『魔法使いの嫁』の主人公は夜の愛し仔(スレイ・ベガ)と呼ばれる特殊体質を持った羽鳥チセという10代の女の子です。
彼女は生きる意味を見出せていませんでした。
そんなチセを引き取ったのは、エリアス・エインズワースという骨頭を持った魔法使い。
エリアスはチセを魔法使いの弟子とし、または嫁として迎え、精霊シルキーが家事をするイングランドの田舎で暮らすことになります。
しかし、チセは過去のトラウマから心を開けず、エリアスもまた、人外であるがゆえに人間であるチセの気持ちが分からないのでした。
悩みが尽きない2人ですが、互いを思いやり、惹かれ始め、幻想的な世界の中で共に成長していくのでした。
- 美しい作画で描かれる幻想的な世界!見ていて癒されること間違いなし!
- 魔法に知識がふんだんに散りばめられた濃密なストーリー。子供の頃の憧れを思い出します!
- 2人の関係性に、互いに穏やかに思い合う美しい情愛を見ます。現代社会に疲れた人にはぜひ。
それでは、『魔法使いの嫁』をネタバレありでレビューします。
目次
アニメ『魔法使いの嫁』声優・キャラクター紹介
種﨑敦美 / 羽鳥チセ
- この物語の主人公。
- エインズワース、シルキーとイングランドの田舎に住んでいる。
- 夜の愛し仔と呼ばれる特殊体質。
- 後にルツと契約を交わす。
竹内良太 / エリアス・エリンズワース
- チセを500万ポンドで買い取った魔法使い。
- 骨頭をしていて、とても長く生きている。
- チセのことを弟子、または嫁として大事に想って接している。
遠藤綾 / シルキー
- エリアスの家に住む家事要請。
- 「銀の君」と智世やエリアスからは呼ばれていれている。
- 家事の全てや部屋の模様替えまでお手の物。
- チセを大事に想っている。
内山昴輝 / ルツ
- チセと契約した妖精、墓守犬。
- 大きな犬の姿をしているが、人間の姿にもなれる。
- ある事件をきっかけに智世と思考の共有までしているくらい深い仲となる。
甲斐田裕子 / アンジェリカ・バーレイ
- ロンドンに住む魔法機構の技師。
- エリアスとは昔からの友人。
- チセにも新設に接してくれる。
- 旦那と子供がいる。
梅津秀行 / ジョエル・ガーランド
- エリアスの家の近くに住む老人。
- 趣味は執筆活動と庭のバラ園の世話。
- リャナン・シーを何度か目撃したことがあるが、人ならざるものが見えない体質なので妖精だったと気付いていない。
早見沙織、清都ありさ / リャンナン・シー
- 詩人や作家にとりつき、血を吸う代わりに才能を与える吸血鬼。
- ジョエルの側に居るが、ジョエルの血を吸っていない。
- ジョエルへの想いは恋であるが、妖精であるが故に認められないでいる。
【ネタバレ】アニメ『魔法使いの嫁』あらすじ・感想
チセとエリアスの出会い、魔法使いの世界へ
魔術師が多く集まるオークションで、目玉商品として自分で自身を競りにかけたチセ。
「どこでもいいから帰る場所が欲しい」と願い、うつろな顔をしながらオークションに参加します。
そんな彼女を500万ポンドという高額で競り落としたのは、頭が動物の骨でできていて、角が生えている魔法使いのエリアスでした。
彼女を弟子にするため、競り落としたと言うエリアス。
そして、魔法の力でオークション会場からイングランドの端っこの家までひとっとび!
一瞬で着いたそこは、自然が豊かで、鳥が鳴き、さわやかな風が吹き、レンガ造りの古き良き家が建つ場所でした。
そこでエリアスは「これはもう必要ないね」とチセの手枷を魔法で外し、魔法使いの弟子として彼女を迎え入れます。
その後、チセの着替えを無理やり手伝い、彼女を風呂に入れます。
ここではバスタブにハーブが入れられており、魔法使いのおまじないのよう。
恥ずかしい想いをしたチセは、顔を真っ赤にして湯船につかります。
そんなお風呂場の窓辺に妖精がやってきました。
羽の生えた小さい見た目をしています。
チセに「妖精なんて無粋な呼び方せず、お隣さんや良い友達と呼んで」と話しかける妖精たち。
そして、チセを「夜の愛し仔(スレイ・ベガ)」と呼び、とても親し気に接してきました。
その夜、先ほどの妖精がチセの部屋にやってきます。
部屋を抜け出して夜の散歩をしようと言う妖精に、ほいほいついて行ってしまうチセ。
しかし、着いたのは妖精たちが暮らす国の入口で、妖精は言葉巧みにチセを妖精の国に連れていこうとします!
