映画『人間失格』あらすじ・ネタバレ感想!主演:生田斗真。太宰治の有名すぎる小説「人間失格」の世界観に酔う

映画『人間失格』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:matome.naver.jp

太宰治の生誕100年を記念して2009年に映画化を発表、2010年に公開された本作『人間失格』。

人間の弱さ、脆さ、儚さを描いた作品。

ポイント
  • 純文学である原作にとっつきにくい印象を持っている人にも見やすい作品
  • 原作と少し違う点もあるけど太宰治を知る入り口としては有りだと思います
  • 女に翻弄され酒に溺れてどうしようもなくなっていく主人公に“何か”感じるものがあるはず

“堕ちていくほど、美しい”のは何かあなたはわかりますか?

映画『人間失格』作品情報

作品名 人間失格
公開日 2010年2月20日
上映時間 134分
監督 荒戸源次郎
脚本 浦沢義雄
鈴木棟也
出演者 生田斗真
伊勢谷友介
寺島しのぶ
石原さとみ
小池栄子
坂井真紀
室井滋
石橋蓮司
森田剛
大楠道代
三田佳子
音楽 中島ノブユキ

映画『人間失格』あらすじ


議員の父親を持ち、津軽では有名な資産家の御曹司・葉蔵(生田斗真)は人間関係がうまくいかず、周囲に溶け込むためにわざと失態を犯して笑いを取る日々を送っていた。

高校に入った葉蔵は遊び人の堀木(伊勢谷友介)や詩人の中原中也(森田剛)と出会い、酒や女におぼれる放蕩生活を送るようになって、精神的に疲弊していく。
出典:シネマトゥデイ

映画『人間失格』みどころ

映画『人間失格』みどころ

昭和の日本を代表する小説家・太宰治の代表作品の一つである「人間失格」を原作とした文芸映画大作。

過剰な自意識が原因で周りの人間となじめず、酒や女におぼれて廃人同様に破滅していく男の魂の旅路を描く。

映像化は困難と言われた原作を『赤目四十八瀧心中未遂』の荒戸源次郎がまとめ上げ、太宰の分身的存在の主人公を生田斗真が熱演する。

不安や苦悩を抱える主人公像が混迷の時代を生きる現代人に共感を呼びそうな一作。
出典:シネマトゥデイ

映画『人間失格』を視聴できる動画配信サービス

『人間失格』は、下記のアイコンが有効になっているビデオ・オン・デマンドにて動画視聴することができます。

なお、各ビデオ・オン・デマンドには無料期間があります。

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注意点
  • 動画の配信情報は2019年8月21日時点のモノです。
  • 動画配信ラインナップは変更される可能性もありますので、登録前に各サービスの公式ページにて必ずご確認ください。

ご覧のとおり、2019年8月21日現在はどこのビデオ・オン・デマンドでも配信開始となっておりません。

動画配信が開始になり次第、追って情報を掲載させていただきます。

【ネタバレあり】映画『人間失格』感想レビュー

その男、大庭葉蔵(生田斗真)

