同い年で同じ名前のナナと奈々、運命的な出会いからルームシェアしてそれぞれ成長していく中で2人は次第にすれ違っていきます。
2人の未来に待っているのはハッピーエンドか、悲劇の結末か。
- 監督は『NANA』の大谷健太郎が続投。なので世界観は統一されています
- 小松奈々、本城蓮、岡崎真一のキャストが変更となったこともあり賛否両論ある作品
- 1作目と違うキャストを受け入れられるかで楽しめるかどうか変わってくる作品かな、と思います
それでは『NANA2』をネタバレありでレビューします。
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目次
『NANA2』作品情報
作品名 | NANA2 |
公開日 | 2006年12月9日 |
上映時間 | 130分 |
監督 | 大谷健太郎 |
脚本 | 大谷健太郎 |
原作 | 矢沢あい |
出演者 | 中島美嘉 市川由衣 玉山鉄二 姜暢雄 丸山智己 本郷奏多 成宮寛貴 伊藤由奈 水谷百輔 能世あんな 高山猛久 ベンガル 村松利史 |
音楽 | 上田禎 |
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【ネタバレ】『NANA2』あらすじ
七夕の願い
お互い状況する日にたまたま新幹線の隣に乗り合わせた、同い年で下の名前も同じ小松奈々(市川由衣)と大崎ナナ(中島美嘉)の東京でのルームシェア生活は順風満帆に過ぎていました。
七夕の日、707号室で奈々とブラストのメンバーは短冊に願い事を書いていました。
夜更けまで騒いだ翌日、奈々はバイト先の出版社に遅刻してしまいます。
そして編集長から告げられるクビ。
茫然として街をフラフラしていると、ブラストのライバルであり奈々の憧れのバンドTRAP NEST・通称トラネスの一之瀬巧ことタクミ(玉山鉄二)と偶然再会します。
そして奈々はナナいわく“女グセが悪い”タクミの車でホテルのスイートルームに連れて行かれて高級なルームサービスをご馳走になってそのまま一晩を過ごします。
朝になって奈々が目覚めると、そこにはタクミの姿はなくアドレスと携帯番号が残されていました。
トラネスのツアー最終日、ナナの恋人である本城蓮ことレン(姜暢雄)がタクミと一緒に707号室に来ると期待していた奈々は少なく見積もっても5人分はあるご馳走を手作りします。
一緒に過ごした夜にタクミが「ツアーが終わったら真っ先に奈々ちゃんのところに行って手料理が食べたい」と言っていたことに少しだけ期待していたのです。
その頃トラネスのライブの打ち上げが行われていて、会場には寺島伸夫ことノブ(成宮寛貴)と岡崎真一ことシン(本郷奏多)も呼ばれていました。
そこでレンが奈々にあててトラネスからサインをプレゼントしようとメンバーに書いてもらっている時。
タクミは「この間ヤッたし今さらいらないんじゃない?」と言って場は凍りつきます。
奈々にほのかな恋心を抱いていたノブはブチ切れ、シンもタクミに水をぶっかける始末。
タクミは打ち上げの三次会を放棄してその足で707号室へと向かいました。
ノブの恋心
物音で奈々に何かあったのかと目を覚ましたナナは、玄関先でタクミと奈々が抱き締めあうのを目撃してしまいました。
明け方近い時間、ナナはファミレスに逃げ込んで高木泰士ことヤス(丸山智己)を呼び出しました。
かつてトラネスにレンを取られたナナは、奈々の味方だから応援してあげたいけど相手がトラネスのタクミだから応援できないと苦しみを吐き出すと、ヤスは「いつまでもくよくよしている場合じゃない。今日から禁煙しろ。俺もやめる」と言いました。
出版社のバイトをクビになった奈々はスーパーでバイトを始めました。
そしてその頃ブラストが業界最大手のレコード会社・ガイアレコードから声をかけてもらい、次のライブ次第でデビューが決まるという局面にきていました。
奈々はナナにタクミとのことを打ち明けました。
するとナナは気丈に振る舞いながらトラネスがオフの2週間だけレンのところで一緒に過ごそうと思っていると話します。
翌朝、その言葉通りに家を出て行ったナナ。
2週間のあいだ奈々はバイトを詰め込んで、ブラストのバンド練習には顔を出すという日々を送りました。
タクミからの連絡は一度もありませんでした。
そんなある日、練習のあと奈々を送っていたノブは「いつかタクミを絶対超えてやる」と遠回しに奈々に告白しました。
