『猫は抱くもの』あらすじ・ネタバレ感想!沢尻エリカと猫が擬人化した吉沢亮がかわいすぎる癒し系ムービー

出典:『猫は抱くもの』公式ページ

アイドルだった過去を引きずる沙織(沢尻エリカ)と、自分を人間だと思い込んでいる猫の良男(吉沢亮)。

いろいろと“こじらせた”一人と一匹の愛の形。

ポイント
  • 舞台を見ているような不思議な世界観のなか繰り広げられる物語
  • 猫を飼っている人に見て欲しい!飼ってなくても猫好き必見!
  • なんとなく毎日つまらない、過去の栄光がまぶしい、そんな人におすすめ

それではさっそく映画『猫は抱くもの』をレビューしたいと思います。

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『猫は抱くもの』作品情報

『猫は抱くもの』

(C)2018「猫は抱くもの」製作委員会

作品名 猫は抱くもの
公開日 2018年6月23日
上映時間 109分
監督 犬童一心
脚本 高田亮
原作 大山淳子
出演者 沢尻エリカ
吉沢亮
峯田和伸
コムアイ
岩松了
音楽 水曜日のカンパネラ

【ネタバレ】『猫は抱くもの』あらすじ・感想


「沙織(沢尻エリカ)はツンデレ。デレ抜き」

とある田舎の“小さなスーパー”で働く大石沙織(沢尻エリカ)は昔、アイドルグループであるサニーズのメンバーでした。

センターになれない、端っこにいるアイドル。

グループが解散してからは過去を隠すように、自分のことを知っている人が少ないであろう田舎町に移り住んでひっそりと暮らしていました。

沙織が心を許している存在、スーパーの倉庫で隠れて飼っている猫の良男(吉沢亮)。

仕事中にあった出来事や上司への恋心、果ては妄想話まで良男には何でも話せるのでした。

良男は自分のことを猫だなんて思っていませんでした。

自分は人間だ、沙織の恋人だ。

だから自分が沙織を守ってあげなきゃいけないんだと思い込んでいたのです。

しかし、沙織から見れば当然、良男はただの猫。

上司の高橋(柿澤勇人)とイイ仲になってしまいます。

自分というものがありながら!と面白くない良男は高橋に敵意をむき出しにするのでした。

ある日、ちいさなスーパーで女子高生が万引きをして捕まります。

ひと悶着あって迎えに来たのは、叔父で売れない画家・ゴッホこと後藤保(峯田和伸)でした。

沙織は倉庫でいつものように良男に話します。

ゴッホは色盲の画家で、山の中で黄色い世界の絵を描いていて、きっと飼っている猫にもキイロなんて名前を付けているんだ、と。

また好きな歌を仕事にできるチャンス…?