アヴェ・マリアのレコードが流れるバーで酔いつぶれて眠る、その男の傍らには幼いころに撮った誕生日の記念写真がありました。

男は大庭葉蔵(生田斗真)、資産家の二男として生まれて不自由のない環境で育った結果、何をしても満足感を得られない人間になってしまいました。

中学生時代の体育の時間、跳び箱の授業。

うまく跳んでも着地で失敗、後頭部をぶつけてしまいます。

そうやって道化を演じていれば、うまく人生を渡っていけると思っていたのです。

しかし、同級生の竹一は葉蔵の耳元で「わざとやったんだろう?俺にはわかる」と言いました。

その日、葉蔵が家に帰ると竹一が家でくつろいでいました。

竹一は、親友だと言ったら通してくれた、と言います。

竹一は葉蔵の持っていたゴッホの画集にあった自画像を見て「お化けだ」と興奮した様子で感嘆の声を上げました。

他の絵画を見せても“お化け”という、その感性に興味を持った葉蔵は「誰にも見せたことがないけれど」と竹一に自分で描いた絵を見せました。

顎に手を当てがい怪しく微笑む自画像を見た竹一はたいそう感心して、立派な絵描きになると言いました。

葉蔵(生田斗真)の人生を変えていく二人の男

時を経て高等学校を卒業した葉蔵は上京し、仕事もせずに公園で風景画を描いていると、横から筆を取り、上書きするように赤や青を重ねていく男がいました。

唐突に「5円貸してくれないか?」という男に、葉蔵は貸してあげます。

男の名は堀木正雄(伊勢谷友介)、堀木は葉蔵から5円を受け取ったうえで「俺が君に驕る」と言い、酒を飲みに行くことになります。

葉蔵のはにかむような微笑みが、偉大な芸術家になる素質だとか持ち上げ出す堀木に対して、葉蔵は「美術学校に入ろうと思っていた」と話しました。

二人が飲んでいるバーに井伏鱒二や小林秀雄ら団体が入ってきました。

その中の一人が、葉蔵の隣に座り絡んできました。

彼は中原中也(森田剛)、葉蔵に好きな花は何かと問います。葉蔵は「桃」と答えました。

次に「戦争は何色か」と問いましたが、葉蔵は答えられませんでした。

中也いわく「戦争は茶色だ。糞と同じ茶色だ」。

その後、一生覚えておくからなと言われ、何だか悪い印象を抱く葉蔵でしたが、真逆の感情で強く惹かれてもいました。

翌日、葉蔵が目を覚ますと、堀木が「まずは一番風呂を浴びて銀ブラしたらカフェに繰り出そう」と言います。

軍資金は?と問うと、部屋の中の調度品、美術品を指し示し両手を広げる堀木。

質屋で得た“軍資金”で堀木の言ったスケジュール通りに時間を過ごしていく二人。

カフェで両隣の女給をはべらす堀木を、葉蔵はどこか遠い世界のことのように眺めていました。

そして気分が大きくなっている堀木がこぼしたビールを拭きに来た地味な女(寺島しのぶ)に、何となくで「ありがとう」と声をかけたのでした。

葉蔵(生田斗真)の人生を変えていく二人の女

葉蔵の父が引退したことで、実家の豪邸は処分されることとなります。

本郷に下宿を用意したと言われ、堀木も手伝い家財道具を運んで行くと、下宿先の本郷館の礼子(坂井真紀)という女が手伝いを名乗り出ました。

そして、引っ越しのお祝いをさせて欲しいと言います。

礼子は一目見たときから葉蔵に惚れていました。

ある時は弟や妹がうるさくて手紙を書けないと言い訳をして、葉蔵の部屋で手紙を書いていました。

その手紙を見せてと言っても思わせぶりに「絶対にダメ」と言って笑う礼子。

やもする男女の会話のあと、葉蔵はよく眠れないから睡眠薬を買ってきてくれとおつかいを頼みました。

葉蔵は一人、カフェに足を運びました。

前に堀木と来たとき、こぼれたビールを拭いていた地味な女給・常子が気になっていたのです。

逢瀬し深い仲になっていくなかで、常子は自分のことを打ち明けました。

自分には主人がいたが出て行ったきり三年も音信不通であること、そんな主人が二晩続けて夢枕に立ったこと。

もう死んでしまっているのではないかと思っていることも。

常子と関係を深めていく一方で、本郷館では礼子が部屋の掃除をしたり、バラの花を一輪飾ってみたり、何かと身の回りの世話を焼きます。

わずかばかりの面倒を感じた葉蔵は、一人で遊ぶのもつまらなくなったと堀木を訪ね、二人でカフェに足を運びました。

酒を飲み、気分が良くなった堀木は「隣りに座る女にキスをしてやる」と息巻きますが、この日隣りに座ったのは常子でした。

堀木は常子に対して“貧乏くさい女”と言い放ち、別の女給を隣りに呼びます。

このとき葉蔵は、常子にキスをしそうになった堀木に対して嫉妬のようなものを抱き、常子に対しては愛おしいという感情を持ってしまっていたのでした。

金の切れ目が縁の切れ目、という言葉は男の金が切れたときに女が振るのではなく、男が自暴自棄になって女を振るのだと言う葉蔵に、常子は「うちが稼いであげてもダメなん?」と聞きます。

しかし、葉蔵はそうまでして生きたいとは思っていませんでした。

吐くほど飲んで酔いつぶれた翌朝、牛乳売りから牛乳を買ったときに代金分の小銭すら持っていなかった葉蔵は、常子に「たったそれだけ?」と言われ、ようやく死のうと決意します。