ブラストに声をかけたガイアレコードの人が偵察に来るライブの日、終わってすぐにプロデューサーの川野高文(田辺誠一)はメンバーと顔を合わせます。
カリスマ性があり演奏も申し分なく、こんなに興奮したのは久しぶりだと言う川野に誘われてブラストは食事に行くことになります。
その頃、奈々は707号室でご馳走を作って待っていましたが、ナナからの電話には「いま帰ってきたばかりだから何も用意していない」と嘘をつきました。
ナナは川野の三件目の誘いを断って、奈々の顔を見に707号室に帰ります。
そして冷蔵庫の中にご馳走とケーキがあるのを見つけました。
翌日、ナナは707号室にブラストのメンバーを呼んで奈々の作った料理を食べました。
その途中、シンの「飲み物がない」という白々しい発言で奈々とノブが買い出しに向かいます。
ノブは今度こそストレートに奈々に告白しました。
でも力尽くで奪おうとしたら奈々はタクミとノブに挟まれて苦しい思いをするだけだから、タクミと別れて気持ちにケリがついたら自分のところに来てほしいと伝えます。
翌朝、奈々は部屋に貼っていたトラネスのポスターをはがしてタクミに「話がある」とメールを送ります。
いつもはどれだけ待っても返事すらこないのにすぐに電話で折り返しがありました。
奈々は会って話がしたいと切り出しましたが、タクミは仕事の予定が詰まっていて当分都合がつけられないと言います。
そして何やら深刻そうな奈々に「妊娠でもしたの?」と聞きました。
奈々が否定すると心底安心したような声をあげるタクミに、奈々は勢いで別れを告げました。
日が暮れてから奈々はノブのバイト先に行って「ケリがついた」と言います。
昨日の今日で、とノブは動揺しましたが2人は付き合うことになりました。
奈々の転機
その頃ナナは週の半分くらいをレンのところで過ごしていましたが、一緒に過ごせるのはほんの束の間の時間だけでした。
それでもナナは気まずくなるような話になることもないから別にかまわないと思っていました。
奈々はスーパーのバイト中、実演販売の指導を受けている時に気分が悪くなり妊娠が発覚します。
出産する場合は2週間後にまた検診に来てほしい、中絶する場合は1日も早くした方が体の負担は少ないと言われて奈々は茫然とします。
その晩、1人で過ごしていた奈々のところにタクミが現れました。
感情が高ぶった奈々が吐き気をもよおしてトイレに駆け込むと、すぐに妊娠を勘付かれます。
奈々は「タクミが責任を感じることじゃない。私がバカなだけだし彼氏の子かもしれない」と言うと、タクミは奈々の部屋に入って、奈々の携帯から勝手にノブに電話をかけました。
タクミは奈々に子どもができたことと、どっちの子だか知らないけど奈々が産みたいと言うなら自分は認知して面倒をみようと思っていることを伝えます。
ノブと一緒に買い出しに出ていたナナは、奈々からのはずの電話に突然何も言わなくなったノブを案じて携帯を奪います。
そして奈々の妊娠を知らされます。
ナナは奈々の妊娠を喜んであげられないことに悩み、またファミレスにヤスを呼び出しました。
ノブは707号室に駆け込みましたが、泣いているだけの奈々を責めることしかできずに落胆して帰ります。
707号室で
翌日、タクミは奈々にどうしたいのか気持ちを確認します。
タクミの子として産んで育てたいと言う奈々の言葉を受けて、タクミは結婚しようかと提案します。
そこに帰って来たナナは何も言わずに自分の部屋に向かおうとしますが、タクミから奈々と結婚することを伝えられました。
その後のブラストの練習の帰り道、ナナはノブに2人が結婚することを伝えました。
ノブは当事者なのに何だか蚊帳の外にいる自分がそんなに頼りないのかと落胆していました。
ナナは泣きたいノブより泣いて、人通りのある商店街にいるということも気にせず抱きついてノブを慰めました。
そのまま酔いつぶれたナナが707号室に帰ると、もう奈々の姿はありませんでした。
奈々の置手紙を読んでナナは奈々の新しいマンションに行きますがエントランスで「そんな住人はいない」と突っぱねられてしまいます。
そんな中、朝のワイドショーでレンとナナの関係が取り上げられてしまいます。
パパラッチに追われているから人目を忍んでいたというのにすっぱ抜かれ、過去の関係から洗われて「ナナの売名行為」とまで言われる始末。
ガイアレコードの川野の手配で、ブラストのメンバーは騒ぎが落ち着くまでホテルに隠れているように指示されます。
