『脳男』あらすじ・ネタバレ感想!天才的な知能をもつ美しき殺人者、彼には感情だけが“無い”

映画『脳男』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『脳男』公式ページ

都内近郊で頻発する無差別連続爆弾テロ事件。

犯人のアジトである廃屋にいた男は鋼のような体をもち、天才的な知能がありながら“感情だけが無かった”。

ポイント
  • 原作は2000年に江戸川乱歩賞を受賞している首藤瓜於のデビュー作
  • ビターエンドが好きな人にはハマる!
  • 鈴木、茶屋、緑川、真梨子など誰の視点で見るかによって何度でも楽しめる作品

それではさっそく映画『脳男』をネタバレありでレビューしたいと思います。

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『脳男』作品情報

作品名 脳男
公開日 2013年02月09日
上映時間 125分
監督 瀧本智行
脚本 真辺克彦
成島出
出演者 生田斗真
松雪泰子
江口洋介
二階堂ふみ
太田莉菜
大和田健介
染谷将太
光石研
甲本雅裕
小澤征悦
石橋蓮司
夏八木勲

『脳男』あらすじ


残忍な手口の無差別連続爆破事件を追う刑事の茶屋(江口洋介)は犯人の居所を突き止めるが、身柄を確保できたのは身元不明の鈴木一郎(生田斗真)だけ。

共犯者と見なされた一郎は犯行が常軌を逸したものだったため、精神鑑定を受けることに。

担当となった精神科医・鷲谷真梨子(松雪泰子)は感情を表さない一郎に興味を持ち、彼の過去を調べ始めるが……。
出典:シネマトゥデイ

【ネタバレ】『脳男』感想レビュー

連続爆弾テロ事件

都内近郊で連続して起きている無差別連続爆弾テロ事件。

精神科医の鷲谷真梨子(松雪泰子)の乗ろうとしたバスが爆発しました。

犯行に使われた“爆弾”は、舌を切り取られた女性の体に爆薬を巻きつけた人間爆弾でした。

真梨子はやけどを負いよたよた歩いてきた男の子を抱きしめ、誰か早く救急車を呼んでと叫びました。

あたりが暗くなる頃には事故現場には人だかりが出来て、面白がって携帯で写真を撮る人々で溢れていました。

駆けつけた刑事の茶屋(江口洋介)と部下の広野(大和田健介)はそれを蹴散らします。

曰く、頻発している爆弾テロ事件でのここ数件の被害者はアナウンサーやコメンテーター、いずれもテロリストに対して批判的な意見を述べた人たちでした。

そしていずれも、舌を切り取られ人間爆弾にされています。

今回の事件も、テレビで“次のテロは夕刻にバスを用いて起きる”と予言した占い師が被害者でした。

奇しくも、と言うべきか予言通りに犯行が行われてしまったのです。

現場に残ったものから犯人を捜すべく茶屋たちが奮闘しているなか、爆弾を作る際に金属を切断した工具が特殊なものであったことから犯人に繋がる糸口を掴みました。

工具の販売工場いわく、特殊で生産数も少ないものであることから売った相手は覚えている、とのことで茶屋は広野とともにリストを虱潰しに当たっていきます。

目星をつけた廃屋の中から叫び声が聞こえ、銃を構えながらドアを開けた途端に中から爆発、広野は階下に吹き飛ばされました。

広野の様子を心配しながらも茶屋が踏み込んで行くと、中には静かに佇む男が一人いるだけでした。

