映画『宮本から君へ』あらすじ・ネタバレ感想!いびつで衝撃的で最高に熱い人間ドラマ!

映画『宮本から君へ』あらすじ・ネタバレ感想。歪で衝撃的で最高に熱い人間ドラマ!

出典:公式Facebook

新井英樹の伝説の同名漫画を2018年にドラマ化した真利子哲也が描くその後の宮本の物語!

いびつでめちゃくちゃで、でもとにかく熱くて全力な映画『宮本から君へ』を紹介します。

ポイント
  • ドラマも原作も見てなくてもいきなり心を掴まれること間違いなし
  • 池松壮亮、蒼井優の圧巻の演技!その他のキャストも素晴らしい
  • 身勝手に突っ走る宮本にいつの間にか共感

それではさっそく映画『宮本から君へ』をネタバレありでレビューしたいと思います。

映画『宮本から君へ』の作品情報

映画『宮本から君へ』作品情報

出典:amazon.jp

作品名 宮本から君へ
公開日 2019年9月27日
上映時間 129分
監督 真利子哲也
脚本 真利子哲也
港岳彦
原作 新井英樹
出演者 池松壮亮
蒼井優
井浦新
一ノ瀬ワタル
柄本時生
星田英利
古舘寛治
ピエール瀧
佐藤二朗
松山ケンイチ
音楽 池永正二
主題歌 宮本浩次
横山健

映画『宮本から君へ』原作漫画・ドラマ解説

伝説の漫画『宮本から君へ』

『宮本から君へ』という漫画をあなたはご存知でしょうか?

シライシ

私は名前だけ聞いたことがあり、とにかくスゴイ漫画だということは知っていました。

そして昨年の秋にあの『ディストラクション・ベイビーズ』の真利子哲也監督の手でドラマ化されて、やけに話題になっていたのも覚えています。

長い漫画ならドラマ化の方が向いているよねと思っていたのですが、その後映画化されると聞いていよいよ気になってしまい、今年9月になってから後追いでドラマを全話鑑賞、その後漫画も全12巻を読破しました。

原作者は新井英樹という方で昨年公開された映画『愛しのアイリーン』の原作を描いた人でもあります。


こちらも原作、映画両方見ましたがすさまじい内容で、そして傑作でした。

とにかくこの方の漫画は絵の”圧”と迫力が尋常じゃない。

読んでみなければわかりませんが、とにかく全ページ全コマ命を削って書いたかのような絵と、生々しいセリフ、容赦ない展開に満ちています。

シライシ

そして主人公に優しくない(笑)徹底的に追い込みます。その人の人間性を全部否定したくなるところまで主人公を堕とします。しかも自業自得で。

読んでいてつらいのですが、そんな話の最後にふとした救済や、ささやかな成長を描くのでガツンと来るんですよね。

『宮本から君へ』もそんな漫画で、しかも主人公の宮本浩は漫画家になる前に会社員をしていた新井先生本人の投影なので、一番グサグサくる内容になっています。

【ネタバレあり】衝撃のドラマ『宮本から君へ』

何度も映像化の話が立ち上がった中で、原作連載開始から20数年を経て初の実写化となったのが『ディストラクション・ベイビーズ』の真理子哲也監督によるドラマ『宮本から君へ』です。


ドラマシリーズ12話で描かれたエピソードを要約しますね。

宮本浩(池松壮亮)は平凡な社会人2年目のサラリーマン。

何かビッグなことをしたいと漠然と思いながら日々を無為に過ごしてしまい、そんな自分にいら立って、でも何もできない。

自分が特別な人間ではないことにも気づいてしまっていますが、折り合いがつけられない。

そんな彼は毎日の通勤で見かける美女、甲田美沙子(華村あすか)にある日意を決して「僕の名前は宮本浩です!」と叫んで自己紹介します。

ただ単に彼女の事が好きというだけでなく、美沙子に声をかけられれば何か自分が変われるかもしれない、そんな思いでやった行為は実を結びます。

仲よくなった後、宮本は美沙子に告白し晴れて恋人同士になるのです。

華やかに暮らしているように見える美沙子も失恋を経ていろいろな悩みを持っており、宮本と共有して二人の絆は深まります。

しかし、それもつかの間、美沙子はある日音信不通になり、しばらくしてから「元カレからよりを戻そうと言われました。ごめんなさい」とメールだけが来ます。

その後、宮本は美沙子の会社に直接押し掛けるも、そこで2人で泣きながらきっぱりと別れました。

それから宮本は雑念を吹っ切るようにマルキタ文具の営業として仕事に没頭します。

もうすぐ辞めて独立する優秀な営業マンの先輩・神保(松山ケンイチ)から案件を引き継いで回る宮本。

そんな中、彼は大手文具メーカー、コクヨンに既に発注が決まっている案件を諦めきれず、上司の小田課長(星田英利)、神保、同期の田島(柄本時生)、取引先などなど周りを巻き込んでなんとかコンペに持ち込むも、結局受注はコクヨンへ。

