『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』あらすじ・ネタバレ感想!正反対な2人のロック物語

出典:『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』公式ページ

「やらない理由を探すな!」

本作『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』は目を離す隙がなく、気づけば五感をフル活用して観ていました。

観終えた後の不思議な爽快感がとても気持ちのいい作品です。

ポイント
  • 三木聡監督の味が存分に出ている
  • 正反対の二人が最強のバディになる様は見応え抜群
  • 豪華なアーティスト陣にも注目

それではさっそく『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』をレビューしたいと思います。

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『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』作品情報

『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』

出典:映画.com

作品名 音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!
公開日 2018年10月12日
上映時間 107分
監督 三木聡
脚本 三木聡
出演者 阿部サダヲ
吉岡里帆
千葉雄大
麻生久美子
小峠英二(バイきんぐ)
片山友希
中村優子
池津祥子
森下能幸
岩松了
ふせえり
田中哲司
松尾スズキ
村上航
音楽 上野耕路

『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』主要キャスト

シン(阿部サダヲ)

シン(阿部サダヲ)

出典:『音量を上げろタコ!』公式ページ

  • 驚異の声量と美声を持つ、“絶叫する堕天使”の異名を持つカリスマロックスター。
  • しかし、その歌声は「声帯ドーピング」という禁断の手段によって作られたもの。
  • 某有名人の妻と不倫、世の中のタブーに対して不穏当な発言など素行の悪さで問題を起こす。

明日葉ふうか(吉岡里帆)

明日葉ふうか(吉岡里帆)

出典:『音量を上げろタコ!』公式ページ

  • 「君といる風景」というバンドに所属していたがクビになる。
  • その理由は……歌声が小さすぎるから。
  • 過去に色々あったせいで、「大きな声」を出すことに抵抗があり、表現もためらいがち。

坂口(千葉雄大)

坂口(千葉雄大)

出典:『音量を上げろタコ!』公式ページ

  • レコード会社「ステレオタイプレコード」の、シンの担当A&R。
  • シンの事務所の社長とは絶対服従関係にある。
  • チョロくて弱くて情けないキャラクターだが、裏の顔も持っている。

【ネタバレ】『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』あらすじ・感想


声が小さすぎるふうか(吉岡里帆)と驚異の声を持つシン(阿部サダヲ)

声が小さすぎるストリートミュージシャンの明日葉ふうか(吉岡里帆)。

バンドで路上ライブをするも、「聞こえない」という声ばかり。

バンドメンバーからは「もう一緒にできない」と告げられてしまいました。

その一方で、復活を遂げた驚異の歌声をもつ世界的ロックスター・シン(阿部サダヲ)。

しかし、シンの声には秘密がありました。声帯ドーピングという禁断の手段で手に入れた声だったのです。

シンは復活ライブ中に、口から大量の血を吐いてしまい、観客は血まみれ。シンの喉は限界を迎えようとしていました。

後日、一人で路上ライブをしていたふうかの歌を聴き、シンは声をかけます。

シンから罵倒を浴びせられたふうかは、シンから逃げる最中で大事なギターを車に轢かれてしまいました。

次の日、ふうかが部屋で眠っていると、窓が割れ外からギターが飛び込んできました。

状況を把握できずにあたふたするふうかの前に、「ギターの弁償だ」とシンが再び現れます。

そこから二人は仲を深めていきます。

シンの声帯ドーピングの事実を知ったふうか。

韓国で手術を受ければシンは声を失わずに済むことを知り、二人は釜山へ向かいました。

ツアーをすっぽかし逃亡するシンを、シンのレコード会社の担当者・坂口(千葉雄大)と社長(田中哲司)は探し回ります。

プロデューサーと社長からは逃げたものの、シンは釜山の警察に捕まってしまいました。

後に、ふうかはシンのプロデューサーのもとで、絶叫のシンガーとしてデビューします。

「対馬からだと釜山にいるシンまで届くかも」とふうかは対馬でライブを決行したのでした。

一度味わうとクセになる三木聡監督の味

なぜシンはふうかの居場所が分かったのか?と、あらすじを読んで疑問に思った方もいると思います。

ですがそこを追求してはいけません。三木聡監督の味のひとつなのです。

あやふやでトンチンカンでカラフルで…そして時に出てくる強烈なメッセージ。それが三木聡監督の味。

例えるなら不思議な雰囲気の人や、謎が多い人に惹かれる感覚に近いです。

「東京の空気の何パーセントがため息なんだろうね」とハッとする台詞の後には、空気を吸いまくるシーンになり笑えます。

その塩梅がたまらなく好きです。

今作で一番刺さった台詞が「やらない理由を探すな」でした。

また「鳴らない、携帯」と書かれたエヴァンゲリヲン風のスマホケースがあったり、”よろこびソバ”という屋台が出てきたり、おもしろい仕掛けがたくさんあります。

一回では発見できなかった仕掛けがあると思うので、もっと発見したいなとまた観たくなりました。

観ていて飽きないカラフルな部屋や、濃いキャラクターたちも三木聡監督の味のひとつ。

私が今作で一番好きなキャラクターが、デビルおばさん(ふせえり)です。

他にも、女医役で出演している麻生久美子は三木聡監督作品によく出演していて、麻生久美子主演作品の『インスタント沼』もとても好きな作品です。

正反対の二人が最強のバディに

シンは、いちいちふうかが怒るようなことをします。

ふうかが何でそんなことをするのか?と聞いても「おもしろいからだ」と。

シンは追手に捕まりそうになったとき、必死に逃げようとするふうかの横で邪魔するようなことばかりします。

それに対しふうかは大きな声で怒りました。

「怒れるようになった」とシンから言われたふうかは、シンの今までの行動の目的に気づくのです。

シンはどの道もう逃げ場がないことを悟り、“ふうかが大きな声を出せるようになるため”そうしていたのです。

シンによって自分の殻を破ることができたふうか。

最初は正反対だった二人が最強のバディになりました。

あの曲はあのアーティストが作った曲だった!豪華なアーティスト陣

シンを演じる阿部サダヲは「グループ魂」というバンドのボーカルとして活動しています。

最初に出てくる劇中バンド「SIN +EX MACHiNA」でベースを務めるのがkenken(RIZE)

ドラムを務めるのはSATOKO(FUZZY CONTROL)と冒頭から豪華です。

シンが歌う主題歌「人類滅亡の歓び」を作曲したのはL’Arc〜en〜CielのボーカルHYDEで、作詞は元SUPERCARのいしわたり淳治と、これまた豪華。

また、ふうかが歌うもうひとつの主題歌「体の芯からまだ燃えているんだ」の作詞作曲を担当したのは、あいみょん


あいみょんは2018年の紅白歌合戦に初出場し、今もっとも注目を集めるシンガーソングライターです。

私の好きなアーティストが集結していて、大興奮しました。

音楽映画として音楽を存分に楽しめる作品となっています。

劇中歌は元チャットモンチーの橋本絵莉子が手掛け、劇中でふうかが歌っている「まだ死にたくない」「ゆめのな」のMovieバージョン(映像付き)が配信限定で公開されています。

『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』まとめ

強いメッセージがありながらも、重たい雰囲気にならず笑って観ることができる『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』。

最近モヤモヤするけれど、ただ単に笑えるだけの映画はなんか違う!という気分のときに、ぜひ観ていただきたい作品です。

シュールで大胆な三木聡ワールドを、味わってみてください。

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