鈴木一郎(生田斗真)という男

連続爆発テロ事件の犯人として捕まえられた男は身元不明、自らを鈴木一郎(生田斗真)と名乗りました。

刑務所内ですれ違った男の目を抉り周りにいた警官を巻き込んで暴力沙汰となったことで精神科送りとなります。

鈴木の担当となったのは真梨子でした。真梨子は鈴木が連れてこられるなり警官に手錠を外させ、検査を行っていきます。

体には昔負ったのであろうやけどの傷と先日の爆破の時に破片を浴びてついた傷があるだけでそのほかは健康体、脳波についても主立った異常は見当たりませんでした。

そんななか真梨子は血液検査の結果を見て、エンドルフィンの値が高いというのが気になりました。

それは端的に言うと自らモルヒネを作り出し痛みを感じないのと同じ事です。

そのころ鈴木はロールシャッハテストを受け淡々と答えていきました。

のちにやってきた真梨子の質問にも淡々と答えていきます。

父親は普通の人、母親も普通の人、怖いものは特にない、蛇や蜘蛛を怖いと思ったことはない、など。

父親について深く掘り下げても普通の体格で髭は生やしていない、という答えが返ってきます。

母親について聞いても同じ質問を投げれば同じ答えが返ってきました。

「母親は髭は生やしていませんでした」と淡々と答えるさまを真梨子は異様に思います。

そのほかにも鈴木がトイレに行く時間は食事のぴったり一時間後、医療センターの部屋の中にも刑務所にも時計がないというのに正確過ぎる体内時計をもっていることに、やはり違和感を抱きました。

そして痛みを感じない事や、聞かれたことに淡々と答える様子、正確過ぎる体内時計。

まるでロボットのように“感情がない”のではないかという仮説を立てました。

鈴木(生田斗真)の正体とは

真梨子の同僚、空身(甲本雅裕)は鈴木の症状と似た論文を見つけ、被験者が特殊な血液型Rh-O型だったことから鈴木一郎と名乗るその男が入陶大威であると判明しました。

真梨子は入陶大威についての論文を作成した藍沢(石橋蓮司)のもとを訪ねます。

藍沢は入陶家のホームドクターをしていた男性です。

幼いころの鈴木は既に異様な佇まいで自発的にするのは呼吸だけ、指示を与えなければ排泄も食事もしなかったと言いました。

しかし、普通の人間なら何日もかかるジグソーパズルを数時間で完成させたり、どんな本でも最初から最後までページをめくっただけで文章はもちろんのこと図解や写真まですべて記憶していたという天才的な知能から「まさに脳だけの存在だ」と言いました。

藍沢の手を離れたあとの鈴木について知っている人物を訪ねると、元アルピニストで鈴木の体を鍛える役目を請け負っていた専属トレーナーの伊能(小沢征悦)に辿りつきました。

伊能は、自分の元にやってきた真梨子と茶屋を見るなり、鈴木が殺しをしたとわかっていました。

住み込みでトレーナーをしていく中で、鈴木の祖父であった入陶倫行の様子がおかしくなっていき人を殺す術を教えだしたというのです。

「お前は神に選ばれた人間なのだから、世にはびこる悪を殲滅するのだ」と毎日毎日刷り込まれているのが、綺麗な顔をしたフランケンシュタインが育てあげられていくようでたまらなくなった伊能は、鈴木の中に眠る人間らしい感情を呼び起こそうと試みました。

