つくしあきひと原作の同名作品をアニメ化した『メイドインアビス 烈日の黄金郷』。
レグの火葬砲で成れ果て村へと入れるようになったファプタが、復讐を誓い乗り込んできました。
村が破壊されていく中、眠っていたナナチが目覚めます。
べラフは自らの価値と記憶を託してナナチを解放しますが、境界線を越えると「ミーティは消える」と告げました。
ミーティと再び別れてリコとレグのところへ向かうか、留まってミーティと一緒に居続けるか、ナナチは選択を迫られます。
早速、アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第10話をレビューしていきたいと思います。
目次
【ネタバレあり】アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第9話のあらすじと振り返り
ナナチをべラフから取り戻すため、ファプタに「体の一部が欲しい」と頼んだレグ。
ファプタは”ある約束”を果たすことを条件に、迷いなく自らの体の一部を引きちぎって差し出しました。
レグが村へ戻ると、ファプタの一部が入ったことで、清算の際に現れる黒いねばねばしたものたちが暴れ始めます。
ヴエコにどうやってファプタの一部を手に入れたのか問われたレグは、交換条件として「村に入るための手伝い」――レグの火葬砲を使って村に穴を開けることを約束していました。
やがて大きな地響きとともにジュロイモーが現れ、ファプタの一部を持ったレグを狙います。
ワズキャンからジュロイモーについて聞いたヴエコは、ジュロイモーが清算の影響を受けないことや、ファプタの一部を奪い取っても尚レグたちを狙うことを伝えました。
黒いねばねばを吐き出して村全体を覆ったジュロイモーに対し、レグはファプタとの約束を果たしていいのか迷いながらも、火葬砲を放ちます。
こうしてジュロイモーを退けることができたのは良かったのですが、その胴体を貫通して村の壁にも穴が開き、いよいよファプタが入ってこられる状態が整ってしまいます。
復讐を誓うファプタは、ついに成れ果て村へやって来ました。
成れ果てたちが叫んだり、涙を流したり、祈るポーズをしたりとさまざまな行動を取る中、ジュロイモーはファプタに向かって黒いねばねばを吐き出しました。
しかし、この黒いねばねばたちは、イルミューイが産んだ子供たちの魂のようなもので、ファプタにとっては兄妹でした。
ファプタがねばねばたちに感謝を述べると、黒から白に変色しながらジュロイモーのもとへ逆流していきます。
そして、ジュロイモーは倒れ、ファプタがレグに差し出した体は綺麗に治っていました。
その頃、眠らされていたナナチが目を覚まします。
夢でガンジャ隊の記憶を見ていたナナチに、べラフが語り掛けました。
「目覚めの時来た……ここから先は、夢ではない」
【ネタバレあり】アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第10話あらすじ・感想
拾うものすべて
レグの火葬砲によって成れ果て村へ入れるようになったファプタが村を破壊する中、べラフのもとで眠っていたナナチが目覚めます。
べラフは「(自分とは違う)君たちが好きなのだ」と述べ、自らの記憶と価値をナナチに託したうえで解放しますが、境界線を越えると「ミーティは消える」と告げました。
今目の前にいるミーティは村の胎内で作られた複製なので、境界を越えると消滅してしまうのです。
べラフは、ナナチを送り出そうとする一方で、ここに残るなら守れるように尽くすと言いました。
ミーティと再び別れてリコとレグのところへ向かうか、留まってミーティと一緒に居続けるか、ナナチは選択を迫られます。
ナナチの腕に抱かれたミーティは、ボンドルドやナナチが傷付ける前の姿で可愛い壺に入れられていました。
そんな綺麗なミーティを見て、ナナチはずっと一緒にいられると勘違いしてしまったのだと涙を浮かべます。
以前はレグの火葬砲で葬ったミーティを、今度は自分の手で送り出せる……ナナチはべラフに礼を言うと、ミーティを連れて境界を越えていきました。
自らの腕の中で消えていくミーティに「必ず会いに行くから……待ってて」と最後の言葉を掛けて、ナナチは涙を流します。
ミーティが消滅すると、べラフのもとにいたピギムゥたちが追いかけてきました。
自分たちの身体も消えてしまうというのに、村の外のもので作ったから消えることがないという、ナナチの新しい装備を届けてくれたのです。
それを受け取ったナナチのもとにやって来たべラフは、こう語ります。
「憧れも、けがれも、喜びも、痛みも、私は捨ててしまった。 君は拾い、宿してゆけ。 拾うものすべてが、君の価値だ」
