映画『夏目アラタの結婚』あらすじ・ネタバレ感想!サイコパス殺人犯と獄中結婚した男の末路は?常識外れの愛を描いた異色のラブストーリー

©乃木坂太郎/小学館 ©2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

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「俺と、結婚しよーぜ!!」

児童相談所職員・夏目アラタが、連続殺人犯・品川真珠との面会中に咄嗟に口にした言葉です。
これは単なる出まかせの言葉ではなく、2人は正式に夫婦となります。

映画『夏目アラタの結婚』の魅力は、ズバリ「複雑な人間ドラマ」です。
真珠の予測不能な心理と行動、次第に心を動かされていく夏目の葛藤。
何を信じていいのかわからない展開に、きっと最後まで目を離せない緊張感を味わうことになるでしょう。

本作の見どころ
・虐待サバイバーの品川真珠が持つ魅力と恐ろしさ
・IQの急上昇や母親の奇妙な行動など、散りばめられた伏線の数々
・善人と悪人の境界線が曖昧になっていく、予測不可能な展開

それでは『夏目アラタの結婚』をネタバレありでレビューします。

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『夏目アラタの結婚』作品情報

公開:2024年9月6日
監督:堤 幸彦
脚本:徳永友一
出演:柳楽優弥、黒島結菜
上映時間:120分

原作:乃木坂太郎「夏目アラタの結婚」(小学館ビッグコミックスペリオール刊)

原作漫画は2020年に「次にくるマンガ大賞2020」、2025年に第70回「小学館漫画賞」を受賞しています。

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【ネタバレ】『夏目アラタの結婚』あらすじ


偽りの面会

児童相談所職員の夏目アラタ(柳楽優弥)は、連続殺人事件の被害者遺児・山下卓斗から奇妙な依頼を受けます。
それは「父を殺した犯人に代わりに会ってほしい」というもの。

犯人の品川真珠(黒島結菜)は、まだ発見されていない被害者(卓斗の父)の首の隠し場所を知る唯一の人物です。
卓斗は首の場所を聞き出すため、夏目の名前を使って真珠と文通していましたが、真珠に直接面会を求められます。
そこで、夏目は卓斗の代わりに真珠との面会に応じることにしました。

©乃木坂太郎/小学館 ©2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

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結婚は狂言か、本気か

逮捕時は「太ったピエロ」と呼ばれていた真珠でしたが、面会室に現れたのは華奢で少女のような姿でした。
想像とは違う姿に、エリートぶろうとしていた夏目は驚きで地が出てしまいました。

夏目が文通相手ではないことを見破った真珠は、面会を打ち切ろうとします。
焦った夏目は思わず「俺と、結婚しよーぜ!!」と口走ってしまうのです。

しかも、真珠は結婚の申し出を承諾。

真珠の無実を信じる弁護士・宮前(中川大志)の協力もあり、2人は婚姻届を提出し、正式に夫婦となります。

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真珠の新たな主張と謎の深まり

一審で黙秘を貫いていた真珠ですが、控訴審では主張を一転させます。

「真犯人は自分につきまとっていたストーカー。そのストーカー・三島は自分の父親なのでかばうために黙っていた」
「誰も殺していない」

宮前は真珠の無実を信じていますが、夏目は疑いを持ち続けています。
また、真珠が宮前や夏目の同僚・桃山(丸山礼)、さらには卓斗まで巧みに懐柔していることにも気づいていました。
しおらしさだったり軽薄だったりする真珠の態度に、夏目は本心をつかめずに苦悩します。

しかし、虐待された過去を持つ真珠が婚姻届を受け取ったときに見せた子どものような笑顔が頭から離れません。

明かされる真珠の過去と新たな証言

真珠は、8歳の時はIQ70だったのに、20歳の逮捕時にはIQ108に上昇していました。宮前は結婚前に夏目へ「この間に大きな事件があったとしか考えられない」と伝えていたのです。
また、真珠を保護していた施設の話により、母親が真珠を歯医者にも行かせず太らせ続けていたことを知ります。
そこには何か重大な理由があるはずでした。

しかし、第2回公判期日ではストーカーしていた男が実の父親でないことが明かされます。
そして真珠は主張を一転させたのです。

「みんなボクが殺したの」
「ボク、死刑でいいです」

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真珠の正体


夏目は真珠の要求で、母親の故郷である新潟の山へ向かいます。
そこで、切り株の根元に埋められたトランクを発見。
中には、赤ん坊の遺体とへその緒が入っていました。

夏目はこう推理します。
真珠の母親・環が三島との間に女の子を産み「真珠」と名付けましたが、何らかの理由で死亡。
パニックになった環は、すぐに妊娠し、人知れず第2子(今の真珠)を出産した。
環が真珠を太らせたり歯医者に行かせなかったりしたのは、年齢よりも発達が遅れていることを誤魔化すため。

DNA鑑定の結果、真珠は環の第2子であり、犯行時20歳未満であった可能性が浮上します。
結果、裁判は破棄されました。

やり直し裁判と事件の真相

真珠は拘置所への移送を拒否し、夏目のバイクに乗って逃走します。
逃走中、真珠は卓斗の父親の首を、可愛がってくれていたおばあさんの墓の中に隠したと告白しました。
その墓で、夏目は首と携帯電話を発見し、携帯に残された写真から真珠の犯行時の年齢を確定させたのです。