ともにロッククライミングをし険しい崖を昇っている最中、伊能の器具が壊れて宙ぶらりんになったとき。

鈴木と伊能は一つの命綱を共有していたため「ロープを切れ!」と命令し、自らの命を犠牲にしようと思いました。

しかし、鈴木は信じられない力でロープを引き上げて伊能を助けました。

鈴木が、初めて誰かの命令に背いた瞬間でした。

この一件から伊能は、鈴木には感情があると確信していました。

ある日、倫行を刺し灯油をまいて火をつけた男がいました。

その現場に居合わせた鈴木は、倫行の申しつけにより犯人の男を殺しました。

伊能はその、鈴木が初めて人を殺したところを目撃していた人物でもありました。

そしてその時の様子を思い出し「排泄や食事をするように殺しをするようになってしまった」と言いました。

真犯人の襲撃

伊能から聞いた話を受けて、茶屋は鈴木が連続テロ事件の犯人ではないことに気が付きました。

正義感あふれる殺人ロボットと揶揄さえしたものの、鈴木はあの日廃屋で連続テロ事件の犯人を殺そうとしていたのだと、気が付いたのです。

その頃、鈴木の精神鑑定が終わり、真梨子が見送っているところに患者の志村昭文(染谷将太)が出所の挨拶にやってきました。

志村は真梨子が何年もカウンセリングをし、やっと社会復帰するに至った患者です。

遡ること8年前、真梨子の弟を誘拐し髪の毛と眉を剃り体を弄んだのちに裸のまま殺害した犯人。

事件のことは反省しており、出所後は少年院で取得した溶接の資格を活かせる仕事につくことと、一人暮らしをすることを伝えに来たのでした。

鈴木は少し離れた場所で話す真梨子と志村を眺めていました。

鈴木の護送には茶屋と広野が同乗しました。

しかし道中で鈴木が反撃、広野を人質にするかたちで「車を停めろ」と言います。

そのとき護送車に併走するビッグスクーターがいました。テロ事件の犯人、緑川紀子(二階堂ふみ)と水沢ゆりあ(太田莉菜)です。

緑川は爆弾を作ったり盗聴器を使いこなしたりする機械に強い知能犯。

水沢は承認欲求が強く自らが首を吊る動画をインターネットで晒したりもしましたが誰からも受け入れてもらえず、唯一受け入れてくれた緑川を“神様”とし崇拝しています。

護送車の中で鈴木と茶屋が言い合っているそのとき、水沢が運転席にボウガンを放って運転手は即死、車は横転。

パトカーと護送車が停止して茶屋と広野が降りてきました。

緑川は「鈴木を出せ」と言いますが茶屋は応じようとしませんでした。

すると緑川は拳銃で刑事を容易く射殺、周りにいた刑事も次々と撃っていきました。

ほどなくして護送車から降りてきた鈴木は緑川を撃ちますが、水沢が庇って倒れ込みました。

水沢は死ぬ間際に隠し持っていた爆弾のスイッチを押して周辺を爆発させ、緑川は混乱に乗じて逃走しました。

そして鈴木もまた、姿を消してしまいました。

フロイトのような死に方はしたくない

真梨子は医療センターのトイレで緑川に襲われ、目を覚ますと爆弾を体に巻きつけられた状態で拘束されていました。

そのころ病院のあちこちで爆弾が次々に爆発しており、監視カメラで緑川が人々の様子を眺めている中に、鈴木の姿があるのを目にします。

鈴木は緑川を殺しに来たのです。

茶屋たち刑事と鉢合わせした鈴木は、爆弾は病院内のエアシューターを使って各所に運ばれながら爆発していることを伝えます。

爆弾処理のプロ、黒田(三石研)は大元となるエアシューターの制御室へと向かいました。

そのとき茶屋の携帯に緑川から着信があり、本館の地下まで来て、とだけ言い切れました。

鈴木と茶屋が指定された場所に向かうと、広野が椅子に縛り付けられ首には時限爆弾装置が仕掛けられていました。

「広野を助けたければ鈴木を殺せ」というのが緑川の要求です。

広野を救いたい茶屋は必死に鈴木と格闘しますが、広野は「俺が死ぬ」と言い椅子を揺らしてそれごと倒れ込み、故意に爆弾装置を起動させ爆発させて死にました。

すべてを見ていた緑川は、次に真梨子の舌を切り取ろうとしますが、吐血して倒れ込みます。

緑川は末期の病を抱えていたのです。

モルヒネを打ってごまかしながら生き、フロイトのような死に方はしたくないと言いました。

その後、病院の地下駐車場で真梨子を助手席に乗せ鈴木が現れるのを待ちます。

そして茶屋と揉み合った際に撃たれた脚を引きずりながら現れた鈴木を、車で何度も轢きました。

