『人間失格 太宰治と3人の女たち』あらすじ・ネタバレ感想!ダメ男を愛した女たちの愛の形を濡れ場も込みで描く

『人間失格 太宰治と3人の女たち』あらすじ・ネタバレ感想!ダメ男を愛した女達の愛の形を濡れ場も込みで描く!

出典:『人間失格 太宰治と3人の女たち』公式ページ

公開中に沢尻エリカが逮捕されたこともあり、話題になった『人間失格 太宰治と3人の女たち』。

作中では文豪としてではなく、人間、そして男としての太宰治が美化されすぎることなく描かれていて、ダメ男だけれどもどこか憎めない太宰を小栗旬が熱演しています。

あまり知られていない実話もうまく絡められているので、太宰ファンにもおすすめです。

ポイント
  • 豪華女優たちの熱演は必見
  • 小栗旬演じる「ダメ男」太宰の色気
  • 蜷川ワールド名物の色彩美は控えめながらも健在!

それでは『人間失格 太宰治と3人の女たち』をネタバレありでレビューします。

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『人間失格 太宰治と3人の女たち』作品情報

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

作品名 人間失格 太宰治と3人の女たち
公開日 2019年9月13日
上映時間 120分
監督 蜷川実花
脚本 早船歌江子
出演者 小栗旬
宮沢りえ
沢尻エリカ
二階堂ふみ
成田凌
千葉雄大
瀬戸康史
高良健吾
藤原竜也
音楽 三宅純

【ネタバレ】『人間失格 太宰治と3人の女たち』あらすじ・感想


控えめながらも蜷川ワールドは健在

『さくらん』『ヘルタースケルター』そして『Diner ダイナー』と蜷川作品といえば、その華やかな色彩をイメージをする人も多いでしょう。

「色に酔いそうになる」という意見もあるものの、その独自の色の使い方は「蜷川ワールド」としてカメラマン時代から確立し、支持されています。

ただ『人間失格 太宰治と3人の女たち』では他の3作品に比べると色彩は控えめです。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

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特に過去の蜷川作品ではふんだんに使われれていた赤が少なめで青やブルーなどの寒色系が多いので、そう感じるのかもしれません。

しかしながら、どこか中国を感じさせる街並みのシーンやお祭りのシーン、そして太宰が吐く血の色などいくつかのシーンでは「赤」がとても効果的に使われています。

最も赤が際立ったのは、『ヘルタースケルター』で主演を務めた沢尻エリカ演じる太田静子が出てくる各シーンといえるのではないでしょうか。

常に彼女の周りは、赤やピンクなどの暖色系の色に囲まれています。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

これはブルーや紫などの抑え目の色彩で彩られた宮沢りえ二階堂ふみの2人の場面とは、大きく異なる点です。

これは沢尻エリカ演じる静子の欲するものが「赤ん坊」「自身の著作」であり、太宰そのものではなかったこと、そして他の2人が太宰との愛を選んだのに対して、愛よりも恋を選んだ静子の性質の違いを視覚的に見せる狙いがあったのかもしれません。

前述の通り、『人間失格 太宰治と3人の女たち』は他の蜷川作品に比べて派手な色使いは少なく、そして蜷川名物の花の登場もこれ見よがしではありませんので、蜷川作品に苦手意識を持っている人でも観やすくなっています。

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この映画を機に蜷川作品デビューするのも、おすすめです。

最後に欲しいものを手にした女性たち

タイトルにもなっている3人の女たちを演じたのは、宮沢りえ沢尻エリカ二階堂ふみといった日本映画界が誇る豪華女優たち。

本妻、愛人、そして最期を共にした愛人とそれぞれ個性豊かなキャラクターを見事に演じ切っています。

この一見異なるキャラクターを持った3人の共通点は、もちろん太宰治という1人の男です。

しかし、その愛の形は三者三様。

太宰曰く「決して自分の作品を褒めない」という本妻・美知子を演じたのは宮沢りえ。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

母として妻として凛とした姿が印象的です。

太宰の前では取り乱すことなく、常に冷静に佇んでいる姿には厳しいながらも全てを包み込む姿は母そのもの。

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その冷静沈着な姿によって、かえって2人の愛人たちの儚さや可愛らしさが強調され「だから太宰は静子や富栄に心奪われたのかもしれない」と見ている人間が思うくらいです。

