知らない人同士が映画館に集まって、静かに観ていたはずなのに…気づいたら、みんなで声を出して笑っていました。
不器用な4人と猫2匹が登場する、だらだらしたラブコメディです。
・カンタとミミの物語
・たまに山本奈衣瑠の足がつる
それでは『猫は逃げた』をネタバレなし・ありでレビューします。
目次
『猫は逃げた』あらすじ【ネタバレなし】
漫画家である町田亜子(山本奈衣瑠)と週刊誌記者の広重(毎熊克哉)は、離婚に向けて話を進めている夫婦です。お互いに干渉することなく、亜子は編集者の松山(井之脇海)と体の関係を持ち、広重は同僚の真実子(手島実優)と不倫をしています。
飼い猫カンタをどちらが引き取るかで揉めている二人は、なかなか結論を出すことができません。
そんなある日、突然カンタがいなくなってしまいました。
『猫は逃げた』を楽しむ【ネタバレなし】
L/R15とは?
今泉力哉監督 ✖ 城定秀夫監督
お互いの脚本を提供し合い、R15+ のラブストーリーを2本制作するというコラボレーション企画です。
『猫は逃げた』は城定秀夫のオリジナル脚本を使用して、今泉力哉が監督を務めます。
R15+であることを前提に、脚本を書いて交換。そのあとは、ある程度好きに直していいというルールだったそうです。
『愛なのに』には、“浮気されたから、自分も相手を見つけて同じことをする” という女性が登場します。話の流れとしては違和感なく、2組のベッドシーンを観ていました。
でも『猫は逃げた』に、同じような場面は必要だったのでしょうか。R15+作品にするためだけに、わざわざ裸になったのではないかと思ってしまいました。
新宿武蔵野館
新宿武蔵野館に『#愛なのに』『#猫は逃げた』の
特製ディスプレイがお目見えしました!みごとに一方通行の矢印ばかりの相関図や
2作を行き来するカンタの写真など、
劇場にお越しの際にはぜひ記念撮影を📸 pic.twitter.com/fjxDSxJT4s— L/R15 『愛なのに』『猫は逃げた』公式 (@Lr15Movie) February 4, 2022
L/R15特製ディスプレイが見たくて、新宿武蔵野館に行ってきました。
初日舞台挨拶やスペシャルトークイベントのときには、監督と出演者がディスプレイの前で記念撮影していましたね。
続いて、売店をチェックしてみました。
●ハリボー(280円)
新宿武蔵野館の公式ツイッターには、ハリボーについて注意書きが…
「スクリーンに向かって投げないでください」
「館内で並べて遊ぶのはご遠慮ください」
「スクリーンに投げたくなるような映画なの?」と思ったのですが、観たあとはハリボーをケース買いして真実子にプレゼントしたくなります。
●猫ぱん 肉球型/かお型(550円)
かお型のほうが人気なんですね。すでに売り切れていました。
主人公がパン屋の店主というわけでもないのに、どうしてパンを販売しようと思ったのでしょうか。カンタに似せる気なんてさらさらない感じが、私はたまらなく好きです。
『猫は逃げた』感想【ネタバレあり】
猫は毎日逃げていた
カンタは、とても自由な環境で生活していますね。
リビングのガラス戸は、カンタが外出できるように少しだけ開いています。ご近所さんが飼っているミミに会いに行くと「いつもの場所にいるわよ」と言われて、今度は河原へ移動。ミミと一緒にしばらく遊んでから、夕方には家に帰ります。
夕方になっても戻ってこないと心配する亜子に、私はあまり共感できませんでした。いつも同じ時間に戻っていただけで、毎日逃げているようなものですよね。
しかも、カンタもミミも “不妊・去勢手術“ を受けていません。
穏やかなラストシーンのためには、4匹の子猫を誕生させないといけないわけですが…昭和時代のような飼い方に、少しだけイライラしました。
そして、もうひとつ気になったことがあります。真実子は、どこに住んでいるのでしょうか。
真実子の自宅に連れていかれたカンタは、玄関ドアから逃げ出してしまうのですが、いつもの河原にたどり着くことができました。
犬と同じように、猫にも “帰巣本能” があるといわれています。でも全く知らない場所から帰るには、他の猫の縄張りに侵入しなければなりません。縄張り争いに巻き込まれて傷だらけになっていてもおかしくないのに、カンタがさらっと帰宅できたのはどうしてでしょうか。
ハリボー姉さん
職場であっても関係なく、広重に甘ったるい喋り方をする “ハリボー姉さん”。
週刊誌の記者である真実子は、スクープのためだったら努力を惜しみません。そして仕事と同じくらい、好きな人にも全力でぶつかっていきます。
甘えたいときは広重にハリボーを食べさせて、ムカついたときは投げつける。
きっと真実子みたいなタイプは、隣で眠っている彼氏のイビキがうるさかったら、口の中いっぱいにハリボーを入れますよね…私の勝手な想像です。
最後に真実子が選ぶのは、“優柔不断な広重“ ではなく “ピュアな松山くん”。彼だったら、何をされても笑って許してくれそうな気がします。
それにしても、なぜハリボーなんでしょうか。脚本の段階では、コンペイトーだったそうです。ちなみに、私が監督だったらコアラのマーチに変更すると思います。
多田さん登場ならず
コラボレーション企画「L/R15」の1本目である『愛なのに』では、古本屋の店主・多田浩司(瀬戸康史)の友人として広重が登場していました。そして、“常連猫” としてカンタの姿も。
ということは、もちろん『猫は逃げた』にも多田が登場するって期待しちゃいますよね。残念ながら、どこにもいませんでした。
カンタがいなくなったときに、広重が「そっちに行ってない?」って多田に電話するとか。直接、手作りのチラシを持って古本屋まで行くとか。1カットだけでもいいので、コラボしてほしかったです。
アガペーからエロースに
広重と真実子は、新作映画について味澤監督(伊藤俊介)にインタビューします。
死んだ魚のような目をして話を聞き流す広重と、急に話をふられて戸惑うも “それっぽい返答” をする真実子。二人の対比が面白いです。
「なるほど」「と、言いますと?」というのは、インタビュー記事でよく目にする言葉。
味澤のような胡散臭い映画監督の話を聞かなければいけない記者は、みんな広重のような目になるのでしょうか。
そして、意外にも気づかない人が多かったのが、試写会で流れていたナレーション。あの渋い声は、瀬戸康史だったんですね。訳の分からないことを真面目に喋っていて、面白かったです。
ドロボー猫が猫泥棒
4人が集まる終盤のシーンは、長回しで撮影されています。
井之脇海がどうしても言いづらかった、「お茶飲みませんか?」というセリフ。今泉力哉監督からの提案で、一度立ち上がって座り直してみたら言いやすかったそうです。
なぜでしょうか、なんとなく空気が変わったような気がしました。
この修羅場シーンを観て、『街の上で』(今泉力哉監督)を思い出した人が多くいるみたいですね。同じような “男女の会話劇” ということでしょうか、先に観ておけばよかったと後悔しています。
『猫は逃げた』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
・手島実優のくしゃみの演技が妙にリアル
・コンビニ店員役の海沼未羽に注目
以上、ここまで『猫は逃げた』をレビューしてきました。
しましろ