周りの協力を得るため、強引にお願いをして時には土下座までして、結局負けてしまった宮本。

しかし、彼は自分で納得するだけやり切ったので、満足した‥つもりでしたが、結局何者にもなれていない自分を後ろめたく感じます。

そんな矢先、美沙子が再び宮本の前に現れます。

バーで近況報告をしながら飲んでいた2人ですが、美沙子は同じ彼氏からまたふられてしまったと再び宮本にすがろうとしました。

そこで宮本はブチ切れ、美沙子を罵りに罵ります

美沙子は宮本の豹変に戸惑い、怒って彼に愛想を尽かしたと言い放ちます。

宮本は売り言葉に買い言葉でバーを飛び出すと走り去りました。

それは美沙子に自分をきっぱり諦めさせようという宮本の不器用なりの配慮でした。

夜の街に消えていく宮本。

なんとドラマはここでスパッと終わってしまうのです。

シライシ

不器用なサラリーマン宮本が成長して何かを成し遂げて終わると思っていたのでほんとにびっくりしました笑。

宙ぶらりんのまま終わったドラマ。

しかも宮本は最後の最後で凶暴な一面を見せます。

そして映画版ではドラマの中盤に一回出てきただけの神保の友人の年上女性・中野靖子(蒼井優)と付き合っていきなり結婚するのです。

シライシ

かなり唐突です。原作を読んでいないと戸惑うと思います。

映画『宮本から君へ』は宮本がどんな人間かもそれまでのいきさつも周りの人間関係も一切分からないまま始まります。

こんな不親切設計で大丈夫かと見ていて思ったのですが、映画『宮本から君へ』から見た人は私の周りやSNSにも結構いまして、それでも皆さん絶賛されている方が多かったです。

シライシ

なのでこの映画『宮本から君へ』から見て大丈夫と敢えて言っておきます。この記事を読んだ人はドラマのザックリした情報も仕入れましたしね(笑)。

気になったら原作も傑作なので読んでください!

ドラマも最高です!

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【ネタバレあり】映画『宮本から君へ』あらすじと感想


いきなりの衝撃展開

『宮本から君へ』は冒頭いきなり顔中心にボコボコになった宮本が公園をふらついているショットから始まります。

そして彼は家の鏡で血まみれの自分の顔と服を黙って見つめます。

出勤後、宮本は上司の小田課長と一緒に取引先に謝りに向かいます。

彼の前歯は抜けていました。

回想が始まります。

シライシ

一体なぜ宮本はズタボロになっているのか。

宮本は靖子と出会いたての時に彼女の家で飯を食べていました。

そこに靖子の元彼で女たらしの裕二(井浦新)がやってきて、ヨリを戻そうと詰め寄ります。

宮本は意を決して裕二に立ち向かうと「この女は俺が守る!」と宣言。

2人の交際が始まります。

そこからまた時間が飛んだある日、宮本は取引先の真淵部長(ピエール瀧)と大野部長(佐藤二朗)との飲みに誘われました。

真淵と大野は大学ラグビーの同期で完全なる体育会系。

宮本はその飲みに無理やり靖子も連れてこさせられていました。

真淵たちの大学ラグビー仲間の集まりに混ざって、いろいろ無茶ぶりさせられながらも楽しく飲んでいると、そこに馬淵の息子の拓馬(一ノ瀬ワタル)がやってきます。

彼は山のような体格の大学ラグビーのエリートでした。

馬淵部長は酔いつぶれた宮本と靖子を家まで送るよう息子に言います。

拓馬は見た目は怖いが好青年で、ラグビーをやめて外交官を目指す秀才でもありました。

宮本と靖子は彼と意気投合します。

しかし、2人の同棲している家について宮本が熟睡し出すと、拓馬は豹変しました。

彼は靖子をいきなり押さえつけ、強姦したのです。

事が終わると靖子は拓馬を鬼の形相で睨み追い出します。

その後、靖子は眠っていて助けてもくれなかった宮本に怒りを隠せず、目が覚めた彼に事情を話して突き放しました。

宮本はいてもたってもいられず、とにかく拓馬に復讐しなければと飛び出します。

ドラマの時はモノローグでウジウジしたことを言っていたキャラだったのですが、だいぶ直情的になっています。

シライシ

この変化のブリッジになっているのがさっき書いたドラマ最終話の宮本のブチギレですね(笑)

やる気満々の宮本ですが、拓馬との体格差は歴然。

馬淵たちがラグビーをしていたグラウンドに殴り込みをかけますが、拓馬にボコボコにされ前歯まで折られてしまいます。

二度と近づくなと言われた宮本ですが、それでも黙ってはいられません。

真淵部長は宮本の様子を見て、拓馬が何をしたのか気になり、靖子に会いに行くも門前払いされ、拓馬本人に問い詰めようとした結果、取っ組み合いになり怪我を負わされてしまいます。

