核大戦、天災、悪政などから革命が起こり、文明が崩壊した近未来の日本。国は三つに分かれ、派遣を争う三国時代に突入した。大和国愛媛郡で司農官として農業に携わり、妻・小紀と静かに暮らしていた三角青輝。しかし、平穏だった日常は、大和国の実質的な支配者である内務卿・平殿器の訪問によって一変する。理不尽な権力によって人々が抑圧される現実を目の当たりにした青輝は、妻を失ったことで「泰平の世を築き、日本を再統一する」という決意を受け継ぐ。
・三角青輝のどんな時でも繰り広げられる弁舌は爽快で見ごたえ十分。
・時代だからこその人の命の軽さ、しかし尊さを感じられるストーリーに引き込まれる。
目次
『日本三国』声優・キャラクター紹介

©松木いっか/小学館/日本三國製作委員会
三角青輝/声優:小野賢章
・愛媛郡出身の青年。
・理屈屋で、旧文明の知識に長けている。
・妻との誓いを果たすべく「日本再統一」を志す。
阿佐馬芳経/声優:福山潤
・名家・阿佐馬家の宗家の嫡子。
・通称・ツネちゃんさん。
・武術に優れた自信家。
東町小紀/声優:瀬戸麻沙美
・青輝の妻。
・曲がったことが嫌いな負けん気の強い女性。
・青輝に「日本再統一」の想いを託す。
龍門光英/声優:山路和弘
・大和の辺境将軍。
・高潔で文武に秀でている。
・堅物ながら誰もが尊敬の念を抱く人物。
賀来泰明/声優:中村悠一
・大和の辺境将軍隊軍師。
・常に先を読み、抜け目のない策略家。
・青輝の才能を見抜き、策を託す。
平殿器/声優:長嶝高士
・大和の内務卿。
・先帝を毒殺し、国政を牛耳る。
・自身を不快にさせる者には容赦がない。
輪島桜虎/声優:津田美波
・聖夷の新政権総帥。
・大和に降伏しようとする旧政権を打倒し「大和討伐」を掲げる。
・温和で容姿端麗なことから民の支持も厚い。
『日本三國』あらすじ・感想
妻・小紀の死が、三角青輝の運命を変える
青輝は司農官として農業に従事し、決して裕福ではないものの、小紀と慎ましい日々を送っていた。
そんな二人の前に、大和国の実質的な支配者である内務卿・平殿器が姿を現す。大名行列を思わせる騎馬隊を従えた殿器の姿は、大和国における権力の絶対性を象徴していた。逆らえば処刑されるという理不尽な状況を前に、青輝は何もできず、ただその光景を見つめるしかない。
しかし、小紀は違った。彼女は殿器の振る舞いに対して果敢に反論し、権力に屈することなく自分の意見をぶつけていく。その姿を見た青輝に対し、小紀は「いつか泰平の世を築くため、日本を再統一してほしい」という趣旨の願いを託す。
ところが、その翌日、小紀の姿が見えなくなる。青輝が必死に探すと、そこには血痕が残されていた。その跡を追った先で青輝が目にしたのは、無残にも殺された小紀と、その場にいる平殿器だった。
最愛の妻を奪われた青輝は、大きな喪失を抱えることになる。しかし同時に、小紀から託された言葉が彼の人生を決定づける。「泰平の世を築く」という約束を果たすため、青輝は農村を離れ、大阪へ向かう。そこで待っていたのが、辺境将軍・龍門光英の仕官試験だった。
この出来事によって、それまで農業に携わっていた青輝は、戦乱の時代そのものを変えようとする道へ踏み出していく。
Mai
昔の話なのかと思いきや、近未来の日本であり、タイトルにある通り三つの国家に分かれています。
その中で、一人の夫婦から話が始まりましたが、一話にして驚きの連続となります。
同じような日本での話なのかと疑ってしまうくらい、権力者による悪政が広がり、人の命がとても軽く扱われていました。
しかもそんな中、青輝の妻である小紀もまた亡くなってしまいます。
それもただ意見をしただけだったのに。
「日本再統一」を志し大阪へと旅立つ青輝は、そこでこの先関わっていくであろう人物、芳経と出会い、試験へ挑むことになりますが、あらゆる意味で先が気になる作品です。
青輝と芳経が龍門の仕官試験を突破し、軍略の道へ
妻を失った青輝は、大阪へ向かう。目的は、辺境将軍・龍門光英が実施する仕官試験を受けることだった。そこで青輝は、同じく将軍を目指して試験を受けに来た阿佐馬芳経と出会う。
二人は対照的だった。農業や国家運営に関する知識を持つ青輝に対し、芳経は刀を使った実戦的な能力に優れている。そんな二人が挑むことになった龍門の試験は、単純な学力試験ではなかった。
龍門が課した条件は、「自分の膝を地面につかせること」。何人もの挑戦者が力づくで龍門を倒そうとするが、圧倒的な実力を持つ龍門は微動だにしない。
