映画『メガマインド』あらすじ・ネタバレ感想！正義の味方の作り方！楽じゃないヒーロー稼業は誰がなる？

『メガマインド』は、本当はいいヤツなのに、悪の権化と粋がるお茶目な怪人メガマインドの「正義の味方作り」を描いたドリームワークスのCGアニメ作品。

メトロシティのヒーロー、メトロマンを倒してしまったメガマインド！

子供の頃からの好敵手を失い、すっかり意気消沈をしたメガマインドが考えたのは、自分と戦う新たな相手を作り出すこと。

そんな、さみしがり屋で真面目なメガマインドが、生み出したもうひとりのヒーローとは？！

それでは『メガマインド』をレビューします。

【ネタバレ】『メガマインド』あらすじ・感想

まさかの勝利

出典:IMDB

メガマインド(ウィル・フェレル)とメトロマン(ブラッドピット)は、永遠のライバル。

銀河のどこかの滅びゆく星の滅亡から逃れるために、それぞれの両親にカプセルに入れられ、赤ん坊の時に宇宙に送り出されたふたり。

地球にたどりついたベビーのひとりは裕福な家庭に、もうひとりの青いボウズ頭のベビーは刑務所内に着陸、それぞれ育ちます。

素敵な家庭に育ち、特殊な能力をもった少年は、空も飛べるし、力持ち、獄中で育った少年は、驚異的な知能をもつのに、ヘンテコなガジェットを作り、悪人たちの中で悪知恵ばかりつけていきます。

メトロシティで成人してメトロマンとメガマインドとなったふたりは、いつも争いの中にありました。悪知恵を働かすメガマインドと、それを阻止するメトロマンの構図はこうして出来上がり、戦いは続いています。ある日、天文台にメトロマンを追いつめたメガマインド。

いつも小競り合いで終わるはずが、この日は、メガマインドが放った殺人光線にやられ、なんとメトロマンが絶命！

メガマインドは、正義の味方をやってつけてしまったのです。

ヒーローは作るもの

出典:IMDB

メトロシティの守護神を失った住民たちは、メトロマンの死に悲しみにくれます。でもそれ以上に悲しんだのは、宿敵を死に追いやった張本人のメガマインド。

最初はゴキゲンだったのに、街をのっとり、悪の限りをつくしても、戦いを挑んでくる相手がいなくなり、心にぽっかり穴があいたと嘆くのです。

そこでメガマインドが思いついたのが、悪にたちむかう正義の味方を作ること。

メトロマンのDNAからスーパー・パワーを抽出、人間に注入して、第二のヒーローを作ればいいと、子分のコブンギョ(デビッド・クロス)の反対も聞かずに、ヒーローを作る薬を作ってしまうのでした。

手違いのスーパー・ヒーロー

メトロマンが死んだ展望台を探して、メガマインドのアジトに乗り込んできたレポーターのロクサーヌとカメラマンのハル(ジョナ・ヒル)。メガマインドは、変身装置を使ってバーナード(ベン・スティラー)の姿を借りてロクサーヌをけむに巻きます。

てんやわんやの中、メガマインドが、手違いでヒーローになる薬を打ちこんだのは、ポンコツ男子のハル。

あきらかな人選ミスなのに、メガマインドは、鍛えがいがあるとハルをヒーローに育ててみせると、意気込むのでした。

仮の姿だけど、本当の姿

ハルにスーパー・パワーを与え、正義の味方「タイタン」と世に送り出そうとメガマインドは、変身装置で姿を変えてスペース・パパと名乗り、ヒーロー指導をするのにちっともうまくいきません。

出典:IMDB

パワーを手にしたことを喜ぶだけで、ちっとも努力をしないタイタンとなったハル。ロクサーヌに気があるタイタンは、ロクサーヌにつきまとい、自分の気持ちばかり押し付けて気遣いがありません。

