今回の記事では、『ムーラン』のディズ二ープラスでの配信限定についてざっくばらんに述べていきたいと思います。
このディズニーの決定については色々と思うところがあり、一度まとめて記事にしようと考えていました。
『ムーラン』がディズ二ープラスでの配信限定になるというニュースはあっという間に世界中を駆け巡り、映画業界に大きな衝撃が走りました。
ちなみにもし『ムーラン』の配信が成功したら、この先公開予定のディズ二ー作品も劇場公開ではなくディズニープラスでの配信限定になってしまうのでないかと危惧する人が多いようでしたが、自分は全くそうは思っていません。
どうして全くそう思っていないのかも含めて、3つの観点から述べていきたいと思います。
目次
『ムーラン』実写映画版の配信限定による映画界への影響
『ムーラン』が配信限定に至った経緯
『ムーラン』は、世界的にとても期待されていた作品でした。
最近のディズ二ー作品の大きな潮流として、ディズ二ー・ルネサンスと呼ばれる80年代後半から90年代にかけての時期のアニメーション作品を実写化するという流れがあります。
このディズ二ー・ルネサンスは「第2次黄金期」とも呼ばれ、この時期に制作されたアニメーション作品が世界中でヒットしたことにより、ディズ二ーは低迷から復活することができました。
そして2017年に公開された『美女と野獣』、2019年に公開された『アラジン』や『ライオン・キング』などのディズ二ー・ルネサンスの実写化作品は成功を収め、この先も『リトル・マーメイド』などの実写化が次々と予定されています。
イッシー
しかし『ムーラン』は2020年のディズ二ーの目玉とされていた作品にもかかわらず新型コロナウィルスの影響により数度の延期を繰り返していました。
そして劇場再開の目処が立たず、ついに劇場公開を取りやめ、ディズ二ープラスでの配信限定ということになりました。
ただし、ディズニープラスのサービスがない国ではもちろんディズニープラスで配信できないので、そういった国では劇場公開されます。
イッシー
早めに補填するために、いつ営業が再開されるか分からない映画館での公開より、ネット配信で収益を出そうという判断は至極真っ当だと思います。
イッシー
それは何かというと、マーベルの『ブラック・ウィドウ』の公開日とあまりに近くならないようにするためです。
『ムーラン』は配信限定になる前に決まっていた全米の公開日は8月で、日本は9月でした。
もしさらに延期してしまうと11月6日公開の『ブラック・ウィドウ』と公開日が近くなりすぎてしまいます。
作品同士の公開日の間隔が近すぎると、スクリーンの奪い合いになってしまって、どちらの作品も興収が減ってしまうということになりかねません。
それなら11月6日公開の『ブラック・ウィドウ』を延期すればいいだけの話に思えますが、『ブラックウィドウ』はそう簡単に延期できません。
イッシー
『ブラック・ウィドウ』を延期してしまうと、『ブラック・ウィドウ』の後に控えている作品群の公開時期も変更しなければなりません。
その作品群の数も多いので、ディズ二ーはどうにもできずにっちもさっちもいかないという状況にならない限り、延期したくないはずです。
こういった理由もあるか分かりませんが、ディズ二ーは『ムーラン』をディズニープラスが展開されている国では配信限定にするという思い切った決断をしました。
配信限定に対する自分の意見
イッシー
主な理由としては2点あります。
まず1点目は、日本と米国の状況は違うのに合わせる必要を感じないということ。
2点目は、ディズ二ープラスという限られた人しか見ることができないサービスでの配信だということ。
それぞれについて詳しく述べておきたいと思います。
1点目の日本と米国の状況は違うのに合わせる必要を感じないのは、日本とアメリカを比べた時に映画館がどれくらい営業しているかの違いを考慮していないということです。
イッシー
米国での状況は9月よりもひどく、大都市どころかほとんどの州の映画館がまだ営業再開できていませんでした。
一方の日本はどうだったのかというと、全国の映画館が営業していて大ヒットしている作品もありました。
映画館の座席数が半分になっているにも関わらず、50億円を超える興行収入をあげた『今日から俺は‼劇場版』などの作品もあります。
イッシー
ディズニープラスの会員数を考えれば、映画館で公開するのと同じくらいの収益が望めます。
しかし、日本の状況を見れば、映画館で公開しても充分な収益を見込める可能性があるのは明らかです。
イッシー
アメリカと日本で同じ方針にしなければならないような裏事情があるのかは分からないですが、日本で配信限定にするメリットはほとんどなく、せいぜいディズ二ープラスに加入している人が得するくらいです。
ワーナーが世界各国の映画館の再開状況に合わせて、『TENET テネット』の公開日をずらすという柔軟な対応をしたように、ディズ二ーも劇場公開する国とディズニープラスで配信限定にする国を分けた方が良かったのではないかと思います。