宮本はその後、止めようとしてくれた同僚の田島とのやり取り間に拓馬を倒すとある糸口を掴みます。

しかし、そこに裕二がやってきて靖子が妊娠しており、父親が宮本か自分かわからないと告げます。

宮本はそれを聞いて躊躇なく靖子のもとへ駆けつけ、結婚しようと叫びます。

しかし、靖子は冷めた表情で断りました。

彼女は宮本のしていることは独りよがりだと言いますが、宮本はそんなことは百も承知でした。

彼は自分自身のため、靖子と生まれてくる子供にふさわしい男になるため、拓馬に再度戦いを挑みます…。

負けられない戦いを通しての成長

『宮本から君へ』は序盤に戦いの結果を映し、宮本と靖子が実家に結婚のあいさつに行く場面もあるので、宮本が拓馬に勝つのはあらかじめわかります。

シライシ

しかし、過去に時制が戻り拓馬が出てくるとどう見ても勝てそうにありません。

元格闘家の一ノ瀬ワタルは拓馬役に並々ならぬ思いで臨み、体重を30キロ近く増量し特殊な機材で身長まで伸ばしたそうです。

とんでもない威圧感です。

拓馬が靖子をレイプする場面は蒼井優の演技力もすさまじいので、裸などは映らなくても目を逸らしたくなるような生々しさがありました。

そんな拓馬に戦いを挑む宮本。

拓馬や彼の父・真淵部長は宮本の障壁として、そして暴力で物事を解決しようとしてしまう宮本の負の側面の象徴として描かれています。

シライシ

特にピエール滝演じる真淵部長は息子が何をしたのか気になって宮本に詮索を入れるなど、子供を心配しつつもその実は自分が安心したいだけの宮本が目指してはいけない父親像のように見えました。

子供ができた宮本はそんな彼らに何が何でも勝とうと狂気に近い意地を見せます。

ドラマから見ていると宮本はかなり成長したなと思います。

それまでは彼はむしろ結果はだめでも自分が納得すること、流儀を通すことができていれば満足している節がある人間でした。

シライシ

それが映画では勝つために○○蹴りまでしてしまうんですからびっくりです(笑)

この戦いが宮本が真に一人前になるための通過儀礼のように見えてきます。

詳しくは映画を見てほしいですが、クライマックスに用意されている宮本VS拓馬の”非常階段での戦い”は原作のすさまじい熱量を再現した邦画史に残るアクションシーンになっており必見です。

そしてセリフでも出てきますが、宮本が命を懸けて戦う理由はあくまでも自分のため。

自分が納得するために、自分が自信を持つためです。

靖子が止めても関係ありません。

靖子のことは愛していますが、その感情も結局は宮本のエゴです。

その愛という名のエゴを保つために、弱い自分を愛する人にふさわしい人間に成長させるために彼は戦うのです。

シライシ

万人の共感は得られないでしょうが、相手のためなんてきれいごとを言わず、エゴむき出しで戦う宮本の姿に一定数の人間が刺さりまくってしまっているようです。もちろん私も含めて(笑)

この割り切れなさ、身勝手さ、歪さがなければ『宮本から君へ』ではありません。

最高の幕引きとエンディング曲「Do you remember?」

どうやって勝つのかは伏せますが、拓馬に勝ったからと言って宮本と靖子の人生がそのまま上手くいくわけではありません。

彼らはスタート地点に立ったまで。

そして、その後どうなるのかはわからないまま唐突に映画は終わってしまいます。

宮本はその後、立派な父親になれた…かも?というようなバランスです。

シライシ

しかし、ラストシーン、とある出来事が起きて宮本が靖子を心配し泣きながらオロオロする場面では、池松壮亮の名演も相まって本当に泣かされました。

ちなみに原作では同じラストで靖子が宮本に「あんた最高だね」と声をかけるのですが、映画版ではそれは有りません。

それゆえに余計宙ぶらりんな印象を受けます。

しかし、そのままエンドロールに突入した時に流れる主題歌「Do you remember?」がすべてを持っていくのです!


フルのバージョンは映画でお聞きください。

シライシ

突然終わってしまってもこの曲があるだけでさわやかな印象になるし、きっと宮本たちは大丈夫だと思えてしまいます。

曲を作ったエレファントカシマシの宮本浩次とクレイジーケンバンドの横山健は本当に天才だと思います。

説明不足なところもあり、衝撃的な展開だらけで、終わり方もいびつですが、キャストの圧巻の演技と熱量高い演出、そしてこのエンドロールに心を掴まれること間違いなし。

『宮本から君へ』は日本映画史に残る傑作です。

映画『宮本から君へ』 まとめ

以上、ここまで映画『宮本から君へ』 についてネタバレありで紹介させていただきました。

要点まとめ
  • 原作とドラマを見ていなくても大丈夫!
  • 己のために戦う宮本に戸惑いつつ共感
  • 終わり方に戸惑いつつも最高のエンドロールに涙