東京に住む彼氏のために上京する小松奈々と、ミュージシャンとして成功するために上京する大崎ナナ、同い年で同じ名前の2人が新幹線の中で出会って繰り広げられていく運命的な物語。
- 監督は『黒執事』『4月の君、スピカ』の大谷健太郎
- 『大奥』『ママレード・ボーイ』の浅野妙子が初の映画脚本を手がけた作品
- 2005年公開、観客動員数は日本だけでも300万人を超えた超ヒット映画
それでは『NANA』をネタバレありでレビューします。
目次
映画『NANA』作品情報
作品名 | NANA |
公開日 | 2005年9月3日 |
上映時間 | 114分 |
監督 | 大谷健太郎 |
脚本 | 浅野妙子 大谷健太郎 |
原作 | 矢沢あい |
出演者 | 中島美嘉 宮崎あおい 成宮寛貴 松山ケンイチ 平岡祐太 紗栄子 伊藤由奈 水谷百輔 能世あんな 高山猛久 丸山智己 玉山鉄二 松田龍平 |
音楽 | 上田禎 |
【ネタバレ】映画『NANA』あらすじ
奈々とナナ
小松奈々(宮崎あおい)は一年前に上京した恋人・遠藤章司(平岡祐太)の待つ東京へと向かう新幹線の中で空席を探していました。
電車が急停車して揺れて転んだ時、ある席に置いてあったギターケースの下敷きになります。
ギターの持ち主はミュージシャンとして成功するために上京しようとしている大崎ナナ(中島美嘉)。
2人が他愛ない話をしている中でお互いにハタチであることを知り、同い年の女が同じ時間に同じ電車で上京したこと、さらに同じ名前であることで縁を持ちます。
奈々は自立するために上京するという名目で東京へ来たのに物件も仕事も探さず浮かれ気分で章司の部屋を掃除したり料理を作ったりして過ごし、章司に軽く咎められます。
翌日、危機感を覚えた奈々は不動産屋に足を運んで一人暮らしのための物件を探します。
見つけたのはエレベーターなしのマンションの707号室。
景色もよくおしゃれな建物なのに階段で7階まで上がらなければならないために家賃は安めの7万円。
奈々がここに決めようかと思ったところで、まさかのニアミスが発覚します。
他の誰かも内見に来ていたのです。
その相手はまさかのナナでした。
リビングを挟んで2つ部屋がありプライバシーは守れそうな間取りであること、折半すれば家賃が3万5千円になることから2人はルームシェアすることに決めます。
部屋も決まり生活雑貨の買い出しに出かけた時、ナナは“なつっこくて従順だけどすっげー世話がかかる”奈々のことを、犬みたいだと言いました。
そして犬っぽい呼び名として奈々のことをハチと呼ぶようになります。
買い出しの途中、奈々が欲しいCDがあるからと言ってCDショップに寄りました。
奈々が手に取ったのは大ファンのバンド・TRAP NEST、通称トラネスの新曲でした。
大々的に売り出されているトラネスのポスターを見て、ナナは立ちすくみます。
そこに写っているギタリストは地元で一緒にバンドをやっていたメンバーであり、かつての恋人・本城蓮(松田龍平)でした。
ナナの歌声
奈々がやっと見つけたバイト先“サブリナ”で働いている頃、章司はファミレスでバイトをしていました。
終電間際に終わって、乗り逃がさないようにと走っていると少し先に新人の川村幸子(紗栄子)を見つけます。
お互いに美大生、しかも同じ大学の同じ科に通っていると知って2人は仲良くなりました。
その頃707号室では、近所でナナが廃材を貰ってきてテーブルを作っていました。
大工になったらいいのにと言う奈々に、指でもケガしたらどうするんだと返すナナ。
ちょうど話の流れでナナが組んでいたバンド・BLACK STONESの話になった時にインターホンが鳴りました。
ナナがドアを開けると、そこには家出してきたという元メンバーの寺島伸夫ことノブ(成宮寛貴)がいました。
ナナは旅館の跡取り息子として未来が約束されているのに飛び出してきたノブを叱ります。
実はノブは新曲を作って高木泰士ことヤス(丸山智己)に聞かせ、ヤスはそれを聞いて“ナナが歌ったら向かうところ敵なしだ”と思ったからノブを差し向けたのでした。
まだ歌の入っていないデモ状態の新曲を聞いている途中、ノブがギターを弾き出します。
ナナは電話で話していたヤスに「忘れられない夜にしてやる」と言って携帯をマイク代わりにデタラメな英語の歌詞をのせて歌いました。
新生BLACK STONES始動
奈々は章司にかっこいい同居人であるナナを紹介したいのですが、バイトばかりであんまり時間をとってくれません。
それどころか奈々は一緒に映画を観たり買い物したりしたいのに、章司は毎日会ってご飯を食べたりしてやってるのにという態度。