そういった柔軟な対応をするのも今の未曾有の状況下においてとても重要なことなのではないでしょうか。
2点目のディズ二ープラスという限られた人しか見ることができないサービスでの配信ということについては、ディズニープラスに加入しておらず、劇場で見ようと思っていた人たちをばっさり見捨てたことになります。
イッシー
ディズニープラスのサービスに加入済みの人は、加入すればいいだけの話ではないかと思われるかもしれませんが、そう簡単な話ではありません。
ディズニープラスは、システム上加入したくてもできないという人が一定数いるのも事実です。
そういったディズニープラスに加入したくてもできないディズ二ーファンは『ムーラン』が劇場公開されるのを心の底から楽しみにしていたはずです。
ディズ二ーはそういった期待を裏切ったわけですが、このことでディズ二ー作品の人気が下がることになりかねないと思います。
イッシー
今後の映画界やディズニー作品について
『ムーラン』をディズ二ープラスでの配信限定にするとディズ二ーが発表した時、映画業界では『ムーラン』が今後の映画界を左右する作品になるのではないかと語られていました。
『ムーラン』ほどの大作が配信になれば、その行方に注目が集まらないわけがありません。
イッシー
なぜなら配信限定で成功している作品がすでにあるため、ディズ二ーが配信する『ムーラン』の成功はある程度推測することができるからです。
そして、2020年9月『ムーラン』が配信限定でどれくらいの収益を上げたのかが明かされました。
アメリカ国内での話ですが、『ムーラン』は配信限定で2億ドル以上を稼いでいたということです。
イッシー
これだけで、新作が配信にどんどんなるということはあまり考えられず、それよりも『TENET テネット』の興収の方が映画界に直接影響を与えることは間違いないでしょう。
それよりも『ムーラン』がこれからのディズ二ー作品にどう影響を与えるかという方が気になる方は多いと思います。
イッシー
『ムーラン』がディズ二ープラスでの配信限定ということに決まった時、ディズ二ーは『ムーラン』での措置が今回限りのものであることを正式に発表していました。
わざわざそれを正式に発表するということは、『ムーラン』は本当に特例的な措置で他の作品も同じようにしていくわけではないということを全世界に伝えたかったのだと思います。
さらに『ムーラン』が配信される少し前からアメリカでは『ザ・ニュー・ミュータンツ』というディズ二ー傘下の20世紀スタジオの品の劇場公開が始まっていました。
その『ザ・ニュー・ミュータンツ』の興行収入は低い数字でした。
しかし、ディズ二ーはその数字に対して、あまり消極的には考えていないということも発表しています。
こういったことを発表したということは、今後の作品も基本的には劇場公開するつもりなのだということを暗に意味していると考えられます。
もし、これからの新作をどんどん配信限定にしていくつもりなのであれば、もっと消極的なコメントをするはずです。
それを裏付けるかのように『ムーラン』がアメリカ国内で2億ドル以上の収益を挙げたことについて、ディズ二ーはこの結果に満足しているとしていると発表しあものの、これから自社作品をディズ二ープラスでの配信限定にするのかどうかについてははっきり言っていません。
イッシー
『ムーラン』実写映画版の配信限定による映画界への影響まとめ
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恐れのない勇気はない
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今回の記事では、『ムーラン』について色々なことを述べてきました。
『ムーラン』が配信限定になったことについて様々な意見があると思いますが、劇場で何としても見たかった自分は本当にショックでした。
本作を劇場公開で見たかった一番の理由は、なんといっても映像美にあります。
『ムーラン』はスタジオではなくロケで撮影しているため、映画館の綺麗な画質で見たら本当に感動するだろうなと思っていました。
今の映画館には音響・画質にこだっているスクリーンが多くありますが、その中にドルビーシネマというスクリーンがあります。
このドルビーシネマの一番の特徴はなんといっても色の鮮明さです。
イッシー
もしこのドルビーシネマで上映すれば、ロケで撮影したという映像美を最大限活かせるのに本当にディズ二ーは勿体ないことをしたなと思わざるを得ません。
これからのディズ二ー作品の新作がどんどん配信限定になるということはないと言いましたが、実際どうなるかは分かりません。
アメリカでは2020年11月公開予定のピクサースタジオの新作『ソウルフル・ワールド』がディズニープラスでの配信になるかもという話もあるので、劇場公開もしながら、配信限定になる作品もあるという可能性も考えられます。
多少はディズニープラスでの配信限定になってしまうのは仕方ないのかもしれないですが、できる限り新作は劇場公開する方向でディズ二ーには考えて欲しいなと心の底から思います。