエスカレートしていきます。
皆が寝静まった夜、これ以上水野が大きな顔をしていられないよう男のプライドをへし折るために、酷いことをしようとした副島(ムロツヨシ)らが襲いかかりましたが、水野は“売られた喧嘩は買う”精神で部屋にあった真剣を抜き威嚇しました。
翌日、杉下は昨日の事件を“よくあること”として咎めませんでした。
そして自分は男とも寝てきた、とさらりと言いのけます。
運よく地位の高い男と懇ろになれば昇進も叶う、大奥とはそんなところだと言うのでした。
そんな折、水野は庭の掃除の最中に城内で稽古場を見つけます。
ほうきを木刀に見立てて振っていると藤波(佐々木蔵之介)から声をかけられました。
藤波いわく昨晩のことを“夜の立ち回りの代わりに大立ち回りを披露した水野”と名が知れてることを笑い、道場に入って誰かと一戦交えることを許されます。
相手は腕の良い鶴岡(大倉忠義)。
新人では勝ち目などないと嘲笑われながらの戦いで勝ったのは水野でした。
力いっぱい木刀を振ってしまったことに少し申し訳なくなりながら鶴岡に手を差し伸べる水野でしたが、その手はふり払われてしまいます。
鶴岡は、大奥で大事なのは美しい顔と処世術だと言い放ち、「そなたより拙者の方がずっとずっと美しいわ」と吐き捨てるのでした。
しかし鶴岡はそれまで藤波とともに有力者である松島(玉木宏)のお気に入りだったのですが、この一件で見離されてしまいました。
夜、水野はこっそりと道場へ足を運び木刀を振おうとしていました。
そっと足を踏み入れた道場には鶴岡がいました。
そして真剣での戦いを挑んできました。
水野は、刀は上様をお守りするためのものだと言い、鶴岡に切りつけられても鞘から抜かずにいるととどめを刺されそうになるところまで追いつめられます。
しかし剣術の腕が上であることを、刀を以て提示した水野は「武士としてともに上様をお守りしましょう」と諌めました。
鶴岡は静かに立ち上がり刀を収めると、庭に出て切腹しました。
物音で気付いた水野は近づき、自害した鶴岡の首を撥ねてやりました。
名前を問われたら、それが“合図”
冬の日、新たな将軍・徳川吉宗(柴崎コウ)が江戸幕府の政治を司ることとなります。
吉宗はケチで有名らしく、大奥を一新するのは勿体ないとさえ言っていると有力者たちは囁きます。
吉宗としては無駄に使われている財政を引き締め、政治の改革を考えていただけのこと。
自分の着物に対しても贅沢だと言い、側用人にも自分に関わるものに関してはごくごく質素にと申しつけているほどでした。
その頃、水野は御中臈に抜擢され大出世します。
水野の昇進により杉下も出世し、水野の身の回りの世話をすることとなりました。
呉服の間の垣添(中村蒼)も水野の昇進とともに世話役となった1人です。
いつか水野が稽古場で鶴岡と一戦交えた時に城内で噂が広がり一部の“御目見え以下”の間に水野のファンができた時、一番キラキラした目で水野を見ていたのが垣添でした。
垣添は呉服の知識やデザインのセンスに優れ、水野が吉宗に会うための装束について希望を聞きながら自分の意見を熱く語ってしまうほど。
水野は上下黒のものを仕立てて欲しいと言い、垣添はその希望以上の見事な着物を仕立てました。
そして初めての総触れ、水野は垣添が仕立てた上下黒の袴で皆の前に現れます。
藤波は水野に「名前を問われたらそれが“合図”だ」と言いました。
水野はそれがどういう意味なのかわからないままに廊下の鈴が鳴り、吉宗が現れます。
吉宗は綺麗な色の着物を着た大奥の男たちに対して「バカバカしいほど着飾った男どもだ」と言い、荒々しく歩いていると裾を踏んで躓きました。
それを見ていた瀬川(細田よしひこ)がうっかり笑ってしまい、吉宗は誰が笑ったのだと問い詰めます。
将軍様に対して無礼な態度をとってしまったらどうなるか、想像しただけで震える瀬川の隣に座っていたのは水野でした。
水野は自分が笑ったと声をあげます。
吉宗は水野に、名を問いました。
総触れのあと水野は藤波から、未婚の将軍の初めての相手をする者は“ご内証の方”と呼ばれ、将軍に初めての夜伽の手ほどきをする重大な役目であると同時に、破瓜して体に傷をつける大罪人でもあることから打ち首となって死ななければならない定法であると告げられます。
水野の家には病死と伝えられ、多額の見舞金が支払われるということを確認して、水野は役目を受け入れました。
杉下はこのことが理不尽だと憤慨しました。