その日も行きつけのハンバーガーショップでご飯を食べていると、銀髪の家出少年・岡崎真一(松山ケンイチ)が表の“バンドメンバー募集”の貼り紙を見たと言って店員に声をかけました。
貼り紙はバンドを始動させようとナナたちが用意したものだったので、真一はナナたちと対面することになります。
ナナが真一に尊敬するベーシストは誰かと声をかけると、真一はレンの名前を挙げました。
レンはトラネスではギタリストですが、ナナたちと組んでいたブラストではベーシストでした。
それが縁で真一はブラストに加入することになります。
奈々がバイト先で店長から「ちょっと話がある」と言われた日、章司は幸子とバイト帰りの終電を逃しました。
2人が良い雰囲気になったところで章司の携帯が鳴ります。
奈々がクビになったと泣きついて「今日会いたい、今すぐ会いたい」と言ったのに章司は「今日はもう遅いから明日の朝会いに行く」と言って電話を切りました。
雨に濡れて暗い顔で707号室に帰った奈々に、ナナは横浜のライブイベントに出してもらえることになったと喜びを報告してキスしました。
小松奈々ハタチ、恋の終わり
それから奈々は青山にある出版社の雑用のバイトが決まりました。
これからは節約して結婚資金を貯めるんだと息巻く奈々でしたが、その頃の章司は幸子を呼び捨てするほど親密になっていました。
奈々との共通の友人から幸子とは早めに縁を切った方が良いと言われた章司でしたが、幸子から「友達でいいから縁を切るなんて言わないで」と泣かれて思わず家に連れて帰ってしまいました。
翌日、奈々はナナを連れて章司のバイト先にご飯を食べにやってきます。
動揺してグラスを落として指を切った幸子に、何も知らない奈々はハンカチで血を拭ってあげました。
幸子は章司に“優しくて可愛い彼女”を傷つけないうちに関係をやめようと言います。
食事を終えた2人が店から出たところで、奈々が最近あんまり章司と話せていないからバイトが終わるまで待っていようと言い出します。
冷え込む夜に店の外で奈々とナナが寄り添って待っていると、バイトを終えた章司と幸子が走って行くのが見えました。
章司は幸子を抱き締めて、幸子がそれを振りほどいたところで「俺、彼女とは別れるから」と言いました。
一部始終を見ていたナナはキレて章司に掴みかかりますが、幸子が「好きになったのは私の方だから殴るなら私を殴って」と止めに入ります。
ただ見ているだけの奈々に、ナナは自分の彼氏なんだから自分で取り戻せと怒鳴りましたが、奈々は「もういらない。顔も見たくない」と言うだけでした。
帰ってからベッドにもぐってずっと泣いている奈々を抱き締めながら、ナナはレンから「俺、東京行くから」と唐突に言われた夜のことを思い出していました。
ナナとレン
ブラストが横浜のライブイベントに出る日、奈々は親友の早乙女淳子(能世あんな)と一緒に会場にいました。
まばらだったフロアの客たちは演奏が始まった途端に前に詰めてきて、あっという間にぎゅうぎゅうになって大歓声に包まれます。
後日、奈々に実家から書留が届きました。
地元で開催されるトラネスのライブのチケットが2枚、それも最前列が当たったと奈々ははしゃぎましたが、ナナには断られてしまいます。
それなら、と奈々がブラストのメンバーを誘いに行った時、ノブからナナとレンが恋人同士だったことや別れに至るまでのことを打ち明けられました。
家に帰った奈々は、ナナに「やっぱ一緒に行こう?トラネスのライブ」と誘います。
渋るかと思ったナナの答えは、いいよと案外すんなりOKでした。
そしてトラネスのライブ当日、奈々は「タバコを吸ってから行く」と言ったナナより先に1人で席につきました。
ナナはタバコを吸いながら初めてレンのライブを見た日のことを思い出していました。
それはクリスマスライブで、レンは客席の先頭で赤いワンピースを着て棒立ちで自分を睨むようにしていたナナが印象的だったと言っていました。
そのころのナナは父親を亡くしたばかりで、ちょうど入ったバイト代で自分にプレゼントを買いました。
それが赤いフリフリのワンピースでした。
客電が落ちて曲が始まったところでやっと席に来たナナは、レンと結ばれた日や歌うことを決めた日のことやレンを送り出した日のことを回想しながら、初めて見た日と同じようにレンを見つめていました。
707号室
ライブ後、レンはメンバーでリーダーの一之瀬巧(玉山鉄二)から2曲目で間違えたところを指摘されていました。
滅多にミスをしないレンが間違えたのは、客席にナナを見つけて動揺したからでした。
アンコールが響く客席で奈々は、レンは気付いてないのかなぁとこぼします。
ナナはたくさんの照明に照らされたら客席なんてよく見えないと言いました。