最後に残ったのが青輝と芳経だった。先に動いたのは芳経である。刀に手をかけると、一気に龍門の懐へ飛び込み、素早い動きで龍門の体勢を崩すことに成功。武力によって試験を突破する。
一方、青輝は別の方法を選ぶ。彼が持参していたのは、戦における農業の活用や兵站についてまとめた資料だった。戦争を単なる武力のぶつかり合いとして考えるのではなく、「兵を支える食料をどう確保するか」という視点から龍門を説得していく。そして青輝は、言葉だけで龍門に膝をつかせることに成功する。
この試験によって、青輝の最大の武器が剣術ではなく、知識と分析力、そして人を動かす言葉であることが示される。
それから3年。青輝は龍門のもとで職務を忠実にこなし、芳経とも行動を共にするようになる。二人の異なる才能が、後に大和国の戦局を大きく左右することになる。
Mai
案の定何人がかりでも膝をつかせることは出来ませんが、芳経と青輝はそれぞれのもつ力で試験を突破していきます。
特に青輝は自らが作り上げた農業の活用法などをまとめたものを提示しながら、言葉だけで膝をつかせており見せ場シーンの一つですね。
これにより龍門や賀来も青輝の才能を感じたことでしょう。

©松木いっか/小学館/日本三國製作委員会
聖夷の台頭と、大和軍を待ち受ける罠
青輝が龍門のもとで経験を積む一方、大和国では隣国・聖夷をめぐる情勢が急速に悪化していく。寒冷によって聖夷の国政が揺らいでいることを知った大和国は、聖夷に無条件降伏を迫る勧告を送る。
龍門は朝議の場で、この判断をやめるよう訴える。しかし、大和帝・藤3世は平殿器からの圧力を受けており、自らの意思で国政を動かせる状況ではなかった。
そして聖夷では、輪島桜虎が立ち上がる。桜虎は大和討伐を掲げ、新たな独立体制を一夜にして構築する。さらに各地で自らの決意を示し、その人柄と政治手腕によって民衆の支持を急速に獲得。聖夷国内では、大和を討つべきだという機運が高まっていく。
大和側も軍を動かし、平殿継が率いる軍と辺境将軍隊が進軍することになる。しかし、青輝と芳経は待機組に回される。ここで参謀・賀来は青輝に助言を残しており、後の戦いにおいて青輝の能力が重要になることを予感させる。
やがて平殿継は、大和帝の命を受け、右中将・菅生強とともに金沢を目指す。途中で大きな橋を渡ろうとする殿継に対し、菅生は聖夷側の罠ではないかと警戒する。しかし殿継は忠告を聞き入れず、邪魔をする菅生を拘束してしまう。
一方青輝も戦況を分析し、聖夷側が大和軍を誘い込もうとしている兆候を察知していた。そして聖夷軍には大和側の人間を利用したスパイ工作まで仕掛けられていた。
そして九頭竜城への侵攻をきっかけに、ついに大和と聖夷の全面的な戦いが始まる。しかし、前線にいた殿継たちは開戦を知らないまま、聖夷側から歓待を受けていた。その食事には薬が盛られており、彼らは完全に敵の策中へと落ちていく。
Mai
大和国の帝は平殿器の圧力に怯えるばかりで、操り人形のような存在になっていますし、龍門がいくら説き伏せようとも、平派に囲まれた中ではその言葉は帝には届きません。
それでも、頭を下げ続けた龍門は本当にかっこいいですね。
その後でてくる殿器の嫡子である殿継も中々に生意気な性格をしていますが、まだ小さい子供なのに戦場へと向かうという考えられない展開に、ただただ驚きました。
そして龍門に似た風貌の菅生は、ただただ冷静に戦局を見極めていましたが、ここでも平の権力のまえには成すすべなく縄で縛られてしまうという…。
それでも冷静に事の次第を見極める姿は安心感をもたらしてくれます。
龍門の「空城の計」と弥々吉の覚悟
聖夷軍の罠によって追い詰められた大和軍だったが、菅生は襲撃者を撃退し、殿継とともに逃亡する。そして殿継は、自分たちが平殿器によって捨て駒にされたことを理解する。
一方、大和軍本隊も異変を察知して進軍を中断。聖夷軍の主力は、辺境将軍隊の本隊へ向かっていた。そして、龍門光英と輪島桜虎が直接対峙する時が近づいていく。
龍門と参謀・賀来は、戦況を打開するための重要な役割を青輝に託していた。しかし青輝が大和国に残っている間、龍門自身が時間を稼がなければならない。
そこで龍門が選んだのが「空城の計」だった。聖夷軍を目前にしながら、龍門は白装束に身を包み、悠然と茶の席に座って待ち構える。その異様な光景に、桜虎は強い警戒心を抱く。
