「週刊少年ジャンプ」にて人気連載中の権平ひつじ先生によるスパイバトルコメディ『夜桜さんちの大作戦』。
家族を事故で亡くし、心を閉ざすようになった高校生・朝野太陽を主人公に、幼馴染みの夜桜六美とその家族――スパイ一家の夜桜家を取り巻く「大作戦」が描かれます。
『のんのんびより』『ラグナクリムゾン』などで知られるSILVER LINK.が手掛けるアニメ化は、2022年12月に開催された「ジャンプフェスタ2023」での発表後、注目を集めてきました。
早速、第1話「桜の指輪」をレビューしていきます。
目次
アニメ『夜桜さんちの大作戦』主な登場人物・キャスト
朝野太陽/CV.川島零士
・スパイ一家の婿入り(!?)少年
・極度の人見知りだが、ごく平凡な男子高校生
・数年前に家族を事故で失い、大切な人を作ることにトラウマを持ち、他人との関わりを極端に恐れるようになった
・自分よりも他人を優先してしまうほどのお人好しで、心優しい性格
・六美とは幼馴染みの間柄
夜桜六美/CV.本渡楓
・幼馴染みの太陽と同じ高校に通う女子高生で、学園のアイドル的存在
・その正体は、江戸の忍を起源として代々伝わるスパイ一家・夜桜家の三女にして、10代目当主
・特殊な立場により、さまざまな敵勢力から常に命を狙われているため、兄妹たちに守られて暮らしている
夜桜凶一郎/CV.小西克幸
・夜桜家の長男で、実力・人気ともにナンバー1の優秀なスパイ
・常に笑顔を絶やさず、見た目は好青年
・「昼川」という偽名で、太陽や六美が通う高校の教頭も務めている
・異常なほど六美を溺愛しており、六美との距離が近い太陽のことを敵視し、排除を企んでいる
夜桜二刃/CV.鬼頭明里
・夜桜家の長女
・一家をまとめる家長的存在で、弟妹から慕われている
・年齢の割にかなり小柄で童顔、ゴスロリ系のファッションを好んで常に着用している
・体術に長けており、合気道と柔術の達人
夜桜辛三/CV.興津和幸
・夜桜家の次男
・あらゆる武器を愛し、それらを意のままに操るスペシャリスト
・武器においては夜桜家イチの知識を持つ
・常に上半身裸で過ごしており、逞しい筋肉美を誇る屈強な体格の持ち主
夜桜四怨/CV.悠木碧
・夜桜家の次女
・機械全般に精通したハッキングの天才で、夜桜家の機械周りの管理を担っている
・ガサツで男勝りな性格であり、常に気だるげな雰囲気を醸し出している
・ゲーマーとしてクソゲーだろうと全力で楽しむのがモットー
夜桜嫌五/CV.松岡禎丞
・夜桜家の三男
・変装の名人で、老若男女問わず、体格が異なるあらゆる人物に化けることができる
・特に身内の変装なら外見や声色はもちろん、まつ毛の本数まで忠実に再現できる
・性格は陽気で、気ままな自由人
夜桜七悪/CV.内山夕実
・夜桜家の四男
・医術や薬学に特化しており、一家の医療班を担う
・常に顔が描かれたバケツを被り、素顔を隠している
・兄妹の中でも随一の巨体と怪力の持ち主で、誰にでも優しく、控えめな性格
ゴリアテ/CV.松岡禎丞
・夜桜一家と生活をともにしている愛犬
・人間の言葉を理解し、任務のサポートをするなど、非常に高い知能を持つ
・忠誠心が強く、夜桜家の敵と認識した者には牙を剥く
【ネタバレあり】アニメ『夜桜さんちの大作戦』第1話あらすじ・感想
大切なものを失うトラウマ
ごく平凡な男子高校生・朝野太陽(CV.川島零士)は、数年前に事故で家族を亡くして以来、大切な人を作ることにトラウマを持ち、他人との関わりを極端に避けています。
そのため、クラスメイトに話しかけられても、極度の人見知りを発揮していました。
そんな太陽にとって唯一気を許せる特別な存在が、幼馴染みの夜桜六美(CV.本渡楓)でした。
