『永遠のニシパ』あらすじ・ネタバレ感想!松本潤×深田恭子が「北海道」が誕生するまでの軌跡を熱演

ドラマ『永遠のニシパ』あらすじ・ネタバレ感想!

出典:『永遠のニシパ』公式ページ

北海道が誕生して150年を記念されたドラマ『永遠のニシパ』。

北海道の名付け親である、松浦武四郎(松本潤)。

この男がいなければ、今の北海道はないと言われるほどの人物です。

蝦夷地に北海道と命名した男の物語は、時代の流れに逆らいたくても抗えず、それでもアイヌの人たちを大切に思う心が強く描かれていました。

今から150年前の物語。

フィクションと書かれていますが、丸々すべて嘘ではく、そこにある想いはリアルに再現されていると思えます。

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『永遠のニシパ』あらすじ

ペリーの黒船来航、ロシアの国境画定要求など、江戸幕府は海外列強から開国を迫られる未曾有の危機にあった。

武四郎は蝦夷地をロシアから守らなければならないと決意して蝦夷地を調査する。

蝦夷地調査はアイヌの人々の案内で行われた。

そして武四郎はアイヌ文化の豊かさやアイヌの人々のやさしさに共感していく。

しかし、やがて蝦夷地を経営している松前藩のアイヌへの搾取略奪の実態を目の当たりにするようになる。

武四郎はアイヌの女性リセと出会う。

リセは美しく気高く家族を守っているが多くを語らない過去のいきさつがあり、愁いを帯びた瞳が印象的だった。

武四郎は江戸に帰り、蝦夷地図を出版する。

そしてアイヌが搾取されている厳しい実態を告発した。

これに激怒した松前藩は武四郎に様々な妨害工作を仕掛け、遂には武四郎の命を奪おうと刺客を放つ。

命からがらに追われながらも武四郎は幕府に雇われて、ふたたび蝦夷地を調査することになる。
出典:『永遠のニシパ』公式ページ

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【ネタバレ】『永遠のニシパ』感想レビュー

松浦武四郎(松本潤)は多才な人

1845年。

長崎の出島で、清国がイギリスに侵略されたと聞いた武四郎(松本潤)は、蝦夷地もロシアに狙われていると聞き、国の命令で函館へと渡ってきました。

鉄の足を持つと言われる武四郎は、歩数で距離を測り、正確な地図を作っていったのですが、最初は海沿いしか見ることはできませんでした。

しかし、蝦夷地を深く知るためには、内陸のこともよく知らねばならないと思ったのです。

商人、新藤佐七郎(石倉三郎)に金を渡し、案内人と手形を手配してもらった武四郎は、ようやく蝦夷地の実態を知る旅を始めます。

絵も得意としていた武四郎は、道中の様子や、自分が見たものを絵に残し、時には彫り物をし、それを大切な人にプレゼントしていました。

江戸へ戻れば、自分が見たことや多くの日本人に伝えたいことを書にまとめてこれを出版。

そうして世に送り出された「蝦夷日誌」「東西蝦夷三川地理取調日誌」は、当時の大ベストセラーとなっていきました。

多彩な才能を持ち、誰もが平等に暮らせる世の中を作りたいと願う武四郎の心は、澄み切った空のようでした。

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蝦夷地の実態。アイヌは和人の奴隷でしかない

案内人、ウテルク(木村彰吾)に導かれるまま、各地の様子を見て歩く武四郎。

その足でポロチケゥ(現在の室蘭)に到着した時です。

アイヌの人たちの扱いは酷く、奴隷状態でした。

和人にこき使われたアイヌの男性が血を流しているのを見つけた武四郎は、薬を渡そうとしますが、松前藩の武士によってとがめられます。

和人に叩かれるアイヌの人の存在も目にし、武四郎は胸を痛めるばかりでした。

商人、湊屋彦兵衛(斎藤歩)に酒や料理を薦められるも、これがすべてアイヌの人たちが獲ったものだと考えると、食が進むわけもありません。

平等な世界を望む武四郎にとって、この松前藩のやり方は許せないもの。

だからこそ、実情を明らかにしようとするのですが、松前藩も自分たちの生活を脅かされることを恐れ、武四郎の命を狙おうと浪人を仕掛けたりしてきます。

奴隷に使われるアイヌの人は男性ばかりです。

そのせいで、コタン(村)には女性しか残っておらず、子供は生まれません。

つまり、先住民族であるアイヌの人たちは、和人によって絶滅の道を歩まされていたということです。

ユカラを歌い踊る女性たち、美しい大地に対し「ピリカ(美しい)」と声をあげ、すべてのモノに感謝をする心、これが失われる現状に武四郎は目を背けられるわけがないのです。

