これまで『闇のカーニバル』をはじめ、『ロビンソンの庭』や、『JUNK FOOD/ジャンク フード』、『リムジンドライブ』など独創的な作品で常に時代を先行してきた山本政志監督。
国際的評価も高い山本監督の、理屈抜きにブッ飛んだ映画を撮ろう…。
そんな執念のもと、監督の想いを昇華させた最狂昇天トランス映画『脳天パラダイス』が完成!
そして本作の公開を記念し、11月17日(火)に「公開直前プレミア試写会」を実施し、南果歩、いとうせいこう、田本清嵐、小川未祐、山本政志監督が登壇し熱いトークを繰り広げ今作の魅力を熱く語ってくれました。
『脳天パラダイス』公開直前プレミア試写会レポート
日時:11月17日(火)20:10〜20:35 ※作品上映後の舞台挨拶になります。
場所:スペース FS 汐留(港区東新橋1-1-16 汐留FSビル3F)
登壇:南果歩、いとうせいこう、田本清嵐、小川未祐、山本政志監督(敬称略)
イベントでは、登壇者全員が冒頭からファミリー感溢れ出すトークを展開。
南果歩は「お披露目の席に来ていただき、ありがとうございます。2019年の夏の撮影だったのですが、あのときは、こういう世の中になるとは思ってもいませんでした。つらい現実の中で、アナザーワールド、山本政志監督ワールドへ行ける作品です。監督は個性の塊という方なので、私自身、自分の殻を破るつもりで参加しました。現実離れした内容ですが、家族のような連帯感もあり、現場もとても楽しかったです。今日、この作品を観て、おもしろいなと感じた人、ぜひ、たくさんの方にすすめてください。今は、自宅でもいろいろなエンタメが楽しめますが、やっぱり映画館に集まって大きなスクリーンで観るのっていいですよね。徐々にそういう時間が戻ってきて、すごく幸せに感じています」と喜びを語りました。
いとうせいこうは「今、南さんが人にすすめてくださいっておっしゃてったけど、どうやってすすめたらいいかわからない作品ですよね(笑)最近は、映画もドラマも小説も、ちょっと隙があると感動させようとしてきます。夫婦が出てきたら別れるし、親子が出てきたらどっちかが死ぬ、とか。1回引き離してくっつけるのが悲劇の構造です。僕自身、そういうものに反発してきた割に、意外と毒されていることに、最近気づきました。この映画を観て、“これこそが現実なんだ!”と分かりました」と解説。
続けて、「この映画では、いなくなった人は何らかの形でかえってきているし、人生にけりがついている。だけど、なぜけりがついているのか意味がわからないというところにこの作品のおもしろさがある気がします。なので、”全然感動しないから、一緒に観に行こう!”と誘うのがおすすめかと思います。こんな感動しない映画ってないから!」と周囲へのおすすめの方法を伝授。
これを聞いた南が「なんか、通り一遍に”たくさんの人にすすめてください”って言っちゃった自分が恥ずかしい」と照れ笑いしつつ、「この映画には“良い子のみなさんはマネをしないでください”という内容がふんだんに盛り込まれています。実人生ではやってはいけないことだらけです。虚の世界ではやっていい。だからこそ、みなさんの気分転換のため、発散するためという意味では本当にいい映画」と付け加え会場の笑いを誘いました。
いとうの「(おかしいことだらけで)あまりのことにぼーっとしちゃう映画です。だからこそ、映画館でみんなと一緒に笑う場所を分担しながら観るのがいいんです。家にいて1人で観ていると、笑いどころがわからない映画ってありますよね。映画館で観れば、他の人が笑っているのを聞きながら”ここ、笑うところだ!”ってわかると思います。そういう意味では、映画館で観ること、映画の良さを表している作品です(笑)。なので、そんなことを隣に座った人に言うために、映画館で観るのがいいかもしれません。話しかけたら無視されると思いますが…」という独特の分析に会場は大きな拍手に包まれました。
やっと話すタイミングがまわってきた田本清嵐(以下、田本)は「これ以上、何を語ればいいの?というくらい、お父さんとお母さんが全部話してしまいました。でも、今の(2人の)説明で、この作品がよくわかった気がします。こういう時代だからこそ、好きなことを好きなだけやって乗り越えて行こうという気持ちになると思います」とニッコリ。
南は「想像力だけは制限かけられないので、”あのコーヒー豆、家にあったらいいな”などちょっとしたイマジネーションのヒントや、引き金になったら
いいなと思っています」と呼びかけました。
南といとうの解説で、作品のことが分かった気がしたという田本のコメントに、南は「何も分かってなかったというのが衝撃。1番ドンと構えていたのに」、いとうは「何もわからず、やってたんだ」と反応。
すると田本が小川未祐に「え?分かってた?」と不安そうに尋ねる場面も。
