【小野花梨インタビュー】ドラマ『親バカ青春白書』初の福田組に「今までの常識が通用しない現場だった」と語る

【小野花梨インタビュー】ドラマ『親バカ青春白書』初の福田組に「今までの常識が通用しない現場だった」と語る

(C)ミルトモ

2020年8月2日から日曜夜10:30(日本テレビ)枠で放送スタートしている『親バカ青春白書』は、「コメディの奇才」福田雄一監督が演出を手掛けるオリジナルドラマ。

今回は、同ドラマのメインキャストとして出演中の小野花梨さんにインタビューを行いました。

2006年に子役としてデビューしてから絶え間ない活躍を見せる小野さんにとっても、初参加した福田組の撮影はやはり独特なものだったようです。

興味深い『親バカ青春白書』の撮影エピソード、そして小野さんの女優としてのルーツについてもお話を伺いました。

【小野花梨インタビュー】

小野花梨インタビュー

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子役から活躍する小野花梨が女優として感じたターニングポイント

−−初めに、小野さんの女優としてのルーツをお聞きしたいのですが、2006年にドラマ『嫌われ松子の一生』で子役デビューされました。その時のデビューのきっかけを教えていただけますか?

小野花梨(以下、小野)「最初はNHKの『おかあさんといっしょ!』という番組最後に落ちてくる風船を欲しがっていると、母が『芸能界のことはわからないから「劇団ひまわり」に応募してみる?』とオーディションを受けたことが、この世界に入ったきっかけです。」

−−子役で出演されて、印象に残っている作品はありますか?

小野「12才の時に出演させていただいた『鈴木先生』です。撮影期間が長くて、1年近く毎日のように一緒にいる環境で、あの時に感じたことや教えてもらったことは、未だにすごく覚えています。

お芝居に対する向き合い方や、役に対する考え方、そして『お芝居ってこんなに難しいんだ』とちゃんと考えるようになったのがその時なんです。だから『鈴木先生』に出たことは、間違いなく私の女優人生における大きな財産になっていると思います。」

−−お芝居にやりがいや楽しさを本当の意味で実感できたターニングポイントということですね。

小野「お芝居がただ楽しいだけじゃないことを知れたのが『鈴木先生』と言った方が正しいかもしれません。みんなで作品を作ることの喜び、お芝居の難しさや奥深さ、人間関係の複雑さなど、演じている時は苦しいのに、いざ終わったらすごく達成感があって楽しかった自分がいて、たくさんの学びがありました。

小野花梨インタビュー

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この仕事は『単純に楽しいでやっちゃいけない、それでも自分はやっていくの?』と思いながら、お芝居への向き合い方を考えたのがその時なんです。大きかったです。」

−−『鈴木先生』で一緒に出演されていた土屋太鳳さんが小野さんの演技に対する準備や姿勢が凄かったと感銘を受けている一幕がありました。周りからストイックな印象を受けることが多いと思いますが、実際ご自身ではどう感じていますか?

小野「ストイックかは自分ではわかりませんが、悩みがちではあります。楽しい中でも色々なことを考えてしまうタイプで、終わった後ももっとできたんじゃない?と振り返ります。だから、役を頂くことの恐怖心がベースにあるタイプかなとは思います。」

−−ONとOFFの切り分けが上手い役者さんと役柄を引きずってしまう役者さんがいらっしゃると思うんですけど、小野さんは後者でしょうか?

小野「後者だと思います。役が憑依しちゃうというより、役のことについて考える時間が多くなって、精神的に落ちちゃう節はありますね。」

−−そういう時のリフレッシュ方法はどうされてますか?

小野「読書です。読書をしていると何も考えなくていいから、自分の中で瞑想みたいな効果があるんだなって最近思いました。ボーッとしていると役のことを考えちゃうから、リフレッシュするには読書が最適だと感じています。」

−−やっぱりめちゃくちゃストイックですよね。

小野「ストイックというか性格かもしれません。」

−−今後、女優さんとして挑戦してみたい役柄や展望はありますか?

