『マチルド、翼を広げ』あらすじ・ネタバレ感想!幸せな明日を信じる“家族の愛”に胸を打たれる傑作

出典:www.senlis.co.jp

パリの街で精神的に不安定な母と暮らしている9歳の娘マチルド、そして人の言葉を話す不思議なフクロウが織りなす大きな愛の物語。

2017年に制作され、日本では2019年に初公開されました。

ポイント
  • 精神的に不安定な母と真摯に向き合う娘、マチルドの心を生々しくもポップに描く
  • マチルドの母役、ノエミ・ルヴォウスキー他俳優陣の圧倒的な表現力
  • 互いを大切に想い合う大きな“愛”に心が温まるあまりにも美しいフィナーレ

それではさっそく映画『マチルド、翼を広げ』をレビューしたいと思います。

▼動画の無料視聴はこちら▼

『マチルド、翼を広げ』作品情報

『マチルド、翼を広げ』

出典:映画.com

作品名 マチルド、翼を広げ
公開日 2019年1月12日
上映時間 95分
監督 ノエミ・ルボフスキー
脚本 ノエミ・ルボフスキー
フロランス・セイヴォス
出演者 リュス・ロドリゲス
ノエミ・ルボフスキー
マチュー・アマルリック
アナイス・ドゥムースティエ
ミシャ・レスコー
エルサ・アミエル
インディア・エール

【ネタバレ】『マチルド、翼を広げ』あらすじ・感想


過酷な物語をマチルドの純粋な心がコミカルで明るい物語に見せる

『マチルド、翼を広げ』という映画は、情緒不安定な家族を持つことで直面する困難、という厳しいテーマをあくまでカラフルで明るい色の物語として描いている点が秀逸です。

学校の三者面談では支離滅裂な話をして、夜中に失踪してしまうこともあるマチルドの母ザッシンガー夫人ですが、マチルドに語りかける言葉に込められた優しさは本物です。

マチルドもそんな母の愛情を正面から受け止め、全力で応えます。応えようとします。

しかし上手くいくことばかりではありません。9歳の女の子にできることには限界もあります。

ある日、ザッシンガー夫人は1羽のフクロウを家に連れ帰ってきます。

戸惑いながらも自室で共に暮らすことを決めたマチルドの耳に飛び込んできたのは、なんとフクロウが話す人間の言葉!

当然、フクロウの声はマチルドが自分自身を支えるために作り出した声ですが、マチルドと可愛らしいフクロウの掛け合いは面白おかしく、微笑ましく、マチルドのいつでも前向きな心を垣間見ることができます。

また、マチルドのオシャレで可愛いファッションや部屋の内装、そして純粋な愛ゆえの行動は、ポップな明るさで重く暗い物語を照らします。

過酷な状況でも画面は明るくて、いつでも希望を捨てないマチルドの強さを感じることができると思います。

素敵な劇中曲「Oh! My Mama」


観客を強烈に惹き込む俳優陣の圧倒的な表現力にも注目

本作『マチルド、翼を広げ』のキャスティングにおいて最も重要な点は、監督を務め且つマチルドの母ザッシンガー夫人役として出演もしているノエミ・ルヴォウスキーの存在でしょう。

そもそも、本作はルヴォウスキー監督自身の体験を描いた作品であり、自分の母親を自ら演じている形となっています。

それにしても凄まじい演技力だと思いました!

自身の精神的な異常に苦悩し、不器用でも娘に精一杯の愛情を注ぐ、とても難しい役どころだと思います。

実際に自身が幼少期に見てきた母親を再現する演技とはいえ、心を動かされる熱演に本当に驚きました。

また、マチルド役のリュス・ロドリゲスはなんと本作が初演技。

複雑な感情が入り混じった表情を見事に演じ分けていて、素晴らしい表現力だなと思いました。

個人的にはマチルドの父役、マチュー・アマルリックが見せる優しさに溢れた行動と仕草にグッときました。

仕事の都合で別居中でしたが、マチルドの疲労が限界に達する前に駆けつけて、厳しくもみんなが幸せになるために最適な手段を選択していきます。

自分の葛藤や迷いはほとんど表に出さず、行動で示す“愛”に惚れ惚れしました。

互いを大切に想い合う大きな“愛”に心が温まるあまりにも美しいフィナーレ

前項で書いたマチルドの父が選ぶ“厳しくもみんなが幸せになるために最適な手段”とは、マチルドの母を精神的な病を抱えた人たちが集まる病院に入院させることです。

マチルド本人も、マチルドの両親も、いつか入院する日が来ることは避けられないと知っています。

でもマチルドは、どんなに振り回されても、どんなに周りから白い目で見られても、母が大好きなのです。

母が病院へ連れていかれる当日、そのことを知ったフクロウは学校にいるマチルドに伝えるために家から飛び出します。

マチルドはすぐに学校を抜け出して家まで走りますが間に合わず、もう両親はすでに病院に到着していました。

悲しいけど、きっと正しい選択でした。

ここで場面は切り替わり、大人の女性へと成長したマチルドが病院にいる母を訪ねます。

一緒に花の手入れをする2人に大粒の雨が降り注ぎます。

土砂降りの中、母の奇行ともいえる踊りに合わせて身体を動かすマチルドは、必死に母を支えていた頃よりずっと幸せに包まれているように見えます。

過酷な状況にあっても、幸せな未来を信じ続けてきた家族3人の愛が結実したこのラストシーンは美しく、気高く、尊いものでした。

『マチルド、翼を広げ』まとめ

以上、ここまで『マチルド、翼を広げ』について感想を述べさせていただきました。

要点まとめ
  • 可愛いフクロウとの会話を通じて描く、情緒不安定な母と向き合うマチルドの強さ
  • 家族1人1人が抱える複雑な感情を素晴らしい表現力で演じ分ける俳優陣
  • 幸せな未来を信じ続けてきた家族の愛が結実した美しく、気高いラストシーン

▼動画の無料視聴はこちら▼