「週刊少年ジャンプ」にて人気連載中の権平ひつじ先生によるスパイバトルコメディ『夜桜さんちの大作戦』。
家族を事故で亡くし、心を閉ざすようになった高校生・朝野太陽を主人公に、幼馴染みの夜桜六美とその家族――スパイ一家の夜桜家を取り巻く「大作戦」が描かれます。
護送車が爆発し、黒百合を取り逃がしてしまった太陽。
想定内だという翠から、黒百合の正体が5、6年前に亡くなったとされる伝説のスパイ・黒顔であることを明かされます。
太陽たちが逃亡した黒顔を追う中、どういうわけか拉致した副総理を連れた黒顔が、ネット中継で人々の前に現れました。
復讐を果たすため、副総理へ銃口を向ける黒顔。
そこで語られる過去の因縁と目的……。
駆け付けた太陽は中継を遮断し、黒顔と対峙します。
早速、第9話「黒百合の花言葉」をレビューしていきます。
目次
アニメ『夜桜さんちの大作戦』前回第8話あらすじと振り返り
”ヒナギク”の室長・不動りんからの指示で、怪しい政治家・黒百合の潜入捜査へ向かった太陽。
黒百合はスパイを使うことによって、さまざまな黒い手段で現在の地位へ登り詰めてきた悪党でした。
太陽は潜入中に、彼らが小型爆弾を起動させようとしているシチュエーションを暴き、夜桜家やヒナギクと協力して黒百合を拘束します。
残るはヒナギク本部で待つりんのもとへ連行するだけでしたが、護送中の車内にて、黒百合は太陽の家族が亡くなった事故が故意的なものだと匂わせ……。
【ネタバレあり】アニメ『夜桜さんちの大作戦』第9話あらすじ・感想
拉致事件発生
黒百合の護送中、翠から「緊急事態」だと連絡が入ります。
副総理が誘拐され、どこからかネット中継されているというのです。
黒百合の目的は、最初から副総理の拉致でした。
黒百合を尋問して副総理の居場所を聞き出せと言われた矢先、黒百合は拉致場所へ向かうと言い出し、護送車が爆発しました。
運転手を救出した太陽ですが、黒百合には逃げられてしまいます。
その時、翠から再度連絡が入り、実は黒百合が単なるカルト政治家ではなく、かつて「黒顔」と呼ばれた世界的スパイだと明かされました。
5、6年前に死んだと思われていた黒顔は、今こうして政治界で暗躍しており、何が目的なのか調査するべく警備を緩めて泳がせていたといいます。
太陽は囮のようなものでもあり、あえて情報を伝えられていませんでした。
つまり、ヒナギクにとって黒顔の逃走は想定内の出来事で、黒顔に付けられたGPSは現在も作動しているとのこと。
太陽は、翠とともに黒顔を追うこととなります。
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黒顔の復讐
副総理の拉致場所に現れた黒百合。
対談と称されたその現場は、相変わらずネット中継されています。
黒百合が正体を明かすと、副総理は驚きの表情で黒顔を見ました。
黒顔は自身を「子を失った父親」だと述べ、これまで秘密裏に政治家たちを裁いてきたと明かします。
そして、全容を知る副総理だけは白日の下で裁きたいと考え、このような事件を起こしたのというのです。
黒顔がいよいよ副総理に銃口を向け、「さらばだ」と呟いた瞬間、ネット中継が途絶えます。
世間が騒ぎ立てる中、現場に到着し、中継映像を遮断させたのは太陽でした。
太陽は早速、黒顔を捕らえるべく戦闘態勢に入りますが、何故か夜桜の戦術を知り尽くされており、歯が立ちません。
黒顔は情報戦において一流で、太陽の二手三手も先を行きます。
ここまで有能なスパイが、興味のない政治の世界に入ってまで成し遂げようとしていたことは、ただ一つ、復讐でした。
かつて政治界でスパイとして暗躍していた黒顔は、ある日突然、用済みと判断され、自宅を爆破されます。
その爆発に巻き込まれて、娘の百合(CV.羊宮妃那)を亡くしました。
