『マルモイ ことばあつめ』あらすじ・ネタバレ感想!失われゆく言葉を守った人々の実話

『マルモイ ことばあつめ』

出典:『マルモイ ことばあつめ』公式ページ

ユ・ヘジン、ユン・ゲサンが主演を務めた『マルモイ ことばあつめ』が2020年7月10日に公開されました。

ポイント
  • 『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』の脚本を務めオム・ユナによる監督・脚本作品
  • 日本統治下の朝鮮半島を舞台に朝鮮語を守るために闘う人々の物語
  • ユ・ヘジン、ユン・ゲサンの安定の演技力のほか、友情出演のキャストも超豪華

マルコヤマモト

この記事では、『マルモイ ことばあつめ』について、ネタバレありでご紹介しています。
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『マルモイ ことばあつめ』作品情報

『マルモイ ことばあつめ』

(C)2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

作品名 マルモイ ことばあつめ
公開日 2020年7月10日
上映時間 135分
監督 オム・ユナ
脚本 オム・ユナ
出演者 ユ・ヘジン
ユン・ゲサン
キム・ホンパ
キム・テフン
キム・ソンヨン
ミン・ジヌン
ソン・ヨンチャン
ホ・ソンデ
音楽 チョ・ヨンウク

『マルモイ ことばあつめ』キャスト

ユ・ヘジン / キム・パンス

  • 息子のドクジン、娘のスンヒとともに暮らしている前科持ちの父親
  • ハングルが読めない非識字者
  • 劇場のモギリをクビになってしまい、ドクジンの学費を工面するために仲間たちとスリをすることに
  • ジョンファンのカバンを盗んだことから朝鮮語学会の雑用として雇ってもらう

ユン・ゲサン / リュ・ジョンファン

  • 朝鮮語学会の会長で日本統治下のもと失われる朝鮮語の辞典を作るために奔走する
  • 父親はパンスの息子・ドクジンが通う京城第一中学校の理事長で親日派
  • 非識字者であるパンスにハングルを教える

【ネタバレ】『マルモイ ことばあつめ』あらすじ・解説


『マルモイ ことばあつめ』の背景になった日本統治下時代

『マルモイ ことばあつめ』の舞台は、日本統治下にある1941年の京城。

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京城は今のソウルにあたる街です。

朝鮮半島の日本統治は1910年に始まっており、「日韓併合」として歴史の授業で習った方もいると思います。

日本が統治したことにより交通やインフラが発達し、朝鮮半島が近代化できたことも確かですが、日中戦争から太平洋戦争と世界情勢が悪化すると、朝鮮半島の日本化が加速します。

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神社への参拝や、韓国名を日本名に変更する創氏改名、朝鮮人の徴兵、さらに朝鮮語の使用を禁止するなど、日本化は朝鮮半島の人々にとってのアイデンティティさえ奪うに等しいものでした。

そのなかで、失われゆく朝鮮語の辞書を作ろうと奔走していたのが朝鮮語学会の代表であるリュ・ジョンファン(ユン・ゲサン)です。

方言を含む単語を全土から集め、朝鮮語の辞書を作るために、本屋の奥で仲間たちとともに辞書の原稿作成に励んでいました。

一方、京城の劇場のモギリをクビになった前科持ちの男・パンス(ユ・ヘジン)は、中学校に通う息子・ドクジン(チョ・ヒョンド)の学費を工面するため、ムショ仲間を集めてスリを働くことに。

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そのターゲットとなったのがジョンファンでした。
『マルモイ ことばあつめ』

(C)2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

パンスはジョンファンの持つ辞書の原稿が入ったカバンを盗みますが、自分が落とした息子宛の手紙を奪われたために住所がバレてしまい、ジョンファンはカバンを取り戻すことに成功したのです。

日本化が進み、警察の目が厳しくなる前に辞書を作り上げたい朝鮮語学科のメンバーでしたが、どうしても人手が足りません。

そこで、学会メンバーであるチョ先生(キム・ホンパ)が連れてきた人物がパンスでした。

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なんと、パンスとチョ先生は刑務所時代の同房仲間だったのです。

ジョンファンは原稿を盗もうとしたパンスを雇うことを拒みますが、パンスの人柄や娘のスンヒ(パク・イェナ)と触れ合うことで次第に心を開き、非識字者であるパンスにハングルを教えました。

『マルモイ ことばあつめ』

(C)2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

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パンスの娘、スンヒがとーっても可愛い!「ホットク買ってきて」とジョンファンにねだるシーンには、あまりの可愛さにとろけてしまうほど…!