二人は鎌倉へ行き、明るいうちから薄暗くなるまで恋人同士のように楽しい時間を過ごします。

そして睡眠薬を飲み、互いの足を赤い糸で結び、入水自殺を図りました。

葉蔵が目を覚ますと、外は雨。

使いの平目(石橋蓮司)が「勘当、だそうです」と言いました。それは父から縁を切られたという話でした。

常子は死に、葉蔵は生き残ってしまいました。

ひとまず平目の家である骨董屋の二階に身を寄せた葉蔵は、平目に「これからどうするのか」「どうしたいのか」と問われ、画家になると言いましたが失笑を買ってしまいます。

こっそりと古書店へ行き、ゴッホの画集などを売り、店を出ようとしたとき本棚に並ぶ本の中から“中原中也”の名に目が留まりました。

「山羊の歌」という詩集を手に取って立ち読みしていると、後ろから中原本人が声をかけてきました。

そして、道化の役は僕一人でいい、と先ほど葉蔵が売った画集を渡します。

なぜか心中未遂の件については承知の上で、鎌倉まで付き合ってくれと言いました。

小坪トンネルの中で会話を交わす二人、葉蔵が「千里眼なんですね、中原さんは。」と言えば中原は「茫洋ぼうよう、茫洋、前途茫洋だよ」と言いました。

子持ちの女と、純潔だった女

葉蔵は、堀木の家を訪れます。

挿絵の仕事を受けている堀木は忙しそうに振る舞い、お前の相手をしている暇はないと言わんばかりに早く帰れと言いました。

挿絵を受け取りにきた編集者の武田静子(小池栄子)が、葉蔵の帰る方向と会社の場所が近いからと言い、一緒に帰ることになります。

静子は自分のことを“夫と死別して五年になる子持ちの職業婦人”だと言いました。

やがて葉蔵は静子と、静子の娘の茂子と暮らすようになりました。

茂子と二人で絵を描く葉蔵でしたが、他愛ない会話から茂子の「本当のお父ちゃんが欲しい」という本音に触れてしまい、バーで落ち込んでいるところへ堀木がやってきます。

バーのマダム・律子(大楠道代)が檀一雄と小林秀雄が山梨の御坂峠で長逗留ながとうりゅうしているので同行してほしいという話をする途中、中原が前年の秋に死んだことを知りました。

葉蔵は鎌倉へ連れ立った時に訪れたトンネルで、「山羊の歌」に花とロウソクを手向けて献杯しました。

静子と別れた葉蔵は、バーの二階に住みながら昼間から酒を飲み、夜もバーの客から呼ばれれば店内で酒を飲む日々。

バーの側にあるたばこ屋の娘・良子(石原さとみ)は、毎日酔いどれている葉蔵を心配し「これ以上飲まないで下さいな」と声をかけました。

葉蔵は調子よく、今日から飲まないと返しますが店に戻るとすぐに酒を煽る始末。

泥酔しつつ、もう飲まないと良子に言えば、彼女は「誓ったんだもの、飲むわけないわ」と葉蔵の言葉を疑いもせず、泥酔している様子も演技だと受け取りました。

いじらしい良子を手に入れたいと思った葉蔵は、律子に頼んで良子と結婚しました。

ありふれた普通の幸せな結婚生活が始まりました。

しかしある日、二人の新居に堀木が訪ねてきて話をしているときのことでした。

腹が減ったとうるさい堀木に、葉蔵は「下で良子がソラマメを茹でているから」となだめましたが、堀木は待ちきれずに下へ降りていきました。

すると、程なくして葉蔵を手招きするのです。

何事だろうと階下を覗いて見たのは、バーの常連・藤田に犯されている良子でした。

数日後、台所に隠してあった睡眠薬で自殺を図る葉蔵でしたが、またしても未遂に終わり、病院のベッドで目を覚まします。

見舞いに来た平目と律子に、泣きながら良子と別れたいと告げ、「女のいないところへ行く」と言う葉蔵でした。

今の自分には幸福も不幸もありません。ただ、一切は過ぎていきます

退院後、薬局を訪れ体がだるいのに眠れないと訴える葉蔵に、足の悪い店員・寿(室井滋)は増血剤やビタミンの注射液と注射器、カルシウムの錠剤と胃腸薬を処方しました。

ふと葉蔵の衰弱が酒の飲み過ぎによるものだと気づいた寿は、“どうしてもお酒が飲みたくなった時だけ”とモルヒネを懐へねじ込むようにして入れました。

葉蔵は、どうしてもという時にだけ、と言われたモルヒネを常用するようになっていきます。

夜な夜な薬局の扉を叩き、薬がないと仕事が捗らない、酒か薬どちらかでないといけないと寿にまたがり押し倒してまでモルヒネを手に入れるようになりました。

もう針を刺せるところがなくなり、やがて足に打つまでに中毒になってしまっていました。

ほとんど廃人となった葉蔵のもとを堀木と平目が訪れます。そして葉蔵は武蔵野病院に入れられました。

堀木が餞別変わりだとモルヒネを差し出すと、葉蔵はそれを拒否します。

いつものように「5円貸してくれ」というお願いも断ると、堀木は本性を現したかのように「顔も声も大庭葉蔵のすべてが嫌いだった。今はそれ以上に憎んでいる。」と吐き捨てました。