これは演じた宮沢りえの演技力の凄さとしか言いようがありません。

しかし「あなたはもっといい作品がかける。だから私たちを壊しなさい」と太宰に訴える反面、一方で「お母さん、もう無理かもしれない」と子供に弱音を吐いたり、自身の不在時に愛人が自宅に上がったことが分かり取り乱す姿は、妻や母でなく1人の女としての苦悩する姿そのものです。

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太宰の才能を誰よりも理解し愛しているからこそ、小説家の妻として彼の奔放さを容認しているように見せつつも陰で涙する彼女は、どんな女性よりも太宰を愛して彼の愛を求めていたように感じました。

太宰の心中事件後、美知子宛ての遺書の最後に記された「誰よりもお前を愛していました」という一言を読んだ美知子は、晴れ晴れとした顔で閉ざしていた縁側の戸を開け洗濯を干し始めます。

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その一言は、美知子にとって太宰から一番欲しい言葉だったのではないでしょうか。

物語の序盤に出てくる静子は実に軽やかに物語に絡んでいきます。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

「静子は本当に可愛いね」という太宰の言葉通り、沢尻エリカが可憐という言葉がぴったりの女性を演じています。

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また静子と太宰のやりとりの可愛らしさは微笑ましいです。

本妻の前では少々億劫そうでもあり、また後半の富栄とのシーンでは病んでいることもあり悲壮感がある太宰ですが、この静子とのやりとりや静子のエピソードを語るシーンではチャーミングで憎めないダメ男ぶりが見て取れます。

先に少し触れたとおり、静子は他の2人とは異なり愛を求めていませんでした。

もちろん静子も女として、本妻やそして富栄の存在は気にはしています。

しかし、彼女が一番に欲したものは太宰その人でなく「赤ん坊」であり、そして出版された書物に彼女自身の名前が著者として記されていることでした。

結果的に静子は望んでいたものを2つとも手にします。

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太宰の死後に、太宰との間にできた娘を抱えながら、自身の著作である「斜陽日記」を手にし輝くばかりの笑顔を浮かべる静子からは誇らしさすら感じさせられます。

そして、太宰にとって最後の女性となった二階堂ふみ演じる山崎富栄。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

彼女ほど太宰治、いえ、津島修治という1人の男を欲した女性はいないのではないでしょうか。

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「私たちはあの世に行ってこそ夫婦になれる」と太宰の手を握り囁きかけるシーンは、決してエロチックな場面ではないのに、濡れ場よりも官能的です。

危険なほど無邪気に「死ぬ気で恋愛してみないか」という太宰の言葉を信じ愛した彼女だからこそ、太宰との死を熱烈に望みます。

その反面、編集者の佐倉に「私たち夫婦にとっての記念日」と話すシーンでは、当然のように自分が太宰にとって唯一の女であると自負しているようにも見えます。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

純粋に死によって結ばれること、そして2人が一緒になることが当然と考えているからこそ、生きようと説得する太宰に無邪気なまでの笑顔で心中を迫ることができたのでしょう。

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決して解けることがない赤い紐で太宰を結びつけ、死を共にした富栄もまた、最後の最後で彼女が心底望んだものを手にしたといえます。

皮肉なことに愛した太宰の死によって、3人の女性たちはそれぞれの望みが叶います。

タイトルや予告だけみると、愛すべきダメ男・太宰に3人の女性が振り回された映画のように思う人もいるかもしれません。

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しかし、実は太宰の方が3人の女性たちのそれぞれの手の中で転がされ、そして愛され生き、死んだ物語とも見て取れます。

太宰治演じる小栗旬の脂が乗った色気

主人公・太宰治を演じた小栗旬の色気溢れる演技も、この映画の魅力の1つです。

3人の女性たちの間を時に激しく、そして時に弱く情けなく移ろう姿は、どこか滑稽でもありチャーミングな魅力に溢れています。

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とはいえども、劇中での太宰の色気は女性たちのラブシーンではあまり感じることはできません。

画面から溢れんばかりの色気を感じられるのは、むしろ女性との絡みがないシーンが多いです。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

