『ミス・アメリカーナ』あらすじ・ネタバレ感想!歌姫テイラー・スウィフトが考えていたこと

『ミス・アメリカーナ』あらすじ・ネタバレ・感想!アメリカを代表する歌姫、テイラー・スウィフトが考えていたこと

出典:Netflix公式Twitter

2020年1月30日からNetflixで配信が開始された映画『ミス・アメリカーナ』。

若くしてヒットメイカーとなったアーティストであるテイラー・スウィフトの飾らない素顔を追ったドキュメンタリー作品です。

グラミー賞を10度受賞し、そのうち最も栄誉のある“年間最優秀アルバム賞”を最年少(当時20歳)で受賞

さらに、その“年間最優秀アルバム賞”を2度も受賞した経歴は、女性ソロアーティストとしては史上初のことでした。

ソングライターとして、エンターテイナーとして、類稀な才能を持つテイラーがスターダムに昇りつめるまでと、その先にあった喜びや苦しみが映し出されています。

今回はそんな映画『ミス・アメリカーナ』をネタバレありでご紹介します。

『ミス・アメリカーナ』作品情報

『ミス・アメリカーナ』

出典:IMDB

作品名 ミス・アメリカーナ
配信開始日 2020年1月30日
上映時間 85分
監督 ラナ・ウィルソン
出演者 テイラー・スウィフト
音楽 アレックス・ソマーズ

【ネタバレ】『ミス・アメリカーナ』あらすじ・感想


“いい子(good girl)”でいたかった

『ミス・アメリカーナ』は、テイラー・スウィフトが13歳から書いていた日記の話で始まります。

子供の頃からの倫理観は、良い人であること。

保守的な空気が強い土地で育ったクリスチャンらしく、「ずっと目指してきたのは“いい子(good girl)”なの」と語るテイラー。

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この言葉が『ミス・アメリカーナ』のひとつのテーマであり、テイラーを知るためのポイントになっています。

多くの人に認めてもらいたい、愛されたいという思いを抱えてパフォーマンスを続けていたそうですが、持ち前のセンスとアイデアで業界人や批評家に高く評価され、たくさんの熱狂的なファンに囲まれるようになりました。

テイラーは「いい曲ができたね。そんな言葉が生きがいだった」「認められて幸せ。それが全てだった」と語っています。

しかし、若くしてヒットメイカーとなったテイラーには華やかな舞台だけではなく、つらい現実も向かってきます。

2009年のMTVビデオ・ミュージック・アワードの授賞式で、最優秀女性ビデオ賞を受賞したテイラーのスピーチ中に、カニエ・ウェストが乱入するハプニングがありました。

カニエはステージ上でテイラーのマイクを奪い取り「真の受賞者はビヨンセだ」と批判の言葉を投げかけました。

この時に観客からカニエに向けられたブーイングを、反射的に自分へ向けたものだと勘違いしたというテイラーは、精神的に追いつめられてしまったそうです。

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カニエが去ったステージ上では表情をこわばらせながらも感情的になったりせず、煽るようなインタビュアーにも「喧嘩したくない」と言葉を濁していますが、こういった行動も全て“いい子”であるためだったんですね。

テイラーは、この出来事について「身にならない経験もある」と語っていますが、潜在的な部分では大きなバネになっているように思います。

変化した“今”と見据える“将来”

テイラー・スウィフトはこれまで多くのバッシングの対象とされてきました

  • 痩せすぎ、お尻がないなどのボディ・イメージに対すること。
  • 恋多き女で彼氏と長続きしない、取っかえひっかえしているように見えること。
  • 実体験を歌詞にすることで計算高い、被害者ぶってると言われること。

内容は様々ですが、そういったテレビやネット上のネガティブな声を気にして落ち込むことも多いとか。

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テイラーほどのスターでも、やっぱり人間なんだなと身につまされます。

飾らない素顔を追った劇中では、“普通の若い女性”であるテイラーの姿を映しています。

猫背でピアノを弾く姿や、カジュアルな部屋着で愛猫を可愛がる姿、ブリトーに食らいつく姿など、普段目にするテイラーからは想像がつかない親近感が湧くシーンがたくさん詰まっていました。

また、家族や友人とラフに楽しく過ごしている姿も印象的です。

特に母親のアンドレアの存在は大きく、仕事の面でもプライベートな面でも支えになっていることがわかります。

そんな1番のサポーターであるアンドレアは、癌が見つかり闘病中。

「目が覚めた。母親の体調より、ネット上での評判が大事?」と語るテイラー。

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仕事ばかりの人生から身近な幸せに目を向け、現在は家族や友人との時間を大切にしているそうです。

ボディ・イメージに関しても、批判の声を気にして過去に摂食障害に陥っていたことを明かしていますが、今は食事に対してポジティブな考えを心掛けているとか。

「食事は力の源」「美の基準はひとつじゃない」と話していて、逆に太ったと批判されるようになりましたが、気にしていないようですね。

恋愛についてもプレイガールとして叩かれることが多く、プライベートに踏み込みすぎた失礼なインタビューを受けることがあるほどでしたが、現在は安定した付き合いを続けている恋人がいるみたいです。

