2020年、日本では第2次世界大戦終戦から75年を迎えます。
戦争と平和について改めて考えさせられるこの時期に、日本の当時の同盟国ドイツでヒトラーを支持し、ナチスドイツの勢力拡大を図った側近と親衛隊、そして当時の国民たちについて描く作品をご紹介します。
目次
ナチスドイツ、ヒトラーを支えた側近たちを描く映画5選
『ゲッベルスと私』
第2次世界大戦中、ナチスの宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスの秘書として3年間勤務していた女性、ブルンヒルデ・ポムゼル氏が当時を語った貴重なドキュメンタリー映画。
世界初公開となった戦時中のアーカイヴ映像やポムゼル氏自身の告白で、彼女から見たゲッベルスやその妻、そして子供たちの意外な素顔、ヒトラーを支持した世論の様子などを克明に語ります。
ヨーゼフ・ゲッベルスとは?
1897年、貧しい家に生まれ、幼少期の小児麻痺の後遺症で歩行がやや不自由な体になりながらも、勉学に励み大学に進学。
しかし、その後に勤めた銀行を不況のせいでリストラされ、その頃から反資本主義の思想から反ユダヤ主義の考えを持つようになります。
そして、第1次世界大戦後から政治活動を開始し、国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)で中心人物となっていきます。
その中で、アドルフ・ヒトラーと親交を深め、ナチ党宣伝全国指導者として党の勢力拡大に貢献しました。
党政権下では国民啓蒙・宣伝大臣を務めましたが、第2次世界大戦の敗戦直前にあたる1945年5月1日、ヒトラーの後を追って家族と共に自殺しました。
『ゲッベルスと私』の監督クリスティアン・クレーネスとフロリアン・ヴァイゲンザマーは半年かけてポムゼル氏を説得し、彼女の16日間にわたる約30時間にも及ぶ独白インタビューから丁寧に本作をまとめ上げました。
小松崎 ともえ
そして、同時にその一人一人の市民たちの‘我関せず’や‘気付かないふり’の姿勢が政権の暴走を後押ししていったと考えられます。
2017年に106歳でこの世を去ったポムゼル氏は撮影時103歳でしたが、はっきりした記憶力で当時を振り返りました。
小松崎 ともえ
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『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』
数百万人のユダヤ人を強制収容所に送ったホロコーストの責任者でナチスの重要戦犯、アドルフ・アイヒマン。
彼を潜伏先で拘束するまでの極秘作戦の裏側に迫る実録サスペンス映画です。
本作ではイスラエルの諜報機関モサドによる作戦を成功に導いた孤高の検事総長フリッツ・バウアーの活躍に焦点が当てられています。
アドルフ・アイヒマンとは?
1906年、ドイツのゾーリンゲンで生まれ、知人からの薦めで1932年にナチス親衛隊に入隊。
1935年にユダヤ人担当課に配属され、ユダヤ人問題の最終解決(ホロコースト)の中心的役割を担うようになります。
第2次世界大戦後はアルゼンチンで逃亡生活を送りますが、1960年にイスラエル諜報部(モサド)により拘束され、翌年エルサレムにて裁判にかけられます。
哲学者ハンナ・アーレントも傍聴し、世界中に中継されたアイヒマンの裁判は多くの人々に衝撃を与え、1962年6月1日、アイヒマンは有罪判決により絞首刑に処されました。
小松崎 ともえ
アイヒマン潜伏に関する情報を手に入れたバウアーは、ドイツ国内に巣食うナチス残党からの執拗な妨害や圧力に晒され続けながらも、イスラエルの諜報機関に協力を求め奔走します。
小松崎 ともえ
本作を観るとバウアー検事長の四面楚歌なヒリヒリした状況での駆け引きを垣間見ることができます。
小松崎 ともえ
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『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』
1961年、ナチス重要戦犯アイヒマン裁判のTV放送に命を懸けた熱き男たちの実話を描くヒューマンドラマ。
本作は先にご紹介した『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』の直後にあたる‘アイヒマン裁判’のTV放送の裏側に迫ります。
ナチス残党の脅威にひるまない勇気あるTVプロデューサー、ミルトン・フルックマン役をマーティン・フリーマンが演じます。
小松崎 ともえ
この裁判がTV放送されたことにより、生き残ったユダヤ人たちが証言した強制収容所内での狂気の実態がようやく世界中の人々に知られることとなりました。
裁判の放送が行われる前までは、ホロコーストの話があまりにも非人道的過ぎて信じてもらえなかった時期もあったそうです。
この真実を世界に知らせるために尽力したTVマンたちの信念が、アウシュヴィッツ等での虐殺を世界に知らしめたのです。