学校のアイドル的存在である六美は、教頭の昼川(CV.小西克幸)にも気に入られており、一部だけメッシュのように白く染まっている髪を褒め称えられていました。
ある日の放課後、太陽はいつも六美と一緒にいるからか、昼川に呼び出されます。
教頭室を訪れると、なぜか六美の隠し撮りコレクションを見せられました。
陰からずっと彼女を見守ってきたという昼川の異常さに危機感を覚えていると、突然ナイフを突き付けられます。
「すべては可愛い妹のためだ」という言葉を受け、さらに状況が飲み込めなくなる太陽。
身動きを取れずにいると、突如として窓から真っ白な衣装の女性が入ってきて、同時に閃光弾のようなものが炸裂します。
……太陽が次に目を覚ました時には、見知らぬ部屋に寝かされていました。
そして、目の前には慣れ親しんだ六美と、彼女の兄妹だという男女が勢揃いしていたのです。
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スパイな兄妹たち
先ほど窓から入ってきた真っ白な衣装の女性――長女の二刃(CV.鬼頭明里)をはじめ、次男の辛三(CV.興津和幸)、次女の四怨(CV.悠木碧)、三男の嫌五(CV.松岡禎丞)、四男の七悪(CV.内山夕実)は皆、六美の兄妹だといいます。
番犬のゴリアテ(CV.松岡禎丞)まで紹介を終えたところで、これまで十何年も黙っているのはしんどかったからスッキリした、と言って笑う六美。
これまで六美に兄妹がいるなんて知らなかった太陽は、彼女たち夜桜一家が”スパイ”であることを明かされ、驚きを隠せません。
そんな中、「”女性スパイが選ぶ狙われたい男ランキング”不動の1位」だという男の写真を見て、太陽はさらに驚きます。
そこに写っていたのは教頭の昼川――もとい、夜桜家の長男・凶一郎(CV.小西克幸)だったのです。
昼川の正体が六美の兄であり、優秀なスパイであると知った太陽は、「六美の命を狙っているヤツがいる」というタレコミが入ったことを聞かされます。
過去のとある事件の際、六美に瀕死の重傷を負わせてしまい、その影響で髪の一部まで白くさせてしまった凶一郎は、自責の念に駆られ、六美への強い執着を見せるようになりました。
それは日常生活や人間関係をも監視する異常さで、家族でさえ「六美を守る化け物」になってしまったと評するほどのもの……。
いつも六美のそばにいる太陽も、凶一郎にとっては気に喰わない存在でしたが、今回のようなタレコミが入ったことで、正当に太陽を始末する口実ができてしまったのです。
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身内が迷惑をかけたと二刃が太陽に詫びる頃、警報音が鳴り響きます。
ここ、夜桜家の屋敷に、凶一郎が帰ってきたようでした。
兄妹たちは凶一郎を迎え撃つべく準備を施しますが、これまでの兄妹ゲンカの勝率は高くないらしく、太陽は不安と申し訳なさを覚えます。
すると二刃は、太陽が助かる方法がひとつだけあるといいました。
それは、太陽と六美が結婚することでした。
”桜の指輪”
夜桜家唯一のルールは「家庭内殺人禁止」。
太陽が婿入りすれば、さすがの凶一郎でも鉄の掟に乗っ取り、命を狙うことはなくなるだろうと二刃は語りました。
夜桜家の面々は皆、”桜の指輪”を身に付けており、この二重になっている指輪の片方を伴侶に渡した時点で結婚が成立するといいます。
二刃は自分の勝手な期待もあると述べたうえで、太陽と六美を守るためには悪くない案じゃないかと告げました。
その時、太陽の脳内には家族を失った過去がフラッシュバックし、思わず息を詰めてしまいます。