同じころ変身装置でバーナードの姿になりすまし、ロクサーヌと会うようになったメガマインド。

孤独だったメガマインドは、ロクサーヌとの会話で心に豊かさを見つけ、善行を積むようになります。

メガマインドを、バーナードだと思っているロクサーヌは、頭がよく実直な目の前の相手に惹かれていきます。

ところが、ロクサーヌの前で本来の姿に戻ってしまったメガマインド。バーナードも、タイタンの師のスペース・パパも、どれも生真面目な本当のメガマインドなのに、過去の悪行のせいでせっかくのロクサーヌとの関係は、壊れてしまうのでした。

ヒーローは面倒くさい

せっかく生み出したヒーローだというのに、怠け者でだらしないタイタンは、パワーを私利私欲に使うだけで、人のために働くなんてなんてばかばかしいと言い出す始末。

暴走をするタイタンに嫌気をさしたメガマインドは、ロクサーヌと共に、タイタンの弱点を前ヒーローのメトロマンからヒントに得ようと探ろうとします。

他人のために身を投げ出すかつてのライバルを懐かしく思うメガマインドは、そこでメトロマンが生きていたことを知ります。他人の期待にこたえ、パワーを世のため人のために、使うことが使命だとしてきたメトロマン。

年中無休のスーパー・ヒーローで、選択肢すらない人生に疲れたと、メガマインドとの戦いで自分の死を装い、密かに引退をする決心をしたというのです。

そんなメトロマンの告白に、メガマインドは、ショック隠せません。

メガマインドが選んだ新しい道

ロクサーヌにフラれ、ヒーロー作りも失敗、メトロマンの本音も知り、自分を見つめなおすメガマインド。

その間もスーパー・パワーを使い、富や権力が欲しいとやりたい放題を続けるタイタンに、さらわれたロクサーヌは、テレビを通じてメガマインドに助けを求めます。

街を混乱に陥れるタイタンの姿に、ついにメガマインドが立ち上がります。

変身装置でメトロマンの姿を借りて正義をただそうとしたものの、タイタンの反撃に合い撃沈。本来の青いボウズ頭のメガマインドに戻り、タイタンに与えたスーパー・パワーを奪い返します。

そしてこれをきっかけに、人のために働く理由をみつけたメガマインドは、勇気と強さ、決断力を備えもつメトロマンに続く、街のヒーローとなったのでした。

マイケル・ジャクソンの「バッド」をBGMにエンディングを迎える『メガマインド』。勧善懲悪ですっきり爽快、笑顔になれます。

『メガマインド』あらすじ・ネタバレ感想まとめ

以上、ここまで『メガマインド』をレビューしてきました。

ほりだしものの作品

日本で劇場未公開だった『メガマインド』は、ほりだしもの！滅びゆく惑星からやってきた赤ん坊がたどりついたのは、地球・・・・と、どこかで聞いた設定で始まる『メガマインド』。

スーパーマンやバットマン、スーパー・ヒーローたちの生い立ちやガジェットを連想するパロディが、こまごまと物語に組み込まれております。

そして誰もが聞き覚えのあるゴキゲンな音楽も全編にちりばめられ、大人も子供の楽しめる良い作品です。

宿敵のメトロマンを倒しておきながら、悪だくみをするのにハリがなくなったと、メガマインドがライバルの不在を本気でさみしがる姿が、ユーモラスでキュート。

人生には目標が必要と、育てるのが、悪党の子分でなくて、敵対する正義の味方というのがミソです。

自分が戦いたい相手を育てる、真面目なのか不真面目なのかわからないメガマインドにウィル・フェレル、メトロマンにブラッド・ピットと、大物俳優たちが起用されており、役者の姿が見えないCGアニメであっても、魅力あるキャラクターたちの力演が楽しめます。

選びとることの大切さ

『メガマインド』のストーリーは、いたって真面目。メトロマンとメガマインド、それぞれ「選択」について考えます。

365日の一日たりとも休まずヒーローでいることに疲れたメトロマンが「自分には、ヒーローでいる以外に、選択肢がなかった」と言わせ、自らの意思で決めた選択は、自分らしさを取り戻したといいます。

そしてメガマインドの自分の運命を「選びとる」姿を描いております。

人を形づくるのは、自らの選択。人生は与えられるものではなく、自分の手で選びとるもの。

『メガマインド』そんなシンプルなメッセージが込められた、生真面目な悪役が主役のチャーミングな作品です。