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ウテルク(木村彰吾)の妹、リセ(深田恭子)

武四郎を案内するウテルクは、道中クマに襲われ、命に関わるほどのケガをしました。

自分を守るために犠牲にしてしまったと武四郎は嘆きますが、ウテルクはこのくらいでは死なないと言い、集落で大事を取ります。

現在、北海道のあちこちで熊の出没情報が出ており、出くわさないようにと怯える日々を過ごしていますが、ウテルクは「仕留め損ねた」と言います。

マキリ(小刀)で果敢に立ち向かっていくウテルクのような人物は、今はいないでしょうね。

なんと勇敢なんだろうと思いました。

和人からの仕打ちに怯えるアイヌの人々。それはウテルクの家族も同じでした。

自分の名前を明かすことは滅多にありません。

フチ(曽川留三子)、エカシ(宇梶剛士)は、武四郎を家に迎えますが、この名前も固有名詞ではなく、母、父の意味です。

そんな中、ウテルクが武四郎は信用できる男=ニシパ(大切な人)だと言ったことで、ウテルクの妹(深田恭子)はリセと本名を明かします。

リセには武四郎と共に生活をすることで、彼の魅力に気づき、次第に惹かれていきます。

そして、息子イチニカ(ヴァサイェガ渉)も武四郎に父親になってほしいと望むのです。

しかし、武四郎は旅の途中。

リセを連れていきたい気持ちもあるが、リセはここを離れるわけには行かないと言います。

武四郎のためにアットゥシ(アイヌの衣)を織りますが、離れ離れになることがわかると、これを渡すことをしません。

武四郎は「里世」の名前を彫ったお守りをリセに渡し、息子のイチニカが大人になっても生きていてほしいと願い、蝦夷地を去るのでした。

江戸に蝦夷の現状を伝えた後、蝦夷の治安を良くするために何をするべきかを探るべく、蝦夷地へと戻る武四郎。

エカシもウテルクも労働者として和人に連れていかれ、リセだけがそこに残っていました。

蝦夷を、アイヌの人たちを守りたいと言って去った武四郎。

しかし、アイヌの人たちの平和な暮らしが保証されるどころか、松前藩にとって滅亡の一途を辿るしかない状況。

リセは武四郎に心を閉ざし、彼を信じません。

それでも必死に状況を変えようと、武四郎は蝦夷地内を歩き、実情を調べようと動き出します。

が、やぱり松前藩の刺客はここにもおりました。

武四郎が矢に狙われていることに気づいたリセは、武四郎を庇い、命を落としてしまったのです。

武四郎に残されたのは、リセが織ってくれたアットゥシと、成長して市助と名前を変えたイチニカ(正垣湊都)でした。

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時代は流れて尊王攘夷、大政奉還。武四郎(松本潤)は政治に阻まれる