すると六美は、家族を亡くした痛みを未だ抱え続けている太陽に対し、軽々しく「家族になろう」とは言えないと涙を浮かべました。
彼らの気持ちを理解した二刃が「無神経なこと言って悪かったね」と頭を下げる頃、誰も気付かぬうちに凶一郎が侵入していました。
双方同意できる解決の道がないならば「夜桜家らしく力づくで……」という凶一郎に、兄妹たちは早速攻撃を仕掛けます。
兄妹たちは連携の取れた攻撃を繰り出しますが、凶一郎の専用武器・”鋼蜘蛛”――鋭利な鋼線による反撃は、簡単に退けられるものではありません。
鋼蜘蛛は拘束にも使える武器のため、兄妹たちは肉弾戦だけでなく、罠や仕掛け、ドローンなどの機械を用いた戦闘を繰り広げます。
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その隙に部屋から逃げ出した太陽は、六美と嫌五に案内され、隠し部屋の中で身を潜めることに。
「大丈夫。 私はいなくなったりしないよ」
扉を閉じる前、不安げな表情を浮かべる太陽に、六美はそう言い残しました。
夜桜家への婿入り?!
元の部屋にいた兄妹たちとの戦闘を片付けたらしい凶一郎が、太陽たちを追いかけてきました。
太陽を庇う六美の姿を見て、六美を呼び寄せる凶一郎。
六美は指示通り凶一郎へ近寄りますが、実はこの六美は偽物で、中身は変装した嫌五でした。
完璧に思える変装も凶一郎には見破られており、後ろに隠れていた太陽こそ、変装した本物の六美だというところまで見抜かれていたのです。
変装を解いて素顔を見せ、ナイフを手にした六美に、凶一郎は言います。
「ヤツ(太陽)に手を出すのはやめよう……そして、お前(六美)を家から出すのもやめよう」と。
六美を守るため、学校も友達も遊びも恋愛もすべてなくし、彼女を監禁しようとする凶一郎。
刃先を向けたナイフを握ったままの六美を抱き寄せると、凶一郎は自らの腹部にナイフを突き刺しました。
六美を守るためならどんな痛みも受け入れる、自分は命もいらないと微笑んで……。
そんな狂気に満ちた愛情を向けられた六美は、怯えながらも頷こうとします。
その時、隠し部屋の扉が開き、一部始終を見ていた太陽が出てきました。
太陽は、六美と凶一郎のやり取りを聞いて、凶一郎は自分と同じく「大事なものを失くすのが怖い」のだと感じました。
そのうえで、それなら大事な相手――六美に怯えた表情をさせるのは間違っていると考えます。
そして、覚悟を決めて言いました。
「六美、やろう。 ……いなくならないって、お前が約束してくれたから」
一瞬ハッとして、すぐに理解した六美は、太陽に向かって桜の指輪の片方を放り投げます。
太陽が手を伸ばした瞬間、凶一郎の鋼蜘蛛が炸裂し、あと少しのところで拘束されてしまいました。
しかし太陽は、巻きついた鋼蜘蛛ごと力づくで手を伸ばし、血まみれになった手のひらで指輪を掴み取ります。
こうして無事に指輪をはめた太陽は、六美と結婚し、夜桜家に婿入りすることになったのでした。
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アニメ『夜桜さんちの大作戦』第1話まとめ
いかがだったでしょうか。
テンポの良い展開に、気付けばエンドロールが流れていた第1話。
スパイを稼業とする夜桜一家と、そこへ婿入りすることになってしまった太陽の物語が、どのように動いていくのかワクワクする初回でしたね。
コミカルとシリアスがいい塩梅で、原作既読の方もアニメが初見の方も入り込みやすかったのではないでしょうか?
今後のバトルシーンにも期待が高まります。
次回、第2話も楽しみです。