『真木栗ノ穴』あらすじ・ネタバレ感想!西島秀俊主演のミステリー!売れない小説家が見つけた穴の向こうには…

『真木栗ノ穴』あらすじ・ネタバレ感想!西島秀俊主演のミステリー!売れない小説家が見つけた穴の向こうには…

(C)2007 Rights Management Corporation & Neo Inc. All rights reserved. (C)2007 MEDIAND INC.

「この世に矛盾がはびこり、終末が近づいている。どうやら私たちの世界が、ある1人の男の空想であることが近く発表されるだろう」

この文章で締めくくられる物語の“本当の始まり”はどこなのか。

ホラー小説原作の不思議な物語です。

ポイント
  • 1人の男が部屋の壁に見つけた穴を覗くことから広がっていく妄想と、穴の向こうの女の真相
  • どこが始まりで、どこが終わりなのか?考察しがいのあるストーリー展開に目が離せない!
  • 公開当時(2008年)の西島秀俊の演技にも注目です

それでは『真木栗ノ穴』をネタバレありでレビューします。

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『真木栗ノ穴』作品情報

『真木栗ノ穴』

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作品名 真木栗ノ穴
公開日 2008年10月18日
上映時間 110分
監督 深川栄洋
脚本 深川栄洋
小沼雄一
出演者 西島秀俊
粟田麗
木下あゆ美
キムラ緑子
北村有起哉
尾上寛之
大橋てつじ
永田耕一
小林且弥
田中哲司
松金よね子
谷津勲
利重剛
音楽 平井真美子
采原史明

【ネタバレ】『真木栗ノ穴』あらすじ


40間近の売れない小説家、真木栗勉

築40年のボロくて安いアパートに住む真木栗勉(西島秀俊)はそろそろ40歳になるというのに売れない小説家です。

半年の連載を終えて、次の連載は新人賞を取ったばかりの作家が書くことになっていました。

つまり、真木栗に“次”の話は来ませんでした。

『真木栗ノ穴』

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その夜、銭湯に行く前にいつも寄る定食屋の店員・沖本シズ江(キムラ緑子)から、独り者同士親近感がわいただけだという建前の理由で一緒に帰ろうと誘われました。

踏切で立ち止まった時、シズ江は「よかったらうちでお風呂に入って行かない?」と言います。

そして戸惑っている真木栗の手を引いて、なかば無理やり家に連れ込みました。

成り行きで2人で一つの浴槽に浸かったあと、真木栗が自宅に帰ると部屋は荒らされていました。

泥棒が入ったんだと思い、惨状を眺めていると壁に人差し指を通せるほどのサイズの穴が開いていることに気が付きます。

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もともとあった本棚が倒れてしまったことで現れたのです。

そっと覗いてみると穴の向こうには赤いボクシンググローブをはめた男がいました。

翌朝、真木栗は誰かが部屋の扉をノックした音で目を覚ましました。

置き薬の営業の男・細見貢(尾上寛之)でした。

少し開けた扉の隙間から覗いた細見は惨状に驚き、片づけを手伝うと言い出しました。

一通り綺麗になると、しっかり薬の営業をして、しいて言うならと片頭痛の話をしたところ、おすすめの頭痛薬を薬箱いっぱいに置いて帰って行きました。

真木栗の部屋の穴

真木栗は新作について筆が進まず悩みます。

悩み過ぎて片頭痛に襲われ、置き薬を飲んで寝転がっていたら朝になっていました。

ふらふら起き上がってようやく水を飲み、なんとなく部屋を見回した時、前に見つけたところと反対側の部屋の壁の、床から数十センチのところに拳より少し小さい穴が開いていることに気が付きます。

『真木栗ノ穴』

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そんな折、いつもの定食屋に行くと女将(松金よね子)が「空き巣が捕まった」という話をしてきました。

犯人は2人組で、シズ江と連れの男でした。

そこにたまたま事件のことを女将に聞きに来た週刊誌の編集者がやってきます。

真木栗は帰ろうとしましたが、空き巣の犯人は真木栗の名前を供述しているということで編集者は話を聞きたいと引き留めました。

そして話の流れで、週刊誌の官能小説の連載を頼まれます。

締め切りは3日後、そんな無茶な話を断ろうとしたところで報酬を渡され承諾してしまいました。

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部屋に帰った真木栗は壁の穴から想像もとい妄想を広げて小説を書き始めます。