桜虎は龍門へ一矢を放つものの、最終的には撤退を命じる。結果として、龍門は実際の兵力を大きく消耗させることなく、桜虎率いる聖夷軍の進撃を食い止めることに成功する。
しかし、桜虎の威光は大きく揺らいだ。そこで参謀・閉伊弥々吉は、自らを反逆者として処刑させることで、桜虎の威光を回復させる策を実行する。
弥々吉は一切抵抗せず、桜虎の手によって処刑される。信頼する参謀を自ら殺すことになった桜虎は、静かに涙を流す。その犠牲によって桜虎は再び求心力を取り戻し、聖夷は再び大和を追い詰めていく。
そして、この戦いの裏側では、青輝が一人で帝のもとへ向かっていた。龍門たちが時間を稼いでいる間に、青輝は大和国そのものを動かすための最後の一手を打とうとしていた。
Mai
菅生や龍門、青輝の読み通り罠に陥った殿継率いる先発隊。
必死に生き残りながらも父親に捨て駒にされた事実に気づいてしまうシーンは流石に胸が痛みます。
その後は龍門や賀来から策を託されていた青輝が動き出したり、時間を稼ぐために単身、聖夷軍に挑む龍門だったり、威光回復のために子供の頃からずっと一緒だった存在を自らの手で処刑しなければならなくなった桜虎だったりと、それぞれの場所でのストーリーが続いていきます。
色んな思惑はあれど、戦時中という緊迫感や命のやりとりなど、演出や見せ方も素晴らしく、あっという間にシリーズの物語も終盤です。
青輝の「撤退作戦」が聖夷軍を壊滅させる
弥々吉の犠牲によって威光を回復した桜虎は再び立ち上がり、聖夷軍の攻勢は続いていた。大和軍は追い込まれていたが、龍門と賀来は、この危機を打開する策をすでに青輝へ託していた。
青輝は平殿器の言葉によって帝への目通りを許される。そこで青輝が提案したのが、単純な正面衝突ではなく「撤退」を利用した作戦だった。
大和軍は後退しながら聖夷軍を特定の場所へ誘導し、敵を一か所に集める。そして、そこに残された廃棄車両を利用して敵を一網打尽にする。兵力で劣る側が正面から戦うのではなく、地形や敵の行動そのものを利用して勝利を狙う作戦である。
しかし、この作戦を実行するためには、帝自身の決断が必要だった。青輝は帝に対して言葉を尽くし、平殿器の圧力に従うのではなく、帝自身の意思で大和国の未来を選択するよう説得する。
そして帝は、ついに撤退の勅書を出すことを決断する。青輝から伝令役を頼まれていた芳経は、最初こそ自分がなぜ青輝の指示に従っているのか戸惑うものの、彼を信じて動き出す。
芳経は龍門へ勅書を届け、龍門たちは正式に撤退作戦へ移行する。しかし、その途中で軍師・賀来が病に倒れるという危機も発生する。それでも作戦は止まらない。
対する聖夷側も「冬将軍作戦」によって大和軍を一網打尽にしようとしていた。両国が互いに相手を罠へ誘い込もうとする中、最終的には青輝と賀来が考えた作戦が功を奏する。
大和軍は計画通り撤退しながら聖夷軍を誘導。敵が狙い通りの場所へ集結したところで罠を発動し、聖夷軍を一気に壊滅させるのだった。
Mai
胸の内で想うことはもちろんあったと思いますが、それでも大和国のために物怖じすることなく言葉を尽くす姿は感動しますし、力を貰えます。
自分の意思を曲げず、信じ続け、帝をも動かした青輝の弁舌は最高でした。
そしてその策を伝えに即座に馬で休むことなく駆け出した芳経も立派に仕事を果たし、龍門や賀来も青輝が託した策を見事に受け取ってくれたことで安堵してましたね。
戦争だからこその戦闘シーンは残酷ではありますが、決して無駄なシーンではなくそれぞれの決意による経過や結果となるので、悲しんでばかりはいられません。
『日本三國』キャラ/声優・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
・青輝の膨大な知識による弁舌は圧巻の一言。
・青輝と芳経、龍門と賀来など相棒のような関係に憧れるシーンが満載。
まさかの近未来の日本という設定に驚き、実際は昔のように文明が退化しているような状況にまず驚きます。
そして1話にして主人公青輝の妻が殺されてしまうというとんでもない展開に、先の展開がもれなく気になってしまいます。
それからの青輝の活躍や、芳経の青輝に対する心の声などコミカルなシーンも面白いですが、演出として漫画のように効果音が文字で表示されているような場面もあり、始まる戦の戦闘シーンなど見どころ満載な作品となっておりますので、皆さん是非ご覧ください!