小野「いつも変わらないのですが、その時に与えていただいたものをその時できる150パーセントの力でやる姿勢を貫きたいです。あまり未来のことは考えてなくて、その中で良いご縁があれば嬉しいなと思いますし、素敵な人間になれればと思っています。」

『親バカ青春白書』今までの常識が通用しない福田組の撮影

小野花梨インタビュー

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−−『親バカ青春白書』は(本取材をした8月17日現在)3話まで放送中ですが、毎回とても笑わせていただいています。周りの反響はいかがですか?

小野「今はどうしても外出自粛の空気で気分が沈んだりとか、ちょっと神経質になってしまう部分もあったりすると思うのですが、そんな中で『すごく楽しんでるよー』という友達の声ですとか、家族もそうですけど、クスッと笑える作品として喜んでもらえているので嬉しいです。」

−−小野さんは、福田監督作品のご出演は今作が初めてですよね?

小野「厳密に言えば、福田監督が演出・脚本をされている『33分探偵』に出演させていただいたことはあったのですが、私の出演回は福田さんの演出ではなかったので、接点はあったのですが直接演出いただいたのは『親バカ青春白書』が初めてです。」

−−最初お話があった時の率直な感想はいかがでしたか?

小野「『親バカ青春白書』のような陽気でカラッと笑えるような作品は過去にあまりご縁のない役どころで、福田さんに演出していただくのも初めてでしたし、正直言うと『大丈夫かな?』という不安はちょっとありました。」

−−確かに、小野さんが本格的なコメディにご出演されているイメージはあまりないですもんね。

小野「はい、本当に初めてだと思います。」

−−初挑戦で不安がある中でも、お話をいただいた時は即答でしたか?

小野「それはもちろん!福田組は、役者であれば誰しもが参加したいと思いますし、あの世界観がどういう風に作られているのかなど気になるところが山積みなので、福田組に参加できることは嬉しかったです。」

−−その辺についてもう少しお聞きしたいのですが、小野さんは子役として2006年から活動されていて、あらゆる現場や監督の作品のご経験があると思います。それでも福田組ならではの独特な雰囲気や世界観は感じましたか?

小野「はい、感じました。今までの自分が経験してきた常識や当たり前が一切通用しなかったです。本当に何も通用しなくて、具体的に言うと福田監督は一切演出をしないんですね。ゼロなんです。」

−−ほとんど口出ししてこない?

小野「はい、されないんです。福田監督からの指示は、「ん〜、(小野花梨演じる)美咲の席はここ!」だけです。私だけじゃなく、もちろん全員にそうで『監督と役についてどういう話をされました?』ってよく聞いていただくのですが、本当にゼロなんですよね。」

−−例えば、もうちょっとテンション上げてといったようなリクエストも?

小野「ゼロです。注文がないので、言わばリハーサルでやったことが全てなんです。今回のように、『あれで良かったかな?』『やりすぎたかな?』『もうちょっとイケたかな?』など、自分で振り返って消化する体験は他の現場ではありませんでした。

やっぱり通常は、監督と話して『こう言う風にやりますか?じゃあ、こうしよう』と決めて、決まったことを全力でやるという流れだったので。だからこそ、演じていて逆にシビアに感じました。」

−−そんな中で、主演のムロツヨシさんは福田組常連なので慣れていらっしゃると思いますが、その他のメインキャスト(永野芽郁、中川大志、今田美桜、戸塚純貴、小野花梨)の皆さんも、違う個性を発揮しながら絶妙な距離感や空気感を確立されているのは凄いことですね。

小野「そうですね。他の皆さんは本当にかしこくて真面目で意欲的ですし、一人一人が自分でキャラクターや立ち回りを考えてやっている結果として生まれている関係なので、そう言っていただけて嬉しいです。」

−−小野さんが演じる美咲ちゃんはツッコミ的な立ち位置に当たると思いますが、あのキャラクターも小野さんが台本を見て『こういうキャラ立てで行こう』と落とし込んだのですか?

小野「そういうことになりますよね。もう合ってるか間違っているかは分からず、これで行きます!と腹を決めて演じていました。」

−−福田監督が描いてる画とは、一切すり合わせがないということですね。

小野「福田監督の理想は今も分からないままです。」

−−その分、やっぱりキャスト同士で話し合われてカバーされていたのでしょうか?

