つくしあきひと原作の同名作品をアニメ化した『メイドインアビス 烈日の黄金郷』。
ナナチをべラフから取り戻すため、レグはファプタに「一部が欲しい」と話します。
すると、”ある約束”を果たすことを条件に、ファプタは迷いなく自らの体の一部を引きちぎり、差し出しました。
心配するレグをよそに、”不滅”であるファプタは平気な様子ですが、血の匂いにけものたちが狂い出してしまいます。
レグは急いで「成れ果て村」に体の一部を持ち帰りますが、どうしてもファプタとの”ある約束”を果たすべきかどうか答えを出せず……。
早速、アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第9話をレビューしていきたいと思います。
目次
【ネタバレあり】アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第8話のあらすじと振り返り
水もどきによる症状から回復したヴエコは、意識が朦朧としているうちにワズキャンから与えられた”香ばしいもの”の正体が、イルミューイの子供を調理したものだと気付きます。
同じく”香ばしいもの”の正体に気付いたべラフは、身体は回復したものの、精神を病んでしまいました。
一方、イルミューイは巨大化し、すでに人間の姿や言葉を失っていましたが、変わらず子供を産んでは愛でて、亡くなっては悲しんでいました。
ワズキャンが子供を抱き上げ、調理するために連れていく度、イルミューイは泣き叫びます。
しかし、回復のためには「鮮度」が重要だと気付いてしまったワズキャンは、生きたままの子供を捌いて調理するのでした。
べラフ以外の隊員たちがこの地獄のような日々に慣れてしまったある日、ヴエコは子供を産まなくなったイルミューイの体内に欲望の揺籃を発見します。
そこへ現れたワズキャンは、イルミューイにもう一つ揺籃を使ったと明かし、「彼女の本当の願いを見届けに行こう」と言いました。
大きな音を立てて動き始めたイルミューイはやがて立ち止まり、近くにいる原生生物たちを喰らい始めます。
その様子を見たべラフが自分のことも喰らってほしいと近寄っていくと、イルミューイの身体の一部に透明な膜が現れたので、そこへ入っていきました。
そこでべラフは竜のような姿に変身し成れ果て、イルミューイは一つの場所となったのです。
そのイルミューイだった場所を「故郷」と称したワズキャンの呼び掛けで、隊員たちは次々にべラフの後を追います。
ヴエコだけがそれを拒み、近くの崖から身を投げようとしますが、ワズキャンに足を掴まれて不本意ながら助かってしまいました。
意識を失っていたヴエコが目を覚ますと、暗い空間――イルミューイの気持ちが直接伝わる場所に閉じ込められていました。
そこへやって来たワズキャンは、すでに成れ果てた姿へと変わっています。
ワズキャンはヴエコの持っていた羅針盤を見た時、「望郷」を感じたと言いました。
そして、それは故郷を思う気持ちではなく「強い憧れ」であり、これからもこの大穴は「憧れに挑み続ける者たち」を呼び続けるはずだと語ります。
その後、人間としての知性を失ったイルミューイは、ただ一つの願いを叶えるために生き続けており、そうしてひた隠しにしていた卵が最後の子供であるファプタを産みます。
ファプタの行動を遠い場所から感じ取ったヴエコは、イルミューイが何も許していなかったこと、彼女の願いが娘のファプタに受け継がれたことに気付きます。
そして、ファプタがいつかイルミューイの願いを叶え、ファプタ自身のために幸せな旅へ出られよう祈るのでした。
……イルぶるそのものがイルミューイであるという衝撃的な村の成り立ちと、ファプタが村を消滅させようとしていることを知ったリコは、語り手であるヴエコの願いは何なのか尋ねます。
すると、ヴエコは「ただ、あの子(=イルミューイ)のことを忘れたくないだけ」と困ったように微笑みました。
【ネタバレあり】アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第9話あらすじ・感想
レグの帰還
ナナチをべラフから取り戻すため、レグはファプタに「体の一部が欲しい」と頼みます。
ファプタは”ある約束”を果たすことを条件に、迷いなく自らの体の一部――片耳と後ろ腕を引きちぎって差し出しました。
どう見ても痛そうだし、ファプタ本人もかゆがっているので、心配するレグですが、「不滅」であるファプタは平気だと言います。
しかし、ファプタの血の匂いにけものたちが狂い出してしまったため、ガブールンに対処を任せて、イルぶるへと急ぎました。
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レグは村の入口まで辿り着くと、体の一部を持ってリコたちのもとへ向かいます。
村の中に入れないファプタは離れた場所からこちらを見つめていて、リコはこの時、初めてファプタの姿を目撃するのでした。
ファプタはリコが首から下げている白笛――プルシュカを見て、「よいすがたになりましたね」と呟きました。