本来であれば元からいた者の中からご内証の方を選ばせるのが筋であるはずなのに、このタイミングで水野を昇格させたことが陰謀であると思い許せなかったのです。
実際のところ大奥総取締役である藤波と、藤波の寵愛を受けている松島には、次の総触れで松島が指名され次の世継ぎの父となる思惑がありました。
水野はお信に好きだと言ってやれなかったことを悔やんでいました。
夜、寝所で吉宗は水野に下の名前を問いました。
自分の名前は信だと名乗って。
そしてご内証の方という定法を知らなかったこと、しかしそれでも誰かがやらなければならないこと、その役目を受け入れたことに対して吉宗自身の気持ちを伝えました。
水野はただ一つだけ願いを聞いてほしいと言い、どうかこの夜だけ吉宗を「お信」と呼ぶことを許してほしいと懇願しました。
役目を果たした水野と、吉宗の思惑
翌朝、水野が目を覚ますと寝所には自分しかいませんでした。
将軍は目が覚めるまで休ませてやれとだけ言い、何かを御庭番の三郎座に調べさせていました。
役目を果たした水野はしきたり通りに打ち首となり、水野家には約束通り病死ということが伝えられました。
水野の死はお信も知ることとなり、お信は水野家の墓に花と、水野の好物だったおむすびを供えます。
そこに「そいつはありがてぇ」と現れたのは水野でした。
打ち首の儀の時、吉宗が「今この時をもって大奥にいた水野という男は死んだ」とし、水野を進吉という町人として新しい命を生きられるように取り計らってくれたのです。
そののち、吉宗は大奥の選りすぐりの美男50人を集めろと言い出し、全員に暇を申し付けました。
幕府の財政が切迫していて大奥においても人員の削減が必要だとして、婿の貰い手に困らないであろう美男を解雇したのです。
次は自分が選ばれると思い込んでいた松島をはじめとする大奥の男たちは首を垂れて落胆しましたが、吉宗はこれから国をどう動かすかという抜本的改革に向けて未来を見据えていました。
【ネタバレ】『大奥』感想
今さらになって見た理由、見てこなかった理由
なぜ今さらの『大奥』なのかと言いますと、2019年末にNetflixに加入したわけです。
数あるVODサービスの中で選んだ理由は言わずもがな嵐のドキュメンタリーを見るためです。
というわけで二宮和也が出演している『大奥』を見たわけです。
vito
結論としては、もっと早く見ておけばよかった。
vito
二宮和也に興味があるにせよないにせよ、というか時代劇に興味があるにせよないにせよ、登録しているVODにあったら見た方が良いよとおすすめしておきたいです。
もちろんあらすじを知って興味を持って何かしらに登録してみるっていうのも、私きっかけで誰かの世界が広がるんだとしたらそれって素敵なことだなぁとか思ったりもします。
ちなみに時代劇はそそられないとか書いておきながらドラマの『大奥 2003』の大奥は見ていたんですよね…菅野美穂とかが出ていたシリーズものなんですけど。
vito
そんなだからこの『大奥』も気に入らないはずがなかったってわけです。
印象に残っている場面はキスシーン
vito
昇進した水野のお世話役になった垣添とのエピソードなんですけどね。
黒い上下の着物を仕立てた褒美に水野が乾菓子をあげようとするところで、水野に恋しちゃってる垣添は「何もいらないけど“思い出”が欲しい」って言うんです。
vito
垣添は嬉しくて嬉しくて、もうこれだけで十分だって部屋を出ていき、なんだか恥ずかしくなっちゃう水野は「これくらいなら、まぁ…」みたいなことをちょっと気まずそうに言うわけです。
vito
BのLだぜヒャッホウ!ってことではなく、なんか3人とも可愛くて好きなんですよね。
全体的に水野と杉下の関係性みたいなものにグッとくるところは多くて、この2人が画面内にいるだけでほほえましいっていうか…ほっとするっていうか…。
vito
いやまぁ身分が上の男性と懇ろになったら昇進できるから関係を持ったりもしてきたって言ってたから、杉下もそこそこに染まっていたんだろうとは思いますけど。
vito
『大奥』まとめ
以上、ここまで『大奥』をレビューしてきました。
- 私みたいに後回しにして見ないままになっている人に真っ先に見て欲しい!
- ストーリーがしっかりしていて、とにかく美男子がいっぱい見たいっていう人にもおすすめしておきます
- なんだかんだで女の大奥ほどドロドロはしていないから見やすい気が…します
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