葉蔵が独房のような病室で、幼いころに見上げた木の絵を描いているとき、平目がやってきて父の死を告げられました。

全財産を受け継いだ兄から、過去はすべて問わない、生活の不安もかけないから今すぐに東京を離れて田舎で療養してくれとの手紙を受け取ります。

実家の屋敷があった津軽に戻った葉蔵は、兄の用意した屋敷に住まうこととなります。

そこにはおつきの者として年配の女性・鉄(三田佳子)がいました。

鉄は「母に縁のない葉蔵と、子に縁のない私」と言い、母と子の契りをかわそうと言います。

神様には私が謝るから、何があっても葉蔵は私が守ると言った言葉の通りに我が子以上の愛情を注ぐ鉄。

穏やかな日々を過ごす葉蔵でしたが、やがてまた東京に向かいます。

乗り込んだ列車には大勢の軍人、戦争の兆しを感じるなか葉蔵は、これまでの知り合いたちと乗り合わせる幻想を見ました。

そして律子のバーに戻った葉蔵は、傍らに父の形見分けのアルバムを置いたまま酔いつぶれていました。

ラジオからは太平洋戦争の開戦を告げる声が流れていますが、世の中の出来事など葉蔵には関係ありません。

“今の自分には幸福も不幸もありません。ただ、一切は過ぎていきます”

そう思うだけなのでした。

ざっくりと感想を

原作は言わずと知れた太宰治の「人間失格」ですが、原作には中原中也は出てきません。

時代が違うよね、っていう話で。

ただ律子のバーで葉蔵に絡んでくる最初の場面、ハットを被った見た目だけで“あっ、これ中原中也?”と思ったあの雰囲気を出せる森田剛の凄さ。

よくわかんないけど救いのないストーリーに、そして全編通して救われない葉蔵に、ひとつの光として用意されたのが中原中也だったのかなぁと思いました。

どうしようもないクズっていうわけでもないのに、どうしようもない人生を送る葉蔵の物語を割とおしゃれに描いた作品だと感じました。個人的に。

昭和四畳半系の話が好きな私としては、もっと独特の湿気を帯びてじめじめした空気感だったり、埃臭くて生々しい人と人との交わりを少し期待したんですけど、思いのほか爽やかでおしゃれに感じたんですよね。

演者の人たちが豪華でおしゃれだったから、何をどうしても絵面が綺麗になってそう感じただけかもしれませんけど。

『人間失格』と聞いて、太宰治のアレでしょ?的な、純文学って難しくて手が出ない的な人にとってはずいぶんと見やすく表現されているのでおすすめです。

そして今このタイミングで2010年公開の『人間失格』のあらすじを書いたのは、2019年9月に公開予定の『人間失格 太宰治と3人の女たち』に期待を寄せているからです。


こちらは「人間失格」を原作にしたものではなくて、タイトル通り太宰治と3人の女との関係を描いたものになるみたいですけど。

監督が蜷川実花な時点で、とんだシャレオツ映画になるんだろうなぁと思ってます。

ただなぁ…私の好きな坂口安吾が藤原竜也っていうのがちょっと…解釈違いですね…と言いたい気持ち。それはそれとして。

好きな場面をいくつか

たくさん出てくる女性たち、葉蔵の人生に関わってくる女性たちとの出会いというか“あっ、落ちたな”っていう場面はどれもグッときます。

なんか葉蔵ってよしよししてあげたくなっちゃう可哀想さがあるんですよね…なんでだろう。生田斗真だからか。

あと中原中也絡みの、特に鎌倉での場面はどれも幻想的で、多分このときすでに病に侵されて先が長くない中原の夢のような幻のような存在が際立っていて素敵です。

桃の花がウワーっと降りしきるところとか、ずっと眺めていたいくらい芸術的で綺麗。

そのほか、些細な場面で気に入っているのは、平目のところに引き取られて「どうしたいか」問われている時、葉蔵が見つめていたタタミイワシの目がビャ!って開くところ。

タタミイワシの、いくつもある目が一気に開くんですよ。こわ。

あとは寿の薬局に行く直前の場面、葉蔵は血を吐いて雪の中に倒れる場面があるんですけど、そこが好きです。

血に染まる手が何とも綺麗で儚くて、美しいなぁと思いました。

映画『人間失格』まとめ

以上、ここまで映画『人間失格』について紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 「人間失格」?聞いたことあるけど読んだことないよ!っていう人も楽しめる作品
  • 見終わって落ち込んだりしてしまうようなストーリーではないから気楽に見られる、はず。
  • 映画きっかけで原作にハマって太宰治にハマるっていうルートも有りだと私は思いますよ!