失われゆく朝鮮語の辞典を作ろう!

勉強の甲斐あってパンスが次第にハングルを読めるようになり、本の内容がわかるようになった頃…。

次第に自分の国の言葉を理解することができるようになったパンスは、改めて言葉の大切さに気づき、ジョンファンの「ことばあつめ」に協力したいと思い始めるのでした。

『マルモイ ことばあつめ』

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私が今作で1番泣けたシーンは、実はパンスが本を読んで泣くシーンです。最近字が読めるようになってきた息子と重なって胸キュンでした…。

朝鮮全土に存在する方言の収集に時間がかかることがわかった朝鮮語学会のメンバーは、頭を悩ませていました。

すると、パンスが各地の出身者を含む昔のムショ仲間を連れて学会にやってきたのです!

『マルモイ ことばあつめ』

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このシーンは今作の見どころの1つ!「ハサミ」という単語にしても、地方ごとにこんなに呼び方が異なるのかと驚かされると同時に、辞書作りがどれだけ大変な作業かを思い知らされます。そして、作中でもっとも楽しいシーンでもあります。

思わぬ出来事でパンスは大活躍を見せるのですが、ジョンファンはさらにその方言から公用語を決める公聴会の開催を考えていました。

『マルモイ ことばあつめ』

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しかし、日本の警察が目を光らせる今、各地から有識者を集めた公聴会を開催することは非常にリスキーです。

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さらに、日本の政策により朝鮮語の雑誌が次々と廃刊させられている現状もありました。

もちろんジョンファンたちが刊行する「ハングル」にも廃刊命令が下されます。

そこで、パンスとジョンファンは「ハングル」の最終刊に広告を出し、読者に各地の方言を送ってもらうように掲載したのです!

『マルモイ ことばあつめ』

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これぞ朝鮮全土から「マル(言葉)」を「モイ(集める)」する「マルモイ作戦」!

しかし、朝鮮語学会の動きはすでに警察から目を付けられていました…。

警察の追及と朝鮮語学会を揺るがす事件

雑誌に載せた広告は最初反応がないように思ましたが、協力的な郵便局員(チェ・グィファ)が学会宛に送られた大量の手紙を倉庫に保管していたのです!

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パンスとジョンファンはその事実を知り喜びましたが、警察の手は着々と朝鮮語学会に迫っていました。
『マルモイ ことばあつめ』

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ある夜、ウチョル(ミン・ジヌン)が家に帰ると日本人の上田(ホ・ソンデ)が待っていました。

そして、刑務所に収監されている妻を釈放するという条件で、朝鮮語学会の動きを探ってきたのです。

また別の夜、朝鮮語学会に日本の警察が直接押しかけ、地下に隠した辞書の原稿を全て持ち出し、チョ先生を連行。

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ともに出かけていたパンスとジョンファンが学会に戻ると、地下はもぬけの殻でした。

日本の警察の狙いは、朝鮮語学会の代表であるジョンファンの創氏改名と朝鮮語学会を大日本帝国下に入れることでしたが、ジョンファンはもちろん両方を拒みます。

その頃ウチョルは妻の釈放を求めて刑務所を訪れましたが、妻がすでに死亡したという事実が発覚。

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ウチョルは日本の警察にまんまとはめられたのです。

そして、チョ先生が釈放されたという知らせが入りますが、チョ先生は警察から酷い拷問を受け、すでに瀕死の状態でした。

拷問により爪は全て剥がされ、歯も全部抜かれていた状態のチョ先生は、妻の手を取ると息を引き取ったのでした…。

『マルモイ ことばあつめ』の結末

チョ先生の死後、ジョンファンはチョ先生の妻(イェ・スジョン)からとある事実を聞かされます。

なんと、チョ先生は万が一のことを考え、16万語の単語を書き写して自宅に隠していたのです!