そして、劇中では実際の強制収容所内での記録映像もいくつか使われています。
痩せこけて亡くなった収容者たちが荷物のように重機で運ばれるような辛い映像が出てきます。
小松崎 ともえ
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『顔のないヒトラーたち』
1963年、ホロコーストに関わった者たちをドイツ人自らの手で裁いた‘フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判’の初公判までの経緯が描かれた実話を基にしたヒューマンドラマ。
この裁判では戦後、責任を問われることなく市民生活を過ごしていた元ナチス親衛隊員の犯罪が次々と明らかになり、ドイツ国民の歴史認識を大きく変えた重要なものでした。
1958年の西ドイツでは戦後十数年が経過し、人々はナチスの悪行についての記憶を忘れつつありました。
そんな中、主人公の若き検事ヨハン・ラドマンはアウシュヴィッツにいた元ナチス親衛隊員が違法に教師をしているという苦情を耳にします。
他の検察官たちが相手にしない中で唯一ヨハンだけが興味を示し、調査を始めようとしますが―。
本作は先に紹介した『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』と同時代の実話を基にした作品なので、フリッツ・バウアー検事総長が主人公ヨハンの協力者として登場します。
他にも捜査対象者の中に、世界的に悪名高いヨーゼフ・メンゲレ医師も出てきたりと、分かりやすく見入ってしまう展開が続きます。
そして、捜査を続けるうちに強制収容所内で収容者を虐待していた多数の元ナチス親衛隊員が一般社会に溶け込み、平然と暮らしている事実に恐ろしさを感じます。
小松崎 ともえ
そして、ドイツでは現在もナチスの残虐行為に対しての個人の刑事責任を訴追する動きは続いています。
2020年7月にもシュツットホフ強制収容所で看守をしていた93歳の男性(当時17歳)が裁判所で有罪判決を受けています。
元ナチス関係者の高齢化が進み、訴追は年々難しくなっています。
小松崎 ともえ
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『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』
第2次世界大戦中、ヒトラー、ヒムラーに次ぐ高官だったラインハルト・ハイドリヒが暗殺されたエンスラポイド作戦の裏側と、その結果引き起こされた悲劇を描く史実に基づくサスペンス映画。
7人の実行部隊の中心人物をキリアン・マーフィーとジェイミー・ドーナンが演じます。
ラインハルト・ハイドリヒとは?
1904年に生まれ、音楽家として活躍していた父親の教育により、幼少期は音楽を学びヴァイオリンの演奏が得意でした。
しかし、成長するにつれ、反ユダヤ主義的思想に影響されていきます。
1931年に国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)に入り、親衛隊に配属されました。
そして、諜報活動での仕事ぶりが評価され徐々に頭角を現していきます。
そしてユダヤ人問題の最終的解決計画の実質的な推進者であり、この実務を自身が人材発掘してきたアドルフ・アイヒマンに任せました。
戦時中には、現在のチェコにあたる地域の統治にあたっていましたが、大英帝国政府およびチェコスロバキア亡命政府が送り込んだチェコ軍人部隊により1942年に暗殺されました。
本作では、ナチスに蹂躙される祖国チェコの未来と平和のために、命を懸けて暗殺計画を遂行した軍人たちの壮絶な最期や、ハイドリヒが殺されたことによるナチスのチェコ国民への凄惨な報復の詳細を知ることができます。
特にこの暗殺作戦に協力した、チェコ国内のレジスタンスたちは追手が迫る前に服毒自殺をしたり、家族が凄惨な拷問にかけられました。
そして、協力した村の住人たちも虐殺され、結果として1万人以上のチェコ人が殺害されました。
小松崎 ともえ
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ナチスドイツ、ヒトラーを支えた側近たちを描く映画5選まとめ
- 『ゲッベルスと私』
- 『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』
- 『アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち』
- 『顔のないヒトラーたち』
- 『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』
いかがでしたか。
ヒトラーの力だけではナチスドイツは勢力拡大しなかったはずです。
ヒトラーに同調した人物たちの背景も知ることによって、あのような時代を繰り返さないよう考えていくことが大事なのではないでしょうか。
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