百合の敵を討つため、自ら政治家になった黒顔は、内側から関係者たちに近付き、殺して回ったのでした。
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太陽vs黒顔/翠vs赤青黄
三つ子スパイ・赤青黄を呼び寄せた黒顔と、改めて対峙する太陽。
黒顔は、自分と同じく家族を失った経験のある太陽を無意味に傷付けたくはないと言います。
そのため、ここで太陽が退くなら、太陽の家族を襲った事故について、情報を教えると持ち掛けました。
しかし太陽は、黒顔のつらい気持ちは理解できるし、事故の真実も知りたいと表明する一方で、もう誰にも死んでほしくないのだと告げます。
そこへ翠が駆け付け、赤青黄を引き受ける代わりに、太陽には黒顔の確保と、副総理の救助を任せました。
翠に対し、自分たちの戦術を開示する赤青黄。
翠は、戦闘前に情報開示するなど慢心だと言いながら、自らもヒナギクの戦闘の基本である移動術・花踏みについて開示しました。
そのまま颯爽と赤青黄を返り討ちにすると、刀を鞘に納めます。
そして、太陽と黒顔の戦闘に加勢しようと考えたその瞬間、背後に不審な気配を感じ取りました。
「今の気配は……」
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情報戦の先へ
家族を失った悲しみについて説く黒顔。
つらい現実も、この状況も、太陽には何も変えられないと言います。
深い傷を負った太陽は、黒顔の言葉が正しいとしながらも、現実はただ受け入れるだけでなく、変えられるものもあると教えてもらったのだと語りました。
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ひたすらに立ち向かってくる太陽に、夜桜の戦術なら見抜けると内心ほくそ笑む黒顔。
しかし、太陽は夜桜の戦術に合わせて、ヒナギクの戦術・花踏みを混ぜ込んできました。
それは黒顔にとっては想定外で、太陽にとっては「情報戦」の一つでした。
凶一郎から言われた「プロなら情報は筒抜け、攻撃は一切通じない」「不完全でいい、付け焼き刃で上等」という言葉の通り、太陽は黒顔の「知っている」という自負に漬け込んだのです。
太陽の戦術に嵌まり、身動きが取れなくなった黒顔は、その能力を認め、太陽に敬意を表します。
そうして手を差し出すと、「私の知る全て」だと言ってメモを渡しました。
太陽がそれを受け取った瞬間、黒顔はどこからか銃撃を受け、喉元からの大量出血で死亡します。
黒顔の死を目の当たりにした太陽に、近付いてきた翠は「暗殺者による口封じ」だろうと告げ、太陽は任務を全うしたと励ましの言葉を送りました。
その後、太陽は黒顔のメモをもとに、百合が埋葬されているという樹の下を訪れます。
そして、樹の洞の中に太陽の求めるものがあると言われた通り、そこには小さな箱が隠されていました。
*
夜桜の屋敷へ帰還した太陽は、それぞれの方法で太陽を心配していた家族たちに迎え入れられます。
賑やかな兄弟たちの様子に、小さく微笑むのでした。
アニメ『夜桜さんちの大作戦』第9話まとめ
いかがだったでしょうか。
また一つ任務を全うし、スパイとして成長を遂げた太陽。
戦いを終えた後の「成功の享受は生還者の義務であり、死者への弔いでもある」という翠からの言葉は、スパイの先輩としての叱咤激励、わかりにくい優しさにも思えました。
つらい事件にはなりましたが、家族の事故に関する真実にも近付けたようです。
サブタイトルにもなっている黒百合の花言葉には、「復讐」の意味もあるのだとか。
その花を名乗り、復讐を目指した黒顔が託してくれた情報とは、一体どんなものなのでしょうか?
次回、第10話も楽しみです。