やり直し裁判で、真珠は全てを話しました。
三島を殺したのも、他の被害者を殺したのも自分であること。
死にたがっていた母を死なせてあげられなかった後悔から、「楽になりたい」と言った被害者を「救ってあげた」こと。

しかし、真珠は気づいていました。

「生きてさえいれば、自分を本当の意味で救ってくれる誰かに巡り会えたかもしれない」
と。

夏目の決断と永遠の愛

夏目は、真珠が「1人の人間として愛してくれる人を待っていた」ことに気づきます。
真珠に懲役13年の判決が下った後、夏目は児童相談所を辞めました。

女子刑務所に面会に行った夏目は、真珠の前で離婚届を破り捨て
「もう一度始めようぜ、俺たちの新婚生活。明日式を挙げるから。今度は俺がお前を待っている」
とプロポーズし直します。

翌朝、袴姿で神社に立つ夏目。
女子刑務所の庭にいる真珠は、手にしたハンカチを嗅ぎ、夏目と白無垢姿で神前式を挙げる幻想を見るのでした。

エンドロールでは、若い夏目が幼い真珠にハンカチを渡す場面が描かれ、2人の過去の接点が明らかになりました。

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【ネタバレ】『夏目アラタの結婚』感想

品川真珠の魅力

真珠は場面によって全く違う表情を見せます。
しおらしい被害者のような態度かと思えば、軽薄で計算高そうな表情を見せる瞬間もある。
宮前や桃山、さらに被害者遺族の卓斗まで、心を寄せられていました。

しぃぷ

夏目が真珠に惹かれつつも本心がつかめず苦悩する一方で、私もどれが本当の真珠なのかわからず恐怖を感じていました。

しかし、真相が明らかになっていくうちに、
「もしかしたら全部が本心だったのかも」
「孤独で苦しんできたからこそ、歪んで、自分をどうしていいのかわからなくなったのかな」
と思うようになりました。
この気持ちさえ、真珠の手の上で転がされているだけだとしたら怖いですね。

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散りばめられた伏線の数々

IQの急上昇、母親の奇妙な行動、歯医者に行かせなかった理由。
それらは全て「第2の真珠」として生かされてきたのが原因でした。

また、「真珠が匂いを嗅ぐ」シーンがよく出てきます。特に最後のシーンでは、真珠はハンカチを大切そうに握り締め、匂いを嗅いでいました。
そしてエンドロールで明らかになったのは、そのハンカチは夏目にもらったものであること。
真珠はハンカチについた「夏目の匂い」を覚えていました。
つまり、真珠が結婚を受け入れたのは気まぐれではなく、相手がハンカチの持ち主・夏目であったからということです。

しぃぷ

スタート時から、真珠の「手入れされていない歯」が気になって仕方ありませんでした。
また、回想シーンでは確かに「落ちこぼれ」っぽいのに、現在の様子からはむしろ計算高さが見え隠れしていました。
なかなか真相が明らかにならないので、一体何の伏線なんだと、最後まで目が離せませんでした。

真珠が匂いを嗅ぐシーンが何度も出てきて、ずっと不思議に思っていました。
「鼻がいいのかな?伏線にしてはなかなか回収されないな」
そう感じていたら、最後の最後に回収されました。
真珠は幼い頃にもらったハンカチの匂いを覚えていて、同じ匂いが夏目からすることを知ります。
だからこそ、夏目を信頼し、運命の相手だと思い、婚姻届を受け取ったときに無邪気な笑顔を浮かべたのでしょう。

©乃木坂太郎/小学館 ©2024 映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

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何が善で悪なのか

真珠は殺人犯ではありますが、単純な悪意ではなく、楽になりたい被害者たちを「救済」として殺害しています。
母を死なせてあげられなかった後悔から生まれた、歪んだ優しさから生じた犯行でした。
しかし、真珠は最後に気づいてしまいます。
生きてさえいれば、自分を救ってくれる人に巡り会えたかもしれないことに。

しぃぷ

真珠にとっては「単なる殺害」ではなく「救済」だったことに、何とも言えない気持ちになりました。
同時に、周りの大人がどうにか真珠を救ってやれなかったのかと感じました。

また、「生きてさえすれば」の言葉に、被害者遺族はどう思ったのだろうかと、やるせない気持ちにもなりました。

今しんどくても、いつか自分を救ってくれる人が現れるかもしれない。
そう思いながら過ごすのは、果たして「救い」なのでしょうか。
色々と考えさせられます。

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『夏目アラタの結婚』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

要点まとめ
・ 虐待と孤独から生まれた真珠の魅力と恐ろしさ
・いたるところに散りばめられた伏線の数々
・ 生きてさえすれば「救いの手」が現れるかもしれない
以上、ここまで『夏目アラタの結婚』をレビューしてきました。

しぃぷ

この映画は単なるミステリーやサスペンスではなく、虐待や孤独、歪んだ愛をテーマにした作品でした。
真珠の刑期が終わる13年後、果たして本当の新婚生活は始められるのでしょうか。

複雑な人間関係と予測できない展開が好きな方、一風変わったラブストーリーが好きな方にオススメの作品です。

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