例えば取り巻き達との酒宴でお酒を片手に歌うシーンでは画面いっぱいに小栗旬がアップになり、笑いながらも歌いお酒を飲んでいるのに、どこか苦しそうででもその表情や首筋から紛れもない色気を感じさせます。

このカットの魅力は、写真家として被写体の魅力をとらえ続けてきた蜷川監督だからこそ映し出せたといっても過言ではないでしょう。

また後半、病が進み生き急いでいるかのようにも取れる太宰の姿は、髪はボサボサで映画冒頭のような潑刺とした表情はないのに、切羽詰まった色気が醸し出されています。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

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銀魂』や『信長協奏曲』とは違う、男としても役者としても脂が乗った小栗旬の魅力を再確認できますよ。

史実をうまく作品に絡ませている

「ヤバイすぎる実話」というキャッチコピーにある通り『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、実話をベースに描かれています。

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作中では、コアな太宰ファンを唸らすようなエピソードも盛り込まれており必見です。

太宰と3人の女性たちを巡るストーリー以外にも作中で見られる実話エピソードは以下のようなものがあります。

  • 太宰の長男がダウン症だったこと
  • 藤原竜也演じる坂口安吾との交流
  • 静子が娘・治子に太宰のことを「お父様」でなく「太宰ちゃま」と語っていたこと
  • 高良建吾演じる三島由紀夫との対面のエピソード
  • 志賀直哉を始めとする当時の文豪への批判

作中では深く描かれることはありませんでしたが、実際に太宰の長男・正樹はダウン症であったことは太宰の著作などにも書かれています。

映画では事実を基に、ダウン症の子役が正樹を演じています。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

また、坂口安吾と太宰は共に時代を風靡した無頼派の作家であり、交流があったようです。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

映画のような会話を2人が交わしたかは定かではありませんが、銀座にあるバー・ルパンで撮影された太宰・坂口・織田作之助という無頼派の3人の写真が残されていることからも交流があったことが伺えます。

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また太宰亡き後、坂口は「不良少年とキリスト」と追悼文を発表しています。

太宰と三島由紀夫の初対面については劇中でも印象的に描かれていますが、三島の著作「私の遍歴時代」に出てくるエピソードをベースとしており太宰ファンのみならず三島ファンも必見です。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

このようにサラリと出てくる実話を見つけるという点で『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、文学ファンも楽しむことができます。

二階堂ふみの熱演が光る濡れ場

濡れ場についても話題となった作品ですが、実際のシーンは意外に少ないです。

ヘルタースケルター』で過激なラブシーンを体当たりで演じていた沢尻エリカですが、この作品では、そういったシーンはありません。

しかしながら、情後に何も身に付けずベッドに腰掛ける後ろ姿は、非常に艶かしいです。

沢尻エリカの露出は下着姿と、この背面のシーンのみですがしっかりとインパクトを残しています。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』

(C)2019「人間失格」製作委員会

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ただ、前述の通り『ヘルタースケルター』のような露出を期待していた人はがっかりするかもしれません。

また本妻・美知子役の宮沢りえとの濡れ場は1回だけで、それも着衣のままですので艶っぽさに関しては少々物足りなさを感じる人も多いのではないでしょうか。

劇中で妻、そして何よりも母としての姿を見せることが多い美知子ですので濡れ場の少なさや過激さが控えめなのは仕方ないのかもしれません。

この映画の濡れ場といったら、間違いなく二階堂ふみ演じる富栄と太宰のベッドシーンです。

光の中で繰り広げられる濡れ場は、決して長くはありませんが非常に濃厚な色気を含んでいます。

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上半身のみの露出ではありますが、女性から見ても、二階堂ふみの美しさに息を飲むシーンとなっています。

二階堂ふみの女優としての力量、そして美しさを堪能できます。

この富栄との濃厚な濡れ場があったからこそ、彼女の持つ狂おしいまでの太宰への愛情も観ている人間に伝わり非常に効果的でした。

『人間失格 太宰治と3人の女たち』まとめ

以上、ここまで『人間失格 太宰治と3人の女たち』をネタバレありでレビューしました。

要点まとめ
  • 豪華女優陣の熱演
  • 文学ファンも必見の史実をうまく絡ませたストーリー
  • 他作品に比べると控えめながらも、しっかりと健在する色鮮やかな蜷川ワールド

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