行き詰って部屋の穴を覗いていたところに、定食屋で編集者と一緒にいた浅香成美(木下あゆ美)がやってきました。

真木栗の担当になったからと挨拶に来たのです。

ぶっきらぼうに対応する真木栗は書けているところまで原稿を渡して試しに読んでもらいました。

その夜、小さい方の穴の隣人が彼女を連れて帰ってきました。

真木栗は、穴を覗いて2人の行為を見ていました。

空き部屋に越してきた美女・佐緒里

ある時、真木栗がトイレの掃除をしていると隣人に荷物が届きます。

配達員の大声に何事かと出て行ったら、代わりに預かってくれと言われてしまいました。

大きい方の穴がある部屋は空き部屋。

そこに荷物が届いたということは、これから誰かが引っ越してくるということでした。

夜になり空き部屋だったそこに人の気配を感じた真木栗が穴を覗くと、いつか家の前の道で見かけて以来小説の中に登場させていた女性・水野佐緒里(粟田麗)がいました。

昼間預かった荷物を届けて部屋に戻り、また穴を覗くと佐緒里は荷物を開けていました。

中身は下着でした。

そこに浅香から電話がかかってきます。

小説の締め切りが今日だから原稿を取りに来ると言うのです。

翌日だと勘違いしていた真木栗は焦って机に向かいました。

隣の部屋を覗いては小説を書き、たまに外で佐緒里から声をかけられトマトをもらったり花火を一緒にみたり、原稿を取りにやってくる浅香をかわしながら毎日を過ごしていきます。

『真木栗ノ穴』

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ある日ぼんやりしていた真木栗はコンビニの帰りに車に撥ねられます。

ちょっとした擦り傷で済んだ程度でしたが、倒れているところに佐緒里が通りがかりました。

佐緒里は傷を見て消毒した方が良いと言いましたが、真木栗は消毒薬を持っていませんでした。

それを伝えると佐緒里は真木栗の部屋に来て傷を消毒してくれました。

部屋にある薬箱に気が付いた佐緒里は、消毒薬はないと言っていたはずなのにと口にします。

真木栗は置き薬の営業の話をして、興味ありげな佐緒里に「次に来た時に寄るように言っておく」と約束しました。

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真木栗は、佐緒里の部屋を訪れた宅配ドライバーや置き薬の営業が体を重ねるのを覗いて、小説のネタにしていたのです。

佐緒里の正体

相変わらず穴を覗きながら小説を書く真木栗は、とうとう自分を小説に登場させることにします。

空き巣事件の犯人であるシズ江が部屋を訪れたことがきっかけだと浅香に話しましたが、真木栗の様子がおかしいことを編集長に告げるついでに浅香がその話をすると、編集長は「シズ江は勾留中に体調を崩して入院中のはずだ」と言いました。

翌日、浅香が原稿を取りに真木栗の部屋を訪れると、真木栗は頭痛がひどくて眠れないとぐったりしていました。

置き薬のストックもすべて飲んでしまって、薬屋に電話をかけていつも営業で来てくれる細見君に持ってきてもらおうとしたのですが、電話口の向こうに出たのは細見君の上司でした。

上司は、3日ほど前に細見君は自殺したと言いました。

にわかに信じられないまま、浅香が持ってきた週刊誌を手に取って自分が書いたものを確認しようとしたところで別のページが目に飛び込んできました。

ワイドショーでもちきりになるほどの話題でしたが、真木栗の部屋にはテレビがないためまったく知らない事でした。

そのページの写真に写っているのは、隣人・佐緒里でした。

佐緒里はIT社長の妻でしたが、ある不祥事をきっかけに世間からバッシングされ耐え切れずに心中したという話題でした。

『真木栗ノ穴』

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たびたび近所で出くわしては会話をする佐緒里が、隣の部屋で宅配ドライバーや置き薬の営業と体を重ねている佐緒里が、すでに死んでいる人間だった?