沙織のストレス発散法は、カラオケで一人歌い込むことでした。

よく訪れるので店員からも“歌のうまい人”と陰で言われるほどです。

いつものようにヒトカラして帰ろうとしたとき、受付で高橋が仲間たちといるところに遭遇します。

沙織がいることに気が付かない高橋は、仲間の発言により元アイドルと知っていて近づいたことや、本命がいることを明かされてしまいました。

深く傷ついた沙織は雨の中走ってスーパーの倉庫へ向かい、良男を抱きしめて「もう男は良男だけでいい」と泣くのでした。

夜も更けたころ、心配になった良男は倉庫から抜け出して沙織のアパートを目指しました。

しかし、足を滑らせて川に落ちてしまいます。

激しい流れに乗って行き着いたのは、捨てられた猫や野良猫たちが集まる“ねこすて橋”のたもとでした。

知らない猫の出現に興味津々な猫たちはあれこれ話しかけますが、良男は自分を人間だと思っているので相手にしません。

そして、飼い主のところへ行きたいというキイロ(コムアイ)とともに歩き始めます。

キイロは本当にゴッホの飼っている猫でした。

足をケガしているので良男が支えながらそれぞれの飼い主を探し歩きます。

一方で沙織とゴッホも自分の猫を探し回っていました。

同じころ、沙織のもとに東京のテレビ局から一晩限りのサニーズ再結成の話が舞い込んできます。

またステージで脚光を浴びられると東京へ向かい、メンバーたちと再会します。

元メンバーは、それぞれ女優になっていたり歌を続けていたり、くすぶっていたり。

沙織は田舎でスーパーのレジ打ちをしているとは言えず、仕事の話はたくさんあるけれど選んじゃうよね、と見栄を張ってしまいました。

しかし、また歌を仕事にできるチャンスかもしれないと思っていたオファーは、実は歌番組ではありませんでした。

懐かしのアイドルグループを集めてゲームをして、優勝したチームだけが一曲歌えるというドタバタしたバラエティ番組。

サニーズは優勝しましたが、体を張ったゲームを終えたままのジャージや水着といった格好で、さらにエンディングトークと提供が歌に被さる酷い扱いでした。

沙織は町に帰り、そのまま、いつか高橋と山登りデートをしたときに見つけたゴッホのアトリエ兼住居を訪れました。

泣きたい時になんで笑うんだよ

ゴッホに誘われるままカラオケスナックへ行き、沙織はサニーズ唯一のヒット曲「ロマンス交差点」を歌うことになります。

卓にあるお酒をありったけ飲んで歌いきるも、当時自分が歌っていたのはほんの少しで、メインパートを歌うのにすごく緊張することなんて誰もわかってくれないし昔も今も頑張っても報われない!と喚くように愚痴をぶちまけました。

対してゴッホは、本当はグループの端っこにいることが恥ずかしかったんだろ?などと沙織の痛いところをズバズバ指摘していきます。

感情的になっている沙織も、ゴッホのことを“親戚からお金をもらって生活している売れない画家”だと貶します。

収拾つかないほどの悲しみ、怒りを爆発させる沙織を引きずるようにしてゴッホは家に連れて帰りました。

家に着いてもなお怒りの収まらない沙織は「昔の苦労があんたにわかるのか」と吐き捨てます。

ゴッホは淡々と、アイドル時代の沙織に心当たりのあるようなことを、まるで側で見ていたかのように語りました。

企画が流れたらがっかりして自分が嫌になったこと、バラエティ番組で無理して毒舌を吐いたら全部カットになっていたこと、部屋に一人でいて誰からも連絡がこなくてベッドに横たわり外から聞こえてくる笑い声に耳をふさいだりしたこと、嫌になったり、一杯の水を飲むのも面倒になったこと。