アイヌの集落一軒一軒をまわり、名前と年齢などを記録した人別帳を作り上げた武四郎は、アイヌの人口の激減を明白にします。

そして江戸に戻り、「東西蝦夷山川地理取調日誌」という地名を細かく記載した書物を発行すると、たちまち人気となりました。

また時代は尊王攘夷。

黒船来航により、日本も朝廷のために戦うか、幕府のために戦うべきかと対立します。

和人の文化を知りたいと、武四郎について江戸へとやってきた市助は、和人は和人を弾圧するのかと現実を知ることになるのです。

そして、自分の身に降りかかる火の粉はなんとしてでも排除したいと思う松前藩の家老・佐島勘解由(西村まさ彦)は、武四郎を殺せば目立つと考え、別の方法に出ました。

武四郎が出版した「近世蝦夷人物誌」は、奉行所の判断で悪書と言われ出版を禁止。

蝦夷地を改名し日本の一部にすると決めれば、法律を定めようとするが、アイヌを不平等に扱う法律が立案。

さらには、アイヌの人たちのために尽力したいと思う武四郎の気持ちを打ち砕くように、彼を派遣せず、他の人を北海道へと向かわせるよう仕向けられました。

北海道を命名した重要な人物でありながらも、あまりにもひどい扱い。

アイヌの人たちを救いたい気持ちや、平和を願う想いは、政治によって握りつぶされてしまったのです。

八方ふさがりの状況に、武四郎は憤り、大久保利通(江口洋介)に対してこう叫ぶしかできませんでした。

「バカ臭い!」

北海道弁で「アホらしい」という意味です。

このやるせなさが、見ていて何よりも辛かったです。

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明治元年から始まった名称付け。そして北海道と名付けた経緯

話は少しさかのぼり、明治元年のことです。

政治の実権が朝廷に還り、徳川幕府は崩壊。

江戸時代は終わり、明治へと変わったその時です。

武四郎は大久保利通の命令により、蝦夷を日本の一部と定めるため、地名の選定をすることとなりました。

アイヌ語を元に、「札幌」「小樽」「積丹」と名前が付いた瞬間です。

これを終えた後、いよいよ武四郎に、蝦夷地改名の案を出すよう言い渡されました。

上席からの条件は、最後に「道」を付けること!

実はこれ、「東海道」や「中山道」など、五街道の延長にあるものにするためだったのです。

そして武四郎は、アイヌ語で「そこに住む人」という意味を込めて「加伊かい」の字を入れた案を提出。

それが「北加伊道(=北海道)」だったのです。

6つの案を提出はしましたが、武四郎はこれが一番良いと思い、これになったみたいです。

つまり、北海道という名前には、武四郎によるアイヌの人たちへの想いが込められているというわけなんですね。

和人とアイヌが平等に接しあうことができれば、良い関係を作ることもできたでしょうに。

しかし、この歴史があるからこそ、今の北海道があるのです。

フィクションと言いつつ、ここは完全にノンフィクションです!

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維新の英雄にはならなかった武四郎(松本潤)。すべてをイチニカ(正垣湊都)に託して平和を願う

武四郎がどれだけ北海道のために働きたいと思っても、佐島や政府の一存により、彼のするべき道は閉ざされていきます。

誠実に接すれば、なにも争いは置きません。

しかしアイヌの人たちは字の読み書きができないと批判。

それは和人が学問から遠ざけただけのこと。

それに、アイヌの人たちの文化や思想を理解しようともしない結果、奴隷として都合よく扱う道しか作る気がないのです。

武四郎の中には、和人に対する怒りと共に、アイヌ民族に対する罪悪感や悲しみが生まれるようになりました。

毎晩のように見る夢は、どんちゃん騒ぎをする和人の姿。

並んでいる料理はアイヌの人たちの肉で、亡霊となった彼らがこの様子を屏風の外から見ているという景色。

武四郎も辛かったことでしょう。

どこまでもアイヌを想う武四郎。

だからこそ、市助が武四郎の代わりに北海道へと渡る決意をしました。

市助が出立する日、武四郎は彼にハンコを掘ってプレゼントしました。

そこに刻まれた文字は、市助ではなく「イチニカ」。

武四郎は、和人の市助ではなく、アイヌの「イチニカ」として、二つの民族の懸け橋になることを望んだのでした。

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『永遠のニシパ』まとめ

1時間半の作品の中、武四郎のアイヌへの想いと、お偉いさま方に妨害される無念さがひしひしと伝わってきました。

しかし、この「北海道」という名前には、武四郎のアイヌへの想いが今でも強く刻まれている、そんな気がします。

旧土人法など、近年でもアイヌに対する不平等な条例がありましたが、少しずつこれは撤廃されてきています。

150年という年月の中で、武四郎の想いは着々と北海道内で受け継がれている、そんな風に思っている次第です。

他種族だからと虐げず、文化や歴史を知ることで、素晴らしい発見ができるモノ。

誠実な武四郎だからこそ、見つけることができたといっても過言ではありません。

武四郎とアイヌの人々は、「北海道」という名前でつながれた、永遠のニシパ(大切な人)なのです。

大河ドラマとして作ってもおかしくないほどの物語です。

主演、松本潤さんの演技には尊さを感じました。

これを皮切りに、もっと北海道の自然やアイヌの文化を知ってほしいなと思うばかりです。

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