これに対しいとうは「(誰も)わかってなかったよ。あの脚本でわかれというほうが難しいよ。映画になって初めてわかったことはたくさんあったと思います」と説明しました。
小川は「この映画は、言葉では説明できないってあちこちで言ってきましたが…。好きとかおもしろいとかいうものに、説明とか理由を求められがちだけど、ここまで潔く説明できないものを目の当たりにすると、もう”楽しかったです”という記憶しか残りません(笑)いろんな世代の人に、この楽しい映画を観ていただけるように、これからできることをやっていきたいと思います」と作品を多くの人へ広める決意をみせました。
ここでいとうが「ひとことで言うと”不要不急”。この作品を四字熟語で表すとそういうことになります」ときっぱり。
納得といった表情で登壇者がうなずき、会場は笑い声と大きな拍手に包まれました。
山本監督が「内容がない映画って言われてきたけれど…」と語り始めると「カタルシスはある!」といとうがフォロー。
山本監督は「いや、俺はずっと感動しっぱなしでこの映画を作っていました。最近、あれやっちゃダメ、浮気しちゃダメ、とか細かいことにとにかくうるさい世の中なので、なんか(気持ちが)楽になるような映画を作りたいというところから始まった作品です。コロナもあるけど、“なんとかなるんじゃない?”と思ってくれればいいなと。この状況下で、この作品が公開されること自体、試されているような感覚です(笑)そんな環境になっていることが楽しいし、おもしろいなと感じたら、町内回覧板でもなんでもいいので、いろんな努力で広めてください」と思いを語りました。
また、南、いとう、田本、小川の顔を覗き込みながら、「今回は本当に役者が素晴らしいと思いました。アイデアはたくさん持ってきてくれるし、いろんなことをやってくれました。僕は自主(映画)出身なので、これまで酷い目にあってきましたが(笑)、偉そうな役者もいなくて本当に楽しかったです」とコメント。
いとうは「こっちはこっちで、山本監督ってうるさい人なんだろうなって思っていたけれど、すごいジェントルマンでびっくりしました」と返答。
南が「監督は現場で1番楽しんでいました。それこそ、リハも本番も、お弁当の時間まで楽しみ尽くそうという、半端ない意欲を感じました」と振り返ると、山本監督は「なんか、俺、頭悪そうに聞こえる」と苦笑い。
これに対し、南は「すべてを楽しむという姿勢が監督の持ち味だと思いました」と監督の印象を語りました。
山本監督は「南さんが、”監督〜”って寄ってきて、”あのさー”ってアイデア出しをしてくれました。”監督〜”って寄ってきたら、何かが始まる。それが肝試しみたいでおもしろかったです」と撮影時の様子を明かしました。
南は「一筋縄ではいかないストーリーなので、監督のイメージがすべて。だからこそ、すべてを理解することはやめて、イマジネーションの世界でどれだけ遊べるかというのを考えていました。(監督にアイデアを)ささやけば、自由に遊ばせていただける。楽しませていただきました。決して、見本になるような内容ではないけれど、こういう時代だからこそ、自由な世界で自分を解き放してあげることは大切だと思います」と呼びかけました。
いとうの芝居について山本監督が「修正力が半端ない。変更をすればすぐに次の芝居に切り替えている」と絶賛。
いとうは「コント上がりの人間だから、すぐに修正に対応するのは芸人の習性です。監督がいろいろとアイデアを受け入れてくれたからこそです」と感謝の意を述べました。
山本監督は田本についても「1人のときと、家族のときと芝居が変わるのがおもしろかった」と振り返ると、南が「(小川)未祐ちゃんのダンスもよかった。キラキラしていたもんね」と微笑むと、いとうも「音楽的だったよね」と褒めました。
この様子を見た山本監督は「褒め合うのっていいね」と笑顔を浮かべました。
最後の挨拶で山本監督は「手口を選ばす、宗教活動だと思ってこの作品を広めてください」と呼びかけると、南は「大事な注意点があります。この作品はR15です。みなさんには自由な世界を楽しんでいただきたいですが、良い子のみなさんはマネをしないでください」と改めて作品をアピールし、イベントは幕を閉じました。
『脳天パラダイス』概要
その内容は、激毒を含んだキワドさに満ち溢れ、冒頭で家族を題材にしたドラマが始まるかと思いきや、すぐに夏祭りのようなハイテンションと祝祭感に満ちた展開を迎えます。
やがて“お焚き上げ”状態に至ると、後はセックス、ワイヤーアクション、怪獣、ミュージカルと、あらゆる映画要素が目まぐるしく投入されます!
シュールといえば何やら意識高い系な印象だが、本作を表すためにその程度の言葉ではとても物足りません。
観客の想像を超えるどころか、想像をブッ飛ばそうと襲いかかってきます!