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レグの覚悟
火葬砲を使った反動で昏倒状態にあったレグが目を覚ますと、リコやマアアさん、ムーギィを守ってくれていたガブールンが、諭すように語りかけます。
「ファプタも村も止まらぬ……覚悟を示されり」
復讐を誓ったファプタは住人たちを虐殺し、精算が住人同士を喰い合って、建物や壁にまで広がり、村の中は壊滅的な状態になっていました。
離れた場所から見ていたワズキャンは、「もってあと30分ってとこだね。 難しいなあ」と言います。
ヴエコがその言葉の意味を尋ねますが、「言えないよ。 僕は嘘が下手だから」と返されました。
レグは自分が眠っている間、リコが飛び出したりせず耐えてくれたことに礼を言うと、ファプタを止めるために前へ出ていきます。
ファプタは過去のことを忘れてしまったレグの記憶を取り戻させようと、レグの口から手を突っ込み、身体の内側から攻撃を与えました。
その時、ファプタの頭にあったのは、レグと出会った時のことでした。
ガブールンが原生生物に襲われて昏倒した際に、起きるまで見守ってくれたのが、偶然通りかかったレグだったのです。
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ファプタが仕掛けた体内への攻撃に対し、レグは「姫ならもっと淑やかにしろ」ときつく言います。
それは、ファプタが過去にもレグから言われた言葉でした。
友好の印
過去のレグが使っていた言葉はファプタにとって初めて耳にする言語でしたが、ガブールンは時折通る「石の者」――おそらく白笛の探窟家たちと似た言語だと言います。
ファプタは言葉を覚えるのが異様に早く、お互いの名前を「レグ」「ファプタ」だと知るまでに時間はかかりませんでした。
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ファプタの名前に「果ての姫(不滅の尊い娘)」という意味があると知ったレグは、お転婆な彼女に「姫なら淑やかにしてくれ」と言います。
この時、ガブールンが「母上の言葉で話の区切りに”そす”を付けると淑やかになる」と教えたため、ファプタは「~そす」という口調になったのです。
「取り繕うのも存外に大事だと師匠も言っていたしな……」と呟いたレグは、自身の装備の一部をファプタに渡します。
……「友好の印」としてのそれを、ファプタは今でも大事に身に付けていました。
ファプタの猛攻への対抗策として、レグとリコはプルシュカの力を借りることにします。
リコが白笛を吹くと、レグは白く染まっていき、ブーストがかかった状態に。
その力を自分に向けられたファプタは怒り、白笛を奪ったのは自分であることを明かします。
それは、ヒトの子(=リコ)と優しい石の者(=プルシュカ)が引かれ合っているのなら、レグがイルぶるに辿り着くと考えたからでした。
約束
村の外へ出ると、鉄の雨が降り注ぎます。
「この母を見たら……思い出さずにはいられんはずだったそす!」
ファプタは涙を流しながら叫びました。
一方、鉄の雨から逃れようと必死な住人たち、ガブールンに何とか守られているリコたちを見て、ワズキャンは村へ屋根をかけるように膨大な触手を伸ばしていきます。
その様子にレグが驚くのも束の間、ファプタは攻撃の手を止めません。
――過去、鉄の雨が降り注ぐ中、あの村が母なのだと語るファプタの姿がありました。
ハク(=宝物)のマークや意味、ファプタが村の中に入れないこと、村を破壊することで母を解放しようという考え……レグはこの時すべて聞かされていたのです。
レグは自分もハクを探して穴を登っていると告げ、その頼まれたことを終えたら、ファプタに手を貸すと言いました。
さらに、ファプタの宿命に決着がついたらずっと一緒にいること、ともに冒険へ出ることを約束していたのです。
現在のレグはそのすべてを忘れていましたが、ファプタの好奇心に溢れた優しい顔ばかりが去来すると告げます。
身を滅ぼしながら復讐を果たそうとするファプタを、どうにか止めたいと涙を流すレグ。
ファプタはそんなレグを「優しい」と言いながらも、必死の形相で攻撃するのでした。
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アニメ『メイドインアビス 烈日の黄金郷』第10話まとめ
いかがだったでしょうか。
ナナチの選択やべラフの残した言葉、現在と過去を跨ぐファプタとレグのやり取りに、胸がギュッとなる第10話でした。
キャスト陣の名演、アクションシーンの激しさ、エンドロールへ向かう演出……まるで劇場版のようです。
物語も佳境に入り、ますます見逃せない展開に。
次回、第11話も楽しみです。