真梨子は拘束されているためにただそれを泣きながら見ていることしかできませんでした。

緑川がとどめを刺そうとした時、真梨子がレバーを無理やり引いて阻止します。

停めてある車にぶつかって停止したところで、鈴木が運転席側の窓ガラスを拳で割って緑川を引きずり出します。

そして首を絞めて殺そうとしますが、もうこれ以上誰も殺さないで欲しいという真梨子の叫びで鈴木は思い止まりました。

命拾いをした緑川でしたが、真梨子の体に巻きつけた爆弾装置の起爆スイッチを押そうとしたところで、茶屋が現れて射殺されました。

広野を殺された怒りが静まらない茶屋はその後も何度も撃ち放しました。

鈴木は脚を引きずりながら真梨子の目の前まで歩いて行きましたが、特に言葉をかけるでもなく去っていきました。

脳男の、行く先

後日、雨の日。部屋でぼんやりしている真梨子の元に「先生の一番大事な患者を殺します」というメールが届きました。

鈴木からだと瞬時にわかった真梨子が雨のなか傘も持たずに志村の家まで走ると鍵は開いていて、部屋の中には既に死体が転がっていました。

誰もおらず静かなはずの部屋のどこかから子供のうめき声が聞こえ、声の元をたどると空のお風呂の浴槽の中には髪と眉を剃られパンツ一丁で縛られた小学生の男の子がいました。

更生したはずの志村は、治療以前とまったく何も変わっていなかったのでした。

そして真梨子のもとに鈴木から電話がかかってきました。

どうして志村が犯行を繰り返す事がわかったのかと聞くと、出所の挨拶をしていた際に腕に真新しい歯形がついていたと言いました。

それから鈴木は「先生は僕のために泣いてくれた、そんな人は先生だけだった。

だから志村を殺した」と言いました。

微笑む鈴木は電話を切ったあと無表情になり、「これからどこへ行くの」という真梨子の問いかけだけが静かに響きました。

『脳男』のざっくりとした感想を。

『脳男』、原作は2000年に江戸川乱歩賞を受賞している首藤瓜於のデビュー作です。

原作と映画では犯人の性別が違ったりオリジナルキャラクターがいたり、まぁそのあたりは実写化あるあるだとは思うんですけど。

映画として凄く良い感じにまとめたなぁと思います。

結構グロいって評判だったので恐る恐る見たのですが全然そんなことなかったです。

グロ耐性のない私がしっかり全編見られたから大体の人が大丈夫なはず。

個人的には志村昭文のエピソードが胸糞悪くて衝撃的でした。

いや普通に優秀な精神科医のカウンセリングで更生した良い例として終わりではないだろうなと思ってたけど。

お風呂から子供が見付かったときぞくぞくしてしまった。

出所後もまったく同じことを繰り返していた、ということにより真梨子が確立したと思われていた“加害者と被害者の遺族が対面する”カウンセリングは全く何の意味も効果もないってことが検証されてしまったわけで。

でも、意思も感情もないとされていた鈴木が「自分のために泣いてくれた」っていうだけで自らの意思の元に志村を殺して、真梨子に対して感謝していると言い少し微笑む。

なんかそういう矛盾じゃないけど何て言うのかな、確固たる信念のもと超頑張って確立したはずのことは何の意味もなかったけど、そうじゃないところでちゃんと精神科医として効果のあることをしていたよっていうのが刺さったというか。

志村に対しても、鈴木に対しても真梨子はきっと人の心を持って接していただろうし、治療として患者に向き合っていたんだろうけど何が違ったんでしょうね。

出会った経緯含めて、そもそもの前提が違うから全部違うって言ったらそれまでなんだけれども。

鈴木にとっては真梨子が自分にために泣いてくれたことが大きな出来事だったわけで。

真梨子は志村に対して泣いた事あるのかな、とか思ったりもして。

なかったんだろうな、きっと。

『脳男』まとめ


以上、ここまで映画『脳男』についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • ビターなだけじゃない、胸糞悪いだけじゃないしっかりしたストーリーの映画を探しているならコレ!
  • 役作りのために“死んだ目”になるため引きこもり生活までした生田斗真の演技にも注目
  • 何気に二階堂ふみがこれまで演じた役のなかで、私は緑川紀子が一番好きです
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