この騒ぎに便乗して売り出そうというレコード会社の意向でメジャーデビューも決まり、それに伴うゲリラライブも決まり、慌ただしくなるブラスト周辺。
大勢の人と関わり、苦手な人間関係も苦じゃなくなって精神的に少し前進したナナは奈々を新宿でのゲリラライブに誘います。
超満員のステーションスクエアで始まったライブで演奏されたのは「一色」。
ナナは信号の向こうで聞いている奈々の姿を見つけました。
奈々が妊娠14週目に差し掛かった頃。
台風で流れた花火大会が延期されて行われる日、奈々はシンにメールを送ります。
携帯を持っていないナナに伝わるようにシンからレンへとメールが転送され、奈々の言葉はナナに届きます。
そして奈々が部屋を出て以来の707号室で、2人は再会するのでした。
『NANA2』感想
原作の際現を重視した2作目
言うまでもなく『NANA』の続編、『NANA2』です。
続編ものでも単体で楽しめる作品も数多くあると思うんですけど、『NANA』に関しては順を追って見ないと人間関係がわからないので両方見るのをおすすめします。
スケジュールの都合上ということで主要キャストが何人か代わっているので、そこが気にならなければ楽しめると思います。
vito
ちなみに1作目は映画独自のものを目指し、この2作目は原作を再現することに重きを置いて制作されたらしいです。
vito
特に衣装が原作に忠実。
でも言われてみれば確かに2作目の方が細かいところまで描かれている気がします。
特にナナの壊れちゃいそうな危うい雰囲気とか、普通の友達とは少し違う感情で奈々に固執している節があるところとか。
vito
確か原作ではナナが誰かに言うセリフかモノローグかで「奈々がタクミじゃなくてノブとくっついたら自分の側に置いておける」みたいな言葉があるんですよ。
ナナが奈々に抱くそれは恋愛感情ともちょっと違うかもしれないけど、確実に“普通の友達”には抱かない感情なんですよね。
vito
ストーリー全体としては、奈々の恋愛のドロドロ加減が重いです。
でもちょっとわからないでもないんだよな…忙しいのはわかっているけどメールの返事もないタクミと付き合ってたら自分は彼女じゃなくて都合のいい女なんじゃないかと思っちゃうだろうし。
vito
でも結局妊娠がきっかけでタクミの本心に触れて、奈々はタクミについていくことを決めるんですよ。
超人気バンドの人が、人気商売の人が結婚に踏み切るって相当だしなぁ…いや何を私は奈々目線で考えているんだろうか。
もし『NANA2』を二度見るだけの時間の余裕があったら、立て続けじゃなくても時間をおいてでもそういう機会があったら、ナナと奈々それぞれに感情移入して見てみるのも楽しいと思います。
『NANA2』の好きな場面
タクミから奈々と結婚することを伝えられて、奈々からは一言も何も言われなくて、やるせないナナがリビングで煙草を吸おうとする場面。
寸前で奈々の部屋に目が行って吸うのをやめるんです。
たぶんお腹の子によくないから。
ここ原作でも凄く印象に残っていて好きなところなんですけど、ちくしょう!みたいな、くそ!みたいな感情でナナがテーブルを叩いて、ルームシェアを始めた頃にお揃いで買ったイチゴ柄のグラスが落ちて割れちゃうんです。
それでナナはもう一つも落として割って壊すっていう。
vito
イチゴ柄のグラス絡みだとナナが割っちゃったのと同じのを買って奈々の新しいマンションに行くんだけど会えない場面も好きです。
雨が降っていて、マンションの前でナナが立ち尽くすのが切なくて。
あとはマスコミに追われるナナがカメラに向かって「ハチ公見てなよ、あんたの望みを叶えてやる」っていうところ。
vito
『NANA2』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ
以上、ここまで『NANA2』をレビューしてきました。
- 1作目の『NANA』よりも原作に重きを置いて制作されたものなので、キャスト変更さえ気にならなければ原作好きにはたまらない仕上がりです
- 奈々とナナの複雑に心が揺れ動く描写は、切ない展開が好きな人におすすめ!
- GLAYのTAKUROプロデュースの主題歌「一色」の劇中だけで聞けるパンクアレンジも必聴です!
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