そんな前代未聞の映画に、豪華キャストが集結!
主人公の昭子役に南果歩、昭子の元夫・修次役にいとうせいこうのほか、謎のホームレス役に柄本明、さらに玄理、村上淳、古田新太らが脇を固めます。
もちろん、オーディションや選考ワークショップを経て抜擢された、笹谷家の長女・あかね役の小川未祐、長男・ゆうた役の田本清嵐など期待の新星たちのタダ者ではない演技も見ものです。
映画の枠組みを完全超越し、超絶体験の連発!
新型コロナウイルスが吹き荒れる2020年秋、あらゆる厄を吹き飛ばす『脳天パラダイス』へ、ようこそ!!
『脳天パラダイス』作品情報
出演:南果歩、いとうせいこう、田本清嵐、小川未祐、玄理、村上淳、古田新太、柄本明、大河内健太郎、小竹原晋、星野園美、沢井小次郎、安田ユウ、李丹、張天屹、野村陽介、ニール・ターリセッチィ、アレック・アスギャリー、和川ミユウ、植田紗々、髙橋里恩、江波里香、渡瀬うみな、齋藤勇真、森川貴、庄司浩之、ノブヲ、畑中タメ、吉田茂樹、牧山みどり、紀那きりこ、藤本国彦、島津志織、小林敏和、菊地敦子、清水ひさを、鳳ルミ、柳川竜二、永山愛樹、竹舞
監督:山本政志
脚本:金子鈴幸、山本政志
撮影:寺本慎太朗
照明:渡邊大和
録音:光地拓郎
美術:木岡菜津貴
衣装:宮本まさ江
現場衣装:津田大
メイク:佐々木ゆう
編集:小原聡子
助監督:佐和田惠
演出補:平波亘
振付演出:南流石
メインテーマ:Oto
装飾:岩間洋
特殊スタイリスト:百武朋
操演/特殊効果:羽鳥博幸
特機:塩見泰久
技術コーディネーター:豊里泰宏
VFXディレクター:中口岳樹、島田欣征
ドローンオペレーター:池田佳史、山本雅映
庭師:高見紀雄
宣伝美術:千葉健太郎
スチール:江森康之
メイキング:永山正史
テクニカルスーパーバイザー:溝口洋
賽本引き指導:柳川竜二
撮影協力:井戸賢生
エグゼクティブプロデューサー:吴清萍、大江戸康
プロデューサー:村岡伸一郎
アソシエイトプロデューサー:根本礼史
コープロデューサー:大高健志
キャスティングプロデューサー:関谷楽子
アシスタントプロデューサー:翁長穂花
企画:シネマインパクト、C・C・P
協賛:高見庭園
配給:TOCANA
製作協力:UNIVA Guangzhou Trading
製作:パンクチュアルカルチャー、大江戸美術
公式HP:no-ten.com
あらすじ
東京郊外、高台にある一軒の大豪邸。
あとは引越し業者のトラックに荷物を積み込むだけとなった部屋を、やさぐれた表情で見わたす笹谷修次。
家⻑でありながら、この家を手放す原因を作った張本人だ。
引きこもり気味の息子・ゆうたは淡々と現実を受け止めている。
一方、生意気盛りの娘・あかねは不甲斐ない父親にイラつきながら、ヤケクソ気分でTwitterに「今日、パーティをしましょう。誰でも来てください。」と地図付きツイート。
そのままフテ寝してしまう。投稿がリツイートされまくり、瞬く間に拡散している状況を示す通知が鳴り響いていることも知らずに…。
数年前、恋人を作って家を出たはずの自由奔放な元妻・昭子がやってきた。
パーティーのツイッターをみてやってきたのだ。
ゆうたは、久しぶりの母との再会を喜ぶが、修次やあかねにとっては招かれざる客でしかない。
借金まみれになり、一家離散目前の笹谷家にツイッターをみて、次々にパーティー客がやってくる。
インド人のゲイカップル、やる気のない運送業者、手癖の悪いあかねの友人、台湾から来た観光客の親子、酔っ払いのOL、恋人を探しているイラン人、謎のホームレス老人…。
そんな中、来客を頑なに追い返そうと一人奮闘する修次だったが、珍客はどんどん増え続ける。
しだいに豪邸は、ドンチャン騒ぎを超えた、狂喜乱舞の縁日の境内状態になっていく。
笹谷一家の引越しは!?いやいや、もうそれどころじゃない!
客たちによって一家の運命はめくるめく奇々怪々と狂喜乱舞へと導かれていく…!
これは現実か、それとも幻覚か、果たして彼らの行く末は!?
もう誰も逃げられない。
『脳天パラダイス』への扉が今、開いてしまったのだ!
Gallery
2020年11月20日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開!
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