映画『ナイトライド 時間は嗤う』あらすじ・感想!94分のワンカットで見せるスリルと男の転落…!

(C)2021 NIGHTRIDE SPV LTD

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裏社会から足を洗おうとする男の窮地を、94分間のワンカットで描いたクライム・スリラー『ナイトライド 時間は嗤う』が11月18日(金)より公開されます。

深夜のベルファストを舞台に、ひとりの男の視点で見る人生の転落…。そして、神経をどんどん追い詰めるスリリングな展開が素晴らしい良作でした!

ポイント
・ダレることなく続く緊張感
・どこまでが演出で、どこまでがリアルなのか⁉
・主人公がダークヒーロー並みに冷静ですごい

それでは『ナイトライド 時間は嗤う』をネタバレなしでレビューします。

『ナイトライド 時間は嗤う』あらすじ【ネタバレなし】


裏社会から足を洗うべく、最後の大仕事に挑む!

麻薬の密売を生業にしてきたドラッグ・ディーラーのバッジは、恋人ソフィアとの生活のために足を洗うことを決意。堅気の友人であるグレアムと店を開くため、開業資金を得るために最後の大仕事に乗り出す。

その計画とは、闇金の大物・ジョーから10万ポンドを借り、ソフィアのコネである密売人から50kgもの麻薬を購入。そして、それを倍の値段で買い手のフィリックスに売るというものだった。

裏社会で恐れられるジョーから資金を調達するのはリスキーだが、バッジの計画は念入りに立てられ、問題なく成功するはずだった。

無事”ブツ”を確保したバッジだが…

しかしバッジが取引現場に車で向かう途中、後方から見知らぬ車に尾行されていることに気づく。表立って行動ができなくなったバッジは車を走らせつつ、弟分であるレフティ、ビーカーにブツの回収を頼む。

無事にブツの積まれたバンを回収したレフティたちだが、トイレに行っていたスキに何者かがブツを積んだ車ごと盗んでしまう。

時間内にブツの引き渡しが難しくなり、怪しく思った買い手のフィリックスは取引から手を引いた。バッジに残ったものは、恐ろしい存在のジョーから借りた、多額の借金のみになった。

迫りくる返済期限とジョーの追っ手

一瞬にしてブツと買い手がなくなり、借金だけが残ってしまったバッジ。ジョーは時間に厳しく、少しでも返済時間が過ぎれば命はないと言い放つ。それは脅しでもなんでもなく、ジョーに恐れをなす人を増やすための見せしめとして、必ず決行されるものだった。

あとがなくなったバッジは、バンの捜索と新たな買い手探しに奔走する。しかしジョーはすでにバッジへ手下を仕向けていた。果たしてバッジはこの極限状態を切り抜けることができるのか?

『ナイトライド 時間は嗤う』感想

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ダレることなく続く緊張感

最近、比較的耳にすることが増えた「ワンカット撮影」。映画の最初から最後までカメラを回し続け、リアルタイムで作中の時間が進むといった特長があります。

洋画でのワンカット映画といえば『1917 命をかけた伝令』(19)や『ヴィクトリア』(15)、邦画ではフランスでリメイクもされた『カメラを止めるな!』(17)や、70分以上もひとりの役者が殺陣を繰り広げる『狂武蔵』(20)という作品が話題を呼びました。

ワンカット撮影はリアルタイムで進む展開が見どころな一方で、ストーリーや演出によってはどうしてもダレてしまう部分が多少なりとも出てきます。

『ナイトライド 時間は嗤う』も、一見すると車中のシーンばかりで、登場人物のやり取りも電話のみ…。かと思いきや、これがけっこう動きのある展開が多いのです。

最初に「闇金で大金を借りる→ドラッグを仕入れる→倍の値段で買い利益を得る」という計画が明示されますが、これがもう一週回って笑ってしまいたくなるほど破綻します。

次から次へと最悪の展開を更新していく絶望感と、その状況を打破しようと必死に行動する主人公・バッジ。彼と共有するリアルタイムのスリルによって、中だるみすることなく最後まで楽しめました。

どこまでが演出で、どこまでがリアルなのか⁉

ワンカット撮影にはあらゆるアクシデントがつきものであり、それをアドリブで乗り越えられるかどうかも注目されるポイントです。

本作でも、1日11時間のリハーサルを1週間連日で行い、6晩で全6テイクの撮影を決行する徹底ぶり。それでもアクシデントは起きてしまいましたが、劇中の出来事なのかリアルなのかわからない演出もありました。


その代表的なアクシデントが「撮影中に本物の警官に職務質問をされてしまう」というものです。

警官の顔にはモザイクがかけられ、音声も別の音に吹き替えられています。しかしバッジを演じるモー・ダンフォードの華麗なアドリブによって、まるで演出のひとつなのか?と見まがうほどのシーンになってました!

観客としては職質のことよりも、警官から「映画の撮影?」とか聞かれたらここまでの撮影がパーになるのでは…というスリルの方が大きかったです…(笑)

警官とモー・ダンフォードのやり取りは、ある意味今作で一番注目してほしいシーンです。

主人公がダークヒーロー並みに冷静ですごい

リアルタイムで主人公が追い詰められる展開が見どころの本作ですが、そもそもなぜそんなに計画が破綻してしまったのでしょうか。

今回の計画はバッジひとりで回しているわけではありません。レフティ、ビーカーと呼ばれる弟分たちがブツを運ぶためのバンを手配し、買い手のフェリックスからはこまめな連絡が来ます。さらに、闇金界隈では大物のジョーからドスの効いた借金返済の催促(脅し)まで…。

おまけに堅気の友人であるグレアムからも連絡が来るなど、目が回ってしまいそうなほど、バッジの周りでは様々なことが動いています。

かなりギリギリの状態で計画を回しているので、たった一度のアクシデントが起きたことで、バッジの計画は見るも無残なほどに崩れていきます…。正直並みの精神だったら全部放り出して逃亡したくなるレベルです。

しかしバッジは決して声を荒げたり、取り乱したりすることはありません。常に最善の選択を考え抜く姿は、闇社会を生きる男なのに敬意すら覚えます。バッジを追い詰めるジョーでさえ(皮肉とはいえ)「お前は賢いからどうすればよいかわかるだろう」というほどでした。

裏社会から足を洗いたくてこんなに頑張っているのに、その姿はまるでダークヒーローのように感じました。

『ナイトライド 時間は嗤う』あらすじ・感想まとめ

要点まとめ
・ワンカット撮影の良さを存分に生かしたスリリングなストーリー!
・撮影中のアクシデントを演出に盛り込むすごさ
・主人公のキャラにも注目してほしい

以上、ここまで『ナイトライド 時間は嗤う』をレビューしてきました。

極限状態をリアルタイムで味わえるクライム・サスペンスは、納期に追われている仕事や作業をしている人が見れば、きっと他人事とは思えないスリルを感じるはず!汗

それくらいダレることなく緊張感が続くのは、ストーリーとバッジのキャラクターがあってこそ。何かと目にする機会が増えた「ワンカット演出」ですが、本作もその特徴を見事に生かした良作でした!