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チョ先生のファインプレーに思わず涙。なんでもバックアップを残しておくことは大切ですね…。

チョ先生のおかげでジョンファンたちは辞書作りを続けることができますが、これ以上危険は犯せないため、ジョンファンは朝鮮語学会を日本帝国の元に入れる書類に署名する決意をしました。

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署名に反対する仲間たちはどんどん離れ離れに。

そして、パンスは子供たちのことを考え朝鮮語学会の仕事を辞め、劇場のモギリに戻りますが、逆に子供たちに背中を押されたような気がして、再びジョンファンのもとへ戻ります。

朝鮮語学会のメンバーが再集結し、公聴会へ向けての準備が始まりました。

各地から京城に教師たちを集め教会でダミーの集会を開いた後に、パンスが仕事をしている劇場に誘導し、終演後に公聴会を開催するという作戦です。

『マルモイ ことばあつめ』

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劇場での公聴会開催作戦はうまくいっていたものの、元朝鮮語の国語教師が連日で欠勤しているという噂が上田の耳に入り、パンスの息子であるドクジンにまで危険が及ぶように。

学校まで押しかけてきた上田に拳銃を向けられて問い詰められたドクジンは、ジョンファンたちがパンスの働く劇場で公聴会を開催していることを告白してしまったのです。

『マルモイ ことばあつめ』

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しかし、ドクジンがわざと違う劇場の名前を答えたことで、ジョンファンたちは時間を稼ぐことに成功します。

ですが、バレるのも時間の問題で、上田たちは公聴会が開かれている「大東亜劇場」に、警官たちを向かわせました。

劇場では駆けつけた警官たちと元教師、パンスの仲間たちの間で攻防が繰り広げられ、その間にジョンファンとパンスは原稿を持ち出して劇場を飛び出したのです。

ジョンファンは自らの身の危険を感じ、釜山にいる同志まで原稿を届けるようにパンスに全てを託しました。

警官の追手が2人に迫る中でョンファンは追いかけてくる警官をおびき寄せ、パンスは原稿が入ったカバンを持って駅へと向かいますが、パンスの同行を不審に思った日本人に通報されてしまうのです。

線路を越えて逃げるパンスはこれ以上無理だと思ったのか、郵便局の倉庫にカバンを投げ入れました。

そして、追い詰められたパンスは警官たちに銃殺されてしまったのです…。

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第二次世界大戦が終わり、日本が降伏。

投獄されていたジョンファンは解放され、再び朝鮮語学会を立ち上げます。

パンスが死に、なくなったと思った原稿でしたが、パンスの仲間たちによって発見されたことで、ジョンファンは再び朝鮮語辞典を作り始めます。

そして、成長し教師になったドクジンと中学生になったスンヒの元を尋ねたジョンファンは、やっと完成した朝鮮語辞典を2人に渡します。

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一番最初のページには、「キム・パンス同志へ」というメッセージが添えられていました。

そして「タンポポ」の意味の箇所には、パンスが描いたタンポポの絵が挿絵として掲載されていたのでした…。

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辞書を見るドクジンとスンヒ、校庭で子供たちと楽しそうに遊ぶジョンファンの姿が映し出され、物語は終わります。

【ネタバレ】『マルモイ ことばあつめ』感想

人々の優しさと熱い思いが奇跡を起こす

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実は、すでに私は『マルモイ ことばあつめ』と出会っていた…。

このポスターから想像していたのは、ユ・ヘジン主演の人情喜劇。

あながち間違いではないのですが、蓋を開けてみると『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』のオム・ユナが初監督を務めた作品でした。

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『マルモイ ことばあつめ』は、1942年に起こった「朝鮮語学会事件」を背景に製作されたフィクションです。
『マルモイ ことばあつめ』

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日本統治下という朝鮮半島で朝鮮語の使用が禁止されているにもかかわらず、危険を冒してまで自分たちの言葉の辞書を作ろうと奔走した人々の物語。

名もなき人々が奇跡を起こすという物語や、前半コメディから後半シリアスという展開は『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』と似ているものの、『マルモイ ことばあつめ』では、人々の優しさが多く描かれていたように思いました。