そして同じころ、シズ江が3日前に勾留中の病院で息を引き取ったことを知らされます。

妄想と現実の境目

小説に登場した人物が死んでいくことに気が付いた真木栗は茫然としました。

そしてボクサー風の隣人が引っ越しの準備をしているところに遭遇し、声をかけました。

隣人はアパートが取り壊しになるから引っ越しの準備をしていると言いました。

「あんたもそろそろ引っ越した方が良い、1人でこんなところに住んでいてもよくないだろう」と言います。

真木栗は、もう現実と妄想の境がわからなくなっていて、アパートには他に佐緒里がいるから1人で住んでいるわけではないと主張し、隣人と口論になってしまいました。

佐緒里がすでに死んでいることをまだ信じられない真木栗は久しぶりに定食屋に行きました。

テレビからは佐緒里とIT社長の事件が流れていました。

すっかり1人になってしまったアパートに戻って、真木栗は執筆中の小説を破りかけて、やめました。

そしておもむろに灯篭を作り、実家から届いた荷物を解くと中から自家製の梅酒のビンを取り出して、佐緒里のいる部屋をノックしました。

翌日、浅香が真木栗の部屋を訪れ扉を開けると、そこには誰もいませんでした。

机の上の原稿用紙には主人公の“男”が実家から届いた梅酒と、手製の灯篭を持って隣の部屋に住む女を訪れたことが書いてありました。

【ネタバレ】『真木栗ノ穴』感想

考察しがいのある物語

この作品、原作は山本亜紀子の「穴」というホラー小説だったりします。

映画ではホラー要素がまったくなく、不思議な雰囲気のちょっとしたミステリーくらいな感じだと思います。

ミステリーと言うのには理由があって。

この物語、どこが最初の始まりでどこが終着点なのかよくわからないんです。

vito

あらすじではサラっと、映画の始まりから終わりに沿って書いてみたんですが伏線というべきか矛盾点というべきか、あれ?おや?と思う場面がいくつかあったりして。そもそも死んでいるはずの佐緒里と真木栗が普通に会話したり一緒に花火を見たりしているのが矛盾している…けど、2人が会話を交わしている時そこには2人しかいないんですよね。
『真木栗ノ穴』

(C)2007 Rights Management Corporation & Neo Inc. All rights reserved. (C)2007 MEDIAND INC.

だからきっと妄想に憑りつかれてしまった真木栗が見ている幻想なのかなという解釈がしっくりきます。

でも夫であるIT社長とともに世間からバッシングを受けて疲弊しきった佐緒里は、実際築40年のボロアパートを不動産屋から紹介されていたんですよねぇ…。

しかも取り壊すまでの1か月間しか住めないとも言われていて。

そうなると真木栗が生きている現実と同じ時を生きていたことにもなるわけです。

vito

やばい考えれば考えるほどよくわかんなくなってくる。

取り壊しが迫ったアパートで、ボクサー風の隣人と真木栗が口論になったあとの定食屋でも気になる場面があります。

茫然としたままワイドショーを眺めている真木栗の後ろを、シズ江が通って行くんです。

定食屋に張り出してある従業員募集のチラシを見ながら。

この時すでにシズ江は死んでいるはずなんですけど。

かといって、ここが始まりだったとしたら真木栗と佐緒里の関係はもう小説として書きあがってしまった後なわけで出会った順番もおかしくなってくるんですよ。

vito

ほら、凄く考察しがいのある物語だと思いませんか?私みたいに深読みとか考察が好きな人には刺さる作品なので超おすすめです!

魅力的なキャスト陣について

まずは主人公の真木栗勉を演じた西島秀俊について。

vito

私が認識したのは『ストロベリーナイト』の頃だったかな。

『真木栗ノ穴』はそれより2年ほど前の作品です。

vito

やわらかい雰囲気で、でも何を考えているのかわからない感じが好きなんですよねぇ…ちょっと言葉が足りない不器用な人みたいな役がハマるなと思います。個人的に。

真木栗は割と感情を表に出しがちだけど、“穴”という隠し事があって。

担当の浅香にうっすら探りを入れられながらはぐらかしたりする場面が好きです。

真木栗の担当になった浅香成美を演じた木下あゆ美も好きです。

vito

ずっと好きな役者さんというわけではなくて、この作品で知ったのかなくらいなんですけど。初見から何かどこかで見たことがある気がしていて、でもドラマでも映画でも覚えがなくて。

これまでの出演作品を眺めていたらスーパー戦隊シリーズに出ていたと知って納得しました。

vito

『特捜戦隊デカレンジャー』のデカイエローだったんですね…そりゃ見覚えあるよね…。パキッとした声が心地よくて好きです。もっと色んな役を見てみたいので他の作品も見てみようと思っている所存です。

そして置き薬の営業、細見くんが健気で一生懸命で可愛くていい味出しているなぁと思います。

顔はちょっと不細工な菅田将暉みたいな(失礼)。

vito

演じた尾上寛之はこの頃がそうだっただけで、というか多分私にはそういう見た目として焼き付いているだけで現在はあんまり面影がない気がします。

他の出演作のタイトルを見ても“出てたっけなぁ…”とか思ってしまうし、何なら2019年のドラマ『4分間のマリーゴールド』にも出演しているのですが顔と名前が一致しません。

vito

時を経て素敵な俳優さんになったんだなぁ…。いや細見君も好きですけどね私は。

『真木栗ノ穴』まとめ

以上、ここまで『真木栗ノ穴』をレビューしてきました。

要点まとめ
  • ホラー小説原作の、少し背筋がひんやりする不思議な展開が楽しい作品
  • さらっと見るつもりでも気が付けば画面のそこかしこから矛盾を探してしまうこと間違いなし
  • 考察や深読みが好きな人には超おすすめです!どこが本当の始まりなのか、はたまたどこからが真木栗の妄想なのか
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