ワズキャンの考え
ファプタの一部が村に入ったことで、清算の際に現れる黒いねばねばしたものたちが暴れ始めます。
ナナチを取り戻すために用意したファプタの一部でしたが、ヴエコはそんなものを見たらべラフが壊れてしまうかもしれないと考え、レグたちを引き止めました。
そして、ヴエコにどうやってファプタの一部を手に入れたのか問われたレグは、交換条件として「村に入るための手伝いをしてほしい」と頼まれたことを思い起こします。
それはつまり、アビスのルールを書き換えてしまうほどの力を持つ、レグの火葬砲を使って村に穴を開けるということでした。
そこへ現れたワズキャンは「君(=レグ)は王子様だったんだね」と声を掛けると、逃げようとしたヴエコにも「ようやく出てきてくれた」と話し掛けました。
リコがヴエコから過去の話を聞いたと知ったワズキャンは、「僕のこと、嫌いになっちゃったかい?」と尋ねます。
するとリコは、ワズキャンのことはよくわからないと言いながらも、「この村は好き」だと言いました。
さらに、「私に”欲望の揺籃”の力を使わせて、この村の人たちをもう一度”冒険”に出られるようにするつもり?」と逆に尋ねました。
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リコの言葉を否定しなかったワズキャンは「リコ、レグ。 君たちは何を選ぶ?」と問いかけます。
火葬砲
大きな地響きとともに現れたのはジュロイモーでした。
ヴエコは「あれの狙いはお姫様(=ファプタ)の部品を……」と言いかけますが、それがレグに伝わるより早く、ワズキャンに捕まえられてしまいます。
ワズキャンは少し離れた場所へ移動すると、その行動に対して「(ヴエコは)すぐに自暴自棄になるから」と理由付けました。
レグが戦っている間、ヴエコはワズキャンに尋ねます。
ジュロイモーは何故、ヴエコを拾ったクズと同じ名前なのかと。
するとワズキャンは、ジュロイモーが突然現れて三賢を名乗ったこと、村に危険が及ぶと抹殺しに来ること、イルミューイにとって特別なヴエコ由来で発生したことを説明しました。
さらに、ジュロイモーは成れ果てではなく、言うなれば村の一部だと知ったヴエコは、追い詰められていくレグを見て叫びます。
そして、ジュロイモーが清算の影響を受けないことや、ファプタの一部を奪い取っても尚レグたちを狙うことを伝えました。
やがてジュロイモーは黒いねばねばを吐き出して村全体を覆い、誰も身動きが取れないような状況を作っていきます。
レグはファプタとの約束を果たしていいのか迷いながらも、ジュロイモーの背後に誰もいないことを好機と捉え、火葬砲を放ちました。
こうしてジュロイモーを退けることができたのは良かったのですが、その胴体を貫通して村の壁にも穴が開き、いよいよファプタが入ってこられる状態が整ってしまいます。
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姫の復讐
ファプタは、ガブールンを連れて、ついにイルぶるへやって来ます。
その姿を見た成れ果てたちは、叫んだり、涙を流したり、祈るポーズを取ったりとさまざまです。
ファプタはそんな成れ果てたちを決して許さず、根絶やしにするために現れました。
やがて、ジュロイモーはファプタに向かって黒いねばねばを吐き出します。
しかし、この黒いねばねばたちは、イルミューイが産んだ子供たちの魂のようなもの……ファプタにとっては兄妹でした。
ファプタがねばねばたちに感謝を述べると、黒から白に変色しながらジュロイモーのもとへ逆流していきます。
そして、ジュロイモーは倒れ、ファプタがレグに差し出した体は綺麗に治っていました。
成れ果てたちに向けたファプタの恨みつらみの言葉はとても詩的で、立ち姿は凛々しく美しい、まさに姫でした。
一方その頃、べラフのところにいたナナチが目を覚まします。
夢の中でナナチは、頼りにしていた者(=ワズキャン)とともに冒険をし、ようやく宝物を見つけた二人(=ヴエコとイルミューイ)を見つめていました。
ハッと顔を上げたナナチに、べラフは語り掛けます。
「目覚めの時来た……ここから先は、夢ではない」
アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第9話まとめ
いかがだったでしょうか。
ついにファプタが村の中へ……復讐の時が来てしまいます。
そこで暮らす成れ果てたちは、リコやレグたちは、そしてファプタ本人は、一体どうなってしまうのでしょうか。
一方、聞こえてきた歌に目を覚ましたナナチですが、彼女が見ていた夢はべラフの記憶のようでした。
べラフは「ここから先は、夢ではない」と言いましたが、その言葉の真意は……?
また、第9話のエンディングは特殊なもので、原作者のつくしあきひとが作詞をし、べラフ役の斎賀みつきが歌った『べラフの子守歌』が使用されました。
美しく儚い一曲が、物語のラストスパートを感じさせます。
次回、第10話も楽しみです。