『なつぞら』第12週69話は、「わんぱく牛若丸」の主要キャラクターの1人、常盤御前のデザイン案を巡り、なつ(広瀬すず)と麻子(貫地谷しほり)が激突。
麻子が描いた常盤御前を見たなつは、驚くべき一言を言います。
そして良い声の元警官・下山克己(川島明/麒麟)は、なつの様子がおかしいことに気づき、ちょっとした過去話を語り出しました。
目次
『なつぞら』第12週69話あらすじ
アニメーション映画のキャラクター検討会が行われ、常盤御前のキャラクターを巡りなつ(広瀬すず)と麻子(貫地谷しほり)の意見がぶつかる。
そこで仲(井浦新)と井戸原(小手伸也)は、ある提案を行う。
午後になり、仲から呼び出されたなつと麻子は、1枚のキャラクターの絵を見せられる。
その絵を見たなつは、自らの足りない部分を感じ、麻子に謝る。
一方麻子は、謝るよりも仕事で責任を取るしかないとなつに伝え…。
出典:NHK
【ネタバレ】『なつぞら』第12週69話の感想
なつ(広瀬すず)と麻子(貫地谷しほり)の常盤御前
常盤御前と言えば、牛若丸の母親であり、強くて優しい女性です。
しかし、平清盛から牛若丸を助けるため、あえて自分の子供を突き放した女性でもあります。
なつが描いた常盤御前は、富士子(松嶋菜々子)をモデルとしたとても優しい母親。
麻子が描いた常盤御前は、冷たく見えるキリッとした女性でした。
強いて言うなら……妖怪人間ベムのベラみたいな感じです。
なつの案では優しすぎて、牛若丸を冷たく突き放すことができないと思われ、麻子の方が有力かと思われました。
「なっちゃんはどう思う?」
仲(井浦新)に問いかけられたなつは答えました。
「こんな怖い母親、子供たちに見せたくありません」
顔が怖いからといって子供がその通りに受け取るわけはないと麻子は言いますが、確かに麻子の描いた常盤御前は、強い女性の印象がはっきり出ているせいで、母親味がありません。
そしておそらく、麻子の描いた常盤御前を見たなつは、こんな母親とずっと一緒にいたら、千遥のように逃げ出したくなると思ったのでしょう。
なつと麻子、結局どちらの常盤御前になるかは決まらず、他のキャラクターを決めることとなります。
というか、どちらも中途半端だな、という結論だけ出して終わりました。
今のなつは、千遥のために描くという意思が強いので、そう思うのも仕方がないのです。
確かにアニメーションの一番のターゲットは子供です。
なつの意見も一理あります。
しかし、優しい母というだけでは、牛若丸の物語とリンクしていかないところがあるのです。
キャラクターひとりを描くだけでも、こんなに大変なんですね。
あくまで知り合いの話だそうです
前に進もうと決めたなつですが、千遥のことに対して、本当に前向きになれたわけではありません。
思い詰めていることが、服装からわかった下山(川島明/麒麟)は、なつに声をかけました。
ああ、あのストーカーのように毎日描いていた服装チェックの絵が、ここで役に立つなんて思いませんでしたよ。
「警察に話してみなさい」
元警官の下山。
なつは思い切って聞いてみました。
「お店に来てる常連のお客さんの話で、預かっていた子供が家出をしてしまって行方不明になってしまって…。その子が警察に保護されたりしてどこかで見つかる奇跡ってあるんでしょうか?」
現代でもよくやりますね。
自分の話を、知り合いの話とか、友達の話として話す人。大抵バレているんですよね。
なつの質問に対し、下山が出した答えは「奇跡っていうのは、人間が当たり前のことをする勇気みたいなもん。それをできるかどうかだと思う」
戦後間もない頃は、警官も混乱をしていたと言います。
下山がまだ新米で派出所に勤務していた時、ひとりの女の子が逃げ込んできました。
お金のために売られるかもしれないという危機感にさらされた少女は、警察に頼ってきたのです。
話だけでは違法ではないと言われますが、下山の上司は、法律を勉強し、辞職を覚悟して少女を守りました。
結局その警官は辞職し、少女は警官の知り合いの旅館で働いているそうです。
確かに、何かやりたいと思っていても、動き出さない人に「奇跡」なんて起こりません。そのきっかけもないのですから。
しかし、警官の先輩も、少女も、なつが言う女の子(=千遥)も、現状を変えるために動き出したことに変わりはありません。
だから、奇跡が全く起こらないなんてないのでしょう。
そして、自分の自慢話にならないように、先輩の話や誰かの話に置き換えることもありますよね。
その辞めた先輩警官って、下山さんですよね?
ふたり揃って、それは自分じゃないと否定します。
そう、これはあくまでも知り合いの話をしていただけなんですって!
口に出したことは仕事で認めさせるしかない
休憩が終わってデスクに戻ると、仲はなつと麻子を呼びました。
ふたりの絵とイメージを汲み取り、仲なりの常盤御前を描いたので、ふたりに見せようとしたのです。
見事に子供への愛情も感じられ、強さも感じられます。
なつは母親像を強く描いたがゆえに、常盤御前のことを考えられておらず、麻子は常盤御前の設定に忠実に従い、理屈で描き上げすぎた結果、それぞれの絵ができたのです。
それが合わさることで、ふたりも納得のいく常盤御前のデザインが完成したのでした。
しかし、なつが言った言葉も大事なことなのです。
子供が見て本物だと思うものを描かなくてはいけない、それがアニメーターの仕事なのです。
見えない誰かがどう思うかを想像しないといけないのはとっても難しいこと。
だから、そう簡単にできる仕事ではないということなのです。
なつは麻子にひどいことを言ったと、ずっと思っていたのでしょう。
改めて麻子に謝罪をしますが、麻子は「謝らなくていい」と言います。
仕事で返してくれないと意味がない。
麻子、プロですねー。
そうなんです。口で謝るならいくらでもできます。
行動で認められないと意味がありません。
なつ、これはもっともっと頑張らないとですよ!
『なつぞら』第12週69話まとめ
「わんぱく牛若丸」の常盤御前を描くシーンで、広瀬すずさんのオフショット。カメラが回っていないところでもずっと筆を動かしていた広瀬さん。アニメーション編では色塗りやトレース、動画の書き方など、いろいろなことを練習したそうです。#朝ドラ #なつぞら #広瀬すず pic.twitter.com/Cl5kGutnYI
— 【公式】連続テレビ小説「なつぞら」 (@asadora_nhk) 2019年6月19日
仲が仕上げた常盤御前の姿は、なつも麻子も納得のいくものでした。
強く生きようとする女性であり、母親でもある。
その両方を備えていないと、これを見た子供はアニメーションの中に入り込めない可能性は十分あるのです。
仲や麻子、なつたちアニメーターは、これを追求し続けていくことを忘れてはいけません。
そして仲は言ったのです。
「子供の力を侮ってはいけない」
それは子供の想像力という意味なのでしょうが、なつにとってその言葉は、千遥の生きる力、奇跡だと感じたように見えました。
ようやくなつにも、光が見えてきたみたいです。
次回はどんなストーリーが刻まれていくのか、非常に楽しみです。
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