そこには行かないと拒否の姿勢を示すチセ。
過去が悲惨だったチセは待っている人はいないけれど、親切にしてくれたエリアスのことを思い浮かべるのでした。
するとそこにエリアス登場!
チセの居所は最初から分かっていたようです。
妖精を追い払い「いい勉強になっただろう」とチセに優しく接します。
そして「未来の奥さんに傷が残っちゃ大変だ」と大胆な告白で、チセは驚きます!
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チセと墓守犬の契約、哀れみ深い友
カルタフィルスという不死の化け物が、魔法の実験の材料集めとして「自分が犬であり、妖精墓守犬である」という自覚がない未熟な新米妖精、ユリシィを狙ってやってきました。
チセは彼を守り、かばいます。エリアスはチセが攻撃を受けたことに怒り、人間の姿から完全に茨をのばした人外の姿になって理性を失い、カルタフィルスと戦うことになりました。
ユリシィはチセに死んだ妹、イザベルの姿を重ね必死に守ります。
その後はなんとかエリアスの攻防と、知り合いの魔術師の援護によりカルタフィルスを一時的に止めることに成功しました。
しかし、しばらくするとカルタフィルスは起き上がります。
妖精をキメラの材料にしたい彼でしたが、扱いにくい墓守犬などいらないと死体を利用したキメラで応戦してきます。
驚くことに、その時使った死体はまさかのユリシィの妹、イザベラでした。
哀れな姿になったイザベラを前に、ユリシィは涙を流します。
そのことがチセの逆鱗に触れ、チセは限界を超えて力を使おうとします。
1度はエリアスの制止も振りきろうとするチセですが、「この世のルールを曲げてはいけない」という彼の言葉が届き、なんとか踏みとどまりました。
また、たまたまいた妖精が助けてくれたため、その場から一度離れることにも成功します。
その妖精はユリシィに「お前は人間でもただの犬でもない。いつまで死んだ奴に甘えているんだ」と叱責!
そして「墓守犬」またの名を「ブラッグドック」としてユリシィを覚醒させます!
そうすることで、彼はイザベルの死を受け入れることができました。
そして、チセに「お前の側に居させてくれ」と使い魔になる交渉をします。
再びカルタフィルスが追ってきますが、魔術師とエリアスの力によりチセらには近づけません。
そんな隙に、チセとユリシィの契りが交わされました。
呪文を唱え合い、新しい名前を彼に授けます。
それは、ヘブライ語で「哀れみ深い友」という意味の「ルツ」という名でした。
戦いが終わり、妖精の力によってキメラの死体の魂はあの世に行きました。
そして、エリアスとチセとルツは帰路につきます。
忙しい夜を終えて、共にイングランドの家に帰るのでした。
なかなか進展しないエリアスとの関係性
チセたちは、ルツを迎えて新しい生活が始めました。
しかし、チセが家事妖精、銀の君ことシルキーにエリアスについて尋ねると首を横に振ります。
エリアスは2週間の間、部屋にりっぱなしなのです。
カルタフィルスとの戦いの時、身体が一度変化したので、そのことが原因ではないかとルツは推測します。
心配そうなチセ。
そこにシルキーがやってきてお金と上着を渡し、そして玄関からチセをルツと共に追い出してしまいました!
「気分転換に」と書かれた手紙が財布の上に置いてあるのを見つけたチセ。
どうやらお小遣いをくれたようです。
出かけようとする2人の前に、突如エリアスの友人でチセの知り合いのアンジェリカが現れました。
久しぶりにチセの様子を見に来てくれたようです。
チセとルツは、アンジェリカと共に街に出ることにしました。
シルキーに何か使えるものを、ということでいっぱい買い込むチセ。
そんなチセをアンジェリカは優しく見守ります。
そして、以前送った指輪の調子の点検もしてくれました。
「問題なく働いている」と確認して、今度はチセの様子を聞きますが、そこでチセは「特に何も」と答えるのでした。
しかし、そこでルツが口を挟みます!