小野「まだ撮影の序盤に、中川大志さんも福田組は初めてとおっしゃっていたので、『予想以上に何も言われないのは不安じゃないですか?』と聞いたら、『いや、でも監督がOK出してるってことはOKだから僕は不安に思いません』と返ってきて、『中川大志すげぇ!』って思いました。

確かに監督が違うなと思ったらおっしゃるでしょうし、「何も言わない」という信頼の仕方もあるんだと気づいて、その時の会話はすごく印象に残っています。」

−−福田組と言えばアドリブのイメージも強いのですが、ムロツヨシさんをはじめアドリブの比率は実際どれくらいなのでしょうか?

小野「もちろんシーンによりますけど、ムロさんのスイッチが入った時は3割くらい誇張されてるというか、「セリフが台本より長いな」という場面はあります。ただ、台本そのものが面白いので、そこまでアドリブを足さなくてもすでにクスッとできる内容になっているんですよね。

なので、台本を消化しきって監督がカットをかけるまでの余白時間を、みんなで『何する?』という感じでアドリブで埋めにいくというのが実際のところですね。あとはそのアドリブを採用するかしないかは、福田監督にお任せです。」

中学生以来の共演となった永野芽郁の存在が大きかった

小野花梨インタビュー

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−−オープニングやエンディングからも本当に皆さん仲良さそうな雰囲気が伝わってきますが、特にお話された共演者はいらっしゃいますか?

小野「一番パーソナルな深いところまでお話したのは永野芽郁ちゃんですね。中学3年生の時に映画で共演して以来だったのですが、似ているところもありつつ、考え方や捉え方がかしこくて真面目ですごく素敵な方なので、色々なことを聞かせてもらって、私も聞いてもらって。本当に芽郁ちゃんの存在は大きかったです。」

−−小野さん演じる美咲はツッコミ役でしっかり者に見えますが、突然突拍子もないことを言う一面もあります。役作りや演じる上で意識された点はありますか?

小野「4話以降で美咲の過去が明らかになっていくのですが、もともと台本を読んだ時点で美咲はすごくギャップや多面性のある子だなと思いました。でも人間ってそういう部分もあるじゃないですか?人によって見せる顔も違うし、色んな思いを抱えているけどあえて見せなかったり。

だからそういう点はすごく納得していて、あまり一つに絞らずに多面性を楽しむ、ギャップを楽しむことを心がけていました。どんな美咲がいても納得できるような心構えで演じていました。」

−−初めて本格コメディを演じられて、手応えや感想はいかがですか?

小野「正直言うと、とても難しかったです。人を笑わすことがどれだけ難しいかを痛感しました。」

−−具体的にどういったところが難しく感じましたか?

小野「ふざければいいわけではなく、真剣に演じる中にもサービス精神を持つバランス感覚と言いましょうか。お芝居もそうですが、正解がない世界なので『芝居』と『笑わせる』という2種類のフィルターを処理する感覚が難しく感じました。」

−−ネタバレを控えた上で、今後4話以降の見どころや笑いどころを教えていただけますか?

小野「今後、6人でいるシーンがグッと増えていきます。6人でいるシーンが増えるということは、その分それぞれの絡みが増えていって、それぞれの会話が増えていく。だから、キャラとキャラが合わさった時の会話や化学反応がさらに面白いと感じていただけるはずです。

どこを切り取っても面白いですし、さらに色んな人物の気持ちが明らかになってくる展開になっているので、そういうところを楽しんで頂けたらと思います。」

−−『親バカ青春白書』はただの「親バカ」なストーリーではないですもんね。

小野「そうなんです!ただの親バカと愛娘の物語ではなくて、大学生がどういう人間なのか、どういう感情なのかを違う視点・違うキャラで描かれているので、すごく面白い作品だと思います。」

−−最終回がどういう展開になっていくのか、今のところ全く読めません。

小野「読めないですよね!ここからどんどん面白くなっていきます。途中から見始めても違和感なく楽しめるドラマなので、ぜひこれから見始める人も楽しんでください!」

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インタビュー・構成 / 佐藤 渉
撮影 / 梁瀬 玉実

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