結局アンコールの2曲でもレンは2人の方を見ませんでした。
2人が奈々の実家についた頃、ヤスからナナに電話がきます。
レンから連絡が行くかもしれないというものでしたが、ナナは二度と話もしたくないと怒りました。
その態度にヤスは、それなら自分でそう言ってやれと返します。
そしてナナはレンの泊まっているホテルへと向かい、付き合っている時に自分がプレゼントしたネックレスの鍵を返して「これで全部終わりだ」と言って逃げるように部屋を出ていきます。
レンは追うように部屋を出て、やり直す気なんてないと強がるナナに「会いたかった」と言い抱き締めました。
翌朝、奈々が目覚めると隣にはいつの間にか帰ってきていたナナがいました。
いつも通りの日常に戻って奈々は出版社の仕事は自分に向いていないと思い始めます。
自分にふさわしい仕事なんてないんじゃないかとさえ考えてナナを羨ましく思いながら7階までの階段を上っていきます。
707号室ではブラストのメンバーと、レンがマージャンをしていました。
ふとナナが足音に気付いて「ハチかな」と言うと、レンが誰かに「行ってらっしゃい」と声をかけます。
奈々が玄関を開けようとした時に「おかえり、奈々ちゃん」とドアを開けたのは巧でした。
大ファンであるトラネスの巧が出迎えるという夢のような出来事を用意してくれたのはナナだと気付いて奈々はうれし泣きしました。
映画『NANA』感想
まだ『NANA』の世界を知らない人へ。
vito
2000年に連載が始まり、2009年に作者の急病のため休載するまで単行本が21巻出ています。
まだ完結してないんですよね…だから何年追いかけてるんだろうって話なんですけど。
再開する時は来るんだろうか。
ちなみに今作は1~5巻までを収めた内容になっています。
vito
自分に似ているキャラがいると感情移入しやすいじゃないですか。
vito
そんなこともあったりして『NANA』を読んだり見たりすると当時のことを思い出します。
割と最近、マンガ原作の実写モノの話をしていた時に『NANA』の話になって、そもそも原作から知らないっていう人がいたのでジェネレーションギャップを感じたりもしたんですけど。
じゃあもしかしたら他にもたくさん、この世界を知らない人がいるのかもしれないなぁと思って記事を書くに至りました。
vito
実写モノのなかでは割と忠実な方です、キャスト的にもストーリー的にも。
キャスト的な面で強いて言うなら奈々はもうちょっと頭が弱そうな女の子のイメージなんだよなぁっていうくらいで。
宮崎あおいだったのはたぶん、奈々の“顔が可愛い”を前面に表現したかったからなんだろうなぁ。
vito
2020年7月現在までで出ている21巻まである原作のうちの1~5巻までの内容ということで、なんかおしゃれな世界観で音楽も絡んでいて登場人物の人間関係とか心理描写が結構がっつりある作品が好きな人は試しに見てみて欲しいな、と思います。
そしてハマって欲しいです。
vito
ついでに言うと原作を読めば、この映画のところどころに奈々視点の過去形のモノローグが挟まる理由もわかります。
『NANA』の好きな場面
これはもう『NANA』の原作でも映画でも凄く好きなところなんですけど、707号室で初めてナナが歌う場面。
vito
おもむろにヒョウ柄のファージャケットを羽織ってテーブルに立って歌いだすナナが本当にカッコイイ。
vito
あとは基本的にナナ絡みの場面が好きなんですけど、レンとの回想で一番好きなのは別れの場面。
東京に向かう電車に乗ったレンにキスして、発車の合図でナナは電車から降りてそのまま泣き崩れるんですけど。
めっちゃ切ない。
その時のレンの表情もやばい。
レンに何かを言おうとするノブの表情も切ないしやばい。
vito
奈々の地元でトラネスのライブがあって、ナナがレンのホテルまで行くあたりも凄く好きです。
やっと会えたのに意地でけじめをつけようとするナナと、そんなのどうでもいいみたいにナナを引き留めるレンっていうのがもう本当、切なくてたまんないです。
2人の表情に注目して欲しいところです。
vito
幸子を演じた紗栄子の声の可愛さも相まってクオリティ高い場面になってると思います。
映画『NANA』あらすじ・ネタバレ感想まとめ
以上、ここまで『NANA』をレビューしてきました。
- そもそも『NANA』を知らない人に、この世界観を知って欲しい!
- 劇中でナナが歌うhydeプロデュースの「GLAMOROUS SKY」も必聴です
- ちょっと歪んだ恋愛モノが好きな人には絶対おすすめ
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