お相手はイギリス人俳優のジョー・アルウィン。

『ミス・アメリカーナ』にも登場し、仲睦まじい姿を披露しています。

2人は婚約中との噂もあり、今回のジョーの出演でその説は濃厚になりました。

一方で、「まだ子供を持つ覚悟はできていない」「(子育て中の友人に対して)たまごっちみたいと言ってしまった」などの発言もあり、結婚や出産に対しては悩んでいるか、まだ積極的ではない様子

しかし、そんな考えを持っていること自体がリアルで、共感する人も多いのではないでしょうか。

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ファンとしては、いつかテイラーの口から幸せな報告が聞けると嬉しいですね。

タブー視していた“政治的発言”をするまで

長年、“いい子”であろうとし続けていたテイラー・スウィフトは、自らの口に貼ったテープを剥がします。

2006年のデビュー以降、政治的な発言は避けてきましたが、2018年の中間選挙を前に初めて政治的な発言をしました

テイラーの故郷であるテネシー州で、共和党のマーシャ・ブラックバーン議員が上院議員選挙に出馬。

ブラックバーン議員は、DVやストーカーなどの暴力を規制する法案に反対し、同性婚にも反対の姿勢を示していました。

テイラーは性的暴行被害を訴えて裁判を起こした経験があり、賠償金が1ドルということで話題になりましたが、それはまさしく“正しさ”を貫くための裁判でした。

そんな経験から、女性を守るための法案に反対する議員を黙って見ていられなかったといいます。

ブッシュ元大統領を批判したことでキャリアに大きな傷をつけたカントリーミュージック・バンド、ディクシー・チックスの二の舞になることを避けるため、カントリー歌手としてデビューしたテイラーは政治的な発言はタブーだといわれてきました

そのため、公の場で政治的な発言をするには、テイラーを支えるチームとの話し合いが必要でした。

「ライブの動員数が半分に減る」「(テイラーを危険から守るために)装甲車が必要だ」など、反対する声もありましたが、テイラーは自分の意見を強く主張していました。

「いい子は意見を押し付けない。笑顔で手を振ってお礼を言う。政治の話で人を困らせてはいけない。でも、もう我慢の限界だった」と語るテイラー。

セクハラ裁判で人間性を踏みにじられ、自分の中で何かが変わったとも話しています。

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実際に大きな話題を呼ぶことになったInstagramでの政治的発言ですが、その投稿前のそわそわした姿や未知の領域に飛び込もうとしている様子は、画面を通してこちらにも緊張感が伝わってくるほどでした。

今後も政治的な発信を続けていくとみられるテイラー。

“いい子”をやめて、一歩踏み出したその先には、テイラーらしい新たな想いがありました。

「グリッターをつけてこの世の二重規範と戦いたいの。ピンクの服を着て政治の話をしてみたいわ」

パフォーマーとして“挑戦”を続けること

劇中にはテイラー・スウィフトのデビュー前の映像も含まれています。

両親からのプレゼントであるアコースティック・ギターを前に大喜びしたり、母親の運転する車で音楽出版社に売り込みにいったり、明るくて音楽好きなテイラーの少女時代が映されていました。

10代前半の頃のテイラーが5分前に完成したという曲を歌う姿と、現在のテイラーが曲作りに励みレコーディングをする姿は変わっていません

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その屈託のない笑顔と素直な言葉で紡ぎ出される歌詞には、純粋に音楽を愛しているんだなと感じさせる何かがあります。

スタジオで楽曲制作を行っている場面では、次々とアイデアや歌詞が飛び出すテイラーに対して、プロデューサーのジョエル・リトルが面食らう瞬間が印象的です。

また、2019年のアルバム『Lover』からの1stシングルである『Me!』のレコーディングでは、共演のPanic! At The Discoブレンドン・ユーリーの歌声を聴いて絶賛したテイラーが、目をキラキラ輝かせてMVの構想について語るシーンもありました。

音楽を愛し、才能にも恵まれたテイラーですが、「老いた女性アーティストが捨てられる世界で生きている」と話しています。

30歳を迎え、女性アーティストとして年齢がネックになってくる現実や、男性アーティストの何倍も新しいことに挑戦し続けないといけない事実を挙げ、努力を続けていることを示唆していました。

2018年のグラミー賞にノミネートされなかったという連絡を電話で受ける場面では、落胆した様子を見せながらも「もっと良いものを作る」と発言しています。

楽曲、ステージ、MV、衣装やメイク。

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全てのパフォーマンスに手を抜かず、スターダムに昇りつめた今でも努力を惜しまないテイラーの姿に胸が熱くなりました。

『ミス・アメリカーナ』まとめ

いかがだったでしょうか。

テイラー・スウィフトの素顔を追ったドキュメンタリー映画『ミス・アメリカーナ』。

描き方が客観的でないとの声が上がっている作品でもありますが、個人的にはそれでいいと思っています。

だって、「題材は私(テイラー)」なのだから。

『ミス・アメリカーナ』はNetflixで配信中。

テイラーのファンも、そうでない人も、一度観てみてはいかがでしょうか。

要点まとめ
  • 歌姫、テイラー・スウィフトの剥き出しのリアルと魅力がたっぷり
  • テイラーが“いい子(good girl)”をやめて進化する様子に胸が熱くなる
  • エンターテイナーとしての姿、普通の女性としての姿が詰まった作品