全部が嫌になって東京から高速バスに飛び乗って全然知らない町に来たことも。

他人が知るはずもないようなことを言い当てられ、沙織は笑いながら「おかしくない?」と言うとゴッホは「泣きたい時になんで笑うんだよ」と言いました。

その言葉が心に響いた沙織は、今までずっと泣くのを我慢していた閊えが外れたかのように泣き出しました。

そしておもむろに服を脱ぎ、ゴッホは裸になった沙織を無我夢中でキャンバスに描いていきます。

ちょうどそのころ、ゴッホの家に辿りついた良男とキイロは二人の様子を窓から眺めていました。

夜が明けて絵が完成し、なにか吹っ切れたように沙織は帰っていきます。

良男と再会し、スーパーを辞めてペット可の物件に引っ越します。

例のバラエティ番組で再会し、自分と同じようにくすぶっていた元メンバーから結婚式場で歌う仕事を紹介されました。

それだけでは生活するには心もとなく、サイドワークを探していたところで喫茶店の“求人募集”の張り紙を目にします。

誘われるように足を踏み入れると、ゴッホの姪であるいつかの万引き少女がウェイトレスとして働いていました。

そして壁に目をやると、ゴッホが描いた沙織の絵が飾られていたのでした。

魅力的な猫たち

まずは灰色の猫、良男。

吉沢亮が好きなら絶対に観た方がいいです。絶対にだ。

可愛いとかそんなもんじゃない。この子を飼いたい。

「ひぇぇん今日仕事で失敗しちゃったよぉ!」とか言って撫で回したい。

映画のだいぶ後半まで完全に自分を人間だと思い込んでるんだから本当に可愛い。

でも案外、猫ってみんなそうなのかもしれないと思います。

自分を猫だなんて自覚している猫なんていないのかもしれない。

ねこすて橋にいる猫たちみたいに、何かのきっかけがあったり、長老が教えてくれたりしなければ気付くことすらないのかも、しれない。

私も猫を飼っているのですが、一緒にいるときは器にカリカリを入れても私がご飯を食べ始めないと手を付けないし、寝るときは一緒の布団で一丁前に枕に頭を乗せて寝るし。

猫だとか人間だとかはさておき、同じ生き物だと思っているふしはあります。こんなに大きさが違うのにね。

ちなみに私のプロフィール欄にあるアイコンが、うちの可愛い猫ちゃんです。

うちの子はメスだから吉沢亮みたいなイケメンではないだろうし、コムアイみたいな小悪魔っぽい雰囲気でもないし。

擬人化するとしたら誰なんだろうなぁとか考えてしまいます。

映画なのに舞台を鑑賞しているような気分になる世界観

沙織と良男のシーンは、舞台を見ているようなセットになっています。

スーパーの倉庫という設定なんですが、後ろに積んであるダンボールだったり壁、良男がくつろぐ台、いたるところの影や立体感が手描きで表現されていたりして絵本を見ている気分にさせる演出がおもしろいです。

全編そういう演出というわけではなくて、沙織が軸になっている場面は普通に現実の風景なんです。

ヒトカラしに行くカラオケ店や上司の高橋とデートした山の中、あとテレビ局のスタジオも。

だからきっと絵本風になっているのは良男の目から見た世界を視覚化していることを表しているんでしょうね。

沙織が軸として進む場面は現実、とは書きましたが主に回想シーンは舞台を使った演出が目立ちます。

回想と現実を行き来する演出っていうと映像が切り替わって昔と今を表現することが多いと思うんですけど、『猫は抱くもの』では舞台セットの移動や、舞台となっている劇場内をキャストが歩いて移動しての場面転換だったり、物理的な移動によって表現していて見せ方が面白いです。

ほかにも沙織が過去の自分と対話する場面が急に出てきたりします。

ライトの色や先述した物理的な人物の移動で、そのあたりはわかりやすく見ていられるけどそういう演出が苦手な人にはワケわかんないかもしれません。

私にとっては今まで見たことのない手法での演出だったので新鮮でした。

ちなみに…猫、ほとんど出てきません

猫が出てくる映画が見たいなぁっていう考えだけでストーリーも登場人物もキャストもよく知らないまま見たのですが、猫はあんまり出てこない!

それでも猫が好きな人に見て欲しいなと思うのは、良男やキイロを通して“猫ってこういう風に考えているのかも”ってことを想像するのが楽しいからです。

言葉を交わせないから実際どうなのかなんてわからないけど、猫っていう生き物の不思議さと愛おしさを改めて感じられる作品だと思います。

猫が出てこないことには少しだけがっかりしたけど、そこかしこに好きな俳優さんたちが出てきて個人的に嬉しかったです。

万引き少女の叔父として呼ばれてきた男。

そのあとの展開も知らず、ちょい役のモブだと思っていたら峯田和伸!

コムアイ演じるキイロの飼い主・ゴッホこと後藤保、割と主要人物(笑)

出てきて「あぁぁ!」ってなりました。

峯田和伸がボーカルのGOING STEADYというバンドの歌を高校生の頃よく聞いていたっていうだけで知り合いでもなんでもないけど、姿を見ると懐かしい気持ちになります。

現在も銀杏BOYZで音楽活動を続けていますが、『高嶺の花』や大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』での俳優としての活躍もよく目にしますね。

あとは沙織が出演したバラエティ番組の司会をしていた女性、ねこすて橋にいる眼鏡をかけた猫も演じていた小林涼子。

私が見たテレビドラマの中でベスト3に入る大好きな作品『魔王』(2008年TBS系列で放送)のヒロイン役だった人です。

目が大きくて印象に残る顔立ちをしているので、見てすぐに思い出しました。

演出が舞台みたいだということも先に書きましたが、役者陣も舞台によくあるように沙織側・人間と、良男側・猫の擬人化で一人二役をしている人が多いです。

スーパーの店長はねこすて橋の老猫だったり、そういうところに着目して見るのもおもしろいですよ。

『猫は抱くもの』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『猫は抱くもの』を紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 猫が好きな人におすすめ!だけど、猫はあんまり出てきません
  • なんかちょっと疲れちゃったなぁ…っていうとき、癒やし効果絶大だと思います
  • 舞台を鑑賞しているような気分になる世界観を楽しんでください

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