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あらすじだけを追うと暗い物語に感じるかもしれませんが、実際の映画を見るとなぜか心が温まります。

その理由は出てくる登場人物が上辺だけでなくとにかくみんな心から優しい。

まるきり史実ではないにせよ、この人たちじゃなかったら絶対に朝鮮語の辞典は完成しなかったと思うほど。

失われていく自分たちの言葉を守ろうという、熱い想いにグッときます。

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この作品の撮影現場も、きっと優しさに溢れたいい現場だったんじゃないかなと想像しました。

言葉を奪われるということ

私たちが普段喋ったり書いたりする「文字」や「言葉」ですが、当たり前すぎて深く考えることはありませんでした。

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それほど愛着を持って接しているか?と言われたらそうでもなく…。

では、例えば世界に何か起きたとして、皆さん明日から日本語は禁止です。新しい公用語になるロシア語を話してください。と言われたらどうでしょうか…?

現実的な話ではないにせよ、1940年代の朝鮮半島で起こっていたことはそういうことです。

日本語がなくなる…と思ったらやはり残そうと思う人々が出てくるのは必然なことではないでしょうか?

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ジョンファンの回想シーンで「朝鮮語、話せません」という少年が登場した時は、私もジョンファンと同じくらいショックでした。

あのまま日本統治が続いていれば、朝鮮語は完全に失われていたでしょう。

そうならなくてよかったですし、何があっても言葉に限らず他の文化を奪うようなことは絶対にあってはならないと思いました。

当時の日本は許されない行いをしていたと思いますし、今後2度とそのような世の中になって欲しくありません。

朝鮮語の辞書を作るためにこんなに苦労があったことは、『マルモイ ことばあつめ』がなければ特に私たち日本人は知ることはなかったでしょう。

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ただ、個人的に今作で1つ残念だったことが、上田役に日本人俳優をキャスティングできていなかったことです。

日本人が悪く描かれているにせよ、キャストの方々が日本語が上手にせよ、残念ながらちょっと不自然さは否めなかったです…。

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意図的だったのかは不明ですが、誰か出てあげてよとも思いました。

そんなこともありながら、『マルモイ ことばあつめ』には間違いなく泣かされます。

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いろいろな問題で世界中の人々の視野が狭くなっている今だからこそ、たくさんの人々に見て欲しい作品です。

SNSでのみんなの感想・評判

SNSでの感想を見ていても、『マルモイ ことばあつめ』は観客たちの満足度が非常に高い作品ということがわかります!

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物語はもちろん、友情出演として登場するキャストたちが豪華なことにも注目。

『愛の不時着』の人民班長ことキム・ソニョンが出演していることは、皆さんお気づきのはず。

『パラサイト 半地下の家族』で家政婦を務めたイ・ジョンウンが済州島の教師役で出演しているほか、パンスたちを助ける存在になる郵便局員には、『犯罪都市』などに出演しているチェ・グィファ。

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他にもユン・ギョンホ、イェ・スジョンなど「この人見たことある!」というキャストが多数出演しています。

物語の作りとしてはオム・ユナ監督が脚本を務めた『タクシー運転手〜約束は海を越えて〜』からも予想できる展開ではあるのですが、登場人物が多いからこその、キャスト陣の熱の入った演技のアンサンブルに圧倒されます。

『マルモイ ことばあつめ』あらすじ・ネタバレ感想:まとめ

マルコヤマモト

ユ・ヘジン、ユン・ゲサンが主演を務めた『マルモイ ことばあつめ』について、ご紹介しました。
要点まとめ
  • 韓国の隠された歴史を暴く名作がまた1つ誕生
  • ユ・ヘジンの演技がアツい!カッコよくないから皆に愛される
  • オム・ユナ監督が作り出した熱く優しい物語に涙すること間違いなし

激動の時代を送ってきた日本統治下の朝鮮半島の人々。

言葉を奪われることはその人の魂さえも奪ってしまうようなこと。

マルコヤマモト

日本語を強制されることや創氏改名については学校で習った程度の知識しかなかったので、今作を鑑賞して改めて重く受け止めています。

マルコヤマモト

オム・ユナ監督による人々の熱い思いと人間の優しさを感じる物語、ぜひご覧ください。
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