「いつも眠そうにしている」「魔法を使った時は特にだるそうだ」とチセの制止を無視して、アンジェリカに報告するルツ。
これにはアンジェリカもチセにお説教します。
自分を大事に、とアドバイスするアンジェリカにしおらしく頷くチセ。
その後は話題が変わり、学校には行かないのかとアンジェリカは尋ねます。
チセは学校にはあまりいい思い出がないと答え、エリアスたちの下に居ると話しました。
しかし、アンジェリカは「それは依存だ」とするどく指摘します。
図星を刺されたチセは、それに「わかってはいる」と答えるしかありませんでした。
アンジェリカと別れた後、チセは自分のことについて思い悩みます。
それに、ルツはチセの心に寄り添うよう「お前の過去にあった出来事、呪いが解ければいい」と話しました。
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その後、チセはエリアスの部屋に行きます。
前までは入らないでと言われたら入らなかったチセですが、思い切ってドアをあけました。
するとチセは触手のような腕で捕まれ、部屋の中のベッドに放り込まれてしまいます!
エリアスはいつものような人間の体をしてませんでした。
変身した化け物の姿です。
けれどチセは落ち着いて彼に寄り添います。
朝になると部屋にはエリアスがいません。
お風呂に入って朝食を済ませたら、チセはルツと共にエリアスを探します。
その途中で吸血鬼リャナン・シーが憑いている老人に、お茶に誘われました。
彼はジョエル・ガーランドと言い、リャナン・シーは彼にすごく興味があるけれど、血を吸っていない様子。
昔ジョエルは自慢のバラの庭で一目だけリャナン・シーを見たことがあり、それを題材に小説を書いていて、チセにその小説を読んでもらいたがります。
リャナンシーの懇願の視線も見えたので、チセはジョエルの小説を読むことにしました。
それは恋の話でした。
チセが話を読み終えて帰るころ、リャナン・シーは妖精にとっての愛することの難しさを語ります。
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そして夕方になったころ、ルツがエリアスを北の森で見つけました。
湖に浸かっているようです。
見つけた途端、チセは何も話してくれなかったエリアスを泣きそうな顔で責めました。
いなくなられたら心配だ、と言いたげなチセ。
それを理解できないエリアスですが、見たことのない表情のチセに「僕について話すのは整理してから話すから少し待っててくれないか」と頼みます。
チセは少し表情を赤らめながら「じゃあ待っててあげます」と答えました。
どこかぎこちないですが少し、今回のことで心配することを覚えたチセと、そのチセが向ける感情が気になるようになるエリアス。
2人の距離は縮まったようです。
アニメ『魔法使いの嫁』声優・あらすじ・ネタバレ感想まとめ
- 美しいイングランドの田舎の景色と魔法の幻想的な描写がとても美しいアニメです。
- 流れるサウンドが綺麗で心地よく、大変癒されます。
- シリアスな描写の中にコミカルな絵柄も入るので重たくなり過ぎないのがいいです。
『魔法使いの嫁』の良さは美しいストーリーとそれを表す美しい作画と音楽にあると思います。
しかしそれだけでなく、声優さんの演技も違和感なくこの魔法の世界に溶け込んでいました。
特にエリアスの感情の薄さの中にある微妙な心の動きはよく表現できてるな、と感動してしまいます。
またチセの複雑な思春期の心も機微も、アニメの映像だけじゃなく声に乗って表されていると思います。
そして、やはり映像美。
風や空気感さえも丁寧に描かれています。
やわらかい光の描写は美しく、それに反射する木々や水の描写も丁寧に施されています。
細部までじっくり見ていたくなる出来栄えですね。
また音楽も耳に心地よく、癒されるものばかり。
幻想的な『魔法使いの嫁』の世界観を底上げしています。
これら全てがとてもうまい具合に調和がとれているので、本作は人の心を引き付けるのでしょう。
ファンタジー好きの方には絶対必見ですし、癒されたい方にもぜひ見てほしいですね。
チセとエリアスの魔法の世界を、ぜひ堪能してもらいたいです。